価格.com 家電トレンド研究所

最新23年モデルがまさかの半額以下!? 今すぐチェックするべきお買い得オーブンレンジ

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第21回は、今なぜか多くのモデルで価格が急落しているオーブンレンジの最新トレンドについて解説する。

オーブンレンジの新モデル発売時期は、6〜7月と、9〜11月の2回が中心

一般的に「オーブンレンジ」と言うと、電気オーブン機能と電子レンジ機能とをあわせ持った製品をさす。価格.comでは、電子レンジの単機能製品とオーブンレンジとを合わせて「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーとしているが、電子レンジ単機能製品はそのうちの約2割で、残り8割はオーブンレンジが占めている。つまり、現在のレンジ製品の主流はオーブンレンジであり、本稿ではこちらを扱うことにする。

【図1】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年間)

【図1】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年間)

図1は、価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーの過去3年間における閲覧者数推移を示したもの。この3年で見ると閲覧者数はやや右肩下がりとなっており、コロナ禍の巣ごもり需要で若干上がった需要が、落ち着いてきていることがわかる。需要のピークは、いずれの年も年末年始にかけて現れており、この時期に売れやすい製品であることは明らかだ。あたたかい料理を作る機会が増える時期であることと無縁ではなさそうだが、必要に迫られてというよりは、むしろボーナスなどで比較的、経済状況的に余裕があるこの時期に買い替えを考える人が多いということだろう。

そんなオーブンレンジの新モデルの発売時期は、初夏の6〜7月と、秋の9〜11月の2つに大きく分けられる。いずれの場合もボーナス商戦を狙って発売されると言ってよさそうだ。メーカーごとに発売時期に違いがあるかというと、そこまでの違いはなく、どのメーカーも夏モデル、秋モデルの両方を扱っている。なので、安くなった型落ちモデルを狙うのであれば、そのモデルの発売時期をしっかりチェックしておいたほうがよさそうだ。

【図2】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける主要5メーカー別の閲覧者数推移(過去3年間)

【図2】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける主要5メーカー別の閲覧者数推移(過去3年間)

図2は、価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける過去3年間の主要5メーカーごとの閲覧者数推移を示したものだ。これを見るとわかるとおり、閲覧者の数ではパナソニックが頭ひとつ抜けた人気を得てきた。ただし、昨年あたりからその人気が下がっており、2位グループの東芝、シャープ、日立ともつれる4強時代となっている。なお、昨年からこの市場に参入した象印が健闘しており単独5位につけているのも注目ポイントだ。

これら主要5メーカーの閲覧者数推移を見てみると、パナソニックの落ち方が最も激しいが、日立もやや落ちてきている。東芝、シャープは微減で、象印が比較的堅調といった状況となっている。

異常事態!? オーブンレンジの価格下落が激しい今年の秋

前述したように、オーブンレンジの新モデルの発売時期は6〜7月、および9〜11月の2回。型落ちモデルを安く買うのであれば、昨年6〜7月に発売された夏モデルあたりが、今なら狙い目だ。また、昨年9〜11月に発売された秋モデルについても、そろそろ底値を付ける時期であり、オーブンレンジを安く買うのには絶好の機会となっている。

ただし、今年の場合、例年以上にオーブンレンジの価格下落が激しい傾向が見られ、昨年の夏モデルはもちろん、秋モデルについても、すでに底値を付けていると思われるモデルが多数存在する。そればかりか、今年の夏に発売された新モデルで、すでにかなり安めの価格で購入できるものも出てきている状況だ。

【図3】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける人気オーブンレンジ5製品の閲覧者数推移(過去3か月)

【図3】価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける人気オーブンレンジ5製品の閲覧者数推移(過去3か月)

図3は、価格.com「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおける人気オーブンレンジ5製品の閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、シャープ「ヘルシオ AX-HA20」と日立「ヘルシーシェフ MRO-W1B」の2モデルが、8月くらいから大きく人気を増してきていることがわかる。実はこの2モデル、タイプはまったく異なるが、いずれの場合もかなり販売価格が下がっており、お買い得になっているモデルなのだ。

【図4】シャープの人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

【図4】シャープの人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

まずは、シャープ「ヘルシオ AX-HA20」から見てみよう。図4は、シャープ製の人気モデル3製品の最安価格推移を示したもの。2021年12月に発売された「ヘルシオ」のエントリーモデル「ヘルシオ AX-HA20」は、発売当初は11万円ほどの価格を付けていたが、その後8万円前後で安定し、昨年末には7万円を切った。このあたりまでであれば、よくある価格下落なのだが、本製品に関しては、1年経っても型落ちとはならず、市場に在庫が残り続けたため、販売価格はさらに下落。今年の8月にはついに最安価格が5万円を切り、今は少し戻して5万円程度の最安価格となっている。約2年前の発売時から比較すると50%以上の値下がりであり、「ヘルシオ」の機能を求める人にはまたとないお買い得モデルとなっている。

