ちまたでは、さまざまな定額制の音楽配信サービスが活況だ。「Spotify」「Amazon Music」「Apple Music」など、各サービスには毎日のように新しい楽曲が追加され、青春時代に聞いた懐かしい邦楽・洋楽もシームレスに楽しめる夢のような時代になった。
再生に必要なデバイスは、普段使用しているスマホやタブレットでOK。つまり、多くの人が再生デバイスを“すでに持っている”こともあり、どんどんユーザーが拡充している。そして、こうした配信サービスで音楽を鳴らす最も手軽なオーディオ機器として、BluetoothスピーカーやBluetoothヘッドホン/イヤホンなどのカテゴリーも大人気だ。
しかし、昔から自宅でホームオーディオを楽しんでいる人の中には、愛用しているミニコンポやオーディオを使って、スマホからの音楽再生を楽しみたいと考える人もいるだろう。せっかくなら、自分が選んだお気に入りの愛機で……。しかし、元々自宅にあるホームオーディオ機器にはBluetoothの受信機能がなく、スマホを有線接続するしかない場合も多いと思う。
そこで今回は、自宅にある手持ちのオーディオ機器をBluetooth化する方法・プランとチェックポイントをまとめてみた。昔からの愛機とスマホをワイヤレス接続して、手軽に音楽再生を楽しめる環境を作ってみよう。
まずは、シンプルに「Bluetoothレシーバー/トランスミッター」を導入して、手持ちのオーディオ機器に接続する方法だ。ラジカセ、ミニコンポ、アンプ(単品オーディオ)などを、手軽かつ安価にBluetooth対応にできる。
接続方法は簡単で、手持ちのオーディオ機器のステレオミニジャックやRCAライン入力に、Bluetoothレシーバー/トランスミッターをケーブル接続したら、レシーバー/トランスミッターとスマホをBluetoothペアリングするだけ。
Bluetoothレシーバー/トランスミッターを接続する条件はたったひとつだけで、自宅にあるオーディオ機器側にステレオミニジャックかRCAのライン入力が付いていればよい
ちなみに、Bluetoothレシーバー/トランスミッターの選択ポイントは3点ある。
1点目は、より高音質に楽しみたいなら、「aptX」「aptX HD」「LDAC」などの高音質接続コーデック対応モデルを選ぶこと。ただし送信側(スマホ/タブレット)も同じコーデックに対応している必要がある。
2点目はBluetoothのバージョンで、接続安定性が高いBluetooth 5以上のバージョンに対応したモデルを選んだほうがよい。
3点目は、レシーバー/トランスミッター側の出力端子の種類。多くの製品は、アナログ出力端子が3.5mmステレオミニジャック、またはRCA(ライン)となっているので、手持ちのオーディオ機器との接続環境を確認しよう。
Bluetoothレシーバーが3.5mm出力で、手持ちのオーディオ機器側がRCA端子を備えているといった場合は、変換ケーブルを用いて接続しよう
なお、光/同軸のデジタル出力端子を搭載するBluetoothレシーバー/トランスミッターもある。オーディオ機器側にデジタル入力端子がある場合、デジタルケーブルを使ってデジタル接続が可能だ。
ただし、デジタル接続のメリットを生かすには、オーディオ機器側がある程度新しいD/Aコンバーターを搭載している必要がある。古いオーディオ機器だと44.1kHz/16bitを超えるレゾリューションに対応しておらず、そのような場合は音が出ないことがあるので注意したい。
RCAアナログ出力のほか、4.4mmのバランス端子、光/同軸デジタル出力端子を備えているモデルも
Bluetoothレシーバー/トランスミッターは、安価なものから高価なものまで価格レンジが広い。そして価格に比例するように音質差も大きい。せっかくなら高音質モデルを選ぶのがよいだろう。以下、価格.comで買える注目モデルをピックアップしてみた。
Bluetooth Ver.5に対応する小型のBluetoothレシーバー。一般的な接続コーデックである「SBC」のほかに、iPhoneやiPadとの高音質接続が可能なAACにも対応する。3.5mmステレオミニケーブルに加え、RCA端子の変換ケーブルも付属する。
