レビュー

真空ジュースも煮込み料理もできる“1台6役”のミキサー「らくっく」とは?

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健康志向の高まりから、野菜や果物を丸ごと摂取できるグリーンスムージーが大流行。毎朝、ミキサーで作って飲んでいる人も多いのではないでしょうか。では、どのようなミキサーが売れ筋なのかを調べてみると、硬い食材も砕けるハイパワータイプや、栄養成分を保持できる“真空機能”を備えるタイプなど付加価値を持つ高価格帯が人気なようです(2014年上期/Gfkジャパン調べ)。

そんな付加価値の高いミキサーの中でも“多様な使い方”ができるのが、エスキュービズム・エレクトリック「らくっく WM-001(以下、らくっく)」。一般的なミキサー同様に食材を粉砕・攪拌するだけでなく、真空機能で酸化を抑えたジュースも作れます。さらに、加熱もできる仕様となっているため、煮込み料理も可能という多機能っぷり。“1台6役”と謳う、その実力を確かめてみました。

らくっく WM-001

どんなことができるミキサーなの?

一般的なミキサーに気圧を下げる機構とヒーターを搭載することで、真空調理や加熱調理もできるようにした「らくっく」。ボトルの空気を抜いた状態(真空)でミキサーすれば酸化を抑えたフレッシュジュースが作れるだけでなく、食材を入れた袋を密閉して真空パックのように保存できる機能も備えています。いっぽう加熱調理においては、「スープ」「茹でる/蒸す」「煮込む」「再加熱」といったプログラムが用意されており、それぞれに適した加熱温度や時間、羽根の回転を自動でコントロール。ほぼ“おまかせ”で煮込み料理などが作れます。

操作部

運転モードは、「スープモード」「加熱」「ミキサー」「真空モード」に区分されています。この4つのモードにはそれぞれ複数のメニューが用意されており、計10とおりの運転が可能。個々の働きについては、それぞれのモードの項目でくわしく解説します

運転モード一覧

メーカーが謳う“1台6役”は、「煮込む」「ゆでる・蒸す」「再加熱」「真空で混ぜる」「真空下ごしらえ」「真空保存」を指しています。普通のミキサーと同じようにも使えるため、実際の“○役”はもっと多そう

サイズは209(幅)×371(高さ)×235(奥行)mm

サイズは209(幅)×371(高さ)×235(奥行)mmなので、多様な運転モードを備えながらも大きさは一般的なミキサーとほぼ同じ。ボトルの最大容量は800mlです

ボトル底部にはヒーター搭載

ボトル底部にはヒーターが搭載されており、焦げ付かないようにフッ素樹脂加工が施されています。さらに、底部には温度センサーも装備(銀色の丸い部分)。温度センサーにより加熱中の温度調整が行われるだけでなく、異常加熱を検知すると自動で電源をOFFにしてくれます

運転モードでフタを使い分ける

真空で混ぜたり加熱調理をする際に特別なパーツを装備する必要はありませんが、フタを使い分けなければなりません。真空モードで利用するフタ(右)にはシリコン製のキャップ(中央の白い部分)が付いており、減圧されたボトルを密封。加熱に用いるフタ(左)は、中央のキャップから蒸気が逃げる仕様となっています

「真空モード」でどんなことができるの?

ここからは、4つのモードを順に紹介していきます。まず最初は、「真空モード」。真空状態でジュースが作れるミキサーというとテスコム「真空ミキサー」が有名ですが、「らくっく」も同様の調理が行えます。「真空モード」の「真空ミキサー」を選択すると、羽根が回転する前に“ボトル内の空気を抜いて気圧を低くする=真空にする”を実施。低い気圧で食材が粉砕・攪拌されるため、空気の混入が少なくなり泡立ちや酸化が抑えられます。さらに「らくっく」の真空機能には、食材に味を染み込みやすくする「下ごしらえ」や食材を密封できる「真空保存」も搭載。

【真空ミキサー】作った料理:グリーンスムージー/バナナジュース
真空にするか否かでジュースの出来栄えが変わるのかを、「真空モード」にある「真空ミキサー」と「ミキサー」モードの「連続」で比べてみました。作るのは、葉物野菜を使ったグリーンスムージー。グリーンスムージーは繊維質と液体が分離しやすいものですが、真空状態でミキサーすると分離が低減するはず。真空の効果を確かめてみましょう。

