フローリングの上にものを落としてできてしまった傷やくぼみ。引っかき傷程度の浅く小さなものであれば、ペンやクレヨンタイプのなぞるだけで消える比較的簡単な補修グッズがあります。しかし、大きく抉(えぐ)れてしまった深い傷の場合には、床の張り替えが必要になってしまいます。その場合、同じ床材が見つからなければ部分補修では済まず、全体をリニューアルしなければならないことも多々。費用もかさんでしまい、たった1か所の場合にはやはりちゅうちょしてしまいますね。
とはいえ、部屋の目立つ位置の場合にはやはり傷が気になってしまうもの。実は筆者も少し前に鋭くとがったものを床に落としてしまって、抉れた傷をつけてしまいました。ペンやクレヨンタイプの補修剤で隠すにはちょっと大きめの傷。しかし、ホームセンターで穴埋めをしてキレイに補修ができるというこちらの商品の補修後のサンプルを目にし、一度試してみることにしました。ハウスボックスの「キズなおしま専科」です。
ではこちらの商品の大まかな仕組みの説明から。シェラック樹脂と呼ばれる補修用の樹脂を付属の電熱コテで溶かし、補修箇所を埋め、その後にコテで平らにするといった流れ。必要な場合には最後に付属のペンで木目を書き足し、自然になじむように仕上げます。電気コテを使用するため、表面が熱に弱い樹脂シートで覆われたフロアーには使用することができませんが、床暖房のフローリングには対応しているとのことです。
というわけで、まずは同梱されている樹脂スティックと補修したい床の色合わせから。筆者宅のフローリングは明るめのカラーなので、ダークカラーとライトカラー用の2種類が用意されているキットのうち、ライトカラーを購入しましたが、4本ある樹脂は比べてみるとどの色も少し筆者宅のフローリングよりも暗めの色。樹脂は溶かした状態で調色も可能なのですが、いずれもトーンが暗く、やはり別売りで別のカラーを購入する必要がありそうです。残念ながらキットだけで補修することは断念しましたが、こればかりは手元にサンプルがないかぎりわからないのでやむをえません。これから試される方は、その旨承知したうえで購入しましょう。
![]() |
補修をしたい筆者宅のリビング床の傷と補修剤の色合わせ。同梱されている樹脂のカラーは筆者宅のフローリングの色に比べるとちょっと濃いような気がします。溶かした樹脂を混ぜ合わせて調色もできるとのことですが、もう1段階明るい色のスティックを後日別売りで購入することにしました。
出足からさっそく問題発覚ですが、電熱コテ初心者なうえ、溶けた樹脂が実際にどのようになるのかを事前に確かめるため、本番の前に木のブロック片を利用してまずは練習をしてみることにしました。
まずは電熱コテを温めることから。コテには電源ボタンなどはなく、コンセントプラグを差すと電源が入り、先端の金属部分が温まる仕組みです。樹脂を溶かすぐらいなので、かなりの高温になり、触るとやけどをしてしまうので取り扱いは慎重に。先端を当てて溶かした樹脂で穴埋めをしていきます(樹脂はすぐに固まります)。
![]() |
熱したコテでスティックを溶かします。最初はよくわからずにコテを樹脂に当てていましたが、スティックの角の部分に押し当てると溶けた樹脂が広がらずにキレイに溶かすことができます |
![]() |
コテの角の部分を使って樹脂で穴を埋めます。凸凹は後で平らにならすのでこの段階では気にしなくても大丈夫 |
次に穴埋めをした箇所を平らにする作業。補修箇所とその周辺に耐熱保護材を塗った後、コテの平らな部分を使って、ならしていきます。
![]() |
補修箇所と周辺に耐熱保護材(白色ワセリン)を塗り、熱による変色や変質をカバー |
![]() |
コテの平らなほうを補修面に当てて、手前に引いて埋めた部分を平らにします。コテに付着した余分な樹脂はその都度ていねいに布などで拭き取っていくのがポイント。そのままにしておくと固まってしまうので注意が必要です |
![]() |
なんとなく平らになった気が。実験用にあえて目立つ色を選びましたが、木の色に近い色なら凸凹は目立たなくなったはず |
![]() |
ほかの穴も使って練習。穴埋めの仕方はだんだん慣れてきました。透明樹脂の場合は無色で穴を埋めるといった感じで、傷そのものは隠れませんが、上から傷直し用のクレヨンなどを使って隠せば目立たなくなるでしょう |
![]() |
木目を描くための「木目ペン」、明るめの茶色と暗めの茶色が用意されています。濃く描き過ぎてしまった場合は、同梱のスチールウールで軽くこすれば調整が可能に |
![]() |
リアルな木目に沿って、木目ペンでなぞってみました。色が合わないかなと思いましたが、グラスウールでこすって調整すれば自然になじみます |
そんなわけで、実際に試してみたところ、作業自体はそれほど難しいものではありませんでした。しかし、それなりにコツは必要なので、ぶっつけ本番で試すのは避けたほうがよいと思います。不要な木片などを使って一定のクオリティーで仕上げられるようになるまで腕を磨き、自信がついた段階で本番に挑むのがベスト。練習自体も職人気分でなかなか楽しめるので、やや重度な床の傷を自分で直したい人はぜひともトライしてみてください。
![]() |
1回1回練習を重ねると確実に腕が上がっていくので、作業自体にも楽しみがあります。5色もスティックがあると、必ず不要な色があるのでそれを使ってまずは練習を。筆者も絶対失敗しなくなった段階で床と同色の補修剤を調達して、本番に挑みたいと思います |
日々のムダをとにかく省くことに執念を燃やす母ライター。好きな言葉は「時短・節約・自作」。なのに非生産的な活動にも必死になることも多々。意外にアウトドア、国際派。