筆記用具を使っているとついついペン先に力が入るもの。ボールペンならよほどの怪力でないかぎりそうそう折れることはないでしょうが、シャープペンシルでは芯が細いこともあって、ちょっと力を入れると芯がポキポキと折れてしまいます。大事なレポートやテストともなればますます指に力が入りがち。そんなときに芯が折れるようでは結果にも響きそうです。そこで、芯が折れにくい新機能を搭載した新発売のシャープペンシル「モーグルエアー」をご紹介しましょう。
パイロットの「モーグルエアー」です
ボディーカラーは、ブラック、ブルー、ホワイト、ピンク、バイオレット、アイスブルーの6色。筆者はブルーを選択
今回ご紹介するのは、パイロットの「モーグルエアー」というシャープペンシル。ちなみに「モーグルエアー」という名前は、コブによる衝撃を吸収しながら滑走するスキー競技の“モーグル”とペン先が“モグる”にかけて、さらに“エアー”は、衝撃を吸収することによる空気のように軽い筆感をイメージして名づけられています。
「モーグルエアー」では、強い筆圧がかかるとペン先が自動的に“モグ”って圧力を吸収する、新開発のアクティブサスペンション機構を搭載。強い筆圧でも芯が折れにくくなっているだけでなく、軽快な書き味を実現しています。さらに、フレフレ機構も搭載。ノックすることなくペンを振るだけで芯が出てきます。これでもか、と機能が詰め込まれていますね。
この状態で上から強く押すと…
バネの力でペン先が“モグ”ってくれます。だから芯が折れない!!
確かにスムーズな書き味を体感できました
パイロット社のサイトによれば、アクティブサスペンション機構により、衝撃を50%も吸収(パイロット社比)しているとのこと。確かに、実際に強い筆圧で文字を書くと、ペン先が沈み込む感じがよくわかります。従来のシャープペンシルなら折れていたと思われるほど力を入れても、折れることなく使えました。ただし、1つ難点をいえばグリップ部分。グリップ部分は透明になっているので、中のメカが見えるのはとてもうれしいのですが、使い続けると汗などで滑りやすくなります。ここはやや改善の余地ありかと。
キャップもクリアで、メカニカルな部分がよく見えるのはすごくうれしいのですが…
少しぐらい凸凹があればもう少し持ちやすいです
新しい文房具が発売されるたびに、ついつい購入してしまう筆者。実はこれまでにも、ぺんてるの「オレンズ」、プラチナ万年筆の「オ・レーヌ」、ゼブラの「デルガード」といった、芯が折れないシャープペンシルをご紹介しており、今回で4本目。以前にご紹介した「オレンズ」や「オ・レーヌ」は2014年、「デルガード」も2015年の記事です。
それぞれにマイナーチェンジされた新製品も登場しているようなので再度購入し、各社のシャープペンシルの特徴をまとめてみました。“芯が折れない”というコンセプトは同じでも、それぞれに、芯を支えるパーツの数や形状やバネの使い方など、その機構はまったく違います。ペン先部分の狭い空間に複雑な機能やアイデア、汗と涙と努力が詰め込まれているかと考えると胸が熱くなりますね。
左から「オレンズ」、「オ・レーヌ」、「デルガード」、「モーグルエアー」です
まずは、ぺんてるの「オレンズ」。その特徴は、“芯を出さないで筆記できる”オレンズシステムを採用していること。通常のシャープペンシルでは、金属パイプから芯を少し出して使いますが、「オレンズ」はそんな必要はなし。そのため、0.2mmの極細芯でも折れることなく書き続けられます。
「オレンズ」は、過去のモデルと比べて機能面では大きな変化はありませんでした。今回はグリップ部分がメタルになったプレミアムモデルを購入。高級感があるとともに、重心が低い位置になったのでバランスがよくなりました
毎度ながら、芯が見えないこの状態でなぜ文字が書けるのか不思議?
