イベントレポート

AVアンプの最高峰! トリノフ・オーディオ「Altitude 16 MK2」、ストームオーディオ「ISP MK3」

デノン、マランツから久しぶりの高級価格帯AVアンプの存在が告知され、発売を心待ちにしているAVマニアは多いはず。実は「2022東京インターナショナルオーディオショウ」では、海外製の“超”高級AVアンプも展示/発表されていた。デノン「AVC-A1H」のようにデモンストレーションがあったわけではないが、概要を紹介しよう。

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●デノン最上位AVアンプ「AVC-A1H」、マランツ「AV10」「AMP10」参考展示

他の追随を許さないハイエンドAVアンプの旗手、トリノフ・オーディオ

トリノフ・オーディオの「Altitude 16 MK2」。最大20chの音声信号処理に対応する。オーバーヘッドスピーカーのアサイン本数、ベースマネージメントなど、設定の自由度の高さは圧倒的

トリノフ・オーディオの「Altitude 16 MK2」。最大20chの音声信号処理に対応する。オーバーヘッドスピーカーのアサイン本数、ベースマネージメントなど、設定の自由度の高さは圧倒的

まず筆者の目にとまったのは、Trinnov Audio(トリノフ・オーディオ)のAVプリアンプ「Altitude 16 MK2」。トリノフ・オーディオは高級AVプリアンプ(プロセッサー)の旗手と言える存在だ。2003年にメーカー初の製品を発表して以来、音響補正の技術で名を上げて、録音スタジオや放送局など主に業務用製品を手がけてきた。そのトリノフ・オーディオが家庭用製品をリリースしたのは2013年のこと。2ch用のサウンド・オプティマイザー(イコライザー)やプリアンプ、そしてホームシアター向けAVプリアンプ「Altitude 32」などを発売。日本でも2014年には製品が紹介されることとなった。

「Altitude 16 MK2」の主要スペック
●希望小売価格は3,630,000円(税込)
●最大20chプロセッシング対応(16ch+拡張4ch)
●HDMI入力7系統、HDMI出力2系統(アップデートでHDMI2.1に対応予定)
●Dolby Atmos、DTS:X Pro、Auro-3Dなどに対応
●Roon Ready(サラウンド対応)

特定のDSPチップに依存せず、インテルプロセッサー上で動く独自のソフトウェアを搭載することがトリノフ・オーディオ製品の根幹だ。そのため、陳腐化の速いAVの世界にあっても、柔軟に最新規格に対応できる。なお、HDMI端子などのハードウェアが関わる部分については、基板交換によるハードウェアアップデートを実施してきた経緯がある。

最新規格への対応という点だけであれば、最新のAVアンプを都度購入すればよいとも言える。トリノフ・オーディオの価値は高度なデジタル音声信号処理能力にある。サラウンドシステムでは多数のスピーカーの距離や音量を調整する必要があるが、トリノフ・オーディオの処理はそれだけにとどまらない。各スピーカーの周波数特性はもとよりスピーカー同士の位相特性の管理、反射/残響特性の補正を行い、最終的には設置したスピーカーの数、場所に合わせて、本来出てくるべき音を「リマッピング」して出力する。

ものすごくおおざっぱに言えば、スピーカーの場所を問わず、理想的なスピーカー配置にした場合の音と同じように聞こえるよう“いい具合”にしてくれる。こういったデジタルドメインでの処理はしないにこしたことはないのだが、スピーカーの数が10を超えるようなDolby Atmos再生サラウンドシステムを構築する場合、そうも言っていられない。事実上デジタル補正が必須という状況下で、この処理精度がとても重要になる。

たとえば、Dolby Atmos、DTS:X、Auro-3Dという「イマーシブオーディオ」の規格3つをとってみると、どれも推奨されるオーバーヘッド(ハイト/トップ)スピーカーの位置は異なる(DTSは“どこでもよい”としている)。つまり、各フォーマットの再生時にはAVアンプ/プロセッサーの処理の仕方、能力が効いてくることになるのだ。

ここがデノン、マランツの新AVアンプに音響補正技術「Dirac Live」が新搭載された大きな理由だろう。AVマニアは、2023年だという「Dirac Live」のアップデート対応に注意を払ってほしい。

トリノフ・オーディオ製品のベースマネージメント設定画面。chごとに低域の再生を任意のスピーカーに任せられる。たとえば、センタースピーカーの低域はフロントL/Rスピーカーから出力する、といったことが可能だ。もちろん、サブウーハーを複数個使い、任意のchの低域を受け持たせることもできる

トリノフ・オーディオ製品のベースマネージメント設定画面。chごとに低域の再生を任意のスピーカーに任せられる。たとえば、センタースピーカーの低域はフロントL/Rスピーカーから出力する、といったことが可能だ。もちろん、サブウーハーを複数個使い、任意のchの低域を受け持たせることもできる

