特別企画

「Fire TV Cube」+「Echo Studio」でミニマムなホームシアターシステムをつくろう!

11月のブラックフライデーのほか、初夏のプライムデーやほぼ毎月のタイムセール祭りなど、Amazonではひんぱんに大型セールが開催される。なかでもAmazonの自社デバイスは50%以上の割引対象になる製品が多く、セール期間中に「Fire TV」や「Fireタブレット」「Echo」「Kindle」など、何かしらのAmazonデバイスを手に入れたという人も大勢いるだろう。

ここでは第3世代の「Fire TV Cube」と、音質に関わるソフトウェアアップデートが施された「Echo Studio」2台を自宅リビングの液晶テレビに組み合わせて、最新Amazonデバイスによるミニマムなホームシアターシステムを構築。そのパフォーマンスを検証してみた。本稿は「Echo Studio」をサウンドバー的に使ってみよう、という提案でもある。

「Fire TV Cube」と「Echo Studio」2台の接続イメージ。「Fire TV Cube」の第3世代モデルはHDMIの出力だけでなく、入力も備えるため、ブルーレイプレーヤーとの連携も検討する。また、テレビで再生された音声はHDMIのeARC/ARC機能で「Fire TV Cube」に“戻り”、「Echo Studio」から出力される。つまり各デバイスで再生された音声は常に「Echo Studio」から出力されるミニマムなホームシアターシステムが完成するのだ。「Fire TV Cube」と「Echo Studio」が一体型のコンテンツ再生機/サウンドバーとして機能するイメージだと言える。なお、eARC/ARCについては「Fire TV Stick 4K Max」も対応しているため、HDMI入力不要であれば同じようなシステムを実現できる

「Fire TV Cube」と「Echo Studio」2台の接続イメージ。「Fire TV Cube」の第3世代モデルはHDMIの出力だけでなく、入力も備えるため、ブルーレイプレーヤーとの連携も検討する。また、テレビで再生された音声はHDMIのeARC/ARC機能で「Fire TV Cube」に“戻り”、「Echo Studio」から出力される。つまり各デバイスで再生された音声は常に「Echo Studio」から出力されるミニマムなホームシアターシステムが完成するのだ。「Fire TV Cube」と「Echo Studio」が一体型のコンテンツ再生機/サウンドバーとして機能するイメージだと言える。なお、eARC/ARCについては「Fire TV Stick 4K Max」も対応しているため、HDMI入力不要であれば同じようなシステムを実現できる

オクタコアプロセッサー搭載でサクサク動く「Fire TV Cube」

まずは両デバイスの概要とそれぞれを個別に使ってみた印象を紹介しておきたい。メディアストリーミングプレーヤーの「Fire TV Cube」は、「Fire TV」シリーズの最上位モデルにあたり、2018年6月発売の第1世代(日本未発売)、2019年11月発売の第2世代に続く第3世代モデルとなる。CPUにオクタコアプロセッサー(2.2GHz×4/2.0GHz×4)を搭載し、第2世代モデルに比べて処理速度が20%アップ。Wi-Fi 6への対応により、安定的な4Kストリーミングを実現しているという。

現行の「Fire TV Stick」や「Fire TV Stick 4K Max」との最も大きな違いは、Alexaによる音声コントロールが可能なスマートスピーカー機能「Echo」が内蔵されていること。「Fire TV Stick」シリーズがネット動画を再生するためのメディアストリーミングプレーヤーに機能特化した製品であるのに対して、「Fire TV Cube」はメディアストリーミングプレーヤー+Echoスピーカーの複合機という位置付けになっている。

「Fire TV Cube」第3世代モデル

「Fire TV Cube」第3世代モデル

第2世代モデルとの違いを外観から見ていくと、第2世代モデルはスピーカーが本体底面に向けて配置され、側面が光沢仕上げとなっていたが、第3世代モデルではスピーカーが本体前向きに配置され、同時に側面をぐるっとファブリックで覆った仕上げに変更されている。「置き場所によってはAlexaの音声が聞き取りにくい」「本来高級感を醸すはずの光沢仕上げなのに、指紋やホコリが付着しやすくて気になる」などの声があった第2世代モデルに比べると、第3世代は設置の自由度がアップし、よりインテリアにもなじみやすくなったという印象だ。コーナーにラウンド加工が施されたところにも、ファミリーユースへの細かな配慮がうかがえる。

