トレンドニュース

4Kテレビの価格崩壊始まる!? どうなった? リオ五輪終了後の液晶テレビ市場

このエントリーをはてなブックマークに追加

リオ五輪の追い風はあったが微風。売れていたのは4K以外?

2016年8月5日〜8月21日にかけて開催されたリオ五輪。日本選手のメダルラッシュに毎晩テレビにかじりついていたという人も少なくないだろう。世界最大のスポーツの祭典だけあって、どうせ見るならキレイな映像で、と、この機会にテレビを買い換えたという人もいるかもしれない。元々、五輪イヤーはテレビ市場にとっては追い風と言われてきたが、はたして今回はどうだったのだろうか。以前にもお伝えしたように、リオ五輪が始まる直前の、液晶テレビ市場の動きはさして大きな動きが見られなかっただけに、開催中、開催後の動きも合わせて見てみよう。

図1:「液晶テレビ」カテゴリーのアクセス数推移(過去6か月)

図1:「液晶テレビ」カテゴリーのアクセス数推移(過去6か月)

図1は、過去6か月における、「液晶テレビ」カテゴリーのアクセス数推移を「価格.comトレンドサーチ」で示したもの。これを見ると、6月からのボーナス商戦がピークに達したのは6月末の6/27週で、その後はいったんアクセスは低下。しかし、8月に入ってリオ五輪の開催が近づくと、アクセスは再び上昇に転じ、五輪終了後の8/22週には、6/27週と同等レベルのアクセス数を記録している。ここだけ見れば、液晶テレビ市場に対するリオ五輪の追い風はある程度あったと言ってよさそうだ。

図2:「液晶テレビ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3か月)

図2:「液晶テレビ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3か月)

ただ、より実購買に近い「閲覧者数」のグラフ(図3)を見ると、実は、リオ五輪の開催前より、終了後のほうが数値が上がっている。この期間、日本国内はお盆休みと重なっていたため、購買活動自体が停滞していたとも思えるが、それにしても、五輪終了後の8月後半からの伸びは、単に五輪の影響とは言いがたいものだ。これについては、後ほど詳しく解説したい。

図3:「液晶テレビ」カテゴリーの売れ筋ランキングベスト5(2016年8月31日時点)

図3:「液晶テレビ」カテゴリーの売れ筋ランキングベスト5(2016年8月31日時点)

また、以前にもお伝えしたように、売れ筋製品の上位は、4Kテレビではなく、フルHD(2K)かそれ以下のHDテレビで占められている。売れ筋ランキングのベスト5中、4Kテレビは2位の東芝「REGZA 49Z700X」のみ。ベスト10内でも4Kテレビは3製品のみで、いまだに4Kテレビへのシフトはなかなか進んでいない状況が見て取れる(図3)。リオ五輪の開催に合わせて、各メーカーとも4Kテレビの拡販に力を入れていたわけだが、実際によく売れていたのは、4K以外の低価格テレビだったということも透けて見えてくる。

五輪終了以降、価格下落が止まらない4Kテレビ。新モデルでも半額程度の衝撃

図4:4Kテレビの売れ筋ベスト5製品のアクセス推移(過去3か月)

図4:4Kテレビの売れ筋ベスト5製品のアクセス推移(過去3か月)

では、肝心の4Kテレビについて見てみよう。図4は「液晶テレビ」カテゴリーにおける、4Kテレビの売れ筋ベスト5製品のアクセス推移を示したものだ。これを見ると、アクセス自体はどのモデルも比較的好調であったが、なかでも目立つのは、現在売れ筋ランキング2位(4Kテレビでは1位)につけている東芝「REGZA 49Z700X」と、同じく10位(4Kテレビでは3位)につけている東芝「REGZA 55Z700X」の伸びだろう。この2機種の注目度が上がってきたのは、8月に入ってからのことで、それまではほぼ横ばいか下降トレンドにあった。なお、この2機種は、同じ「700X」シリーズのサイズ違いモデルで、価格.com上でも以前から人気の高いシリーズの最新モデルとなる(4月21日発売)。

東芝「REGZA 49Z700X」

東芝「REGZA 49Z700X」

図5:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルのアクセス推移(過去3か月)

図5:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルのアクセス推移(過去3か月)

