最近、テレビ見てますか?
家にテレビがないという知り合いも何人かいますが、映画、ドラマ、お笑い番組、スポーツ、ネット動画など大画面で楽しみたいコンテンツが世の中にはあふれています。筆者は55V型のテレビでいろいろと楽しんでいますが、最近、子どもが大きくなり、以前よりテレビの前にいられる時間が長くなってきました。テレビを見ていて、気になっているのが “音”です。漠然とですが、もう少しいい音で楽しめないものかと思うようになったのです。
しかし、都内の狭い集合住宅で、大きな音は出せないし、予算も限られます……。どうしたらいいものか、価格.comマガジンのAV家電担当者に相談したところ、「サウンドバーがいいのでは?」ということで、ヤマハの最新モデル「SR-B30A」を試してみました。
簡単かつ手ごろな価格でテレビの音をアップグレードできるサウンドバー。今回はヤマハの最新モデル「SR-B30A」でサウンドバーの魅力を味わってみました
こちらの記事で紹介されているように、テレビの音質を改善する方法はいくつかありますが、面倒なのは極力避けたいところ。そもそも高級スピーカーを購入する予算も、サブウーハーなど複数のスピーカーを設置するスペースもありません! AV家電担当者に相談したところ、「そんな三浦さんには、サウンドバーがいいのでは?」とアドバイスをもらいました。
確かに! サウンドバーならHDMIケーブル1本で接続できるし、置き場所も取りません。しかも、価格の安いモデルもあります。簡単かつ低予算でテレビの音をよくしたいという筆者のニーズにピッタリ。ちなみに、コロナ禍のおうち時間充実アイテムとしてサウンドバーは大人気で、その人気は今も続いているんだとか。
サウンドバーが“よさげ”なのはわかったのですが、具体的にはどのモデルがいいのか? AV家電担当者は、「音の好みもあるので、それは自分で考えてください」と教えてくれませんでした(涙)。
どれがいいのか、迷ったときはとりあえず価格.comをチェック! ということで、価格.comの「サウンドバー(シアターバー)」カテゴリーの人気売れ筋ランキング1位(2023年10月9日時点)のヤマハ「SR-B30A」をチョイス。2023年9月に発売されたばかりの最新モデルです。
価格.comの「サウンドバー(シアターバー)」カテゴリーの人気売れ筋ランキング。ヤマハ、デノン、ソニー、ボーズ、JBLなどさまざまなメーカーのモデルが人気です
ヤマハはサウンドバーを得意としており、幅広いラインアップを取り揃えています。価格.comでも「サウンドバー(シアターバー)」カテゴリーの一番人気のメーカーでもあります(2023年8月)。今回取り上げる「SR-B30A」は、価格.com最安価格25,082円のエントリーモデル。最新モデルらしく立体音響技術「Dolby Atmos」にも対応しています。
本体サイズは910(幅)×133(奥行)×68(高さ)mm、重量は3.9kg。55V型のテレビの前に設置しましたが、テレビよりも幅が短く、スッキリと置けました。丸みがあって、圧迫感がないのもいいと思います。やや高さがあり、かつ「IRリピーター機能」がないため、下からだとリモコンが効きにくいのが弱点ですが、自分の環境では少し上から操作することが多いので気にはなりませんでした。
ヤマハの「SR-B30A」の幅は910mmで、55V型のテレビの前に設置しても収まりがいい。丸みのあるデザインで、圧迫感もありません
「SR-B30A」は横から見ると、手前のほうが高くなっています。テレビの機種によっては、リモコン受光部と重なるかもしれません
スピーカーの構成は、フロントL/R:4.6cmコーン型×4、ツイーター:2.5cmドーム型×2、サブウーハーの7.5cmコーン型×2と合計8基のユニットを内蔵。最大出力はフロントが30W×2、サブウーハーが60W。サラウンドフォーマットは、リニアPCM(7.1ch)、Dolby Digital(7.1chまで)、Dolby TrueHD(同)、Dolby Digital Plus(同)、Dolby Atmos、MPEG-2 AAC(5.1chまで)に対応します。
「Dolby ○○」と呪文のような言葉が並んでいますが、対応コンテンツなら立体音響が楽しめるということらしい。「Dolby Atmos」に関しては、こちらの記事をチェックしてみてください!
