Sonosファミリーのなかで、オーディオ好きの僕として注目してしまうのが随分マニアックな「Sonos Amp」の存在だ。
「Sonos Amp」は、クアルコム社のフルデジタルアンプ「DDFA」による125W+125W出力対応のアンプに、Wi-Fi/有線LANを搭載。Sonosとして音楽再生ができるネットワークアンプだ。本体サイズは217(幅)×64(高さ)×217(奥行)mmとデスクトップオーディオサイズ。アンプなので、Hi-Fiオーディオ用のパッシブスピーカーと組み合わせて利用できる。入力端子はほかにもアナログRCA、映像系ともつなげるHDMI端子(ARC対応)も使えるので、Sonos以外のソースも利用できる。
Sonosファミリーでも異色のHi-Fi志向モデル「Sonos Amp」
背面にはスピーカー出力、RCA、HDMI端子も搭載
セットアップの流れは「Sonos One」等と同じ。今回は「Sonos Amp」は“リビングルーム”として設置した。なお、「Sonos Amp」には「Trueplay」による部屋の音響特性を計測・サウンドチューニングはない。
アプリから「Sonos Amp」を”リビングルーム”として設置
音楽再生用のスピーカーには、デンマークのHi-FiスピーカーブランドDALIの「OBERON1」(価格.comで47,000円程度)を組み合わせた
“ダイニングルーム”に「Sonos One」+「Sonos One SL」と、“リビングルーム”に「Sonos Amp」+DALI「OBERON1」と2系統のスピーカーできたことになるが、操作に用いるSonosのアプリからは自在にコントロール可能だ。同じ曲を再生すれば2つの部屋に対して同じ音楽を完全に同期する形で再生できるので、家中を音楽で満たせる。今回Sonosを設置して検証をしている“ダイニングルーム”と“リビングルーム”はつながっているので、音楽の再生が完全に同期しなければ2台同時は使いものにならなかっただろう。
2つの部屋を扱っている状態では、音量操作は2部屋セットのマスターボリュームとして操作もできるし、個別の音量の調整、バランス調整をした上でマスターボリューム調整まで対応。さらには音楽再生も、部屋毎に切り離して別々の曲を再生できたりと、さまざまなパターンで音楽を聴くことがよく考えられている。
2つの部屋設置した2系統のスピーカーを連動操作も個別操作もできる音量コントロール
2つ部屋で別々の音楽を再生することも可能だ
「Sonos Amp」+DALI「OBERON1」の組み合わせで音楽を聴き込んでみた。あいみょんの『空の青さを知る人よ』を聴いても音の解像感、特に中高域の音鮮明さと透明感、そして躍動感が段違い。サウンドバランスとして低音は控えめだが、これぞ演出なしに本来のバランスだろう。King gnuの『白日』も音楽としての成熟、そして音の立体感まで描き出す。「Sonos Amp」は駆動力もあるし、S/Nにもすぐれており、DALI「OBERON1」の実力を余裕で引き出した形。
「Sonos Amp」+DALI「OBERON1」では予算も10万円以上になることだけあって、音質は「Sonos One」+「Sonos One SL」と比べても相当ハイレベルだ。
「Sonos Amp」+DALI「OBERON1」は流石に高音質だった
「Sonos Amp」は、Hi-Fiオーディオでも通用するレベルの高音質なシステムだ。「Sonos Amp」単体でも70,800円(税別)と決して安価ではないので高音質であることは当然だが、Sonosファミリー全体として考えると「Sonos Amp」のお陰で、Sonosの世界観がカジュアルとHi-Fiオーディオの趣味層までつながる広がりを持ち始めている。
シンプルにWi-Fiで音楽を聴くシステムを探しているなら、やはり「Sonos One」「Sonos One SL」が手軽だが、オーディオ目線ではあえて「Sonos Amp」から入り、定額音楽配信サービス向けの高音質Hi-Fiシステムを作り上げる、なんて検討をしてみても面白そうだ。