外出自粛生活に入ってからつい家飲みしがちで、かえって普段よりお酒を飲む回数が増えた人は多いのでは? 筆者も事務所に通っていたときは、翌日のことを考えて週末ぐらいしか飲みに行きませんでしたが、今では2日に1日くらいの頻度でちびちびと晩酌するようになってしまいました。主に安めの缶酎ハイを。そこでふと思い出したのが、若いころのちょっとした「夢」です。
筆者は大学時代〜新卒のころにバブル経済期を経験している世代なのですが、そのときに「カフェバー」というものが大流行しました。そう、あのころ憧れたカフェバーという夢! 今は家庭用のミキサーがあれば、自宅でもおしゃれなカクテルが作れるので、家でカフェバー気分を味わえるはず。家飲み頻度が多くなっているこのタイミングで、「おうちカクテル」を実行しちゃいました。
本題に入る前に、筆者のカフェバーに対する思いを聞いてください。カフェバーとは、本格的な「Bar」はハードルが高くて入れないけどその雰囲気を楽しみたい、という若者をターゲットに、きらびやかなカクテルを作ってくれるカジュアルなバーのことです。
バブル期には派手なパフォーマンスをしながらカクテルを作るハリウッド映画の流行もあって、全国的なカフェバーブームとなりました。とはいえ、おのぼりさん体質が抜けない筆者は、そんな東京のおしゃれ〜な場には腰が引けて当時は行けずじまい。テレビに映るカフェバーの様子を見ながら「いつかは自宅でおしゃれ〜なカクテルを作って、気兼ねなくひとりで楽しもう」なんて夢見ていました。
……で、そんなことはすっかり忘れて、はや50歳over。なんか今、外出自粛していてヒマだし、当時に比べるとリキュールなど酒類の価格は格段に下がっているし、ちょっと試してみようかなと思いまして。どうせひとりで楽しむのだから、なんちゃって的なテキトーなものでいいよね、と。
今はネット通販があるので、特殊なリキュールも簡単に安く手に入ります!
というわけで、ここのところ急に暑くなってきたので、グラスにクラッシュドアイス(砕いた氷。フラッペアイスとも)を詰めたフラッペカクテルを作ってみることにしました。ここでポイントとなるのが、「氷」です。氷を砕いてクラッシュドアイスにする必要があり、これにはもちろん文明の利器を使います。
そこで用意したのが、ティファールのミキサー「ミックス&ドリンク ネオ」。コンパクトながら、氷も砕けるパワーを持ったすごいミキサーなのです。こういったミキサーがあれば、クラッシュドアイスのほか、材料をブレンドしてカクテルそのものも作ることができます。
こちらがティファールの「ミックス&ドリンク ネオ」。本体サイズ105(幅)×315(高さ)×105(奥行)mmで、重量1.1 kgとコンパクトです。ミキサーのボトル容量は0.6 L。回転数は低速モードで15000回/分、高速モードで20000回/分。出力は300W
チタンコーティングされた「Powelix Lifeブレード」で氷も砕ける! なお、本製品で砕ける氷は家庭の冷蔵庫で作った2〜2.5cm程度のものだけで、コンビニ等で売っているロックアイスは使用不可
さっそく、家の冷蔵庫で作った氷をクラッシュドアイスにしましょう。以下、ミックス&ドリンク ネオで氷を砕いている最中の動画。かなり大きな音がします。
10個のキューブアイスを高速モードで20回ほどパルス運転(間欠運転)すると、かき氷のような細かく砕かれた氷になります!