各種デジタル音声信号処理は専用のマイク(別売)での測定が前提になっている。これもトリノフ・オーディオのオリジナル品だ

各種デジタル音声信号処理は専用のマイク(別売)での測定が前提になっている。これもトリノフ・オーディオのオリジナル品だ

前置きが長くなったが、「Altitude 16 MK2」は、オリジナルモデル「Altitude 16」のアップデートバージョン。「Altitude 16」は、32ch分の音声信号を192kHz/24bit処理可能な「Altitude 32」の弟機として登場した製品で、16ch音声信号を96kHz/24bit処理可能という必要十分な機能性が売りだった。アップデートの主要ポイントは以下のとおり。

●ESSテクノロジー社のD/Aコンバーター、A/Dコンバーターチップの採用
・デジタル音声出力を活用することでさらに4ch分の拡張が可能(最大20ch)
・アップデートによるHDMI2.1規格への対応(2023年予定)

「MK2」での大きなポイントはD/Aコンバーター、A/Dコンバーターの変更だ。「Altitude 16 MK2」の内部処理はすべてデジタルドメインで行われる。このための主要パーツの変更は音質にも大いに影響を与えそうだ。オリジナルの「Altitude 16」のユーザーは550,000円(税込)で「MK2」へのアップグレードサービスを受けられるのもうれしい。

「Altitude 16 MK2」と同時に展示された16chパワーアンプ「Amplitude 16」。希望小売価格は2,200,000円(税込)。ICEpowerモジュールを採用したD級増幅アンプで、定格出力は200W(8Ω)

「Altitude 16 MK2」と同時に展示された16chパワーアンプ「Amplitude 16」。希望小売価格は2,200,000円(税込)。ICEpowerモジュールを採用したD級増幅アンプで、定格出力は200W(8Ω)

「Amplitude 16」の背面パネル。接続は25ピンのD-sub端子「DB25」2系統で行う。2chごとにBTL接続も可能で、その場合の定格出力は800W(8Ω)。2系統の電源供給が必要なことに注意

「Amplitude 16」の背面パネル。接続は25ピンのD-sub端子「DB25」2系統で行う。2chごとにBTL接続も可能で、その場合の定格出力は800W(8Ω)。2系統の電源供給が必要なことに注意

「Dirac Live」対応のストームオーディオ

トリノフ・オーディオと双璧をなす、ハイエンドAVプリアンプと言えばStorm Audio(ストームオーディオ)。こちらも新世代の製品「ISP MK3」が発表された。対応音声処理ch数に応じて3種の製品をラインアップする。

外観を一新したストームオーディオの「ISP MK3」

外観を一新したストームオーディオの「ISP MK3」

「ISP MK3」シリーズの価格
「ISP.16 Analog MK3」 16ch音声対応対応 希望小売価格:2,420,000円(税込)
「ISP.24 Analog MK3」 24ch音声処理対応 希望小売価格:2,750,000円(税込)
「ISP.16 Analog MK3」 32ch音声処理対応 希望小売価格:2,970,000円(税込)
※いずれも受注生産品


「ISP MK3」の共通主要スペック
●HDMI入力7系統、HDMI出力2系統(アップデートでHDMI2.1に対応予定)
●Dolby Atmos、DTS:X Pro、Auro-3Dなどに対応
●Roon Ready(2ch対応)

ストームオーディオの「ISP MK3」は新デザインのシャーシを採用したことが最も大きなポイントのようだ。D/Aコンバーター(アナログデバイセズ社のADAU1966)やDSPチップなどのハードウェア構成には変更が加えられていない。

ストームオーディオもやはり業務用の世界から派生したブランドだ。元々はチャンネルベースの「イマーシブオーディオ」規格Auro-3Dを提案した、ベルギーのAuro Technologies社が製品を展開していた。つまり、Auro-3Dの本家によるハードウェアだったということ。その後、2018年にブランドはフランスImmersive Audio Groupに移管されて現在にいたる。ちなみに、「イマーシブオーディオ」(※イマーシブとは没入感のあるという意味)という言葉を初めて使ったのがAuro Technologies社のCEO Wilfried Van Baelen(ヴィルフリート・ヴァン・べーレン)氏であったそうだ。

「ISP MK3」の魅力も、やはりその音声処理能力の高さにある。上記のとおり16ch以上の音声信号を処理できるほか、「Flexible Bass Management」機能によって各chの低域を任意のスピーカー/サブウーハーに割り当てられる。このほか、独自のアップミックス機能として「StormXT」を搭載。入力した音声信号に応じて、設置したスピーカーすべてから音声を出力するというオリジナルのエンジンだ。

もちろん、周波数特性のほかさまざまな音響補正が可能で、それらはスウェーデンのDirac Research社が手がける「Dirac Live」による。この精度の高さはマニアの間では定評があり、そのためにデノン/マランツの製品の「Dirac Live」にも注目が集まっているというわけだ。ただし、同じ「Dirac Live」であってもデノン/マランツのAVアンプの機能がまったく同じであるかどうかは不明だ。続報を待ちたい。

また、ストームオーディオのAVプリアンプもハードウェアアップデートに対応する製品であることも特筆しておきたい。16ch対応品を24/32ch対応へとアップグレード可能なほか、2023年中にHDMI基板のアップグレードも計画しているという。

