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まさに「ファーウェイ旋風」到来! スマートフォン人気トップにファーウェイがなったワケ

ファーウェイ「HUAWEI nova lite」

ファーウェイ「HUAWEI nova lite」

今、国内のスマートフォン市場である「異変」が起こりつつある。中国を本拠とするグローバル通信メーカー「ファーウェイ(Huawei)」の端末が、価格.comにおける人気ランキングの上位を独占しそうな勢いとなり、メーカー別のPVシェアでも首位となっているのだ。

日本のスマホSIMフリー化の波を受けて、大きく存在感を増してきたファーウェイ

図1:「スマートフォン」カテゴリー・人気ランキング上位6製品(2017年3月15日時点)

図1:「スマートフォン」カテゴリー・人気ランキング上位6製品(2017年3月15日時点)

2017年3月15日時点での「スマートフォン」カテゴリーにおける人気ランキング(注目ランキング)では、上位ベスト6中、4製品をファーウェイ製品が占めている。現在首位となっているのは、2月24日に発売開始されたばかりの中級機・新モデル「HUAWEI nova lite」であるが、4位には昨年夏に発売された「HUAWEI P9 lite」、5位には昨年末に発売された上級機「HUAWEI Mate 9 」、そして6位には、首位の「HUAWEI nova lite」の兄弟モデルである「HUAWEI nova」がそれぞれランクインしており、ちょっとした「ファーウェイ旋風」が巻き起こっている状況なのだ。

ファーウェイのスマートフォンが日本市場で頭角を現し始めたのは、今から約2年ほど前のこと。ちょうど、各通信キャリアにSIMロックフリーが義務づけられたことを機に、日本のスマートフォン市場がSIMフリー化に大きく舵を切った頃だ。その頃から、海外(特に台湾や中国)のメーカーを中心とする「SIMフリースマホ」が、価格.com上でも人気を得始め、当初は台湾を本拠とする「ASUS」が人気の中心となっていたが、徐々に、中国を本拠とするファーウェイが人気で逆転。発売する端末のユーザー評価も高く、ここ1年ほどの間に、めきめきとその存在感を日本のスマートフォン市場で高めてきていた

図2:「スマートフォン」カテゴリーにおける主要5メーカーのアクセス数推移(過去6か月)

図2:「スマートフォン」カテゴリーにおける主要5メーカーのアクセス数推移(過去6か月)

図2は、「価格.comトレンドサーチ」で、過去6か月における「スマートフォン」カテゴリーにおける主要5メーカーのアクセス数推移を示したものだ。昨年9〜10月は、新モデル「iPhone 7/7 Plus」の発売があったアップルが首位であったが1か月ほどで収束。これに代わって、11月2日に「Xperia XZ」を発売したソニーが10月中旬以降にアクセスを延ばして首位に立ち、そのまま首位の座をキープしてきた。いっぽう、半年前には人気では3位タイくらいの状況にあったファーウェイが、昨年10月以降にアクセスを伸ばしており、最大のライバルであるASUSと年末商戦では2位を争っていたが、年末くらいを境にファーウェイが頭ひとつ抜けて単独2位に。さらに、今年2月後半からは一気にアクセスを伸ばして首位のソニーを抜き去り、単独首位という状況になってきている。もちろん、ファーウェイが、メーカー別のアクセス数で首位に立つのは初めてのことだ。

図3:「スマートフォン」カテゴリーにおける主要5メーカーのアクセス数推移(過去3か月)

図3:「スマートフォン」カテゴリーにおける主要5メーカーのアクセス数推移(過去3か月)

この状況をより最近に絞って見たのが、図3だ。こちらは図2のグラフを直近3か月に絞って見たものになるが、昨年の12月24日くらいに一度首位のソニーと並び、その後、2月23日くらいを境に首位のソニーを抜いて単独1位となったことがわかる。このうち、12月末のピークは、12月16日に発売された上級機「HUAWEI Mate 9」の影響によるもの、2月末のピークは、2月24日に発売された中級機「HUAWEI nova」および「HUAWEI nova lite」の影響によるものと見ていいだろう。とりわけ、後者のもたらしたインパクトは相当に大きかったと言える。

いずれにしても、今のファーウェイの人気は、一朝一夕に形作られたものではない。ここ1年の間にも、同社はほぼ3か月に1度程度のスパンで次々と新製品を投入してきており、そのたびに多くの消費者の注目をつなぎとめてきた。1年に2回程度のバージョンアップを行っている国内メーカーや、1年に1回のバージョンアップを頑なに守るアップルと比べると、その差は歴然としている。現在人気ランキング上位にランクインしている4モデルも、昨年夏発売の「HUAWEI P9 lite」から、昨年末発売の「HUAWEI Mate 9」、そしてこの2月に発売された「HUAWEI nova」および「HUAWEI nova lite」と、ほぼ矢継ぎ早と言っていいほどの短いスパンによって投入された製品であるが、そのいずれもが、ロングセラーとなっていることは特筆すべきだろう。

中級機として十分すぎる機能性を有しながら、2万円で買える「HUAWEI nova lite」の驚異的コスパ

ファーウェイが相次ぐ新モデルの投入によって、消費者を飽きさせず、着実な製品ラインアップの拡充に努めてきたことはおわかりいただけたと思うが、この2月に発売されたばかりの「HUAWEI nova」および「HUAWEI nova lite」、特に下位モデルの「HUAWEI nova lite」の人気はかなりのものだ。

図4:ファーウェイ歴代人気モデルのアクセス推移比較(過去2年)

図4:ファーウェイ歴代人気モデルのアクセス推移比較(過去2年)