こんなにクラッシュされました! はじめに氷を多く入れすぎると小さい塊が残ってしまうので、クラッシュドアイスを大量に作る場合は複数回に分けてやったほうがよいです
それでは、ミックス&ドリンク ネオで砕いた氷をグラスに詰めて、そこにカクテルの材料を注いで作る「ビルド」の技法でフラッペカクテルを作っていきます。
まずは、とっても単純なレシピ「ウイスキー・ミスト」。クラッシュドアイスをグラスにたっぷり入れ、そこにウイスキーとレモンピール(レモンの皮)を入れるだけです。ウイスキーをロックで飲む場合に比べ、かなりまろやかになり、レモンピールのさわやかな酸味も相まって、とても飲みやすくておいしい。ハイボールよりもウイスキーの味が感じられるので、筆者はこちらのほうが好みです。
クラッシュドアイスがシングルモルトの口当たりをやわらかくし、かすかに感じるレモンの香りと酸味が五感を刺激します
ウイスキーベースのカクテルをもうひとつ、「ミント・ジュレップ」。グラスに入れたミントの葉をスプーンで軽く潰し、ウイスキーと炭酸水、ガムシロップ、そしてクラッシュドアイスを入れてステア。アメリカ南部で生まれたカクテルなのでバーボンを使うのが正しい作り方らしいけど、そこはなんちゃってカクテル、家にあった安いウイスキーでごまかしました(笑)。
ミントのさわやかな香りと味がウイスキーのキック力を弱めて、安ウイスキーなのにすごく飲みやすくなりました。ケンタッキーダービーの時にものすごい量が飲まれる理由がわかります。
ミントがさわやかな「ミント・ジュレップ」。クラッシュドアイスをもっとたくさん使ったほうが雰囲気は出そう
お次はミントそのもののカクテルを。グラスに詰めたクラッシュドアイスにミントリキュールを降り注ぐだけで作る「ミントフラッペ」です。下の写真を見て、さわやかなグリーンが夏に合うカクテル! と思うでしょ? もうね、ハッカです、ハッカ。大人のかき氷とか言われているけど、会議中に目覚まし用に舐めるあの白いタブレットを飲んでいる感じ。
さわやかでほんのり甘いのに、これでアルコール度数21℃というから恐ろしい。ドライ・ジンとシェイクして「青い珊瑚礁」にしたり、ビールに混ぜて最近はやりの「ミントビア」にしたりと、ミントリキュールは単体で飲むよりアクセントとして使うほうがよさげかな。
いろんな意味で、見た目のさわやかさにだまされてはいけない「ミントフラッペ」
続いては、材料をミキサーで混ぜる「ブレンド」の技法を使って、カクテルを作っていきましょう。氷や材料をミックス&ドリンク ネオでブレンドして作るフローズンカクテルは、見た目がおしゃれでこれからの暑い季節にぴったりです。
大人のかき氷と言えば、やっぱり「フローズン・ダイキリ」でしょう。かの文豪、アーネスト・ヘミングウェイが愛してやまなかったカクテルです。糖尿病を患っていたヘミングウェイのために考案された砂糖抜き・ラム酒ダブルのレシピは「パパ・ダイキリ」と呼ばれていますが、筆者はそれほど酒に強くないので、一般的なレシピで作ってみました。
ミキサーに、ホワイトラム40ml、ホワイトキュラソー小さじ1、ガムシロップ小さじ1、ライムの絞り汁も小さじ1を入れ、角氷を適量入れてスイッチオン。シャーベット状になったらでき上がりです。シャーベットの冷たさでキーンとすると同時に、ラム酒がガツンと来る。これぞ大人のかき氷。海外旅行ができない今、フローズン・ダイキリを飲んで、ヘミングウェイが愛したカリブ海に行った気になってみましょう。
100均で買ってきたタピオカ用ストローと、それっぽい造花をあしらえば、トロピカルムード炸裂の「フローズン・ダイキリ」の完成。サイタマにいながらハバナ気分に浸れます(笑)
口当たりのいいカクテルも作ってみましよう。夏の定番、「ブルー・ハワイ」です。筆者はココナッツミルクを入れた「ブルー・ハワイアン」が好きなので、まずはそれから。
本来は、ホワイトラム30ml、ブルーキュラソー15ml、パイナップルジュース60ml、ココナッツミルク30mlをシェイクするわけですが、シェーカーなんて持っていないし、持っていたとしてもうまく振れるはずもないので、ここでもミキサーを使ってシェイクします。これを、先に作っておいたクラッシュドアイスを入れたグラスに注ぎかけたらでき上がり。強いラム酒、ブルーキュラソーの甘酢っぱさ、パイナップルジュースの酸っぱさをココナッツミルクがほどよく中和し、さわやかで飲みやすいおいしいカクテルとなります。
