レビュー
モーター駆動でラクラク走行できるだけでなく、自転車のように漕いで進むことも可能な乗り物

“漕げるバイク”試乗レポ! ペダルが付いた電動スクーター「bycle」ってどんなもの?

自転車のような“ペダルが付いたバイク”をご存知だろうか。「モペッド」と呼ばれる乗り物で、エンジンやモーターで駆動するだけでなく、ペダルを漕ぐことでも走行できるのが特徴だ。今回は、その中から“より自転車に近い感覚で乗れる”「bycle P3」(ベイズ)をピックアップ! 「bycle P3」は原付一種に該当する電動バイクで、既存のものと比べても15kg以上軽量なうえ、価格も50,000円ほど安価な点がウリだ。さっそく、その性能と乗り心地を調査してきた。

手軽に使える電動バイクの仕様をチェック

「bycle(バイクル)」は、バイク(bike)と自転車(cycle)の“中間的な乗り物”。バイクに求められる速さなどを必要最小限に抑えることで、自転車のように気軽に乗れるようにした“新感覚のバイク”だ。

電動バイクはバッテリーやモーターが大きいほど馬力やスピードが増すが、車体が重くなって扱いにくくなるうえ、高価格にもなりがち。「bycle P3」は“気軽に乗って近距離移動できること”に的を絞ることで、日常使いに十分な性能に留めたのがポイントだ。これにより、車体重量や価格を抑えることができたという。たしかに「bycle P3」のモーター出力は350Wで、原付一種の規格上限である600Wと比べると控えめだが、最大走行距離50km、最大速度32km/hの性能は、街中で乗るには十分。さらに、バッテリーは家庭用コンセントで充電できる仕様とするなど、使いやすさへの配慮も申し分ない。

モーターは、後輪と一体化となったインホイールタイプ

モーターは、後輪と一体化となったインホイールタイプ

足置き場の両サイドにペダルを配置しており、自転車と同じくチェーンで後輪を動かせる。ペダルの活用法については後で説明

ハンドルの中央にライトと一体となったメーターを装備。速度や走行距離などのほか、バッテリー残量も表示される

バッテリーにはリチウムイオン電池を採用し、容量は12Ah。家庭にある100V電源から充電できる。バッテリー残量ゼロの状態から満充電にするには6〜8時間かかるが、継ぎ足し充電ができるので通常は1〜4時間程度で済む

バッテリーは取り外しできるため、車体を持ち込んで充電できない時には、この方法で充電するといい。重量は5kgなので、駐車場から自宅までなら持ち運びも問題ないだろう

バッテリーを含めた重量が36kgなので、バイクを押すのも比較的ラクにできる

バッテリーを含めた重量が36kgなので、バイクを押すのも比較的ラク

自転車と同じような仕様のスタンドにはローラーが付いており、ローラーが転がるので力をかけることなくスタンドを立てることができる

後輪上にハンドルが付いているのでスタンド立てる時に役立つほか、方向転換の際に重宝した

後輪上にはハンドルが付いており、スタンド立てる時に役立つほか、方向転換の際に重宝した

「bycle P3」に乗ってみよう!

ペダルが付いたバイクといっても、基本は電動スクーター。一般的な電動バイク同様に、電源をONにしてアクセルグリップをひねれば走り出す。では、どんな時にペダルを活用するのだろうか。

たとえば、電源をONにしたままペダルを踏み込むとモーターがアシスト。アクセル走行ほどには速度が出ないように抑えられているが、電動アシスト自転車よりもモーターによるアシスト感は強力だ。また、電源OFFの状態でもペダルを漕いで進むこともできる。つまり、通常運転時はアクセル走行していればよく、“いざという時”にはペダルを利用するというわけだ。さっそく、平坦な車道と坂道での馬力を試すとともに、“ペダルの有効性”を調査してみよう。

