レビュー

オシャレ“透明レコードプレーヤー”はどんな音がする? “透明スピーカー”と一緒に聴いてみた

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レコードプレーヤー「Turntable」(写真右)とBluetoothスピーカー「Small Transparent Speaker」(写真左)の組み合わせをレポート

レコードプレーヤー「Turntable」(写真右)とBluetoothスピーカー「Small Transparent Speaker」(写真左)の組み合わせをレポート

近ごろ、SNSで「透明なレコードプレーヤー」と「透明なスピーカー」を目にすることが増えた。

オシャレ上級者たちの写真はどれもすごく“映え”ていて、そのデザインがすぐれていることがよくわかる。見ていると自分の部屋にも置きたくなってしょうがないが、気になるのは「このオシャレなプレーヤー&スピーカーはどんな音がするのか」という点だ。

ということで今回、TRANSPARENT(トランスペアレント)の「Turntable」と「Small Transparent Speaker」の組み合わせを試す機会を得たので、実際に音を聴いてみた印象をレポートしたい。

アルミと強化ガラスで実現した高級感ある透明デザイン

まずは各モデルの概要を簡単に紹介しよう。

「Turntable」はBluetooth接続が可能なレコードプレーヤーで、なんといってもアルミニウムと強化ガラスで構成される透明デザインが特徴だ。どのパーツもスタイリッシュで野暮ったさがなく、全体的に洗練された印象を受ける。

「Turntable」はベース部分とダストカバーが透明なベルトドライブ方式のレコードプレーヤー

「Turntable」はベース部分とダストカバーが透明なベルトドライブ方式のレコードプレーヤー

特にダストカバーについては、市場のレコードプレーヤーのなかでもトップクラスのデザインだと言いたい。筆者としては、レコードプレーヤーにダストカバーはホコリ除けのため必須だが、あまりカッコよくないので本当なら外してしまいたい、と常に思っていた。しかし、「Turntable」はダストカバーの存在が全然気にならないのだ。これによって、インテリアとしての価値が大きく高まっている。

カラーはブラックとホワイトの2色展開。脚部やトーンアームなどのパーツが色分けされている

カラーはブラックとホワイトの2色展開。脚部やトーンアームなどのパーツが色分けされている

トーンアームは特注のアルミニウム製で、ヘッドシェルも独自開発されたもの。カートリッジにはオルトフォン「OM 5E」が同梱される。BluetoothコーデックはaptX LL/SBC/AACをサポート。現在Bluetooth対応のレコードプレーヤーはエントリーモデルばかりなので、20万円に迫るこの価格帯での対応は希少価値がある。このデザインを最大限に生かすならケーブルは極力ないほうがよいだろうから、Bluetooth接続がメインになるだろう。そのいっぽうでフォノイコライザーを内蔵し、ライン出力(RCA)および3.5mmステレオミニ出力にも対応する。

端子は背面部に集約されている。内蔵フォノイコライザー(MM対応)はオフに(バイパス)して、外部フォノイコライザーを使うこともできる

端子は背面部に集約されている。内蔵フォノイコライザー(MM対応)はオフに(バイパス)して、外部フォノイコライザーを使うこともできる

オルトフォンのカートリッジ「OM 5E」が同梱される

オルトフォンのカートリッジ「OM 5E」が同梱される

操作は簡単で、電源オンの状態でトーンアームをプラッター側に動かすと自動で回転がスタートし、トーンアームを戻せばストップする。セットアップから音出しまで、初心者であってもあまり迷うことなくたどり着けるだろう。

組み合わせたのは同意匠のスピーカー

Bluetoothスピーカー「Small Transparent Speaker」は、透明な筐体に2つのユニットが浮かんでいるようなデザインが特徴だ。

水槽のような印象も受ける、独特なデザインの「Small Transparent Speaker」

水槽のような印象も受ける、独特なデザインの「Small Transparent Speaker」

本体は「Turntable」と同様に、アルミニウムフレームと強化ガラスで構成されている。持ってみると意外なほど重く、高級感がある。透明で反対側まで透けて見える。たとえばスピーカーの奥に小物を配置するなど、置き場所を工夫できるのも魅力となっている。

カラーはブラック、ホワイト、メタルの3色をラインアップする

カラーはブラック、ホワイト、メタルの3色をラインアップする

こちらも操作方法はシンプルで、前面に電源スイッチとボリュームコントロールノブを備え、底面のボタンからBluetoothペアリングを設定できる。また本機を2台用意すれば、それぞれをワイヤレス接続してステレオスピーカーとして利用することも可能だ。

Bluetoothのペアリングは「Small Transparent Speaker」本体底面のボタンから操作する

Bluetoothのペアリングは「Small Transparent Speaker」本体底面のボタンから操作する

もちろん両モデルのデザイン的な親和性は高く、並べると一気に部屋のインテリアレベルがアップしたように感じられた。このプレーヤーとスピーカーを中心にして、マッチしそうな棚や小物を集めたくなってくる。“透明じゃない”レコードプレーヤーもすてきだが、トランスペアレントならではのデザインは他をもって代えがたいものがある。

写真は「Small Transparent Speaker」の上位機種「Transparent Speaker」を組み合わせ、ステレオシステムとした例。「Turntable」には、写真のスタンド兼レコードラック「Transparent Turntable Stand」(別売)も用意される

写真は「Small Transparent Speaker」の上位機種「Transparent Speaker」を組み合わせ、ステレオシステムとした例。「Turntable」には、写真のスタンド兼レコードラック「Transparent Turntable Stand」(別売)も用意される