メディアストリーミングプレーヤー/スマートスピーカーとしてリビングでの幅広い用途が想定されている「Fire TV Cube」は、本格的なホームシアターシステムの中核として組み込むこともできそうだ。第3世代モデルで新たに装備された「HDMI入力」は、その最たるポイントだろう。ブルーレイプレーヤーなどを「Fire TV Cube」に接続することでAlexaの音声コントロールが適用できるようになるほか、本機に搭載される解像度復元機能とアップスケーリング機能により、4K解像度に満たない映像信号を4Kに変換できる(機能オフも可能)。

このほか端子まわりの第2世代モデルからの変更点としては、USB Type-A端子の装備、100Mbps対応の有線LAN端子の装備(第2世代はアダプターにて対応)などがあげられる。これらの変更も、ホームシアター/オーディオビジュアル(AV)趣味のニーズを満たすものと考えられ、その方面のユーザーには歓迎されるはずだ。

「Fire TV Cube」第3世代モデルの背面端子。HDMI入力、有線LAN端子、USB Type-A端子が新搭載された。USB端子はウェブカメラなどの接続が想定されているそうだ

「Fire TV Cube」第3世代モデルの背面端子。HDMI入力、有線LAN端子、USB Type-A端子が新搭載された。USB端子はウェブカメラなどの接続が想定されているそうだ

テレビとの接続に、これといった難しいところはない。我が家のリビングで使っている55V型の液晶テレビ、TVS REGZA「55Z670K」のeARC/ARC対応HDMI入力と「Fire TV Cube」のHDMI出力をつなぎ、あとはメニューの指示にしたがって進めば基本的な設定が完了した。本機を導入される人の多くは、すでにAmazonアカウントをお持ちだと思う(そうでない人は、まずはAmazonアカウントをつくることになる)。画面に表示されるQRコードからサインインすれば、アクティベーションコードが自動入力され、自身のアカウントと「Fire TV Cube」がリンクされる。

筆者がリビングの「55Z670K」でネット動画を見る際は、本体(Android TV)で各サービスのアプリを立ち上げて視聴していて、これまでは特に不満もなかったのだが、「Fire TV Cube」の操作性は上下左右への画面スクロールがとにかく機敏で、サクサクと歯切れよく動く。アプリの起動時間やインストールの速度、リモコンのボタンを押したあとのレスポンスの速度なども総じて速いようだ。

先述のように、オクタコアプロセッサーを搭載したことで「Fire TV Cube」第2世代モデルよりも処理速度が20%アップしたそうだが、これはクアッドコアプロセッサー(1.8GHz×4)搭載の「Fire TV Stick 4K Max」と比べると2倍の処理速度なのだとか。“「Fire TV Cube」か「Fire TV Stick 4K Max」か”という二択で迷った場合、Echoスピーカー機能の有無を別にすれば、両者の最大の違いはここにあると言っていいだろう。

また、今回は有線/無線の接続を比較検証の結果、大きな違いが感じられなかったので無線(Wi-Fi)接続としたが、ネットワーク環境によっては有線LAN端子を活用しない手はない。

「Fire TV Cube」第3世代モデルの付属リモコン。2021年製のテレビ「55Z670K」は、OSにAndroid TVを採用している。そのため、さまざまなネット動画をアプリで再生できるのだが、動作の俊敏さは「Fire TV Cube」に及ばない

「Fire TV Cube」第3世代モデルの付属リモコン。2021年製のテレビ「55Z670K」は、OSにAndroid TVを採用している。そのため、さまざまなネット動画をアプリで再生できるのだが、動作の俊敏さは「Fire TV Cube」に及ばない

今回は木製テレビラックの下段に設置した

今回は木製テレビラックの下段に設置した

「空間オーディオ処理技術」が新搭載された「Echo Studio」

「Echo Studio」は、Amazonの展開するスマートスピーカー、「Echo」シリーズの最上位モデルである。2019年の発売当初はチャコールのみの1色展開だったが、2022年10月に新色のグレーシャーホワイトがカラーバリエーションとして追加された。両者に色以外の違いはなく、価格も同じ。グレーシャーホワイトのソフトウェアには先行して「空間オーディオ処理技術」が加わり、既発のチャコールでもファームウェアアップデートにより同様の処理技術が使えるようになった。

左がチャコールで右がグレーシャーホワイト

左がチャコールで右がグレーシャーホワイト

「Echo Studio」のハードウェア的な仕様を見ていくと、本機は2インチのミッドレンジが左右と天面に計3基、1インチのツイーターが前面に1基、そして5.25インチのウーハーが底面に1基装備され、それらのユニットが合計330W出力のパワーアンプで駆動される。合わせて本体に7つのマイクが搭載されており、再生している音をリアルタイムで感知しながら環境に最適化。臨場感のあるサウンドを実現するという。