図4は、ファーウェイの歴代人気モデルのアクセス推移を比較したものだ。これを見ると、いずれの製品も発表・発売時にかなり大きなアクセス上昇が見られるが、なかでも突出しているのは、約1年前に発売された「HUAWEI GR5」の伸びだ。こちらの「HUAWEI GR5」は、性能と価格のベストバランスで価格.com上でも大人気となり、「価格.comプロダクトアワード2016」では、スマートフォン部門のプロダクト大賞に選出されたほどの人気モデルだ。約1年前に発売されたこの製品が、ファーウェイの名前を大きく知らしめた製品となったのは間違いないだろう。

その後、短期スパンで矢継ぎ早に製品をリリースしてきたファーウェイであるが、この2月に発売された「HUAWEI nova lite」は、これに迫るほどの人気上昇ペースであり、数あるファーウェイ製品の中でも、かなり高い注目度を集めていると言っていい。

図5:「HUAWEI nova lite」のユーザー評価(2017年3月15日時点)

図5:「HUAWEI nova lite」のユーザー評価(2017年3月15日時点)

では、この「HUAWEI nova lite」の人気の秘密はどこにあるのだろう。図5のユーザーレビューに寄せられたユーザーの声から拾ってみよう。図6に示した、「HUAWEI nova lite」のユーザー評価を見ると、総合満足度は4.55(12名が評価)となっており、必ずしもかなりの高評価というわけではない。ライバル製品と比較すると(図6)、ASUSの「ZenFone 3」が4.36、ソニーの「Xperia XZ」が4.37で、これらに比べるとやや高いが、同じファーウェイの上級モデル「HUAWEI Mate 9」の4.72と比べるとやや低い。クラスとしては同レベルの「HUAWEI P9 lite」が4.53で、これとほぼ同等だ。なお、本機の上位モデルとなる「HUAWEI nova」の満足度は4.10で、こちらはやや低めとなっている。

図6:スマートフォン主要5製品の満足度推移(過去3か月)

図6:スマートフォン主要5製品の満足度推移(過去3か月)

しかし、本機の最大の魅力は、そのコストパフォーマンスにある。販路がMVNO事業者などに限られているため、価格.com上での価格登録はないが、多くのMVNO業者が19,800円〜21.800円(税別)という価格をつけている。ただし、なかには、割引クーポンなどを使うことで14,800円(税別)といったキャンペーン価格をつけている業者もあり、8コアCPU+3GBメモリーのミドルクラス製品としてはかなり破格の戦略的値付けとなっている。同程度のスペックであれば、通常3万円前後はするのが最近の相場なので、本機のコストパフォーマンスはかなり魅力的と言っていい。

なお、「HUAWEI nova lite」のユーザー評価を項目別に見ると、ほとんどの項目では平均以上の評価を得ており、特に「バッテリー」(4.63)、「画面表示」(4.52)、「デザイン」「携帯性」(ともに4.50)といった部分の評価が高い。逆に、評価が低めなのは、「文字変換」(3.50)、「呼出音・音楽」(3.66)、「通話音質」(3.72)などとなっている。

まず、高評価の項目から見ていこう。まずバッテリーについてだが、「バッテリーを食うFilter Proxyアプリを常駐させているのですが、それでも一日は余裕で持ちます」「(使用用途が)ポケモンGoが80%なので、何とも言えないが、車や、充電器で充電しながら使用している分には6時間使っても100%のままなのには驚いた」など、フルで使っても1日以上は持つというコメントが見られた。本機は3000mAhの比較的大型のバッテリーを搭載しているが、これも大きく影響しているのだろう。また、画面表示については、フルHDで非常に綺麗です」という声が多く、このクラスの低価格モデルでありながら、フルHD対応であることが大きく影響していそうだ。デザインや携帯性についても、「この価格で、これだけできているのは素晴らしい。ちょっと反ったフォルムが美しい。ロック画面で並んでいたらiPhone7plusと迷う」「背面がガラスなので、1万円台のスマホとは思えない高級感があります。そしてカメラ含め一切出っ張りがないのでとてもスッキリしています」「軽く薄いので普通にポケットに入れて持ち運べます」と、両面2.5Dの曲面ガラスの採用や、ポケットに入る携帯性の高さが評価されている。そのほか、コメントとして評価の高いものとして、GPS機能の正確さや、背面の指紋認証機能などがあげられている。いずれにしても、2万円で買えるスマートフォンとしては、驚異的な性能・機能面での充実度と言ってよさそうだ。

もちろん、ハイエンド機ほどの処理速度や、高性能なカメラなどを備えているわけではないので、あくまでも一般的な使用用途において、という条件付きだが、本機の機能・性能は多くのユーザーにとって必要十分以上。しかも、デザインなどの面で安っぽい感じもなく、購入したユーザーの多くが、「およそ2万円で出来過ぎのレベルだと思います。同等レベルの機種は他メーカーでもありますが、この価格はすごすぎます」「iPhoneやソニー等の高額商品ならあたりまえにできるかもしれませんが、低価格商品でここまでできたのは、おどろきでした」「恐ろしくコスト・パフォーマンスが高い機体で、現時点で今年のベストバイではないでしょうか」など、2万円で購入できる価格を考えた場合には、驚くべきコストパフォーマンスという感想を漏らしている。

約2年前から、スマホSIMフリー化の波に乗り、着々と国内でのファン層を増やしてきたファーウェイ。ここへ来て、ついに人気トップのソニーを抜き去り、首位に躍り出たのは、多くの人にとって驚きだろうが、これは決してポテンヒットではない。短期間で着実に製品を進化させ、日本のユーザーの厳しい評価にも耐えうる製品ラインアップをそろえたファーウェイの戦略が実を結んだ結果と言えるだろう。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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