レビュー
リアスピーカーをWi-Fiでワイヤレス接続

Sonosのサウンドバー「Sonos Arc」とWi-Fiスピーカーでテレビのワイヤレスサラウンド化を試してみた

Sonosのサウンドバー「Sonos Arc」とWi-Fiスピーカーでテレビのワイヤレスサラウンド化を試してみた

2か月ほど前に「ちょっとマニアック!? 薄型テレビを高音質で楽しむための“テレビ用アンプ”の選び方」という薄型テレビにアンプをつなげてステレオ2ch高音質化する記事を取り上げた。だが、やはり薄型テレビは映画を観たりゲームをプレイしたりするAV環境なので、5.1chなどのリアルサラウンド環境を構築したいという思いもある。そこでハードルになるのが、スピーカーの配置だ。スピーカー配置にはサラウンド(リア)のスピーカーが存在することで、リビングだとリアまでのケーブル配線がどうしても邪魔になってくる。結局の所、心の中でやりたいと思っていてもリビングに正統派のサラウンド環境の導入に踏み切るのは難しいというのが実情だ。

そんなお悩みにひとつの解決策として今回提案したいのが、Sonosのサウンドバー「Sonos Arc」だ。あの音楽リスニング用Wi-Fiスピーカーで有名なSonosが手がけたワンボディのドルビーアトモス対応のサウンドバーだが、拡張機能としてWi-Fiを通して複数台のSonosスピーカーを連携させることができる。この仕組みを応用してフロント側をサウンドバー、リアスピーカーをWi-Fiスピーカーで賄い、リアルサラウンド環境を導入できるというわけだ。

Sonosのサウンドバー「Sonos Arc」。直販サイトの価格で108,000円(税別)

Sonosのサウンドバー「Sonos Arc」。直販サイトの価格で108,000円(税別)

今回は、僕の自宅リビングにサウンドバーの「Sonos Arc」、そしてサラウンドスピーカー用に「Sonos One」と「Sonos One SL」を1台ずつお借りしてリアルサラウンド構築に挑戦してみた。「Sonos Arc」は直販サイトの価格で108,000円(税別)とサウンドバーとしては高価格帯。「Sonos One」は23,800円(税別)と「Sonos One SL」は21,800円(税別)、税別で約15万円のサラウンドシステムの構築となる。ちなみに、サラウンド用として追加するスピーカーはSonosファミリーなら基本的にどれでも大丈夫だ。

まずは「Sonos Arc」を導入。単独でもドルビーアトモスの立体音響に対応

まずは、サウンドバー「Sonos Arc」の導入から始めていこう。

「Sono Arc」はドルビーアトモス再生に対応したサウンドバー。スピーカー構成としては合計11基のスピーカーを内蔵していて、単体でもバーチャルサラウンドによって5.1ch、立体音響のドルビーアトモスにも対応する。

有機ELテレビ「レグザ65X9400」の前に「Sonos Arc」を設置。高さ87mmで背の低いテレビでは隠れる可能性がある

有機ELテレビ「レグザ65X9400」の前に「Sonos Arc」を設置。高さが87mmなので、背の低いテレビでは隠れる可能性がある

まずは「Sonos Arc」を単独で利用するところからスタート。「Sonos Arc」はサウンドバーなので、eARC/ARCに対応するHDMI端子で薄型テレビと接続するだけだ。セットアップや操作性についてはサウンドバーというよりWi-FiスピーカーとしてのSonosファミリーに近く、スマホ向けアプリ「Sonos S2」から実行。Sonosファミリーの製品なのでWi-Fiに接続、音楽リスニングをする部屋を登録するセットアップの流れは「Sonos One」など音楽リスニング用スピーカーとほぼ同じだ(詳しくはコチラを参照)。部屋の音響環境に合わせてサウンドチューニングを行う自動音場補正機能「Trueplay」もできるだけ高音質で聴くためには必須だ。

Sonosユーザーおなじみのスマホを上下させて部屋を闊歩する自動音場補正機能「Trueplay」の儀式

Sonosユーザーおなじみのスマホを上下させて部屋を闊歩する自動音場補正機能「Trueplay」の儀式

セットアップ前は「Sonos Arc」にはそもそもリモコンが付属せず操作が不便では? と想像していたが、HDMIのARC/eARC機能でインプットの切り替えも音量操作もテレビ側のリモコンから問題なくコントロールできた。サウンドバー自体の操作はほとんどなく、不自由さはまったくない。

音量などの操作はHDMI経由でテレビ側から行える

音量などの操作はHDMI経由でテレビ側から行える

「Sonos Arc」が設置できたので、まずは単独でのサウンドを体験してみたが、実は「Sonos Arc」単体でも音質はなかなかいい。サウンドバーながらSonosらしい音の解像感を重視したサウンドで、テレビ番組の人の声を聞いても音の重心が低く、男性アナウンサーの声も深みのあるバランスだ。PS5で『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイしていても、見た目上のテレビスピーカーの位置よりもはるかに大きなスケール感を再現し、ドルビーアトモスの立体音響もあって体の横から高さ方向まで包み込まれるようなサウンドフィールドを体感できた。Netflixを試聴してもドルビーアトモスの対応スピーカーとして認識され、低音も部屋が振動するほどではないが、日本の家庭では十分なパワフルさを体験できた。

「Sonos Arc」が単独のサウンドを体験(テレビ横に映っている大型スピーカーは利用していない)

