無謀 or 英断? 36歳から始めるトライアスロン

予算は37万円! 自転車ショップで「ロードバイク」を上手に買う方法

今回は、トライアスロンで使用するロードバイクを購入する際のポイントを伝授!

今回は、トライアスロンで使用するロードバイクを購入する際のポイントを伝授!

【連載バックナンバー】
第1回 トライアスロンとは?/ランニングシューズの選び方
第2回 ウェットスーツの選び方
第3回 ロードバイクの選び方
第4回 トライアスロンバイクの選び方

連載第3〜4回にかけて、トライアスロンに使用する自転車について学んだ編集・牧野。とはいえ、学んでばかりでも仕方がないので、今回はいよいよ自分にピッタリの自転車を選んで購入するため、バイクショップ「ジャイアントストア二子玉川」を訪問することに。これまで学んだ知識を生かして、自分の使い方に合った自転車を見つけることはできるのか?

トライアスリートでもある「ジャイアントストア二子玉川」スタッフの福島康洋さん(右)にトライアスロンで使用するための最適な自転車について相談した

「ジャイアント(GIANT)」と言えば、世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」で活躍するようなトップモデルのロードレーサーから、マウンテンバイク、そして街乗りできるクロスバイクや小径車までを幅広くカバーする世界最大のサイクルブランド。今回訪れたのは、東京・二子玉川駅近くにある「ジャイアントストア二子玉川」だ。今までいろいろと自転車についての話を聞いてきたものの、今ひとつ自分の自転車を決められない牧野は、「幅広いラインアップを持つブランドなら、何とかなるかも!」と気軽な気持ちで同店を訪れたわけだ。

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全国でサービスが受けられる

牧野:自転車乗りの知り合いから、ジャイアントは「ショップの店舗数が多い」「コストパフォーマンスがすごく高い」という話を聞いています。確かにいろんなところでお店を見かけますが、これって本当ですか?

福島康洋さん(以下、福島):そんなにダイレクトに聞かれると答えにくくもあるのですが、本当ですよ(笑)。

全国に「ジャイアントストア」と言われる直営店が35店舗あって、どの店舗でも同じようなサービスが受けられます。トライアスロンの大会は首都圏だけではなく、全国各地で行われていると思いますが、たとえばレース直前に自転車が壊れてしまった、というときにも最寄りのストアで修理対応可能、それがジャイアントのよいところだと思います。

さらに言えば、海外にもストアが多いので、もしこれから海外のレースに出たときに何かがあっても、助けになってくれると思います。

牧野:おお、それはすごい! もうここで買いたくなってきました(笑)。でも気を落ち着かせて、お話を聞くことにします。まず、私はオリンピックディスタンスのレース(詳細は連載第1回を参照)に出たいのですが、それにピッタリの自転車ってありますか?

福島:ありますよ。任せてください! まだ自転車を持っていないなら、ロードバイクから始めて、いずれはトライアスロンバイクを買う、という流れがよいかと思います。ちなみにご予算はどれくらいありますか?

自転車を見つめる目が次第に真剣になっていく牧野……

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牧野:予算は……年齢×1万円で37万円ですかね。もういいトシなんで、これくらい出してよいものを買いたいと思います!

福島:それくらいのご予算を見ていただけるのであれば、かなりいい自転車が買えますよ。ただ、ヘルメットやライト、ウェア類もそろえる必要があるので、予算全部を自転車に使わないで、全体で予算内に収まるようにご提案しましょう。

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ひと口にロードバイクといっても種類がある

福島:まずジャイアントには、大きく分けて3種類のロードバイクがそろっています。「TCR」というモデルは上り下り、カーブなど何でもできるオールラウンドな自転車。「ディファイ」は、振動吸収性にすぐれていて、長距離を疲労感なく走れるタイプ。最後が自転車自体に空気抵抗を減らす機能が搭載されており、平坦な道を走るのが得意な「プロペル」というモデルがあります。もしトライアスロンをするなら、この「プロペル」が最も適している自転車だと思いますよ。