トリノフ・オーディオとストームオーディオ、どちらの製品も絶対的な価格は「高い」と言わざるを得ないが、アップグレードサービスも駆使しつつ、長く使えるAVプリアンプは貴重な存在だ。Dolby Atmosなど、イマーシブオーディオの再生を突き詰めたいマニアには改めて注目いただきたい。

最後に、数あるオーディオ製品の中から「AV」に関連した新製品をいくつかピックアップして紹介する。どれも正式な発表、発売は少し先になるはず。続報は別途お届けするつもりだ。

ストームオーディオの輸入代理店ナスペックのブースには、プライマーの8chパワーアンプ「A35.8」も参考展示されていた。Hypex Electronics社によるD級増幅アンプモジュールを搭載し、出力値は150W(8Ω)。2chごとにBTL接続でも使用可能だ。価格は未定だが、スウェーデン本国の希望小売価格は5,000ユーロ

ストームオーディオの輸入代理店ナスペックのブースには、プライマーの8chパワーアンプ「A35.8」も参考展示されていた。Hypex Electronics社によるD級増幅アンプモジュールを搭載し、出力値は150W(8Ω)。2chごとにBTL接続でも使用可能だ。価格は未定だが、スウェーデン本国の希望小売価格は5,000ユーロ

同じくナスペックブースでの新製品、モニターオーディオの「Platinum 3G」シリーズ。ツイーター、ミッドレンジ、ウーハーいずれのドライバーも新設計で、「50年の間に培ってきたノウハウのすべてを投入し開発された」という。左のブックシェルフタイプ「Platinum 100 3G」のペア予定希望小売価格は990,000円(税込)、右のシリーズ最大サイズモデル「Platinum 300 3G」のペア予定希望小売価格は2,640,000円(税込)

同じくナスペックブースでの新製品、モニターオーディオの「Platinum 3G」シリーズ。ツイーター、ミッドレンジ、ウーハーいずれのドライバーも新設計で、「50年の間に培ってきたノウハウのすべてを投入し開発された」という。左のブックシェルフタイプ「Platinum 100 3G」のペア予定希望小売価格は990,000円(税込)、右のシリーズ最大サイズモデル「Platinum 300 3G」のペア予定希望小売価格は2,640,000円(税込)

こちらもモニターオーディオのスピーカー。インウォールでもオンウォールでも使える「Cinergy(シナジー)」シリーズの製品だ。採用された技術は同社の「Platinum Series II」に準じたもの。後方左の「Cinergy 300」には台座も付いているので、通常のフロアスタンディング型スピーカーとしても利用可能。スピーカーを揃えたサラウンドシステムの検討にうってつけ。1本あたりの予定希望小売価格は「Cinergy 300」が1,210,000円(税込)、右端の「Cinergy 200」が935,000円(税込)、前方右「Cinergy 100」が517,000円(税込)、前方左「Cinergy Sub15」が517,000円(税込)

こちらもモニターオーディオのスピーカー。インウォールでもオンウォールでも使える「Cinergy(シナジー)」シリーズの製品だ。採用された技術は同社の「Platinum Series II」に準じたもの。後方左の「Cinergy 300」には台座も付いているので、通常のフロアスタンディング型スピーカーとしても利用可能。スピーカーを揃えたサラウンドシステムの検討にうってつけ。1本あたりの予定希望小売価格は「Cinergy 300」が1,210,000円(税込)、右端の「Cinergy 200」が935,000円(税込)、前方右「Cinergy 100」が517,000円(税込)、前方左「Cinergy Sub15」が517,000円(税込)

1970年代のスピーカーをモチーフにした、JBLの「Classic」シリーズにピアノフィニッシュバージョンが登場。左の「L100 Classic Black Edition」ではクロスオーバーネットワークも改め、音質向上を図ったという。右は「L52 Classic Black Edition」。どちらも価格は未定

1970年代のスピーカーをモチーフにした、JBLの「Classic」シリーズにピアノフィニッシュバージョンが登場。左の「L100 Classic Black Edition」ではクロスオーバーネットワークも改め、音質向上を図ったという。右は「L52 Classic Black Edition」。どちらも価格は未定

同じくJBLの「STAGE-XD5」。鳴りっぷりのよさで人気を得た「Conrol X」の家庭用バージョンと言ったところ。25mmドーム型ツイーターと130mmコーン型ウーハーによる、2ウェイ仕様

同じくJBLの「STAGE-XD5」。鳴りっぷりのよさで人気を得た「Conrol X」の家庭用バージョンと言ったところ。25mmドーム型ツイーターと130mmコーン型ウーハーによる、2ウェイ仕様

壁/天井設置のためのブラケットが付属することが「STAGE-XD5」の特徴。オーバーヘッドスピーカーにぴったりのモデルだ

壁/天井設置のためのブラケットが付属することが「STAGE-XD5」の特徴。オーバーヘッドスピーカーにぴったりのモデルだ

柿沼良輔(編集部)

柿沼良輔(編集部)

AVの専門誌を編集して10年超。「(デカさ以外は)映画館を上回る」を目標にスピーカー総数13本のホームシアターシステムを構築中です。映像と音の出る機械、人が一生懸命つくったモノに反応します。

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