聴き疲れせず音楽に浸っていられる自然な鳴り方が魅力

それでは「Turntable」と「Small Transparent Speaker」を組み合わせたサウンドをチェックしてみよう。

両モデルはBluetooth接続できるので、電源ケーブル以外を必要としないのもスマート

両モデルはBluetooth接続できるので、電源ケーブル以外を必要としないのもスマート

一聴して感じるのは、予想していたよりもパワフルであること。これは“低音が強め”というよりも“張りのある”サウンドと受け取ってほしい。低音もしっかり出てはいるが、ボーカル帯域を中心とした中〜高音がそれに負けじと勢いよく耳に飛び込んでくるため、全体としてハツラツとした印象を受ける。

解像感のあるシャープなサウンドを聴かせるというよりは、耳あたりがよく長時間聴いていられるタイプ。どうしても情報量が不足しているのは否めないが、カジュアルなリスニングにはまったく問題ないだろう。どこに置いても部屋の隅々まで音楽を響かせてくれるので、置き場所にこだわりたくなるルックスにマッチしたサウンドとも言えそうだ。

エド・シーラン「Shape of You」では、徐々に重ねられていくギターやコーラスの描きわけが明瞭で、ボーカルを埋もれさせることなくしっかりと聴かせてくれる。アデル「Hello」は、歌手が一歩前に出て歌っているかのように芯のある歌声が楽しめた。ほかにも宇多田ヒカル「First Love」など、あまり楽器数の多くないボーカル曲と相性がよいように感じた。

それに、haruka nakamura「アイル」や小瀬村晶「ONE DAY」など、ゆったりとチルできるような楽曲ともマッチする。Bluetoothスピーカーのなかには、BGM的に再生するにはどうしても低音過多だったり、音がチープで耳障りに感じられてしまったりするモデルも存在するが、トランスペアレントの組み合わせにおいてはその心配はない。落ち着いた時間に寄り添うような表現で、自然と音楽に浸っていられる。そんな鳴り方が魅力だと思う。

また、ほかのスピーカーを使って「Turntable」単体の音質を確認してみると、厚みのある重心の低いサウンドを楽しめた。レコード盤に収められた中低域の情報を細かくピックアップし、スピーカーへと送り出してくれているようだ。先ほどのエド・シーラン「Shape of You」も、途中から加わる低音コーラスの響きが豊かになり、より楽曲の深みが増したように思える。「OM 5E」カートリッジの性能でもあるだろうが、再生音には歪みがなく、クリアながらどこか温かみを感じさせる。

圧倒的な見た目のよさに加えてモジュール設計も特筆できる

トランスペアレントの製品はモジュール設計となっており、各モジュール(パーツ)は交換可能。故障時の修理や将来のハードウェアアップデートが考慮されている。たとえば将来新しいBluetooth規格に対応したアップデートがある場合、基板交換のサービスをしてくれるというわけだ

トランスペアレントの製品はモジュール設計となっており、各モジュール(パーツ)は交換可能。故障時の修理や将来のハードウェアアップデートが考慮されている。たとえば将来新しいBluetooth規格に対応したアップデートがある場合、基板交換のサービスをしてくれるというわけだ

このように「Turntable」の音質は決して悪くはないのだが、ハイクオリティな競合製品がお手ごろに手に入るいま、音質と価格だけを考えて“ガチ”のオーディオシステムに組み込む選択肢としてはなかなか厳しいかもしれない。

だが、それでも「Turntable」には価値を見いだせる。圧倒的なデザインのよさ、Bluetooth対応、そしてモジュール方式を採用したことによる将来的なアップグレードや修理対応への期待、といった点を加味して、総合的に見れば替えのきかない存在だ。リビングなど身近な空間に置くオーディオシステムには十分“アリ”、というか積極的に選びたくなるモデルだろう。

なお、「Turntable」はほかのプレーヤーよりも、ホコリによる音飛びが多いように思えた。それだけ繊細に動作しているということでもあるだろうが、付属のレコードブラシを使ってレコード盤のケアを忘れず行うようにしたい。

「Turntable」にはレコードブラシが付属する。ほかにもコットングローブやクロスも同梱されるので、せっかくの透明プレーヤーをキレイな状態に保ちたい

「Turntable」にはレコードブラシが付属する。ほかにもコットングローブやクロスも同梱されるので、せっかくの透明プレーヤーをキレイな状態に保ちたい

「Small Transparent Speaker」をスマートフォンとBluetooth接続した際のサウンドについても触れておこう。ボーカルが引き立つ傾向はそのままで、低音が抑え気味になり中〜高音が若干目立つようなバランスになった。重厚な低音を求められる楽曲や迫力がほしいロックなどをガンガン鳴らすのではなく、ボサノバなどカフェミュージックを気軽に楽しむといった使い方に向いているように思う。

【まとめ】見た目も音も部屋になじむ唯一無二のオシャレプレーヤー

今回、トランスペアレントの「透明なレコードプレーヤー」と「透明なスピーカー」を試聴して感じた魅力は、「部屋に溶け込むオーディオ機器」としてのデザインとサウンドだ。

両モデルともそれなりのサイズだが、透明だから存在感はあっても威圧感がない。そしてそのリラックスできるサウンドは、小さな音量でずっと音楽を流しっぱなしにしておきたくなる。

SNSで見かけるオシャレな部屋の住人がなぜトランスペアレントを選ぶのか、その理由がわかった気がした。

小岩井 博
Writer
小岩井 博
カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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