接続端子はeARC/ARC対応のHDMI端子と光デジタル入力の2系統を備えています。テレビとはHDMIケーブル1本で接続できるので、迷うことなくセッティングできました。1本バータイプなので、ほかにつなげるものがなく、シンプルなのがありがたい!
接続端子はARC用のHDMI端子と光デジタル入力の2系統とシンプルです。HDMI出力端子はケーブルがじゃまにならないように斜めに配置されています
テレビ側の設定は、「HDMI連動設定」を外部サウンドシステムに変更すればOK。最新のテレビではこの設定も不要で、テレビのリモコンでサウンドバーの電源も連動してオンオフできます。
最新のテレビはHDMI連動機能が有効になっていれば、特段設定をいじらずとも、テレビのリモコンでサウンドバーの電源を連動してオンオフできます
しかし、ここで問題が! 筆者宅のテレビ、東芝「REGZA 55Z730X」は、eARCに対応していないという問題が発覚。「REGZA 55Z730X」は2019年に発売されたモデルで、比較的新しいと思っていましたが、技術が進化するスピードがえげつないです。これでは「Dolby Atmos」を体験できないかもと心配しましたが、AV家電担当者いわく「ネット動画なら、ぜんぜん、できますよ!」とのこと。「え、そーなの!?」と心の中で驚きながら、「そーだよね」と平静を装っておきました。みなさん、eARC対応じゃなくても「Dolby Atmos」は楽しめますよ。
筆者宅の「REGZA 55Z730X」はeARCに対応しておらず……。eARCに対応していないと、「Dolby Atmos」は楽しめないと思っていましたが、ぜんぜんできるようで一安心
eARCに対応したモデル。AV家電担当者いわく、(あるに越したことはないものの)ネット動画を楽しむ分には、eARCは今のところ不要のようです
価格.comの人気売れ筋ランキングで1位という安易な理由で「SR-B30A」を選びましたが、結論、テレビの音とは全然違いました! 約2.5万円という手ごろな価格なため、正直、ちょっとよくなる程度と思っていましたが、いい意味で予想を裏切ってくれました。
まず、テレビの平べったい音が、情報量の多いクリアな音に大変身。テレビ単体の音って、こんなに平べったかったのかと愕然としました。映画やドラマなども、没入感のある音で楽しめます。もちろん、サウンドバーの効果をあまり感じらないコンテンツもありましたが、テレビの音は確実にアップデートされました。
「Dolby Atmos」ですが、ネットフリックスでいくつか対応コンテンツを試しましたが、確かに左右上下から音が聞こえるように感じました。1本バータイプなのに立派です。ただ、Amazonプライム・ビデオの「ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪」(日本語では「Dolby Atmos」にならず、英語に設定)は、自宅では「Dolby Atmos」のLEDが付きませんでしたが、eARC対応の最新テレビだと、LEDが付きました。「三浦さん家の環境に問題があるのでは?」とAV家電担当者に言われましたが、なぜなのでしょうか?
