今回は、油を使わずに揚げ物が作れるエレコムの「LiFERE ポット型コンベクションオーブン HAC-AFP01」(以下、「HAC-AFP01」)を使ってみました。ちょっとヘルシーで、冷めても油でベチャベチャにならないのでお弁当にも最適ですよ!
「ポット型コンベクションオーブン」とは、いわゆる「エアフライヤー」(もしくはノンフライヤー)のこと。2013年に登場し、ブームを起こしたフィリップス「ノンフライヤー」(日本での名称)はすでに撤退してしまいましたが、いまでも同じような構造のエアフライヤーがいろいろなメーカーから発売されています。
筆者は、そのブームだったころにエアフライヤーを仕事で使ったことがあります。油で揚げていないのに揚げ物がおいしくて感動しましたが、1回で作れる量の割に本体サイズが大きかったので、ひとり暮らしの身としては購入にはいたりませんでした。
今回紹介するエレコム「HAC-AFP01」は、A4用紙に収まる設置面積でコンパクト。狭めのキッチンにも置きやすいサイズ感が魅力のひとつです。
サイズは200(幅)×220(奧行)×245(高さ)mm。キッチンのちょっとした空きスペースにも収まります
基本的な構造は、一般的なエアフライヤーと同じ。ヒーターの熱をファンで対流させ、その熱風で食材を包み込むように加熱します。その際、食材に含まれる油分と水分を使うのが特徴。油で揚げない揚げ物が作れるほか、冷めてしまった揚げ物を余分な脂を落としながら温め直すノンフライ調理ができます。
熱風で加熱するノンフライ調理の仕組み
「HAC-AFP01」のこだわりポイントは、ヒーターに「カーボンヒーター」を採用していること。一般的に使われることの多いシーズヒーターと比べて速熱性の高く、予熱せずに素早く加熱できます。また、食材を入れる容器を金属製でなくガラス製にしたのもいいところ。調理中の様子が見えるので加熱具合を確認しやすく、安心感があります。
シーズヒーターと比べ、カーボンヒーターは速熱性にすぐれるいっぽう、耐久性は少し劣るため、「HAC-AFP01」はヒーター部にネットを配置し、容器が当たっても破損しにくくしています。消費電力は650W
一般的なエアフライヤーは、食材を入れる容器が金属製で中が見えないものが多いです
とにかく、コンパクトなサイズが非常にいい! 後は、ノンフライ調理の実力がともなっていれば文句なしです。ということで、ノンフライ調理の定番「油で揚げないから揚げ」を作ってみましょう。
食材から余分な脂が出るので、落ちた脂でベチャベチャにならないようにガラスポット(容器)には内網をセットします
ひと口大にカットした鶏もも肉は4個入りました
食材を入れたガラスポットを本体にセット
温度設定や出力の切り替え機能はなく、調理は加熱時間を設定するだけ。加熱時間の目安は取扱説明書やメーカーの公式サイトにいくつか載っています。
取扱説明書に記されているとおり、加熱時間15分で調理スタート
調理が始まるとすぐにヒーターが点灯し、5分経過したあたりから脂がポタポタと下に落ち始めました。こうやって様子が見えるのはいいですね
15分後、調理が終了。ガラスポットを取り出します
油で揚げていませんが、見た目はから揚げ!
