レビュー

机の上にGeminiを常駐! 「Google Home スピーカー」は優秀な秘書になれるか?

スマートスピーカーをはじめとする音声入出力デバイスは、今大きな転換点を迎えています。その理由はAIの進化です。従来のように決まった音声コマンドを記憶して話しかけるだけでなく、自然言語でデバイスやその先にあるクラウドサービスを操作できるようになったことで、音声インターフェイスとしての利便性が大きく向上しようとしているからです。

今回レビューするのは、2026年6月25日に発売されるGoogleの新型スマートスピーカー「Google Home スピーカー」です。本製品は「家電を声で操作するスマートホーム機器」でもありますが、注目したいのは、従来の「Google アシスタント」を進化させた音声AIアシスタント「Gemini for Home」を搭載している点です。

デスクのそばや仕事部屋にGeminiが常時待機し、手を使わずに話しかけられる環境がどの程度便利なのか。パソコンやスマートフォンでChatGPTやGeminiを使うのとは異なる、「声だけでAIに仕事を頼む」体験の価値を掘り下げてみましょう。

6月25日発売の「Google Home スピーカー」。直販価格は16,800円(税込)です。写真のカラーはHazel。白系のPorcelainも用意されています

6月25日発売の「Google Home スピーカー」。直販価格は16,800円(税込)です。写真のカラーはHazel。白系のPorcelainも用意されています

まずはデザインやスペックをチェック

「Google Home スピーカー」のGoogleストアでの直販価格は16,800円(税込)。本体カラーはHazelとPorcelainの2色で、今回はHazelを試用しました。サイズは107(直径)×86.6(高さ)mmで、重量は396g。電源ケーブルは本体一体型で、長さは1.5mとなっています。

パッケージには、本体(USB Type-C電源ケーブル一体型)、USB ACアダプター(30W)、クイックスタートガイドなどが同梱されています

パッケージには、本体(USB Type-C電源ケーブル一体型)、USB ACアダプター(30W)、クイックスタートガイドなどが同梱されています

サイズは直径が107mm、高さが86.6mm

サイズは直径が107mm、高さが86.6mm

本体一体型ケーブルのため、設置場所はコンセントとの距離を考慮する必要があります

本体一体型ケーブルのため、設置場所はコンセントとの距離を考慮する必要があります

スピーカーは58mmフルレンジドライバーを搭載し、全方位に音を広げる設計です。高感度マイクを3基搭載し、静電容量方式のタッチコントロール(3か所)のほか、底面にはスライド式の2段階マイクミュートスイッチも用意されています。通信機能はWi-Fi 6、Bluetooth 5.4をサポート。スマートホーム関連ではThread 1.3ボーダールーターを内蔵し、スマートホーム機器の標準規格であるMatterに対応した機器のハブとしても利用できます。

底面にはマイクミュートスイッチを搭載。声を聞かせたくないときに物理的にマイクをオフにできます

底面にはマイクミュートスイッチを搭載。声を聞かせたくないときに物理的にマイクをオフにできます

スマートスピーカーのライバルとしては、価格帯が近いAmazonの「Echo Dot Max」があげられます。今回は「Echo Dot Max」の実機は試用していないため音質の優劣は評価しませんが、スペック上の違いを下記で比較しました。

「Google Home スピーカー」と「Echo Dot Max」のスペック比較

「Google Home スピーカー」と「Echo Dot Max」のスペック比較

スピーカー構成を見ると、「Echo Dot Max」はツイーターとウーハーを組み合わせた2ウェイ構成で、音質面を意識した設計です。いっぽう、「Google Home スピーカー」は58mmフルレンジドライバーによる全方位サウンドを採用しつつ、NPU(Neural Processing Unit:AI処理に特化したユニット)搭載プロセッサーやGemini for Homeとの連携を前面に打ち出しています。

