レビュー

ハンドドリップの基本動作を徹底再現!? デバイスタイルのコーヒーメーカーをレビュー

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「適切な温度にお湯を沸かして、適切なスピードでコーヒーを抽出する」というのがハンドドリップの基本動作であり、極意でもある。今回取り上げるデバイスタイルのドリップ式コーヒーメーカー「Brunopasso PCA-10X」(以下、PCA-10X)は、そんなハンドドリップの所作を徹底再現した1台だ。「従来のドリップ式コーヒーメーカーの基本動作を根本的に見直した」というが、一体どのような抽出メカニズムなのか。そして肝心の味わいは? 気になるその実力をチェックしてみた。

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お湯を「沸かしながら」ではなく、「沸かしてから」淹れるのがポイント

ドリップ式コーヒーメーカーの存在意義は、ひと言で言えば「ハンドドリップの手間を減らす」ことだろう。しかしながら、こと“味”については必ずしも「ハンドドリップさながら」とはいかないケースも多く、なかには雑味やえぐみが気になり、その味わいに眉をしかめてしまうモデルがあるのも事実だ。

原因はその動作工程にある。一般的なドリップ式コーヒーメーカーは、本体底部のヒーターでお湯を沸かしながら抽出する。この、お湯を「沸かしながら」というのが問題なのだ。一般的なドリップ式コーヒーメーカーではハンドドリップのように最適な温度にお湯を沸かし、適正なスピードで抽出することが難しく、お湯が熱すぎたり、コーヒー粉がお湯に長く触れすぎて雑味が出たりといった欠点があった。

これに対して「PCA-10X」は、お湯を「沸かしながら」ではなく、「沸かしてから」ドリップを始める。スタートボタンを押すとお湯を沸かし始め、湯温がドリップに適した約95℃に達すると抽出を開始。10杯分のコーヒーに適正とされる約6分強のスピードで抽出を行う。このようなハンドドリップと同じ動作工程を経ることにより、雑味を防ぎ、コーヒーの旨み成分だけをしっかり引き出せるというわけだ。

本体サイズは196(幅)×240(奥行)×240(高さ)mm、重量は2.9kg。幅、奥行きは標準的だが、背はやや高めなので、キッチンの棚やカウンターに収まるかあらかじめ確認しておこう

早速、「PCA-10X」でコーヒーを淹れてみよう。フィルターにコーヒー粉を、水タンクに水を入れて電源ボタンを押すだけという操作手順は一般的なドリップ式のコーヒーメーカーと同様だ。一度にコーヒーカップ10杯分までドリップできるので、ファミリーユースにも向いているだろう。

まずは本体中央のバスケットを開け、フィルターホルダーをセット。バスケットがアクセスしやすく、お手入れもしやすいスイング式なのが好印象

フィルターホルダーにフィルターをセットする。「PCA-10X」には洗って繰り返し使えるメッシュフィルターが付属するが、市販のペーパーフィルターを使うこともできる。クリアな味わいのペーパーフィルターと、コーヒーオイルまで抽出できるメッシュフィルターとでは味の方向性が大きく異なり、好みも分かれるため、どちらも使えるのは非常にありがたい

続いて、中挽きに挽いたコーヒー粉をフィルターに投入。付属の計量スプーンのすりきり1杯がコーヒーカップ1杯分の目安となる。ここではコーヒーカップ5杯分をメッシュフィルターで淹れてみることに

水タンクの容量は1.3L。ホット、アイスでそれぞれ目盛りが記されており、これを見ながら水を注ぎ入れる。なお、水タンクの着脱はできない

ガラス製のサーバーを本体下部のプレートにセットすれば準備完了。電源ボタンを押せばドリップがスタートする。デザイン的な話で言うと、電源ボタンをフラットな形状にしてプレートの隅にさりげなく配置しているところがいい。こうすることで電源ボタンが目立ちすぎず、より一体感のあるデザインに仕上がるのだ

まさにハンドドリップで淹れたかのような味わい!

電源ボタンを押した直後に湯沸かしが開始され、“ゴポゴポゴポ”という音とともに水タンク内に気泡ができ始める。水タンクから注ぎ口へとお湯が流れていく過程で沸騰させるのではなく、水タンク内であらかじめ約95℃まで沸騰させるところが「PCA-10X」の特徴。コーヒー抽出前にお湯を沸かし、しかもその様子が“見える”というのはちょっと新鮮だ。

お湯を「沸かしてから」ドリップするその工程は水タンクを見ていればひと目でわかる。電源を入れるとすぐに水タンク内で湯沸かしが始まり、沸騰していく様子が目視できるのだ

湯沸かしが完了し、抽出工程に移行。コーヒー液がサーバーに溜まり始め、コーヒーの芳醇な香りがふわりと広がる。コーヒーカップ5杯分のドリップにかかった時間は6分11秒(湯沸かしの時間を除く)と、スペック通りの結果に。この早すぎず、遅すぎずの抽出スピードもハンドドリップ仕込みというわけだ

さてさて、気になるのはやはり味である。まずはメッシュフィルターで淹れたコーヒーをテイスティングしてみたが、うむ、これはウマい。メッシュフィルター特有のダイレクトな苦み、コクの中にコーヒー本来の旨みもしっかりと感じられ、雑味やえぐみはまったくない。まさにハンドドリップでていねいに淹れたかのような仕上がりだ。

続いて、ペーパーフィルターで淹れたコーヒー。こちらはグッと味がクリアになる印象で、それでいて奥深い苦みやしっかりとしたボディ感は損なわれていない。そしてここでも、余計な雑味は皆無。淹れたてならではの豊かな風味を存分に堪能することができた。

なお、ドリップ終了後の保温は煮詰まりにくい約80℃の温度をキープし、40分後に自動で電源がオフになる。このあたりも「淹れたてのおいしさ」にこだわった設計と言えるだろう。お手入れも簡単で、サーバー、フィルターホルダー、メッシュフィルター、計量スプーンは水洗いが可能となっている。

ハンドドリップの動作工程を再現することにより、メッシュフィルター、ペーパーフィルターともに文句なしの仕上がりに

実際に試して「これは助かる」と感じたのは、メッシュフィルターに付着したコーヒー粉を簡単に洗い流せること。コーヒー粉がべったりと貼り付いて取り除くのに四苦八苦、といったよくあるストレスがなく、スルっとはがれるように洗い落とせるのだ

まとめ

これまで筆者は、味にこだわる時はハンドドリップ、手軽さ重視の時はコーヒーメーカーといった使い分けをしていたのだが、「PCA-10X」があれば、ハンドドリップで淹れる機会はグンと減るかもしれない。理由はほかでもなく、「PCA-10X」で淹れたコーヒーが十二分においしいから。ハンドドリップと同様に適切な温度・スピードでドリップされたコーヒーは、雑味を防ぎつつ旨みだけを引き出した、理想的とも言える味わいだった。もちろん、抽出前にお湯を沸かすことで全体の所要時間は伸びることになる。しかしほんの2、3分の差でここまでおいしさがアップするのなら、多くの人が「じゃあおいしいほうがいい」と思うのではないか? 少なくとも筆者はそのように納得することができた。

【関連リンク】
《2018年》全自動もミル付きも!タイプ別のおすすめコーヒーメーカー12選

雪か企画
Writer
雪か企画
カルチャー、旅、家電、グルメ、ビジネスなどが大好物の制作会社。代官山にて、少数精鋭で営業中。
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