筆者は仕事柄、いろいろな人から「これ、買ってよかった!」という話を聞くことが多いんですが、実際に自宅で長く使っている人が「いい!」と思った製品なら“ハズレ”はないはずです。
本連載は、愛用者に“推し家電”のいいところ、気になるところを教えてもらう企画。今回は、家電ライターイチオシのオーブンレンジを紹介します。
推してくれた人:倉本春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
家電ライターの倉本さんイチオシの山善「YRZ-WF150TV」は、温めや解凍、オープン調理、グリル調理に加え、スチームを使った調理もできるオーブンレンジ。仕事で試用したところ、手間なく短時間で焼けたトーストがあまりにもおいしく、公式オンラインストア価格が29,800円(税込)と安いわりにデザインに高級感があったので購入したそうです。
庫内容量は15L。33種類の自動メニューを搭載しています。レンジ出力は最大1,000W(3分まで)
一般的に、オーブンレンジのトースト機能は途中で裏返す必要があることが多いですが、本製品は裏返し不要! これだけでも購入の決め手になるほどの魅力です。それに加えて、おいしさも文句なし。表面の薄い層に焼き色が付き、外はカリッ、中はふわふわ。パンの水分が残った状態で焼き上がるので、パサつきは感じたことがないそう。倉本さんの家には仕事で使うため、複数台のトースターとオーブンレンジがありますが、旦那さんが「山善ので焼いて!」と指名するほど気に入ったことも、購入するに至った理由のひとつだといいます。
角皿に食パンをセットして、自動メニューの番号を選んでスタートボタンを押すだけで焼き上がります。一度に焼ける枚数は2枚まで。常温のトーストも冷凍したトーストも自動メニューが搭載されており、どちらもおいしく焼けるそう
2枚の食パンをトーストするのにかかった時間は約6分。一般的なトースターと比べると時間は長いですが、オーブンレンジのトースト機能としては短時間です。表面も裏面も、結構まんべんなく焼けている印象
自宅に複数のトースターがあるので、パンの種類やその日の気分によって使い分けています。山善「YRZ-WF150TV」はシンプルなトーストが食べたいときに使うことが多いですね。プレーンな焼き上がりが気に入っているからこそ、バターだけを塗って食べたい。焼き上がりの食感や味わいは、密封機構でパンの水分を閉じ込めながら焼く、三菱電機の1枚焼きトースター「三菱ブレッドオーブン」に近い印象です。トースターと比べて庫内が広いのに、パンの水分を保持したまま表面はサクッと焼き上げられるのはすばらしい。
庫内容量15Lのオーブンレンジながらトースター並みに短時間でトーストできたのは、庫内の高さが低いから。ヒーターと食材の距離を縮めることで加熱効率を上げたそう。庫内温度が早く上昇するので、オーブン調理やグリル調理も短時間で焼き上がります。
庫内サイズは353(幅)×293(奥行)×135(高さ)mm
庫内の高さを抑えたことで、本体の高さも低くなります。幅・奥行きはクリアしていても高さが足りなかった場所にも置きやすいでしょう。また、本体横に付属のパーツを取り付ければ、角皿を立てかけておけます。角皿を使わないときの置き場に困らずに済むので、これは便利!
本体サイズは464(幅)×356(奥行)×302(高さ)mm。左右、後方は壁にぴったりつけて設置できます(上部は10cm以上のスペースが必要)。角皿を横に立てかけたまま調理可能。小型冷蔵庫の上にも載せられるので、ひとり暮らしにもよさそう
オーブン調理の予熱時間が短いので調理中に待つ時間が少なくなり、効率よく進められて助かります。庫内の高さが低いと使いにくそうなイメージがありましたが、実際に使ってみると困ることはありませんでした。
機能をひと通り使用し、自動メニューもいくつか作ったなかでは、プリンがすごくおいしくて驚いたそう。やわらかすぎず硬すぎず、火の通り方が絶妙! と大絶賛でした。
カラメルソースを作って耐熱カップに入れ、冷蔵庫で冷やしておく事前準備が必要。プリン液を鍋で作り、冷蔵庫で冷やしておいた耐熱カップに入れてアルミ箔でフタをし、厚手のキッチンペーパーを敷いた角皿に並べます。角皿に50〜60度のお湯を500mL注いだら、角皿を庫内にセットして自動メニューで加熱。調理が完了したらあら熱を取り、冷蔵庫に入れて冷やす……と、調理工程は多いですが、それが苦にならないほどおいしいそうです
付属レシピは複数のカップを使って作るスタイルですが、倉本さんは大きな容器で作り、切り分けて食べるプリンを作っているそうです
カットしても崩れないほどしっかりしていて、食感はなめらか。少し硬めのプリンが好みならハマるのでは!?
山善の開発スタッフにプリン好きがいるんじゃないかと思うくらい、自動メニューの「プリン」の仕上がりが抜きん出ていました。おいしさの面では、トーストとプリンに惹かれて買ったと言っても過言ではないです(笑)。
レンジでの温めやグリル調理の焼き上がりは、高性能なオーブンレジンと比較すると加熱ムラはありますが、普及価格モデルとしては許容範囲。上ヒーターのヒーター管が剥き出しなので、お手入れ性がちょっと気になるかなーとのことでした。
庫内天面に付着した汚れが拭きにくいだけでなく、ヒーター管に汚れが付く可能性もあるので、フラットな構造にしてほしかった……
オーブンレンジは高性能モデルでも裏返し不要でトーストできる製品は少ないため、トースターは買わずにオーブンレンジ済まそうと思っているなら「YRZ-WF150TV」はアリだと思います。高性能なモデルと比べるとセンサーや制御の精度は落ちるものの、トーストもプリンもすごくおいしく作れるので、3万円以下という価格を考えれば十分と言えるレベル。推しポイントとしてはあげていませんが、毎日、牛乳や冷凍ごはんの温めなどでレンジ加熱も使っています。普段使いしやすく、安いのにデザインがチープじゃないので、価格以上の満足感が得られるでしょう。
ブラックとグレーの2色展開