「Dolby Atmos」の信号が入ると、前面の「Dolby Atmos」のLEDが緑色に光ります
個人的に気に入っているのが「クリアボイス」。これはトーク番組やニュース番組、映画などのセリフや言葉を聞き取りやすいように調整してくれる機能です。日常的に使っていますが、音を小さくしても聞き取りやすいのが特に便利で、夜中にニュース番組などを見るときなどに重宝しています。
接続などはシンプルで、価格も手ごろですが、機能は豊富です。「映画」「ステレオ」「ゲーム」「スタンダード」の4種類のサウンドモードがあり、コンテンツに合わせて調整可能。「バスエクステンション」で低音を強調することもできます。これらの機能は、付属のリモコンで切り替えられるほか、専用アプリ「Sound Bar Remote」(無料)を使ってスマートフォンやタブレットでもコントロールできます。
コンパクトな付属のリモコン。「DIM」ボタンでは、本体前面のLEDの明るさを調整できます
この専用アプリ「Sound Bar Remote」を使えば、「トーンコントロール」で高音/低音を13段階、サブウーハーを9段階で細かくいじることも可能。もう少し高音がほしい、低音を抑えたいなど、自分好みのサウンドを作り上げられます。
リモコンよりも専用アプリ「Sound Bar Remote」のほうが直感的で使いやすいです。どのモードで使っているかもわかって便利。「トーンコントロール」で好みの音に追い込むこともできます
Bluetoothスピーカーとしても優秀でした。まず、「Sound Bar Remote」を使ってペアリングができるので、スマートフォンの設定画面でペアリング作業をする必要がないのが楽。対応コーデックはSBCとAACです。普段はアップル「HomePod mini」やGoogle「Nest Hub(第2世代)」で音楽を聴いていますが、「SR-B30A」のほうが音に広がりがあり、断然いい音でした。
Bluetoothスピーカーとしても「SR-B30A」は優秀です。楽器や音響機器を手掛けるヤマハだけに、音楽の再生もお手のもの
このように、「SR-B30A」は約2.5万円のサウンドバーとしては十分すぎる性能と機能を備えていると感じました。コストパフォーマンスは抜群で、テレビの音をちょっとよくしたいという漠然とした要望にはピッタリはまる製品だと思います。
「SR-B30A」のよさは存分に味わいましたが、ほかのモデルはどうなのか、試してみたくなりました。ピックアップしたのは、「SR-B30A」が登場するまで、価格.comの人気売れ筋ランキングで1位を獲得していたデノンの「DHT-S217」。2023年9月28日時点で同ランキングの3位に入っている、ロングセラーモデルです。
奥がヤマハ「SR-B30A」、手前がデノン「DHT-S217」。「DHT-S217」はソリッドな見た目で、これはこれでかっこいい
見た目は「SR-B30A」よりもAV機器っぽい角張ったフォルム。本体サイズは「DHT-S217」のほうがわずかにコンパクトです。こちらも「Dolby Atmos」にしっかり対応します。機能面では「SR-B30A」にはないHDMI入力を備えます。これにより、ブルーレイレコーダーや「Apple TV」などをつなげて、「Dolby Atmos」を再生できるそうです(AV家電担当談)。価格.com最安価格は22,800円。昨年2022年5月発売で、さすがに価格はこちらのほうが手ごろです。
両モデルを聴き比べてみましたが、素人の耳でも、メーカーによって音のキャラクターが結構違っていて面白かったです。Perfumeのライブビデオはデノン「DHT-S217」のほうがぐっときました。いっぽう、クラシックやYouTubeなんかは、勢いや広がりのあるヤマハ「SR-B30A」のほうがいい感じに楽しめます(語彙力がなくてすみません)。デノンは「ピュアモード」で、忠実な音の再現を強みにしており、音にこだわったコンテンツは、いい感じに再生してくれます。ロングセラーなのも納得です。
映画、音楽、テレビなどいろいろなコンテンツを試してみましたが、音については、正直甲乙付けがたかったです。どちらを選んでも価格以上のいい音を味わえると思います。機能面ではデノン「DHT-S217」は前述のとおり、HDMI入力があるのがポイント。いっぽう、Bluetoothスピーカーとして使う場合は、AAC対応のヤマハ「SR-B30A」のほうが高音質でした。
以上、テレビの音をアップグレードするため、ヤマハ「SR-B30A」を試してみましたが、価格以上にアップグレードされたと思います。HDMIケーブル1本で接続できて、テレビのリモコンとも連動して、機能も豊富で大満足でした。いろいろなものが値上がりしている昨今、約2.5万円という比較的手ごろな価格もありがたいところ。一緒に視聴したAV家電担当者も、「すごくコスパが高いと思います」とのこと。
どのくらいの音を望むかは人それぞれだと思いますが、簡単かつ低予算で、テレビの音をアップグレードするという筆者の要望には、本モデルは大正解でした。
なお、「SR-B30A」の兄弟モデルとして、ワイヤレスサブウーハーが付いた2ユニットタイプの「SR-B40A」というモデルもラインアップされています。低音を重視したい人は、こちらをチェックしてみてください。価格.com最安価格は38,551円で、こちらもなかなか魅力的な価格です。