食材を置いた内網の下には、食材から出た脂がたっぷり。結構、落ちたようです
余分な脂が落ちるのはうれしいですが、その分、食感がパサパサになったり、揚げ物を食べたときの満足感が薄れたりしていないか心配。試食してチェックしてみましょう。
あんなに脂が落ちたのに、中はジューシー。表面がカラッと仕上がっているのも最高。満足感はありつつ油っぽくないので、いくらでもイケちゃいます
から揚げだけでなく、“油で揚げないとんかつ”も上手に作れました。生肉から作るとんかつは取扱説明書や公式サイトにも載っていなかったので(2023年12月4日時点)、ほかのレシピを参考にして25分で調理してみたところ、見事成功! 中の様子が見えるので、加熱が足りなそうなら調理終了後に時間を追加すればいいので、割と気軽に調理できます。
パン粉をまぶした豚肉をセット。一般的なサイズのとんかつを作る場合、1枚が限界です
衣はサクサク。しっかり中まで火が通っていながらやわらかくて、パサつく感じもなく大満足。半分はお弁当のおかずにしようと思っていたのですが、気づいたら全部食べきってました……
エアフライヤーで人気の温め直しもしてみましょう。冷めてしまった揚げ物の余分な油を落としながらサクサクに仕上がるのが特徴です。
冷蔵庫に入れておいた惣菜の揚げ物を温め直します。調理時間は5分に設定
エビフライのしっぽが焦げるのではないかと心配していましたが、きれいな状態で完成。種類が違うものを一度に調理しましたが、どちらもサクサクでおいしく、物足りなさもありません
油で揚げた衣をまとった、カレーパンもめちゃくちゃおいしく温め直しできます。次からも「HAC-AFP01」で温め直ししたいくらい、お気に入り!
パンはふわふわでサクサクで、中のカレーは熱々。まさに、できたて!
購入してから自宅に持って帰るまでに、冷めてしんなりしてしまったマクドナルドのフライドポテトも揚げたての状態に復活させることができました。ただ、フライドポテトが重なる部分は加熱ムラができるため、一度加熱した後、トングなどを使ってフライドポテトを混ぜて、もう一度加熱する必要があります。
マクドナルドのフライドポテトMサイズを全部入れると、このように重なってしまいます。コロッケなどと同じように5分で温め直してみましたが、重なって下のほうにあるフライドポテトはまだしんなりしていました
試行錯誤した結果、調理時間を3分で加熱した後、いったんガラスポットを取り出して中身を混ぜ、もう一度セットして2分加熱する方法で大成功。フライドポテトを混ぜる際はトングなどを使ったほうがいいのですが、今回は底に溜まった油が少なかったので、ガラスポットを軽く振って混ぜました。なお、ガラスポットを逆さまにしても内網は外れないので、ズレる心配はありません
できたてのフライドポテトを食べたときと同じ食感と味わい!
油で揚げないノンフライ調理と温め直しで大満足したので、焼き物調理にもトライしてみました。以前、別のエアフライヤーを使ったときには焼き物調理はしていないので、うまくできるか楽しみ!
まず、鶏のグリルを作ってみます。
塩とこしょうをまぶした鶏肉1枚をガラスポットにセット
調理時間は15分でスタート。5分過ぎたくらいから、大量の脂がしたたり落ちてきました
調理が終了したのでガラスポットを取り出してみましたが、皮の焦げ目が物足りない。なので、さらに5分加熱してみます
こんがり感が足りないように見えますが、約20分の調理で皮はカリカリに。調理中に大量に落ちた脂と、加熱時間が長めだったので鶏肉がぱさつかないかドキドキしていましたが、十分、ジューシーでやわからでした
肉はうまくいったので魚も焼いてみましたが、いい感じで焼き上がりました。煙がモクモクと出ないのもよかったです。
容器のサイズが大きくないので、切り身1枚入れるのが限界。1尾の魚は、半分にカットして並べれば対応できるかも
調理時間は10分で加熱しましたが、皮目はパリッと、身はふっくらとした焼き鮭ができあがりました
ここまで紹介した調理以外にも、いろいろと試したので紹介しておきます。