なお、本モデルと同時期に発売された上位モデル「ヘルシオ AX-RA20」も同様な価格下落となっており、約2年前の発売時価格である約14万円から、今では6万円を切る5.8万円台の最安価格を付けている。このほか、昨年発売のプレミアムモデル「ヘルシオ AX-XA30」も、発売当初は20万円くらいの価格を付けていたものが、今では82,000円台の最安価格を付けており、こちらも50%以上の値下がりとなっているなど、シャープの「ヘルシオ」シリーズの価格下落がここのところ激しくなっている。

【図5】日立の人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

【図5】日立の人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

次に、日立のオーブンレンジの状況を見てみよう。図5は、日立製の人気モデル3製品の最安価格推移を示したもの。昨年夏モデルのミドルレンジ機である「ヘルシーシェフ MRO-W1A」は、発売当初は10万円前後の価格を付けていたが、後継モデルである「ヘルシーシェフ MRO-W1B」が今年の7月上旬に発売されるころには5万円を切る最安価格となっていた。さらに8月に入ってから、もう一段価格が下がり、直近では38,000円前後の最安価格を付けるにいたっている。これは60%以上の価格下落であり、一般にはあまり見られない現象だ。さらに、今年の最新モデル「ヘルシーシェフ MRO-W1B」に関しても、発売時は10万円前後の価格を付けていたものが、わずか2か月程度で4万円台まで一気に価格が下落。型落ちモデルでもない最新モデルで50%以上の価格下落はほぼ例がなく、相当なお買い得モデルとなっている。

【図6】東芝の人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去1年)

【図6】東芝の人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去1年)

【図7パナソニックの人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

【図7】パナソニックの人気オーブンレンジ3モデルの最安価格推移(過去2年)

このように、シャープ、日立という、国内を代表するメーカーのオーブンレンジが、今相次いで激しい価格下落を起こしているのに対し、パナソニックや東芝の製品はそれほど大きな価格下落とはなっていない。東芝の場合(図6)は、今年6月上旬に発売された「石窯ドーム ER-YD3000」「石窯ドーム ER-YD7000」が、発売時からそれぞれ40%ほど最安価格を下げているが、これはよくあること。また、パナソニック(図7)に至っては、人気の「ビストロ」シリーズの最安価格はほぼ横ばいとなっており、高価格を維持していることがわかる。

このように、今年の秋のオーブンレンジ商戦は、メーカーによって状況がまったく異なっていることがわかる。

象印「EVERINO」のヒットから見えてきた、オーブンレンジの今後の流れ

さて、上述したように、昨年2022年9月1日にオーブンレンジ市場に参入した象印だが、こちらの動きは堅調で、価格.comの「電子レンジ・オーブンレンジ」カテゴリーにおいては、上記4大メーカーに次ぐ5位の座を確実なものとしている。しかも、昨年の市場参入時に投入した製品は「EVERINO ES-GT26」とその派生モデルとも言える「STAN. ES-SA26」の2製品のみ。この2モデルだけのラインアップで(実質1製品とも言えるが)、初参入の象印がここまで安定した人気を勝ち得たという点は、特筆に値する。

「EVERINO」がヒットした理由は、シンプルな操作系と、ちょうどいい機能性、という2点に要約されるだろう。そもそもここ数年のオーブンレンジは、スチーム機能の搭載などによって作れる料理の幅が広がり、それらを駆使して簡単に本格的な調理ができるよう、オートメニューによる搭載レシピの拡大を競ってきた感がある。しかし、オートメニューといえども、それなりに下準備は必要になるし、毎日の献立でこれらのオートメニューによるレシピを駆使している人はまれだろう。多くの人は、冷凍したごはんやおかず、冷凍食品などをしっかり温められ、グリルなら目安何分で温めるといった使い方がメインなのではないだろうか。

その点に着目したのが、象印の「EVERINO」シリーズである。普段使いの機能を徹底的に絞り込むことで、余計な機能を排除。その代わり、レンジ機能とオーブン機能を自動で切り替えられるようなオートメニューを用意し、操作を簡略化。誰でも簡単に普段の食事の用意ができるように工夫したのが特徴だ。また、スチーム機能などを省いたほか、庫内容量も中サイズの26Lにあえて留めるなど、ボディをコンパクトにまとめ、圧迫感のないシンプルデザインに仕上げている。

こうした点が、思いのほか、多くのユーザーから共感を得た結果、「EVERINO」シリーズはこの1年でしっかり市場に定着したと言える。これまでの高性能・高付加価値による競争が一段落し、中程度の性能と使いやすさ、デザイン性、価格がほどよくバランスされた、新しいタイプのオーブンレンジが今後ますます増えていくのではないかと予想する。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目するオーブンレンジ、5選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年9月6日 時点のものです。

