自動車ライターのマリオ高野です。
今回は、少し前にクルマ業界でかなり話題となったお手軽性能アップアイテム、トヨタ純正「モールディングテープ」を試してみました。
細長く切られたアルミのテープをクルマの各部に貼ると、ただそれだけで走りのフィーリングがよくなるというもの。
正直、最初は「ホンマかいな?」と疑っておりましたが、クルマメディア業界のジャーナリスト諸氏をはじめ、かなり多くの人が真剣にその効果のほどを実感している様子です。実際に効果を実感した人から話を聞いたり、レポート記事を読んだりすると、少なくともオカルト的なものではないと判断。しかも、自動車最大手、天下の大トヨタから商品として発売されているということで、これは試さずにはいられないと考えるようになりました。
1枚700円ほどなので、効果が実感できた場合のコスパはすこぶる高いです
原理としては、クルマに帯電した静電気を外に流して、クルマのパーツ本来の性能を発揮しやすくするという話です。毎日乗るクルマでも、何となく今日は調子がいい、あるいはイマイチだと感じることはありますが、その原因の1つとされるのが余計な電気。何らかの原因によりクルマが電気を帯びてしまうと、本来のボディの空力性能やサスペンションの摺動(しょうどう)部分の動きなどに悪影響を及ぼすことがあるのは確かなようです。クルマの各部に悪さをする静電気を外に流すことで、そのクルマ本来の性能が発揮されるということなんですね。
クルマが帯電しているとホコリを寄せやすくなるし、空気が乾燥する冬場はドアを触るとバチっとなったりするので、それらを解消するためのクルマの放電グッズというのは昔から売られてきましたが、このアルミテープは従来の放電アイテムとはまったく異なるもの。細かくカットされてエッジ面積が多く、放電効果の高いデザインになっているのがポイントで、トヨタでは86というスポーツカーを開発しているときにアルミテープによる放電実験を繰り返し、商品化に至ったそうです。最近のトヨタ車には同様のアルミテープが標準装着で貼られているとのこと。
1枚は4本の短冊状になっています。同業の有識者から「なるべく多くの箇所に付けると有効」と聞いたので、1本ずつバラバラに使うことにしました
勘違いしてはいけないのは、あくまで「本来の性能を発揮しやすくなるアイテム」ということで、正確には性能を向上させるものではありません。実力の90%しか発揮されていない状態から、できるだけ100%に近づけるためのものと認識しましょう。エボリューションモデルのようにパワーアップしたりするものではありません。
効果を実感した経験者からの話を参考にして、筆者の愛車スバル・インプレッサG4 1.6i(5MT)の以下の部分にテープを貼ってみました。
・ボディの四隅(前後バンパーの左右の端)
・ステアリングコラム
・ショックアブソーバー
・吸気口の周辺
整流効果を期待して、エンジンルームの吸気の入り口にも貼ってみました
ボディの四隅に貼った様子。多少違和感がありますが、外観の雰囲気を著しく悪化させるほどではありません
ショックアブソーバーには、この位置に貼りました。KYBのSRスペシャルという製品です
保護用のフィルムテープをはがすのを忘れないようにしましょう
テープを貼って乗ってみたところ……!
効果のほどは……?
第一印象は「特に変化が感じられない……」
話によると、クルマが帯電した状態なら速度域を問わず効果が得られるとのことですが、どの速度域でも装着前との差を感じることはできませんでした。
そもそも、クルマが帯電していなければ差が出ないということでもあるので、もしかすると愛車はあまり帯電していなかったのかもしれません。
あるいは、ケチって細かく切りすぎたせいで効果が薄くなってしまった可能性もあります。それを反省して、ボディの四隅にはケチらず製品そのままのサイズで貼り直してみたところ、少し変化が!?
高速巡航時には「何となくいつもより安定感が増しているように感じなくもない!?」程度には印象が変わりました。
効果が感じられないのはケチって細かくしたせいかも? と思い、フロントバンパーへは切らずに製品そのままを貼り直しました
所沢と熊本を往復(約2500kmのドライブ)した帰路では、いつもより疲労感が少なかったので、走行中の安定感が増したおかげだったのかもしれません。ただ、最近になってショックアブソーバーとフロントまわりのゴムブッシュを新品に交換しているので、走りやすかった要因のほとんどはそれだったのでしょう。
しかし、長時間運転していると「あ! なんかいつもよりしっかり走る!?」と感じる瞬間が時々あったので、それはアルミテープの効果だった可能性も捨てきれません。
そんな感じで、明確に「効果アリ!」と断言できるほどの実感は得られませんでしたが、値段も高くはないし、嫌になったらすぐはがせるので、試してみる価値はあると考えました。
筆者よりも、もっとクルマの挙動や乗り味に敏感なドライバーならハッキリ実感できるかもしれないので、クルマのフィーリングマニア、挙動マニアの人はお試しください。