ハイレゾ時代の音源管理と再生術 第2回

「WASAPI」だけじゃない! DSDの再生に向いた「ASIO」を知ろう

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最近のハイレゾ対応USB DACなどでよくみかけるのが、「ASIO」対応という文言。日本では「アジオ」と呼ばれているもので、高音質なハイレゾ再生を行うのに役立つ規格だ。

さてこの「ASIO」だが、ここ最近のハイレゾブーム(?)に突入してから、多くのサウンドデバイスでサポートするようになってきた。基本的な機能は、前回取り上げた「WASAPI排他モード」と同様、Windows内部のミキサー(オーディオエンジン)を通さず、直接サウンドデバイスに信号を送れること。一見違いがないように見えるが、あえてメーカーが「ASIO」対応とアピールするのには理由がある。そのひとつは、高音質でハイレゾ音源を楽しめると言われており、人によってはWASAPI排他モード以上によく感じるほどだ。

最近では、DSDに対応したサウンドデバイスの多くがASIOに対応している。製品カタログ上にも、ASIOドライバーに関しての記載が書かれている(写真はパイオニアのUSB DAC「U-05」のカタログから引用)

「ASIO」というのは、今でこそ音楽を聴くためにも使われているが、元々は音楽制作向けに提供されている規格だ。PCで音楽を制作するときに問題になっていた音の遅延や劣化を防ぐことを目的に、現在はヤマハ傘下となっている独スタインバーグ社が提唱した。その歴史はWindowsの標準ドライバーであるWASAPIより古い。ASIOは、ローランドやTASCAM、M-AUDIOやRMEといったメーカーで使われている、プロ向けの規格でクオリティもお墨付きだ。ちなみに、WASAPIも理論上ではASIO並みに遅延を短縮することが可能とされているが、実際にはASIOのほうがまだ上と言われている。。ちなみに、WASAPIも理論上ではASIO並みに遅延を短縮することが可能とされているが、実際にはASIOのほうがまだ上と言われている。

ということは、音楽制作向けのサウンドデバイスなら、たとえ古いデバイスでもASIOを使えるのでは?と思った方、大正解。さすがに現在の384kHz/32bitといったようなハイサンプリングレート・ハイビットな音源には対応できないものの、96kHz/24bitまでのハイレゾ音源なら対応しているケースがある。もしこうした機器をお持ちであれば、一度確認してみてはいかがだろうか。

だいぶ前に発売されたM-AUDIO「AUDIOPHILE 2496」やESI「MAYA44e」でもASIO 2.0に対応している。両方とも96kHz/24bitまでのPCM音源に対応している

なお、現行のASIO 2.1では、DSDの転送に対応しているのが大きなメリット。前回紹介したWASAPIではDSDを転送するときに、一度、PCMのデータ形式の中にDSDのオーディオデータを格納して送るDoP(DSD Audio over PCM Frames)方式を用いるが、ASIO 2.1ではこうした処理をせずにストレートに送れるようになっている。余計な処理が入らないため、CPU負荷を低くできるのもASIOのメリットといえる(ただし、ASIO2.0/1.0では対応していない)。

これからハイレゾ対応USB DACなどを買うのであれば、DSDの転送に有利で、音質も高い「ASIO」対応デバイスを選んだほうが、楽しめる幅が広がるはずだ。

foobar2000でASIO再生に必要な「ASIO support」コンポーネント

では、実際にASIO対応デバイスを使っていくえでの設定作業を見ていこう。今回は自宅にあった古いサウンドカードを使用してみた。使ったカードは、ESIの「Maya44e」だ。前回同様、プレーヤーアプリには「foobar2000」を使用していく。まずASIO用のコンポーネント「ASIO support」が必要になるので、「foobar2000」の公式サイトの「Components」ページよりダウンロードしてインストールしよう。なお、記事執筆時のバージョンは2.1.2だ。

ダウンロードしたファイルをダブルクリックすることで、インストールできる。Foobar2000が自動で立ち上がり、インストールの確認があらわれるので、「はい(Y)」を選ぶ

青のマーカーで「foo_out_asio」が追加された。このままでは変更が反映されないので、Applyボタンを押してコンポーネントをロードする

正常にインストールされると、「ASIO support」がリストに追加される。この状態になっていれば正常にインストールされているということだ

「Preference」ウィンドウの「OutPut」>「ASIO」でデバイスが認識されていることを確認。Windows 10に64bit版を使用している場合は「Use 64-bit ASIO Drivers」にチェックをいれよう

最後に「OutPut」に戻り、「Device」一覧のプルダウンから「ASIO:デバイス名」を選択。これで設定は完了だ。

なお、筆者は今から10年以上前に、高音質なサウンドカードとして定評のあるLynx Studio社の「Lynx L22」が欲しかったのだが、あまりにも高くて手が届かなかった。そこでまず、安価で音質がいいと評判だったオンキヨーのサウンドカード「SE-90PCI」(ASIO非対応)を高音質化できないものかと思い、疑似的にASIOに対応させる「ASIO4ALL」(個人利用のみフリーソフト)を使用したことがある。これは、端的にいうとWindows XPのカーネルミキサー(現在のオーディオエンジン)をバイパスさせる方法「カーネルストリーミング」を利用したもので、WASAPI排他モードと原理的には同じだ。Windows XP時代には有効な方法だったが、WASAPI排他モードが実装されている現在では、あまり意味がなくなってしまった。ちなみに、カーネルストリーミングを使ってみたいだけなら、foobar2000のコンポーネントにも用意されているが、Windows XP/2000での動作を想定して作られているので、Windows Vista以降のOSとは親和性は高くない。

まとめ DSD音源をよく聴くならASIO対応デバイスを選びたい

前回紹介したWASAPI排他モードは、Windows環境でハイレゾ音源を再生する際にもっとも一般的な方法だが、同じくらい音質がいいと言われているASIOは、対応デバイスを持っているなら試してみない手はないもうひとつの方法だ。ただし、DSDのオーディオデータを効率的に転送可能なのはASIO 2.1以降という点には気をつけたい。もしDSDをよく聴くなら、「ASIO 2.1」に対応しているデバイスを選んだほうがいいだろう。そうした機器であれば、WASAPIのDoPにも対応しているので、両方とも試してみて好みのほうを選べばいい。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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2017.9.20 更新
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