「Echo」シリーズの中で最も物量を投じられた“ハイファイスピーカー”であり、巷(ちまた)で話題の「空間オーディオ」の再生にも注力されている。たとえばAmazon Music Unlimitedにアップされている楽曲のうち、Dolby Atmos対応であることを示す「ATMOS」のバッジや、ソニーの360 Reality Audioに対応していることを示す「360」のバッジが表示されている楽曲の場合、それを「Echo Studio」で再生すると、1台のみでも空間オーディオの広がり感のある音場再生が可能となる。

スピーカー構成やボタンの配置なども含め、ハードウェア的な仕様は2019年発売のチャコールモデルと同じ

スピーカー構成やボタンの配置なども含め、ハードウェア的な仕様は2019年発売のチャコールモデルと同じ

「空間オーディオ処理技術」の音は“いい感じに映える”

アップデートされた「空間オーディオ処理技術」は、簡単に言えば「空間オーディオ」として配信される「ATMOS」や「360」の表示がある音源以外、つまり通常の2ch音源などに対しても独自の空間オーディオ処理をかけて疑似的に空間オーディオのような没入感のあるサウンドを実現できるというもの。Alexaアプリの「ステレオ空間エンハンスメント」という項目でこの「空間オーディオ処理技術」のオン/オフを切り替えられるが、それを聞き比べれば効果は明白だ。端的に言えば、リビングのようにリスニングポジションが明確に定まっていない場所で聞く2ch音源における余韻が拡張され、音楽がより空間に溶け込む印象。もっと簡単に言えば、その空間にいる人に等しく“いい感じの音”だと思わせる、“聞き映えのする音”に変化するという印象がある。

「Echo Studio」2台をペアリングした状態で「空間オーディオ処理技術」をオンにした2ch音源を聞くと、きわめて広がり感のある、それでいて音像の定位にも違和感をそれほど覚えない再生を楽しめた。現代的なサウンドプロダクションが冴えるルイス・コールの新作「Quality Over Opinion」から、音のすきまを生かした坂本龍一の映画のテーマ曲「After Yang Main Theme -solo- 」まで、「2ch音源だからこういう音で鳴るだろう、鳴ってほしい」というこちらの思いを気持ちよく裏切ってくれる、新鮮味のある鳴り方だ。映画再生だけでなく、音楽再生にも楽しく使える2chスピーカーである。

「ATMOS」「360」音源では、より立体的な空間が浮かび上がる

「ATMOS」のバッジが表示された、ザ・ビートルズ「Revolver」と、「360」のバッジが表示された大滝詠一「A LONG VACATION」。両アルバムを聞くと、「Revolver」の6曲目「Yellow Submarine」では、間奏(1:28〜)のセリフや効果音が立体的に配置されるように空間に浮かび上がり、Dolby Atmosの再生環境が整った映画館やホームシアターで映画を見ているときの楽しさを思い出させる。また「A LONG VACATION」の1曲目「君は天然色」では、イントロ(0:35〜)の「ジャン・ジャン、ジャ・ジャン〜」という大編成によるユニゾンのフレーズが耳の真横あたりまで大きく広がり、楽曲のスケール感が豊か。一般的なBluetoothスピーカーやヘッドホン/イヤホンで空間オーディオを聞くと、ボーカルなどの中域成分が奥に引っ込むように感じることが多々あるが、「Echo Studio」2台による再生はそのあたりの課題をかなり解消しているように感じた。

「Fire TV Cube」+「Echo Studio」2台のミニマム構成ながら、サラウンド効果は絶大!

というわけで、ここからは「Fire TV Cube」に「Echo Studio」2台を組み合わせたミニマムホームシアターの再生クオリティと、システム構築で見えてきた留意点などをレポートしていきたい。

「Fire TV Cube」とペアリングした2台の「Echo Studio」は、Wi-Fi経由で連携する。基本的にはAlexaアプリ「デバイス」のセットアップ画面でネットワーク上にある2台の「Echo Studio」を選択し、Lch/Rchを振り分けるだけ。これだけで「Fire TV Cube」を核とするAmazon製ミニマムホームシアターシステムができあがる。

ネットワーク環境やWi-Fiの周波数の違いなどによって、「Fire TV Cube」や「Fire TV Stick 4K Max」と2台の「Echo Studio」がうまくつながらない、という声を耳にするが、とりあえず我が家ではすんなりつながった。もしつながらない場合は、「Wi-FiルーターとAmazonデバイスを近くに置く」「それぞれを同一のWi-Fiルーター、同一のSSIDにつなぐ」などの留意点をチェックいただきたい。