食材をボトルに投入し、真空モード用のフタを装着

食材をボトルに投入し、真空モード用のフタを装着

「真空ミキサー」と「ミキサー」モードの「連続」

「真空ミキサー」も「ミキサー」モードの「連続」も、選択するだけで開始〜終了まで自動で行われます

「真空ミキサー」をスタートすると、最初にボトル内の気圧を下げる運転が約20秒実施されました。その後、粉砕・攪拌が約16秒間×3回行われ、ジュースが完成。消費電力は300Wとなっており、ハイパワーを謳わない同サイズのミキサーとほぼ変わらず。運転音も、それらと同じような大きさだと感じました。その様子は、下の動画でご覧ください。

「真空ミキサー」と「ミキサー」モードの「連続」で作ったジュース

ジュースが完成して約2分後の状態。真空状態で作っていない写真右のジュースは、繊維と液体が分離しています。この状態では、少し飲むのを躊躇してしまいますね

気圧を低くしてミキサーしたほうが分離が抑えられることは確認できましたが、先発であるテスコムのミキサーとは同じ出来栄えなのでしょうか。「らくっく」と筆者所有のテスコム「TMV1100」でバナナジュースを作り、泡立ちを比べてみました。真空状態では空気の混入が少なくなるので、泡立ちも低減されることが過去のレビューで確認されています。

「らくっく」とテスコム「TMV1100」で作ったバナナジュース

左が「らくっく」で、右がテスコム「TMV1100」(両写真とも)ですが、「らくっく」のほうが泡が多め。科学的に真空とは、“大気圧よりも低い状態”であることを指します。「TMV1100」は0.3 気圧で攪拌しますが、「らくっく」は公表されていません。“真空状態”と言っても、微妙に数値が異なるのかも

【下ごしらえ】作った料理:浅漬け
「らくっく」には、真空機能を利用した「下ごしらえ」というメニューがあります。出汁や調味料と一緒に食材を入れてボトル内の気圧を下げると食材に含まれる余分な空気が抜け、出汁などが染み込みやすくなるそう。今回は、塩水の中に野菜を入れて「真空モード」の「下ごしらえ」でどれほど味が染みるのかを検証してみました。うまくいけば、浅漬けが完成するはず!

「下ごしらえ」でスタート

キュウリをカットして、ボトルに塩水と一緒にセット。真空モード用のフタをはめたら、「下ごしらえ」を選択してスタートします

「下ごしらえ」をスタートすると、ボトル内が減圧されるのと同時にキュウリから泡がプクプク出てきました(下の動画参照)。約18秒ほどで運転は終了しましたが、これで味が染み込んだのでしょうか。

キュウリの浅漬け

正直に言うと、筆者の舌では味が染み込んだか否かは判断できませんでした。しかし、同コンテンツで連載中の「調理家電のスゴレシピ」で「らくっく」を使用した料理研究家 濱田さんが「真空機能を使うと味のなじみがよいようだ」と評されているので、「真空モード」の「下ごしらえ」は効果的なのかも

【真空保存】保存した食材:リンゴ
食材の鮮度を保ったまま保存する方法の1つに、“容器の空気を抜いて真空にする”というものがあります。通常は“真空パック機”と呼ばれるような専用機を用意しなければなりませんが、「らくっく」はこの機能を装備。ジュースを真空保存できる容器のほか袋も同梱されているので、まさに“真空パック”することができます。

真空保存したい場合は、付属のカップと袋を利用

真空保存したい場合は、付属のカップと袋を利用します

「真空モード」の「真空保存」を実行

専用のホースを本体に差し、その反対側をカップか袋にセットして「真空モード」の「真空保存」を選択

真空パック完成

袋内が真空状態まで減圧されると、自動で運転がストップします。数秒で運転は終了しましたが、真空パックのようにしっかり密閉されました

ジッパー付き保存袋に入れたリンゴとビニール袋に封入したもの

真空にするとリンゴの変色が防げるのかを、ジッパー付き保存袋に入れたリンゴ(写真左)とビニール袋に封入したもの(写真右)とで比べてみました

付属の袋で真空保存したリンゴ
ジッパー付き保存袋に入れたリンゴ
ビニール袋に入れたリンゴ

冷蔵庫でひと晩保存した後の状態。拡大して見ると、真空保存したリンゴが一番酸化が少ないことがわかります。真空保存は鮮度を保つのに効果ありだと言えるのではないでしょうか

「加熱」で調理してみよう!