日立「ヘルシーシェフ MRO-W1B」

MRO-W1B

価格.com最安価格:46,493円
発売日:2023年7月上旬発売
ユーザー評価:★4.00(1人)

上記でも紹介した最新機種のお買い得モデル。2023年7月の発売ながら、すでに発売当初から最安価格が50%以上もダウンしており、前モデルの「MRO-W1A」と比べても価格差はあまりない。日立のラインアップではミドルクラスにあたる製品だが、性能的には十分。最大300度のオーブン機能とスチーム機能を搭載。また、セラミック製のプレートが付属し、熱を効率よく食材に届けるグリル料理が行えるほか、レンジ、オーブン、スチーム、グリルを組み合わせたオートメニューを250種類搭載するなど、機能は豊富だ。5万円以下で買える今は、かなりのお買い得と言える。

シャープ「ヘルシオ AX-HA20」

AX-HA20

価格.com最安価格:51,406円
発売日:2021年12月16日発売
ユーザー評価:★4.76(8人)

2021年末に発売されたウォーターオーブン「ヘルシオ」のエントリーモデル。温度の低い食材のほうにより多くの熱量を与えるという過熱水蒸気の特性を生かし、さまざまな食材を角皿上に並べて調理を始めるだけで、ちょうどいい仕上がりにしてくれる「まかせて調理」が行える。もちろん、食材表面の余分な油分や塩分を洗い流してくれるため、惣菜の温めなどもヘルシーに行うことが可能。一般的な温めが行えるレンジ機能も搭載しているので、解凍・温めなども問題ない。また、無線LANを標準搭載し、シャープのAIoTサービス「COCORO KITCHEN」と連動したレシピ活用も可能だ。発売時価格に比べて半額程度で買える今がチャンス。

シャープ「ヘルシオ AX-XA30」

AX-XA30

発売日:価格.com最安価格:82,400円
2022年9月15日発売
ユーザー評価:★4.55(7人)

昨年2022年秋に発売された「ヘルシオ」のプレミアムモデル。発売当初価格は20万円程度の価格を付けていたが、直近では10万円を大きく割り込む8万円台前半から購入できるなど、価格下落が著しい。過熱水蒸気を使った「ヘルシオ」ならではの調理については、上記の「ヘルシオ AX-HA20」同様だが、冷めたおかずや市販のお惣菜をできたてのような食感に復元するという「ヘルシオあたため(おいしさ復元)」機能を搭載するのが特徴。また、低温の庫内に水蒸気を充満させた後、ファンで水蒸気を循環させ効果的に食品に熱を与え解凍する「食べごろ解凍」機能も新たに搭載した。

東芝「石窯ドーム ER-YD3000」

ER-YD3000

価格.com最安価格:55,918円
発売日:2023年6月上旬発売
ユーザー評価:★--(0人)

東芝「石窯ドーム」シリーズのミドルクラスモデル。2023年6月に発売されたばかりの新モデルであるが、すでに発売当初価格から40%ほど下がった55,000円台という最安価格を付けており、昨年モデル「ER-XD3000」との価格差はほとんどなく、かなりお買い得感が強い。石窯にヒントを得た丸みを帯びた庫内空間と、最高300度の高火力熱風2段オーブンによって、パンやピザをはじめ、さまざまなオーブン料理を得意とする。また、食材を適当にプレートに並べて、メニューを選ぶだけで、グリル調理をちょうどよく仕上げる「石窯おまかせ焼き」も搭載。奥行き39.9cmの薄型コンパクト設計もうれしい。

パナソニック「ビストロ NE-BS8A」

NE-BS8A

価格.com最安価格:68,180円
発売日:2022年6月下旬発売
ユーザー評価:★4.53(8人)

パナソニックのオーブンレンジは他社に比べて価格下落がゆるやかで、価格も高止まりしやすい傾向にあるが、その中でも比較的お手ごろに買えるのが、こちらのモデル。人気の「ビストロ」シリーズで、昨年発売のスタンダードモデルだが、最大300度のオーブン機能をはじめ、スチーム機能、レンジ機能とバランスよく取りそろえるほか、マイクロ波を吸収して発熱する「ヒートグリル皿」が付属し、多彩なグリル料理が行える。オートメニューを107種類搭載するほか、身近な食材と少ない下準備で作れる「かんたんグリルメニュー」も搭載する。

>>価格.comユーザーのおすすめは? 電子レンジ・オーブンレンジ人気売れ筋ランキング
>>価格.comでそのほかの電子レンジ・オーブンレンジをチェックする

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る