つまり、「Google Home スピーカー」は「全方位に音が広がるスピーカー」であると同時に、「声で呼び出すGemini端末」として設計されているわけです。

付属の30W USB Type-C電源アダプター。サイズは29(幅)×58.7(高さ)×55(奥行)mmで、重量は65g

付属の30W USB Type-C電源アダプター。サイズは29(幅)×58.7(高さ)×55(奥行)mmで、重量は65g

スマートホーム機能は大差なし。ただし対応規格は少し異なる

スマートホーム機器としての基本機能を見ていくと、「Google Home スピーカー」と「Echo Dot Max」はかなり近いデバイスだと言えます。どちらもMatterに対応しており、対応照明機器やスマートプラグ、各種センサーなどを声で操作できます。セットアップに使うアプリや対応サービスの細部は異なりますが、「声で照明を消す」「エアコンを操作する」「複数の家電をまとめて制御する」といった基本的な用途では、大きな差はありません。

ただし、対応規格には違いがあります。「Google Home スピーカー」はThread 1.3ボーダールーターとして機能し、Matter対応機器のハブとして使えます。いっぽう、「Echo Dot Max」はMatter、Threadボーダールーターに加えてZigbee規格にも対応。すでにZigbee機器を多く導入しているユーザーであれば、「Echo Dot Max」側のほうがメリットはあるわけです。

「Google Home スピーカー」は「Google Home」アプリで管理・設定を行います。「Echo Dot Max」は「Amazon Alexa」アプリを使用します

「Google Home スピーカー」は「Google Home」アプリで管理・設定を行います。「Echo Dot Max」は「Amazon Alexa」アプリを使用します

音声AIアシスタントとしての実力を6つの指示で比較

今回、「Google Home スピーカー」と「Echo」に対して、同じ指示を実際に声に出してテストしてみました。なお、「Echo」は、Alexa対応スマートディスプレイ「Echo Show 8」を使用しています。そのためハードウェアの比較ではなく、あくまでGeminiとAlexaによる音声アシスタント体験の比較としてご覧ください。

今回テストした6つの音声指示

・明日の午前9時に「資料を送る」とリマインドして
・仕事部屋のライトを50%にして、J-POPを流して
・タイマーを10分にセットして……15分の間違い
・今日の天気と次の予定をまとめて教えて
・週末に近場で楽しめるイベントを提案して
・今日はちょっと疲れているんだけど、気分転換になる話題はある?

明日の午前9時に「資料を送る」とリマインドして

最初はリマインダーです。「明日の午前9時に資料を送るとリマインドして」と話しかけたところ、「Google Home スピーカー」は「明日の午前9時に資料を送るというリマインダーを作成します」と返答しました。Alexaも「はい、明日午前9時にお知らせします」と返し、どちらも問題なく処理できました。

仕事部屋のライトを50%にして、J-POPを流して

次に、「仕事部屋のライトを50%にして、J-POPを流して」と指示しました。「Google Home スピーカー」は照明操作を実行したあと、数秒経ってから「トップのプレイリストを再生します」と返答し、音楽再生に移りました。指示自体はこなせていますが、照明を50%に変更したことを口頭で読み上げたわけではないため、複合指示がすべて確実に処理されたかどうかは、アプリや実際の照明状態で確認する必要があります。

いっぽうのAlexaは、同じ指示に対してAmazon Musicからおすすめのプレイリスト「Japan Top 50」を再生しました。しかし、「仕事部屋のライトを50%にして」という指示は、「J-POPを流して」という指示に上書きされる形でキャンセルされ、実行されませんでした。現時点のAlexaでこのような複数の指示を通すには、定型アクションとしてあらかじめ登録しておくか、ひとつ目の指示のあとに一拍置いてから改めて指示する必要があります。

タイマーを10分にセットして……15分の間違い

3つ目は、言い直しへの対応です。最初は「タイマーを10分にセットして。あ、15分の間違い」といった自然な言い直しを試しました。この場合、「Google Home スピーカー」はいったん「10分のタイマーをセットしました」と最初の指示を優先しました。しかし、そのまま続けて「15分の間違い」と再度言い直したところ、「承知しました。15分のタイマーに修正しました」と返答しました。一息に言い直さなくても、デバイスが応答した直後に「15分の間違い」と伝えれば、文意を理解して指示内容を修正してくれます。

Alexaでも同様にタイマーの言い直しを試みましたが、今回のテストでは意図したようには変更できませんでした。Alexaの場合は、タイマーをいったんキャンセルしたのちに再登録する必要があります。