次は、真空機能と並んで“ウリ”となっている加熱機能を紹介しましょう。加熱調理ができるミキサーの代表格に、クイジナート「SBC-1000J」があります。「SBC-1000J」は、ヒーターの温度を「強」「中」「弱」から選んで加熱しますが、「らくっく」は「ゆでる・蒸す」「煮込み」「再加熱」という3つのメニューから選択する仕様。作りたい料理にあわせてメニューを選ぶだけで、温度や加熱時間は自動で調整されます。

【ゆでる・蒸す】
まずは、「ゆでる・蒸す」をやってみましょう。ボトル内の液体を沸騰させ、その状態が約10分続くのが「ゆでる・蒸す」のプログラムです。羽根は回転しないので、食材が粉砕されることはありません。

【茹でる】作った料理:素うどん
鍋に入れて茹でるのと同じように、ボトルに食材を入れればOK。今回は、うどんを茹でてみます。メーカーのWebサイトに紹介されているのは、ボイルされたうどんを「らくっく」で茹でた後、ミキサーで攪拌して離乳食にするというものですが、筆者は大人なので茹でるのみにしてみました。

うどん茹で中

ボトルに、水とうどんを入れます。もともとボイルされたうどんなので沸騰したら即取り出すつもりでしたが、「ゆでる・蒸す」で水が沸騰するまで15分ほどかかりました。鍋で茹でるより時間は長いので時間的なメリットはありませんが、噴きこぼれに気を配る必要がないのはいいですね

素うどん完成

一般的にボイルされたうどんは、沸騰したお湯に入れて1分程度で茹であがります。「らくっく」では水の状態からうどんを茹で始め、15分以上加熱したので柔らかくなり過ぎかも……と心配でしたが、意外とよい食感

【蒸す】作った料理:鱈の酒蒸し
上で紹介した「ゆでる・蒸す」メニューで、ボトル内に付属のバスケットを装着すれば蒸し器のように蒸気で蒸すことができます。バスケットに入れた食材から糖分や油分が大量に落ちると焦げ付きの原因となってしまうので、クッキングペーパーを利用して食材の汁が漏れないようにしてみました。

下ごしらえした鱈をクッキングペーパーで包み、バスケットにセット

塩こしょうをした鱈に酒を少々ふりかけ、クッキングペーパーで包み、バスケットにセット

ボトルに水を入れてバスケットを装着

ボトルに水を入れてバスケットを装着すると、写真右のように水に触れない位置でバスケットが止まります

蒸し中

「加熱」モードの「ゆでる・蒸す」を選択すると、水が沸騰(写真右)。沸騰しても、バスケット内の食材にお湯はかかりません

鱈の酒蒸し完成

スタートボタンを押してから20分強で完成。オリジナルメニューなので加熱が十分か心配でしたが、火がとおり過ぎることもなく鰤もふっくら仕上がりました

【煮込み】作った料理:カレー
加熱調理には、茹でたり蒸すほかに「煮込み」も用意されています。「煮込み」も「ゆでる・蒸す」と同じように、羽根は回転しないまま鍋のように加熱するものですが、一度沸騰するまで温度が上がった後は80〜85℃をキープ。その温度帯のまま、20分間加熱が続きます。「煮込み」で作ったカレーをご覧あれ!