牧野:お話を聞いていると、何でも得意だという「TCR」が最適なように思えるのですが……。

福島:もちろん、「TCR」でトライアスロンに出てもまったく問題はありません。ただし、トライアスロンは集団で風よけしながら走るロードレースと違って、単独で風をモロに受けながら走る競技です。自転車に使うエネルギーの半分以上が空気抵抗と言われているので、空気抵抗を減らす効果がある「プロペル」のほうが、単独で走る場合、速く楽に走れます。結果、バイクの次に控えているランニングに力を残しておけるというわけです。

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フレーム素材の違いが価格に反映される

牧野:お店を見渡して気がついたんですが、同じ「プロペル」でも車種によって価格に違いがありますよね。これはどうしてなんですか?

福島:同じモデル名を冠するものに関しては、上位からエントリーモデルまで、基本的には先述の「得意なところ」が共通しています。「プロペル」は平坦な道が得意な自転車ですし、「TCR」はオールラウンド、「ディファイ」は振動吸収性が高いモデルです。そのなかで価格に違いが出てくるポイントのひとつは、フレームの素材です。

牧野:カーボンとかアルミ、とかですか。

福島:その通りです! エントリーモデルはアルミ素材を使っていて、トップモデルは基本カーボンを使用しています。

特にカーボンは、振動吸収性にすぐれた素材。ひび割れなどの細かい路面の荒れなどを吸収してくれるので楽に走れます。トライアスロンは単独である程度の距離を走り抜かなくてはいけないスポーツ。細かいことなんですが、このダメージが次の種目のランニングに大きく影響してきます。

牧野:いわゆる「ランニングに脚を残す」というやつですね。

福島:そうですね。脚が残るだけじゃなくて、振動は身体全体で受けるので、次の日のダメージにも影響すると思います。

牧野:それは重要ですね。レースの次の日、通常通り出社予定ですし(笑)。

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「105」以上だとグレードアップが容易になる

福島:金額的な違いのポイントとして、コンポーネントの種類も大きいです。

牧野:コンポーネントとは……パーツ類のことですよね。

福島:そうです。ブレーキやフロント、リアなどのシフトあたりがワンセットになったパーツのことを「コンポーネント」や「グループセット」と呼びますが、そのグレードがモデルによって異なります。「プロペル アドバンスド1」と「プロペル アドバンスド2」で比べてみると、価格は26万円と22万円で差があるんですが、これはコンポーネントのグレードの差になります。「アドバンスド1」は、「SHIMANO(シマノ)」の「ULTEGRA(アルテグラ)」、「アドバンスド2」は「105(イチマルゴ)」が搭載されています。

牧野:「アルテグラ」と「105」ではどんな違いがあるんですか?

福島:以下の図を見てもらいたいのですが、SHIMANOの製品の場合、最上位グレードの「DURA-ACE(デュラエース)」、その次が「アルテグラ」、「105」、「TIAGRA(ティアグラ)」……とパーツのグレードが分けられています。上位のものになればなるほど、軽量で動きがスムーズなんです。だからといって、下位グレードのものは重くて使えないかと言えば、そんなこともありません。あくまでトップのレースで使用するには重い、という意味だと思ってください。

SHIMANOのコンポーネントのグレードは、最上位の「デュラエース」から主に6段階に分かれている。中級グレードの「105」を搭載するモデルだと、その後のグレードアップに対応しやすいという

牧野:では、安いグレードのものでもいいんですね。

福島:問題ないと思います。ただ、図の「SPEED」の欄を見てもらいたいのですが、「デュラエース」、「アルテグラ」、「105」は「2×11」、それ以外のものは「2×10」以下になっていると思います。これはギアの段数を表しています。

牧野:ギアは合わせて22段もあるんですね。そんなに使うんですか!?