書き続けると芯が減っていきますが、芯の減りと同時に金属パイプも自然にスライドして短くなります
<関連記事>極細0.2mmの芯なのに、折れない! 驚きのシャープペンシル続いてプラチナ万年筆の「オ・レーヌ」。その特徴は二重構造のペン先カバー「オ・レーヌシールド構造」。外部からの衝撃をしっかりと防いでくれます。そして、その中には、筆圧をかけすぎても内部のスプリングで芯が折れるのを防ぐ「セーフティスライド機構」や、筆記しないときは先端の金属パイプ部分を収納できる「パイプスライド機構」などを搭載。また、残芯0.5mmまで書けるのも「オ・レーヌ」のウリですね。なお、「オ・レーヌ」は、耐芯強度がアップした「オ・レーヌ シールド」、さらに「オ・レーヌ プラス」と、徐々に進化しています。
耐芯強度を初代「オ・レーヌ」よりも50%アップさせたのが2代目の「オ・レーヌ シールド」。そして、さらに50%耐芯強度をアップさせたのが、今回購入した「オ・レーヌ プラス」です
二重構造のペン先カバーが特徴の「オ・レーヌシールド構造」は、初代「オ・レーヌ」からの基本構造。内部と外部からしっかりと芯をサポートします
見るからに複雑で精密な機構が搭載されています。中が全部見えないのが残念!!
<関連記事>あきれるほどに芯が折れない、超タフシャープペンシル最後はゼブラの「デルガード」。その特徴は、筆記中のあらゆる角度の強い筆圧からも折れないように芯を守ること。紙面に対して垂直に強い筆圧が加わると、軸に内蔵されたスプリングが芯を上方向に逃がし折れを防ぎ、斜めに強い筆圧が加わると、先端の金属部品が自動で出てきて芯を包み込みガードするという2つの機構を搭載。加わる力の角度や強さに合わせて自動で配分を調整して作動するというすぐれものです。
「デルガード」には、金属グリップを採用した低重心のプレミアムモデル「デルガード タイプLx」や、逆さにするだけで消しゴムが出る「デルガード タイプER」が登場しています(写真は「タイプER」)
複数のバネが使われたメカニカルな構造。なんだかわくわくします
芯が折れやすい斜めの状態で力を加えても…
スプリングが効果的に機能してペン先が芯を包み込むように現れます
<関連記事>どんなに力を入れても芯が折れない最強のシャーペンが光臨?ここまでお話してきましたが、結局どれがよかったのか気になりますよね。あくまで筆者個人の主観ですが、最も気に入ったのは「デルガード」。実際に使ってみると、いろんな角度で力を入れて書いても、本当に芯が折れないことが実感できます。説明書きには「4回以上ノックして書くと折れることがあります」とありますが、5回ノックして文字を書いても折れませんでした。安心感というか守られ感というか、個人的には「デルガード」が最強です。
続いて、筆者が好きなのは「オレンズ」。ほかのシャープペンシルがバネをクッションとして筆圧をコントロールしているところ、「オレンズ」は芯を金属パイプでカバーするという機構を採用。これなら折れるわけがありません。しかも、0.2mmの極細芯を採用し、細い小さな文字を書けることもプラス評価です。
続いては、僅差で「オ・レーヌ」。なんとなくですが、「デルガード」ほどの安心感を得られなかったことが理由です。ただし、一般的なシャープペンシルと比べると、はるかに折れにくいことは間違いありません。なお、「オ・レーヌ」というシャレがきいたフランス語っぽい商品名は大好きです。
残念ながら最後は「モーグルエアー」。折れにくさについては問題ないのですが、発売されたばかりの新製品。他社にはない新機軸や特徴をバーンと打ち出してほしかったということもあり、ちょっと評価が厳しくなったかもしれません。使い勝手は好みもありますので、あくまでご参考程度に。
主に東京の湾岸エリアに生息しているが、中国、タイ、インドネシアなどでの発見情報もあり、その実態は定かではない。仲間うちでは「おっちゃん」と呼ばれることも。