食材をボトルに入れ、「加熱」モードの「煮込み」で調理スタート

食材をボトルに入れ、「加熱」モードの「煮込み」で調理スタートします

途中でカレー粉を投入

約20分煮込んだ後、一度運転を停止し、カレー粉を投入。「煮込み」は30分以上加熱が続くとアラーム音が鳴って停止するため、区切りのいいところで一旦停止して再度「煮込み」で加熱するほうがベターです

カレー完成

カレー粉を入れた後は、約10分煮込みます。80〜85℃で煮込まれるため沸騰することもなく、ジャガイモも煮崩れせずにキレイな状態。ボトルの底にも焦げ付きはありませんでした。トータル40分ほどの加熱時間でしたが、火のとおり具合や味の染み込みもバッチリ。今回はしていませんが、「煮込み」の前後に「真空モード」の「下ごしらえ」を併用すると味がさらにしっかり付くようです

再加熱
「加熱」モードのラストは、「再加熱」。メニュー名のとおり、作ったものを温め直す際に利用します。ただし、羽根が回転しながら約70℃まで加熱されるので、上で作ったカレーのような具材の形があるものには適しません。以降で作るスープの温めには最適です。

再加熱

約70℃に温められるので、食べたり飲んだりしやすい温度帯ですね

「スープモード」でスープを作る!

最後は、「スープモード」です。「加熱」モードとは区分されていますが、「スープモード」もヒーターで加熱する仕様。加熱しながら、途中で羽根を回転させることで固形の食材を粉砕してスープにします。「スープモード」には「なめらか」と「粗い」が用意されており、サラリとしたスープにしたい場合は「なめらか」、食材を残したいならば「粗い」を選択しましょう。

材料を入れて「スープモード」でスタート

かぼちゃのポタージュを作ります。かぼちゃは生のままでOKですが、皮を取り除かねばならないので一苦労。大きめにカットして大丈夫とレシピに書かれていたので、2cm角に切りました。ボトルにかぼちゃとタマネギ、水、コンソメを入れたら「スープモード」でスタート

「スープモード」の工程は、“沸騰後→羽根が回転→5分加熱→羽根が回転→5分加熱→羽根が回転→終了”となります。「なめらか」と「粗い」の違いは、最後の羽根の回転時間。「なめらか」は最終工程で羽根が約15秒回転し、「粗い」では約3秒で終了します。動画は「粗い」の運転となりますが、スタートボタンを押してから約21分で完成しました。下の動画は、「スープモード(粗い)」での調理の様子です。

「なめらか」と「粗い」のスープ

「なめらか」で作ったスープは食材が細かくカットされて溶けてしまったようで、具材は見当たりません。喉越しが非常になめらかです。「粗い」のほうにはタマネギが残っていましたが、トロトロになるほど火がとおっているので引っかかりは感じず。同じ食材を用いても、食感が変えられるのはいいですね

まとめ

ジュースは真空の有無を問わず食材を入れるだけで作れ、加熱調理は鍋で作るのに近い感覚なので操作に戸惑うことは少ないでしょう。筆者もレシピにないメニューを考案して作ってみましたが、初めてでも上々の出来栄え。とくに加熱調理は、入れる材料や分量を間違えなければ噴きこぼれや焦げ付きを心配せず“おまかせ”できるため、長時間煮込む料理は「らくっく」で作るほうがラクだと思いました。鍋をコンロにかけるのに比べると加熱時間が長く感じられるかもしれませんが、IHタイプのスープメーカーでかぼちゃのポタージュを作る際にかかった加熱時間も約30分なので、「らくっく」の性能が劣るわけではありません。

ただ、もう少し改良してほしいところがあります。その1つは、使い勝手。多くのモードが搭載されていますが、たとえば「真空モード」の「真空保存」を選ぶにはメニューボタンを10回押さねばなりません。次のモデルで、目的のメニューに瞬時にたどり着けるようになることを願います。もう1つ気になったのは、洗浄。ボトルと羽根の部分が分離できないため、羽根の裏側が洗いにくい。分離できない仕様のミキサーは多いですが、「らくっく」はいろいろな調理ができるものなので細部も洗えるようになるとうれしいですね。とはいえ、今回使用した限りでは、洗い残しやカレーのニオイが付着することはありませんでした。

細かく見れば少々気になる点はありますが、「らくっく」は1台でミキサーやスープメーカー、スチームクッカー、そして真空パック機の役割を果たします。ミキサーだけでは物足りない人はもちろん、キッチンスペースを取られたくない人や調理の手間なく満足を得たい人は選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

<オリジナルレシピを提案!>加熱もできる真空ミキサー「らくっく」で作る鶏手羽のやわらか煮

中村真由美(編集部)
Writer / Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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