福島:段数が多いと、シフトアップやシフトダウンしたときに細かいスピードのコントロールがしやすく、スムーズに変速が行えます。これも“脚を残す”ことにつながります。

さらに、「105」以上のグレードのコンポーネントを採用しているモデルは、グレードアップが簡単です。「上位グレードのものだと、より操作がスムーズになる」という話は先ほどしましたが、「105」から上は互換性があるので、たとえばリアのギアチェンジをもっとスムーズにしたいと思ったときに、変速機「リアディレイラー」のみを「アルテグラ」に交換してグレードアップさせることも簡単にできます。

ギアは段数が多いほどスムーズに加減速が可能で、脚への負担が減る

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ついに愛車が決定! でも、まだやることがたくさん……

牧野:いろいろと説明ありがとうございます。推奨していただいた「プロペル」の「105」がついたモデル「アドバンスド2」にしたいと思います。価格も税別で22万円ですし、ヘルメットやウェアを買うにしてもまだ予算的に余裕がありますし。これに決めます!

牧野が相棒に選んだ「PROPEL ADVANCED 2」のメーカー希望小売価格は、220,000円(税別)。空気抵抗を軽減するエアロ効果が高いフレームデザインに、上位モデルとの互換性も高い「SHIMANO 105」を搭載しており、日々のトレーニングからトライアスロンレースまで対応する

福島:ありがとうございます。でも、実はここから1番重要なサイズ合わせに入ります。

牧野:買ってもすぐに乗れるわけじゃないんですよね……。

福島:すぐに走り出したい気持ちはわかりますが(笑)、スポーツバイクの場合、サイズが1番大切で、これが合わないとどんなに高い自転車を買っても楽しく乗ることができません。でもサイズ合わせを簡単に行える「ライトライドフィッティングシステム」があるので、比較的すぐに乗り出せますよ。

牧野:それはどんなシステムですか?

福島:身長と股下、股下と言ってもパンツの長さではなく、自転車にまたがったときに最適になるように計測を行ったものから、フレームのサイズやサドルの高さなどを割り出すシステムです。

「ライトライドフィッティングシステム」で計測するのは、身長と股下。それを元に自分に最適な自転車のサイズが割り出される

割り出した数値をWebシステムに入力すると、サドルの高さなどが算出される

割り出した数値をWebシステムに入力すると、サドルの高さなどが算出される

「ライトライドフィッティングシステム」のスクリーンショット。牧野の場合、フレームはMサイズ、サドルの高さは718mmが適切なサイズとなる

福島:でもこの割り出された数値は、あくまでベースとして考えてください。実際に乗ってみたときに違和感がある場合、あとは各自の身体の硬さを考慮して微調整することもあります。

まずは初めてロードバイクに乗るので、サドルの高さを少し低めにして足つきをよくした状態にしておきますね。この値のバイクで乗り込んでみて、半年くらい練習したあとに微調整していきましょう。特にトライアスロンのレースの場合は、サドルを少し高めにしてハンドルを下げるほうが、ペダリングしやすくなると思いますが、それは少し先の話ですね。

牧野:あの〜お尻がすごく痛いのですが……

718mmの適正値よりも低くしたサドルのセッティング。初めてまたがってみたが「お尻が痛い」とうめく牧野

718mmの適正値よりも低くしたサドルのセッティング。初めてまたがってみたが「お尻が痛い」とうめく牧野

福島:最初は誰でもそうなると思います。自転車の上でのバランスの取り方、乗り方でかなり改善できると思いますので、それはこのあと乗り方の説明をする際に教えます。

牧野:「何でロードバイクをECサイトで売らないんだろう?」と思っていたんですが、こんなにやることが多いなら、お店で買ったほうが安全ですね。

福島:お店で購入していただくと、自転車そのものだけじゃなく、ライトやウェア、ヘルメットなどを一緒にそろえることもできますし、その使い方も詳しく聞くことができます。

牧野:いや〜本当にそこは納得しました。引き続きアドバイスよろしくお願いします!

次回に続く……。

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第2回 ウェットスーツの選び方
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第4回 トライアスロンバイクの選び方

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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