ESSテクノロジーのDACチップ「ES9018K2M」を採用したBluetoothレシーバー搭載のUSB-DAC。Bluetoothコーデックは「SBC」のほか、高音質コーデックの「LDAC」「aptX Adaptive」「aptX LL」「aptX HD」「aptX」「AAC」にも対応する。ふたつのBluetooth端末と同時に接続可能なマルチポイント接続にも対応。RCAアナログ出力に加えて光/同軸デジタル出力も装備する多機能なUSB-DAC/Bluetoothレシーバーだ。
Bluetooth接続機能を搭載した、多機能かつ音質にすぐれた「ハイレゾ・ワイヤレス・ストリーマー」をうたうモデル。Bluetooth Ver.5.1に対応し、「LDAC」「aptX HD」「aptX」「AAC」「HWA/LHDC」などの高音質コーデックに加え、遅延の少ない「aptX Low Latency」、音切れやノイズに強い「aptX Adaptive」にも対応する。内部には、低ノイズオペアンプや、高品位なキャパシターなど高音質パーツを多数搭載。出力端子はRCAアナログに加え、4.4mmのバランス端子、光/同軸デジタル出力端子を備えている。
これからアンプの買い替え予定がある場合は、これを機にBluetooth接続対応モデルを導入するのもよい。アンプをリフレッシュすることで、スピーカーやほかのソース機器を生かしつつ、オーディオシステム全体の高音質化も狙える。
Bluetooth接続機能を持つコンパクトなプリメインアンプ。接続コーデックは「SBC」に加え、「LDAC」「aptX HD」「aptX」「AAC」「LHDC」に対応する。デンマークICEpower社製クラスDアンプを採用し、最大出力は50W+50W (4Ω)を確保。DSD 11.2MHzおよびPCM 384kHz/32bitをサポートするUSB入力や、高音質ヘッドホンアンプも搭載。さらに、テレビと接続するためのARC対応HDMI端子も持つ多機能アンプだ。
横幅434mmフルサイズのプリメインアンプも、Bluetooth機能に対応しているのは珍しいことではない。「PMA-600NE」はデノンのかつての高級プリメインアンプ「PMA-SX1」の流れを汲むカスタムパーツを採用し、信号経路の最短化などに取り組んだエントリーモデルだ。Bluetoothの対応コーデックは「SBC」と「AAC」。同軸と光のデジタル音声入力も搭載する。
コンポの場合は、元々のスピーカーはそのまま生かしつつ、レシーバー部だけをBluetooth対応モデルに買い替えるという手もある。特に、Bluetooth以外にもさまざまなソースの再生が行える一体型レシーバーを選ぶと、再生機器を一挙にコンパクト化できてよい。スマホと接続してBluetooth再生する以外にも、CD再生やUSB経由でのハイレゾ再生など、新旧さまざまな音楽ソースに対応する。
なお、ネットワーク接続対応の製品を選ぶと、スマホとBluetooth接続せずとも、レシーバー単体でスマートなワイヤレスストリーミング再生が可能となる。以下、価格.comで買える注目モデルをピックアップしてみた。
※元々持っているコンポのスピーカーだけを生かす場合の注意点として、特にミニコンポのスピーカーは、ごく一部の製品で一般的なスピーカー使われる+/-端子ではなく専用端子を使用しているケースがある。このような場合、買い替えた新しいレシーバーとスピーカーが接続できないことがあるので事前に確認しておきたい。
Bluetooth再生のほか、ハイレゾ再生、ストリーミングに加え、CDやFM/AMラジオなど新旧ソースに幅広く対応する一体型の多機能レシーバー。Bluetoothのコーデックは「SBC」に対応する。最大出力60W+60W(6Ω)を誇る。
「M-C612」とよく似たCDレシーバー。ハイレゾ再生、「Spotify」「Amazon Music」などのストリーミング、FM/AMラジオなどに対応するほか、テレビと接続するためのARC対応HDMI端子を搭載する。アンプの最大出力は80W+80W (4Ω)で、Bluetoothのコーデックは「SBC」に対応。
いかがだったろうか? Bluetoothレシーバーや対応機器を導入して、自宅で愛用してきたオーディオシステムをスマホと組み合わせれば、スマートで手軽な音楽再生が可能となる。また、普段愛用しているオーディオ機器だけではなく、しばらく使っていなかった思い出の機材をBluetooth化することで復活させるよいチャンスともなるはず。スマホとストリーミングによる無限大の音楽再生を、ぜひかねてからの愛用システムで快適に楽しんでいただきたい。