シェーカーがないので、シェイクにもミキサーを使います。低速モードで4〜5回間欠運転するだけ
ココナッツミルクを入れた「ブルー・ハワイアン」。クリーミーで口当たりのよい、夏らしいカクテルです。なお、レモン汁を少し入れれば、さらにさわやかさが増します
続いて、ココナッツミルク抜きのスタンダードなレシピも作ってみました。ココナッツミルクの代わりにレモン汁を入れるのですが、酸味が強く夏らしいさわやかなカクテルになります。なにより色がキレイ。まるでハワイの海のようなコバルトブルーを見れば、家にいながら常夏気分を味わえます。ハワイに行ったことがない福島県出身の筆者は、「スパリゾート ハワイアンズ」に思いを馳せながら飲みました。
スタンダードな「ブルー・ハワイ」は、まるでハワイの海のようなコバルトブルー(ハワイに行ったことないから知らないけど)
夏っぽいのどんどん行きますよ。ホワイトラムがベースの「ピニャ・コラーダ」を作ります。ラム45ml、パイナップルジュース80ml、ココナッツミルク45mlをミキサーにかけて、クラッシュドアイスにイン。
レシピを見てわかると思いますが、ほぼジュースです。ミルキーで甘くておいしいので、娘に大好評でした。ラムをウオッカに変えると「チチ」になります。こちらもほぼジュースですが、チチのほうが、クセがなくて飲みやすいかな。そういえば、オタクの自衛官が異世界に行ってエルフや亜神の女の子たちと一緒に活躍するアニメの登場人物の名前が、なぜかカクテルの名前から付けられていたけど、作者はお酒が好きなのかしら。
ラムベースの「ピニャ・コラーダ」。女性にぴったりのやさしい味です
ウオッカベースにすると「チチ」。味は…、そんなに変わらないかな?
手に入りにくい材料を家にあるもので代用したり、普段から飲んでいる好きなお酒をカクテルにしてみたり、「おうちカクテル」では何をしても自由! 以下、筆者が近所のスーパーで買える範囲の材料で工夫した2品をご紹介します。
そして夏と言えばジン。ジュネパーベリーのさわやかな風味が夏にぴったりな、甘酸っぱくてさわやかな「ジン・デージー」を作りたかったけど、グレナデンシロップが手に入らなかったので、ガムシロップを代用しての「偽ジン・デージー」です。ジン45ml、レモンジュース20ml、ガムシロップ小さじ2をミキシングしてクラッシュドアイスを入れれば、風呂上がりに最高の1杯ができあがり。
家の近所のスーパーで売っているものだけで作れる簡単カクテル「偽ジン・デージー」。さわやか〜
最後に、日本人なら梅酒ですよね。クラッシュドアイスに梅酒を注いだ「梅酒のフラッペアイス」は、これまた風呂上がりにピッタリ! グイグイ飲めます。
フラッペ梅酒は夏の定番(ウソ)
おうちdeカクテルの場合、自分で配合を調整したり、混ぜるものを変えて自分好みの味が作れたりするのがいいところ。何より、財布を気にすることなく、何杯でも飲めちゃうのがうれしいです。
特に今回試したように、ミキサーで氷を砕いて作ったクラッシュドアイスを入れることで、カクテルの口当たりがやわらかくなり、お酒に弱い人でもすんなり飲めるようになります。カクテル初心者のわが娘も、おいしいおいしいとグイグイ飲んでいました。とはいえ、ベースとなる酒もかけ合わせるリキュールもアルコール度数は高めなので、見た目にだまされて何杯も飲んでしまうと、いつの間にか腰砕けになってしまうから要注意。家飲みでもお酒はほどほどにね。
本文では紹介しませんでしたが、ライム1/4とミントの葉数枚をハンドブレンダーで軽くつぶした上からお酒やジュースとクラッシュドアイスを注いで軽くかき混ぜれば、よりライムとミントの味と香りが楽しめます。ティファールのハンドブレンダー「ベビーマルチ」は離乳食用の小さいブレンダーが付属するので、ウイスキーグラスの中でも食材をクラッシュできて便利!
1966年生まれ、福島県出身。大学では考古学を専攻。主に生活家電を中心に執筆活動する家電&デジタルライター。レビューや検証記事では、オジさん目線を大切にしている。得意分野は家電流通・家電量販店。趣味は、ゴルフ、ギター、山登り、アニメ、漫画、歴史、猫。