食パンをトーストできたらオーブントースターがなくても暮らせる! と思ったのがきっかけで検証。結果、おいしいトーストができました。ただ、ヒーターが上にしかないので、途中でひっくり返す必要があります。サイズ的に食パン丸々1枚は入らないので、量が足りない&何回も焼くのはイヤなら、別途、オーブントースターを用意したほうが快適でしょう。
食パンは半分にカットしたサイズでしか入りません。3分で加熱した後、ガラスポットを取り出して食パンを裏返し、追加で2分加熱すれば完成
トースターの1種であるコンベクションオーブンと同じ加熱方法なので、きっとケーキも作れるはず! 市販のホットケーキミックスを使ってマフィンを作ってみたろころ、めちゃくちゃうまくできちゃいました。
耐熱性のカップに生地を流し込んで、調理時間10分でスタート。生地がしっかり膨らみ、完璧なマフィンができました
※撮影する前に取り出してしまい、戻した際に配置をミスってしまいましたが、正真正銘、「HAC-AFP01」で焼いたマフィンです
割った状態。いい感じの仕上がりです
春巻きはそのままでもカリッと仕上がりますが、から揚げやとんかつほど脂が出ないため、焼き色は薄めです。おいしそうな“揚げ色”にしたいときは、調理前にオイルスプレーなどで少しオイルを吹きかけておきましょう。
理想的なきつね色にしたいときは、少量のオイルを事前に吹きかけたり、塗ったりしておく方法は、ノンフライ調理では一般的。それでも油で揚げるより断然ヘルシーです
15分加熱。トーストのとき同様に、裏面に焼き色が付いていないのでひっくり返して5分加熱します
音を聞かせたいくらいパリパリ! “揚げ色”も見事です。同じ要領で揚げた風のぎょうざも作れそう
何となく試してみたら、結構うまくできてびっくり。途中でひっくり返す作業は必要ですが、お湯を使わなくていいので、楽ちん。
4分加熱した後、卵をひっくり返して、さらに4分加熱
黄身にしっかり火が入ったゆで卵が完成。加熱する時間を調整すれば、半熟にもできるでしょう
今回は試していませんが、冷凍食品の揚げ物だけでなく、冷凍の焼きおにぎりなども「HAC-AFP01」で調理できます。
調理の準備や操作と同じように、使用後のお手入れも簡単。ガラスポットの中で調理するので周囲に汚れが飛び散ることもなく、掃除するところは少なくて済みます。ガラスポットや内網が冷めるのを待つ時間は必要ですが、その間に食事していれば自然と冷めるので問題なし。
使用後に洗うのは、ガラスポットと内網。調理した食材によって異なりますが、ガラスポットには油がたっぷり、内網にはフライなどの衣が付いています。だた、内網にはフッ素樹脂コーティングが施されているので、こびり付く感じではありません
容器がガラス製なので、油汚れが落としやすい! 台所用中性洗剤とやわらかいスポンジで洗うだけできれいになりました。なお、食洗機には対応していません
濡れた状態での使用は禁止されているので、水気を拭き取り、しっかり乾かして使ってましょう。また、洗い物を楽にするため、クッキングシートを敷きたくなりますが、火災の原因になるので使用は禁止されています。
10年くらい前にエアフライヤーが大流行したときにも、ノンフライ調理以外の幅広い調理にも対応している一般的なコンベクションオーブンを選んだほうがお得なのでは? と思っていましたが、今回、「HAC-AFP01」を使ってみて「エアフライヤーっていいかも」という気持ちになりました。
いちばん気に入ったのは、サイズ感。ひとり暮らしにちょうどいい大きさで、このサイズでこの容量(一度に作れる量)なら不満はありません。小さめのシンクで洗いやすいのもいいところです。
そして、容器がガラス製なのもいい。薄く色が付いていますが、焼き色はある程度わかるので焦がしてしまう事態は防げると思います。なにより、調理中の様子が見える安心感と楽しさがいいんですよ。
多機能ではないため作れる料理は少ない印象でしたが、公式サイトには野菜チップやタンドリーチキン、スペアリブのマーマレード焼き、プリン、メロンパン風デニッシュなど、作ってみたくなるレシピが紹介されています。これらを参考にアレンジし、こんな調理できるかな? とあれこれ試すのも楽しいポイント。手間に感じることが少なく、ムリせずおいしくヘルシーな料理が楽しめるので、毎日でも飽きずに使えそうな気がします。
●撮影・検証協力:雪か企画