自宅リビングルームにて、Amazonデバイスを使ったミニマムなホームシアターシステムを構築。「Echo Studio」2台はテレビの両脇にステレオスピーカーとして設置している

自宅リビングルームにて、Amazonデバイスを使ったミニマムなホームシアターシステムを構築。「Echo Studio」2台はテレビの両脇にステレオスピーカーとして設置している

自宅リビングルームのTVS REGZA「55Z670K」とこのシステムを組み合わせて、1週間ほどテレビ放送やネット動画をいろいろと見てみたのだが、普段テレビの内蔵アプリとスピーカーでの再生に甘んじている筆者の現状からすると、格段のクオリティアップに驚かされる瞬間が多々あった。せっかくテレビも「Fire TV Cube」もARCに対応しているのだから、テレビ放送を含む各種映像コンテンツの音声をテレビの内蔵スピーカーで鳴らすだけではもったいない。

「Echo Studio」の価格は、Amazonで29,980円(税込)なので、このシステムのスピーカーの価格は2台で6万円弱。この価格でここまでの使い勝手と音質が得られるのなら、同価格帯のサウンドバーと同等以上の価値があると思う。本格的なホームシアターへの入門として多くの人のおすすめできる! と感じた次第だ。

Amazonプライム・ビデオで「ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期」(5.1ch)の冒頭のシークエンスを再生すると、一気に作品世界に引き込まれる。薄暗い執務室でマイケル・コルレオーネに助けを求める大司教の強張った表情、部屋の天井の高さを物語る声の響きが、自然にこちらまで届く。静寂に潜む暗騒音も的確に再現され、リビングに居ながら「映画を見ている」という実感がしっかりと得られる。

さらにAmazonプライム・ビデオで配信が始まったばかりの「シン・ウルトラマン」(5.1ch)を再生すると、明らかに地球の生命体ではないウルトラマンの“異物感”が、映像と音で意図的に表現されているのがよく伝わってくる。ツルツルの体が景色になじむことを避けるようにほのかに発光している様子が精細感たっぷりに描き出されているし、禍威獣(かいじゅう)に向けて発射されるスペシウム光線とそれによる破壊音のコントラストは、テレビの内蔵スピーカーでは味わえないレベルだ。

音について言えば、同じくAmazonプライム・ビデオの「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(5.1ch)における瀑布の上から下への音の動きや轟音を上げるエンジンの低音の沈み込み、そしてApple TV+で配信される「マクベス」(Dolby Atmos)の、極限まで削ぎ落とされた演出の中で発せられるドアのノック音の説得力などにもハッとさせられた。いずれの作品でも音像がブレることなく映像と同期しながら、広がりのある余韻を聞かせる。

特に「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では、頭上をクルマが飛び越えていくシーンで高さ方向のニュアンスが出ていたり、耳の真横からやや後ろあたりまで音場が広がったりと、かなりサラウンド感が演出される。最近はサウンドバーにもイネーブルドスピーカーを内蔵したDolby Atmos対応モデルがいろいろ出てきたが、頭上をクルマが飛び越える瞬間に関してはこれまでサウンドバーで体験した以上の高さ表現が実現されているし、横方向への豊かな広がり感にもセパレート2chステレオシステムであることのアドバンテージが感じられた。

「Fire TV Cube」+「Echo Studio」2台というシステムは、「本格ホームシアターには手が届かないけれど、映画館のような体験を家庭でも味わいたい」というニーズに的確に応えてくれると思う。ステレオ再生における新たな提案として、今後の進化が楽しみだ。

そのほかの再生設定については、「Fire TV Cube」の「設定」から「ディスプレイとサウンド」を選び、「オリジナルのフレームレートに合わせる」をオンに設定。これにより、24pのコンテンツはオリジナルのまま24pで再生されるはずだが、どうやら現状ではAmazonプライム・ビデオ以外での24p再生は対応していないようだ。Disney+やNetflix、Apple TV+にも24pで見たい作品がたくさんあるのに……という声が聞こえてくるけれども、ここはひとまずファームウェアでのアップデートを期待したいところ。

「オリジナルのフレームレートに合わせる」をオンに設定すると、24p(1秒あたり24コマの映像)で配信される映画コンテンツを24pのまま再生できる。ただし、「対応するアプリ」という制限があり、現状ではNetflixやDisney+などには対応していなかった

「オリジナルのフレームレートに合わせる」をオンに設定すると、24p(1秒あたり24コマの映像)で配信される映画コンテンツを24pのまま再生できる。ただし、「対応するアプリ」という制限があり、現状ではNetflixやDisney+などには対応していなかった