「Sonos Arc」が単独のサウンドを体験(テレビ横に映っている大型スピーカーは利用していない)

薄型テレビのサウンドをパワーアップする目的としては「Sonos Arc」単体でも十分。むしろ最初に「Sonos Arc」だけ購入して将来のステップアップ……なんて考えていると、ここで満足して先に進めなくなる恐れもありそうだ。

「Sonos Arc」にWi-Fiスピーカーを追加してリアルサラウンド環境に拡張

ここからは、今回の検証のメインである「Sonos Arc」にサラウンドスピーカーとして「Sonos One」と「Sonos One SL」を組み合わせるというプランに進んでいこう。

Sonosファミリーの「Sonos One」と「Sonos One SL」をサラウンドに追加。両機種の違いはマイク有無のみで左右ペアにしても問題はない

Sonosファミリーの「Sonos One」と「Sonos One SL」をサラウンドに追加。両機種の違いはマイク有無のみで左右ペアにしても問題はない

さて、ほとんどの家庭でサラウンド構築する際には“サラウンド(リア)スピーカーの置き場”に頭を悩ませる。僕の家のリビングはテレビの真正面にあたる壁にキャットウォーク(兼棚)を取り付けてあるので、今回の検証でようやく生かされることになった。「Sonos One」「Sonos One SL」はWi-FiスピーカーでWi-Fiを通して連携するためテレビ側からスピーカーケーブルを引っ張る必要もない……のだが、Wi-Fiスピーカーなので電源は必要。残念ながら、スピーカー置き場の棚に電源コンセントまでは用意していないので、少しの格好悪さを我慢してOAタップを利用して配線することにした。

スピーカー設置用に二段にしておいたキャットウォークに「Sonos One」「Sonos One SL」を設置

スピーカー設置用に二段にしておいたキャットウォークに「Sonos One」「Sonos One SL」を設置

「Sonos Arc」のサラウンドとして「Sonos One」「Sonos One SL」を追加するには、それぞれ単独でWi-Fiスピーカーとセットアップして同じ部屋に登録すると、ワイヤレスで連携するサラウンドとして設定可能となる。設置上の左右の位置が正しくなる確認を進めるとセットアップ完了だ。最適なサラウンド効果を得るため、さらにこの状態で自動音場補正機能「Trueplay」を実行しておく。

「Sonos One」「Sonos One SL」セットアップ時にサラウンドとして登録

「Sonos One」「Sonos One SL」セットアップ時にサラウンドとして登録

サラウンド左右の位置が正しくなるようにボタンを押して確認

サラウンド左右の位置が正しくなるようにボタンを押して確認

セットアップが完了したので、さっそく「Sonos Arc」にワイヤレスで「Sonos One」「Sonos One SL」を接続した状態でPS5をプレイしてみた。PS5で『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイしてみると……流石にリアルサラウンド環境の臨場感はすごかった! ヘリコプターのプロペラの音などは当然なら後ろから聴こえてくるので、音の方位感が段違い! バーチャルな知覚ではなく本当に背後にスピーカーがあるのだから当然なのだが、背後から飛んでくる銃声もあまりにリアル。比べてみたらリアル5.1chの圧勝と呼ぶほかない。

PS5ではAVアンプの設定にして5.1chサウンドが出力されるように設定

PS5ではAVアンプの設定にして5.1chサウンドが出力されるように設定

だが、「Sonos Arc」のワイヤレス5.1chで『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイしていたら気付いてしまった。「Sonos Arc」によるワイヤレスの5.1ch信号には映像に対する遅延が大きく、ゲームをプレイしていると例えばトリガーを引いた時の銃声と音のズレが結構気になる。5.1chのサラウンド音声をWi-Fiで飛ばして連携しているのだから条件が厳しいことは容易に想像が付くが、やはりタイミング重視のゲーミングには不向き。ちなみに、字幕で見る映画では特に気にならなかったので用途次第だろう。

「Sonos Arc」にワイヤレスで「Sonos One」「Sonos One SL」を追加したリアルサラウンド環境がこちら

「Sonos Arc」にワイヤレスで「Sonos One」「Sonos One SL」を追加したリアルサラウンド環境がこちら

「Sonos Arc」を利用してリアルサラウンド環境を構築してみたが、ゲームの遅延こそ気になったが、バーチャルサラウンドとは比べモノにならない臨場感を得られたという、当然過ぎる結果となった。

あとは予算と満足度との兼ね合いだ。「Sonos Arc」は直販サイトの価格で108,000円(税別)とサウンドバーとしては高価格帯で、相応に音質も優秀。それに加えて「Sonos One」は23,800円(税別)と「Sonos One SL」は21,800円(税別)と約5万円追加となかなか贅沢なところだが、サラウンド効果として約5万円の追加予算を払う価値は十分あると思う。

最後に余談を少々。

過去に5.1chスピーカーなどを一度揃えていた人が、サラウンド環境を止めてしまうよくあるケースが引っ越しだ。部屋に合わせてシステム構築したが、引っ越し先ではスピーカー置き場所がなく、モチベーションも下がって2chに逆戻りしてしまう、というわけだ。そんなことを考えた時に「Sonos Arc」中心のシステムならサウンドバー単体に戻せるし、「Sonos One」「Sonos One SL」も音楽リスニング用のWi-Fiスピーカーとして再利用できる。Sonosファミリーのよさって、そうしたさまざまな意味での柔軟性にあるのではないかと思う。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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