Bluetoothイヤホンやヘッドホンは以前から人気のある商品だが、最近はより市場が活発になったような気がする。ご存じのようにiPhone7/7 Plusから、ヘッドホン端子が撤廃されたこともひとつの要因ではないかと思っている。
筆者の手元にもいくつかワイヤレスイヤホンがあるのだが、同時にこれまで使っていたワイヤードのイヤホン・ヘッドホンも大量にある。Shure SE 535やUltimate Ears Triple.fi 10 PROなどは今となっては古い製品だが、未だ名機として知られるイヤホンであり、まだ十分使える状態にある。Lightning — イヤホン変換コネクタを使えばつながるのだが、長時間のリスニングでは、同時にiPhoneの充電ができないのが不便だ。
そこでBluetoothのレシーバーを色々検討してみることにした。とはいえ、Bluetoothレシーバーなどは、すでにコモディティ化した製品である。「高音質」などと書かれていても、音声コーデックなど細かいスペックがわからない製品も多い。
今どきの必要な条件を整理すると、Bluetooth4.0以上は欲しい。Bluetooth Low Energy対応であれば、バッテリー持続時間の心配はいらないし、さらに4.1では距離が離れて接続が切れても自動的に再接続する機能がある。
コーデックは、iPhoneで使うならAAC対応は必須だ。aptXも欲しいところだが、現時点で筆者はaptX対応のスマートフォンを持っていないので、これは後回しでもいい。
以上の条件で探してみたところ、JPRiDEの「JPT1」という商品が見つかった。切換でBluetoothのトランスミッター にもレシーバーにもなるというのがユニークだ。メーカー直販サイトでは税込5,980円のところ、他のネットショップでは3,580円程度で売るところもあるようだ。
本体はカタログ写真で見るより小さく、いわゆる「目薬」サイズである。重量も18gしかなく、ポケットに入れておいても違和感はない。
想像したより小型のボディ
Bluetooth 4.1Class II対応で、伝送距離は約10m。バッテリーは2時間充電で、レシーバーでは約12時間、トランスミッターでは約13時間となっている。使用時間的には十分だ。
側面のスライドスイッチで送信・受信を切り換えられるようになっている。受信側では、AACに対応で、iPhoneで使用するなら十分だ。
横のスライドスイッチで送信・受信を切り換える
上部には充電用USB端子とヘッドホン端子
いっぽう、送信側では、aptX LL(Low Latency)に対応している。aptX LLはまだ普及が始まって間もないため対応機器が少ないが、今後対応ヘッドホンなどのレビュー時に送信機として使えるだろう。
現在はもっぱら受信機として使っているが、2台同時に接続しておけるので、iPhone 7とMacBook Proにペアリングしている。ただし再生音は、どちらかいっぽうからしか鳴らない。
音質のほうは、さすがAAC対応ということで、イヤホンの持つ能力もかなり発揮できる。ただし再生時には、若干ホワイトノイズが聞こえる。そういう意味ではS/Nは悪いが、音楽が鳴り始めればマスキングされるので、気にならない程度となる。最良の方法はワイヤードで直結することだが、ワイヤレスになるという利便性を考えれば、十分納得いく性能である。
「時代の名機」がBluetoothでよみがえる
若干気になるのは、表面塗装だ。手触りからすると、おそらくウレタン塗装だろう。これは湿度の高い日本では、よく加水分解されて表面がベタベタになってしまうという、例のアレである。
製品にはかなりていねいなマニュアルが付いているので、操作法やスペックでの疑問点が少ないのは評価できる。iPhone 7ユーザーに限らず、AACで伝送できるスマートフォンをお持ちの方にもおすすめできる製品だ。
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。