低価格イヤホン“良品”コレクション

これぞ“掘り出しモノ”! モニター系の音を楽しめる低価格イヤホン、MUIX「IX3000」

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5,000円を切る価格帯のイヤホンの中にも、低音から高音まで素直なサウンドを奏でてくれるものがある。MUIX(ミュイクス)の「IX3000」だ。低価格イヤホンでありがちな派手な色付けがなく、どんな楽曲にも合いそうなトーンバランスを持った“掘り出しモノ”と評したい製品なのである。コストパフォーマンスにすぐれる低価格なイヤホンを紹介する連載「低価格イヤホン“良品”コレクション」の3回目は、このイヤホンを取り上げる。

MUIX「IX3000」

MUIX「IX3000」

製品パッケージ

製品パッケージ

若手メーカーの自社ブランド「MUIX」の第1弾製品。モニター系の音が楽しめるオールラウンダー

MUIXは、イヤホンなどの小型音響機器を中心に開発・製造する韓国のメーカー「iSOUND」の独自のブランド。新しいブランドだが母体となるiSOUNDは、これまで、モバイル・マルチメディア機器メーカー向けに音響機器を提供しているOEM/ODMメーカーだ。2003年の設立後、約6年で自社製のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーの開発に成功するなど、技術力の高い会社だ。MUIXは、そんなiSOUNDが培ってきたノウハウを投入した自社ブランドで、IX3000が同ブランドの第1弾製品となる。

IX3000の基本スペックは、ダイナミック型ドライバーを採用し、ドライバー径は10.1mmで、再周波数帯域は20Hzから20,000Hz。インピーダンスは24Ω、音圧感度は103dB/mW、最大入力は20mW。スペック的には、何か独特の機構や機能を搭載しているわけではないが、音作りにこだわっており、低域と高域の バランスを重視したHi-Fi系のイヤホンとして開発したという。くわしくは後述の音質インプレッションでお伝えするが、事実、その音を聴いてみるとモニター系で、確かにHi-Fiを感じさせるものがある。特別なことをしなくてもチューニングで音を追い込んでいるという点では、同社の技術力の高さがうかがえる製品と言えるだろう。

やや大きめのアルミハウジングを採用。装着感は良好

外観も特別なところはないが、素材はアルミ製で、形状はほぼ円筒形(寸胴なスタイル)になっている。密閉性の高い構造で、空気の流れを調整するポートなどは見当たらない。ハウジングの最大径(一番太いところ)は実測で14mm、ノズル径は約6mmと、全体的に少し大きめに作られている。だが、アルミのため重量は比較的軽い。

装着感は、耳にはめると少しハウジングの感触が伝わるが、全体的に良好。遮音性も悪くない。イヤーキャップはシリコンタイプで、サイズはS/M/Lの3種類。標準でMサイズが装着されているが、他のメーカーに比べてやや大きめになっている。

カラーバリエーションとして、ブラック、ホワイト、レッドが用意されている。

ハウジングはアルミニウム製。寸胴な形状になっている

ハウジングはアルミニウム製。寸胴な形状になっている

イヤーキャップを外したノズルの様子。目の細かいメッシュパネルが確認できる

イヤーキャップを外したノズルの様子。目の細かいメッシュパネルが確認できる

イヤーキャップはS/M/Lの3種類。標準で装着されているMサイズでもやや大きめの印象だ

イヤーキャップはS/M/Lの3種類。標準で装着されているMサイズでもやや大きめの印象だ

絡まりにくいフラットケーブル。iOS/Android対応リモコンも装備

ケーブルは幅4mm、厚さ1mm程度のフラットタイプ。フラットタイプとしては標準的なケーブルで、切れやすい感じはしない。また、コネクターやY分岐のところには、断線防止の加工が施されており、強度的には十分な仕上がりだ。ただ、ケーブルを伝わって届くタッチノイズは、特に衣擦れの音が目立つように感じた。

このほか、L側ケーブルには、iOS/Android両対応のマイク付きコントローラーを搭載。ボタンをクリックすることで再生/停止、ダブルクリックで曲送りが行える。また、電話着信の際は、再生/停止と同じ方法で通話を始められる。なお、コントロール機能を実際に試したところ、「iPhone 6 Plus」では行えたものの、Android端末「XPERIA Z Ultra」の標準のミュージックプレーヤーのときは、曲送りなどの一部機能が反応しなかった。Android端末では動作しないことがあるので注意しよう。

Y分岐を境にケーブルの向きが変えられている(最上段)。コントローラーの裏にマイクが装備されている。マイクはちょうど口のところに位置している(中段・下段)

コネクターはL字型。断線防止加工が施されている

コネクターはL字型。断線防止加工が施されている

音質インプレッション

低価格なイヤホン・ヘッドホンにありがちなサウンド傾向といえば、低音がドンドン鳴って高音がきついドンシャリ型や、ボーカルなどの中域が聴きやすく低音と高音が控えめのかまぼこ型だ。高級機にもこうしたタイプはあるが、低価格イヤホンに比べてその振り幅が小さく、嫌味にならならいちょうどいい具合で仕上げてくる。低価格イヤホンではその振り幅が極端であるため、音もどこかに寄りがちな印象を受けてしまう。逆にそこが低価格イヤホンの面白さだが、いろいろな楽曲を聴く人にしてみたら、どこかに特化するよりも偏りが少ないほうが、楽曲のよさがストレートに聴こえてくるはずだ。IX3000の魅力は、そうした低価格イヤホンでありがちなウィークポイントが、目につかないこと。スペックや外見に際立ったところはないが、音を聴いてみると、解像度と帯域のバランスは、5,000円以下の低価格イヤホンの中では、トップクラスのクオリティを持つ製品の1つではないだろうか。

音色自体は、低域を控えめにし、ボーカル部分の中域をやや抑え、高域を少し強めにしている印象。IX3000の製品紹介には、「フラットな再現力」「低域と高域のバランスを重視したHi-Fi系のイヤホン」とあるとおり、聴感上でもそれを確かに感じさせる、モニター系に近いサウンドバランスとなっている。

たとえば、ワイドレンジな楽曲に仕上がっているMount Kimbieの「Bave's Chords」を聴いてみると、広大なサウンドスケープはそのままに、低音から高音までナチュラルな仕上がりになる。歪ませているところもストレートに出ており、曲の雰囲気を上手になぞっている感じだ。低音の絶対的な量感は少なくなるものの、ブレのないサウンドになっている。また、Norah Jonesの「Don't Know Why」を聴いてみると、ボーカルのフォーカス感がよく、抜けのよいサウンドが楽しめた。

まとめ

IX3000は、解像感と帯域のバランスがよく、かつ、極端な色付けもないイヤホンで、モニター系のサウンドを志向して作られれている。低価格帯のイヤホンとは思えないほどのサウンドバランスにすぐれた製品で、クラシック、ジャズ、ロック、ポップスなど、幅広いジャンルの楽曲を素直な音で楽しめる低価格イヤホンと言えよう。5,000円以下の価格帯のイヤホンを探していて、音選びに悩んでいるのであれば、まずは、このイヤホンの音をベースしてみてはどうだろうか。また、高級タイプのイヤホンをすでに持っている方でも、低価格でもモニターライクな音を楽しめる製品として、一度その音を聴いてみてはいかがだろうか。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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