TVS REGZA(東芝)のテレビであれば、再生映像の情報を簡単に画面表示できる。60Hzの周波数でプログレッシブ表示されている左が「60p」、24Hzの周波数でプログレッシブ表示されている右が「24p」の再生時。24pの映画素材を「60p」で表示すると、不要な変換でオリジナルの質感が変わってしまうことがあるのだ

TVS REGZA(東芝)のテレビであれば、再生映像の情報を簡単に画面表示できる。60Hzの周波数でプログレッシブ表示されている左が「60p」、24Hzの周波数でプログレッシブ表示されている右が「24p」の再生時。24pの映画素材を「60p」で表示すると、不要な変換でオリジナルの質感が変わってしまうことがあるのだ

HDMI入力の使い勝手はどうか?

もしHDMI入力の搭載を理由に新しい「Fire TV Cube」の購入を考えているならば、ブルーレイ/Ultra HDブルーレイプレーヤーの接続については安心してよさそうだ。ソニーのブルーレイプレーヤー「BDP-S6500」と組み合わせた限り、HDMI入力の切り替えは「Fire TV Cube」のリモコンで簡単にできて、ブルーレイプレーヤーの音も各種ネット動画とシームレスに「Echo Studio」で再生できた。ただし、レコーダーの接続がうまくいかないという報告がAmazonのフォーラムで上がっている状態だ。この点には注意したほうがよいだろう。

また、HDMI入力で解像度復元の効果も試してみた。先ほどと同じく「設定」から「ディスプレイとサウンド」を選び、「解像度復元」をオンに設定することで、「Fire TV Cube」に入力された映像信号やアプリで再生した映像信号に対して超解像処理が働く。ブルーレイソフト「わたしを離さないで」をテレビ直結と「Fire TV Cube」経由で見比べると、室内の背景や毛髪がアップになるシーンでその効果を感じられたが、見るコンテンツによってはほとんど効果が感じられない場合もある。これについては大きな期待はしないほうがよいかもしれない。

つなぐ相手が4Kテレビならば、この「解像度復元」をしなくとも最終的にはテレビが元素材の4Kアップスケーリングを行うことになる。このクオリティは使うテレビによって異なるので、どちらのアップスケーリングがよりすぐれているか、気になる場合はご自身の環境で実際に見比べて確認してほしい。

ソニー「BDP-S6500」と「Fire TV Cube」をHDMIで接続しブルーレイソフト各種を再生した

ソニー「BDP-S6500」と「Fire TV Cube」をHDMIで接続しブルーレイソフト各種を再生した

設定画面で「解像度復元」のオン/オフを切り替え、画質の変化をチェック

設定画面で「解像度復元」のオン/オフを切り替え、画質の変化をチェック

まとめ:「Fire TV Cube」+「Echo Studio」2台のシステムはコストパフォーマンスにすぐれた選択肢のひとつだ

そもそもAmazonデバイスだけで“ホームシアター的”なシステムを構築できるようになったのは、テレビの音をHDMIケーブル1本でアンプなどに“戻せる”ARCの規格とその進化があってこそのもの。その動作がとても安定していることに、ひと通り使い終わったあとではたと気づいた。「Fire TV」シリーズの可能性が「テレビに挿すだけで素早く手軽にネット動画が見られる安価なガジェット」という一点に限定されない背景には、ARCやeARCによるクオリティの担保があることを改めて意識させられる。

ちなみにAppleには「Apple TV 4K」という、「Fire TV Cube」の競合機にあたる製品がある。AVアンプやプロジェクター、マルチチャンネルスピーカーを使った大掛かりなシステムを構えるユーザーは、メディアストリーミングプレーヤーとしてこの「Apple TV 4K」をチョイスするケースが多い。しかし、Appleデバイスで今回のようなミニマムホームシアターを構築しようと思うと、スピーカー選びにおいて物足りなさが生じる。なぜなら現状、Appleのスマートスピーカーの現行品は「HomePod mini」のみで、Amazonの「Echo Studio」の対抗馬であった「HomePod」が生産終了品になっているからだ。そういう意味でもAmazonデバイスによるホームシアターシステムの構築は、とてもコストパフォーマンスにすぐれた選択肢のひとつだと言える。サウンドバー代わりの候補としても、ぜひ一度検討してみてほしい。

伊藤隆剛

伊藤隆剛

雑誌編集者、広告デザイナー/プロデューサーを経て、フリーランスのライター/エディターへ。音楽・映画・オーディオ/AV系ガジェットのレビュー、インタビュー&構成を得意分野とする。愛用スピーカーはハーベス「HL-Compact」。

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