図5は、この東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデル(55V型、49V型、43V型)のアクセス推移を示したもの。これを見ると、図4で見た「REGZA 49Z700X」と「REGZA 55Z700X」の伸びが一層明確にわかる。元々人気シリーズであったこともあるが、ではそれなら、なぜリオ五輪前の6〜7月に注目をあまり集めなかったのだろうか。

図6:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルの最安価格推移(過去3か月)

図6:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルの最安価格推移(過去3か月)

その答えは、どうやら販売価格にありそうだ。図6は、東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデル(55V型、49V型、43V型)の最安価格推移を示したものだが、これを見ると面白いことがわかる。特に55V型の「REGZA 55Z700X」で顕著だが、7月1日時点では198,795円だった最安価格が7月中旬にいったん上昇し、リオ五輪直前の7月31日には212,959円まで上がった。しかし、リオ五輪が始まった直後くらいから徐々に価格が下がっていき、8月30日時点では177,777円と、7月1日時点よりも2万円ほど(10%程度)下げている。このほかの2モデルについても、やはりリオ五輪開始直後くらいから価格が徐々に下がっており、いずれの場合も、7月1日時点と比べると、1.5万〜2万円程度下げている。特に、49V型の「REGZA 49Z700X」については12%程度も下げており、お買い得度が増している。こうした価格下落が、8月後半からの4Kテレビ人気の伸びにつながっているものと思われる。

図7:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルの最安価格推移(過去6か月)

図7:東芝「REGZA 700X」シリーズ3モデルの最安価格推移(過去6か月)

さらにこれを、4月21日の発売日時点から追って見ると、その価格の下落傾向が明らかになる(図7)。発売直後の「REGZA 700X」シリーズ3モデルの最安価格は、55V型の「REGZA 55Z700X」が323,869円、49V型の「REGZA 49Z700X」が280,669円、43V型の「REGZA 43Z700X」が237,469円となっている。これが、約4か月後の8/22週では、「REGZA 55Z700X」が183.292円、「REGZA 49Z700X」が145,393円、「REGZA 43Z700X」が123,774円となっており、それぞれの価格下落率は、約45.4%、約48.2%、約47.9%。いずれも4割を超え、5割に近づく勢いとなっている。

通常、液晶テレビなどの価格は、発売後3か月程度で30〜35%程度下落するのだが、ここまで大きな下落は過去にもあまり例がない。6月時点でお伝えしたレポートでは、35〜40%程度の下落率で、それでも最新モデルとしてはかなり急激な価格下落であると記したが、リオ五輪後の急激な価格下落によって、このレベルもあっさり割り込み、今や半額近くのバーゲンプライスをつけている状態となっているのだ。

図8:4Kテレビの売れ筋ベスト5製品の最安価格推移(過去1か月)

図8:4Kテレビの売れ筋ベスト5製品の最安価格推移(過去1か月)

ここでは、特に下落が顕著な東芝「REGZA 700X」シリーズを例にあげたが、4Kテレビは全般的に8月後半より価格が大幅に下落している。図8は、過去1か月間における、4Kテレビの売れ筋ベスト5製品の最安価格推移を示したものだが、東芝だけでなく、シャープ、ソニーなどの人気モデルもこの1か月で軒並み価格を下げている。ただ、その中で特に下げ方が大きいのが、東芝の製品ということだ。なお、パナソニックの「VIERA」シリーズについては、4Kテレビの売れ筋ランキングベスト10でもようやく10位に「VIERA TH-40DX600」が顔を出す程度で、全体的に人気が低下している。販売価格については6月時点ですでにかなり下げすぎていたせいか、8月に入ってから上昇に転じているモデルもある。

以上のように、4Kテレビ市場では、リオ五輪終了後の価格下落が著しく、リオ五輪でも期待されたほどの数が売れなかったという状況が見えてくる。4Kテレビについては、次の大きなイベントが2018年に予定されている4K放送の実用化まで待たなくてはならないため、今年はかなり販売促進も厳しい状況だ。さすがに半額近くまで価格が下がれば、購入する人も増えてはくるが、メーカー側にとっては、かなり厳しい状況がこの後も続きそうである。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
トレンドニュース最新記事
トレンドニュース記事一覧
2017.10.21 更新
ページトップへ戻る