今日の天気と次の予定をまとめて教えて

4つ目は、「今日の天気と次の予定をまとめて教えて」です。「Google Home スピーカー」は「●●●●(筆者の居住地)の現在の天気は気温24度で曇りです。明日の午前9時には●●●●という予定が入っています」と返答しました。天気とGoogleカレンダー上のスケジュールをひとつの回答にまとめてくれた点は、Googleサービスとの連携の恩恵を感じる部分です。

Alexaは同じ指示に対して、現在の天気、予想最高気温、予想最低気温を答えました。しかし、予定については返答に含まれませんでした。AlexaにGoogleカレンダーへのアクセスは許可しているものの、今回のような複合指示には対応していないようです。スケジュール管理まで含めた「秘書的な返答」という意味では、「Google Home スピーカー」のほうが意図に沿った挙動でした。

週末に近場で楽しめるイベントを提案して

5つ目は「週末に近場で楽しめるイベントを提案して」です。「Google Home スピーカー」は、6月27日と28日の週末にさいたま市周辺で楽しめるイベント候補として、南与野駅近くのマルシェ、大宮公園駅近くの博物館イベント、大宮第二公園のアジサイ、草加市方面のキッズイベントなどをあげました。これは従来のスマートスピーカーというより、Web検索と生成AIを組み合わせた提案に近い挙動です。ただし、イベント名や開催内容には聞き取りにくい固有名詞も含まれていたため、実際に出かける前には公式サイトなどでの確認が必要です。

対するAlexaは「場について情報を見つけられませんでした。地域のお店や会社について答えられるよう勉強中です」(※ママ)と返答しました。現時点では回答を得られませんでしたが、将来的には対応する可能性が高そうです。

今日はちょっと疲れているんだけど、気分転換になる話題はある?

最後に「今日はちょっと疲れているんだけど、気分転換になる話題はある?」と話しかけました。「Google Home スピーカー」は「面白い豆知識で気分を変えるのはいかがでしょうか」と返し、ラッコが眠るときに流されないよう仲間と手をつなぐというエピソードを紹介しました。そのうえで、詳しく知りたいジャンルやリラックスできる話題があるかを聞き返してきました。

Alexaは、「隣の家へ金槌らしき道具を借りに行く」という小噺を披露してくれました。これはこれでAlexaらしいユーモアですが、会話を続けるパートナーとして見ると、「Google Home スピーカー」のほうがユーザーに寄り添い、次の会話につなげようとする姿勢が印象的です。

仕事机の上に「Google Home スピーカー」を設置。キーボードやマウスでパソコンを操作しながら、声だけでGeminiに指示できるのが本機の魅力です

仕事机の上に「Google Home スピーカー」を設置。キーボードやマウスでパソコンを操作しながら、声だけでGeminiに指示できるのが本機の魅力です

【まとめ】スマートスピーカーではなく、机上の「Gemini端末」として評価すべき1台

「Google Home スピーカー」は、家電操作や音楽再生といった基本機能だけを見れば、既存の「Echo」シリーズと劇的な差があるわけではありません。複合指示に対するフィードバックの曖昧さや、生成AIが提示する情報の正確性など、現時点ではまだ粗削りな部分も残されています。

しかし、本機の真価はスマートスピーカーとしての枠組みではなく、「デスクに常時待機するGemini端末」として見たときに現れます。自然な言葉の言い回しを理解し、Googleカレンダーと連携した秘書的な立ち回りをこなし、Web検索を組み合わせたイベント提案や、ユーザーに寄り添う雑談までこなす柔軟性こそが、従来の「決まったコマンドを処理する機械」との決定的な違いです。

すでにスマートホーム環境をAmazon(Echo)のプラットフォームで作り込んでいるなら、そのままでいいでしょう。しかし、日常的にGoogleサービスを活用しており、パソコンやスマホを開くまでもないちょっとした指示を「フリーハンドでAIに丸投げする」という体験に魅力を感じるなら、本機は仕事部屋に常駐させるだけの価値を十分に持ったデバイスだと言えます。

ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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真柄利行(編集部)
Editor
真柄利行(編集部)
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣とこだわりを持っています。フォトグラファーとしても活動中。パソコンに関する経験も豊富で、パソコン本体だけでなく、Wi-Fiルーターやマウス、キーボードなど周辺機器の記事も手掛けています。
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