サイズは620(幅)×1,040(高さ)×1,540(長さ)mmで、159cmの女性が乗ったところ両足がペタリと地面についた。タイヤ径は前後とも16インチ

アクセルグリップをまわせば発進。太くないので、女性でも握りやすい

アクセルグリップをまわせば発進。太くないので、女性でも握りやすい

実は、今回試乗する女性はスクーターに乗るのが初めて。自転車には乗れるが、自動で動く二輪は怖いという。そんな時に役立つ運転モードが「bycle P3」には用意されている。通常は最大32Km/hの速度が出せるが、そのモードにしておけばスピードが最大値まで出なくなるのだ。速度は条件により異なるため具体的な数値は示されていないが、27km/h以下にはなるそう。

右手のアクセルグリップ下にあるスイッチを「L」に設定すれば、最高速度が制限される

右手のアクセルグリップ下にあるスイッチを「L」に設定すれば、最高速度が制限される

怖がっていたものの、1回目から簡単に乗れてしまった。走り出す瞬間が非常になめらかなので、バイクに対する恐怖心がなくなったという

ハンドル操作は軽く、扱いやすさもバッチリ。ただ、試乗してくれた女性は自転車にしか乗ったことがないということで、慣れるまでUターンがうまくできなかった。その理由は、ハンドルの切れ角。バイクでは一般的な切れ角だが、自転車のように大きく振ることはできないため、自転車感覚での乗ろうとすると少々戸惑うかもしれない

スクーターのように足を揃えて乗るほか、ペダルに足を置いて乗るのもOK。これが意外と安心感があって好評だった

バイク暦20年の筆者も乗ってみた。

モーターの出力は350Wだが、車体が軽いおかげか加速力は十分。電気モーターは回転し始めから最大トルクが出るため、出だしの加速が鋭すぎるモデルもある。しかし、「bycle P3」は出力制御がよくできているのか、鋭い加速感を持ちつつもアクセルを開けた分だけ車体が前に出る感じなので怖さや違和感がない。このような点が、初心者にもやさしい理由なのかも

続いては、坂を上ってみることに。「bycle P3」の登坂力は12〜16°だが、モーターのパワーが足りないと感じた時にはペダルを漕ぐことで“逆アシスト”できるという。

それなりに傾斜はある坂だが、ペダルを漕がないと進めないのだろうか!?

それなりに傾斜のある坂。ペダルを漕がないと上りきれないのだろうか?

上の動画にあるとおり、それほど速度は出ていないが、ペダルを併用することなくモーターのパワーだけでスイスイと上り切ることができた。また、スピードを速くしても運転音がまったく聞こえず。存在を周囲に認識されないのではないかと心配になるほど、静かだ。

最後に、電源をOFFの状態でペダルを漕いでみよう。ちなみに、この状態で乗る場合でも法的な区分は原付一種になるので、ヘルメットの着用は必須だ。

電動バイクとしては車重36kgは軽いが、自転車としては重い。さらにタイヤが太いため抵抗力も多く、かなり重さを感じる。平地で短距離なら問題ないが、坂道や長距離移動は厳しいだろう。ペダルは、バッテリーが切れた緊急用と考えておいたほうがいい。

普段使いに役立つ工夫

“日常に気軽に活用できるバイク”という位置付けの「bycle P3」には、買い物の足としても便利な工夫が施されている。買い物時にそのまま持っていけるフロントのカゴや袋をぶら下げられるフック、たくさんの荷物を入れるためのオプションなどを紹介しておく。

フロントのカゴにはバックがセットされている。バックを外して入店して買い物し、またカゴに収納という使い方ができるのがうれしい

サドルの下には袋を引っ掛けることができるフックが装備されている。細かい部分だが、意外と役立つ

サドルの下には袋を引っ掛けることができるフックが装備されている。細かい部分だが、意外と役立つ

リアボックスはオプションだが、大量の荷物を運ぶ頻度が高いようなら用意したほうがよいだろう。鍵をかけることもできるので、安全性も高い。メーカー希望小売価格は3,800円(税別)

まとめ

ポップな見た目とリーズナブルな価格(メーカー希望小売価格:128,000円)からバイクとしての完成度はあまり期待していなかったが、実際に乗ってみると予想以上! モーターの出力コントロールが素晴らしく、加速がスムーズ。急にパワーが出ることもないのでUターンもしやすくて乗りやすい。乗り心地の満足感は上々だ。

電動バイクは運転音が静かで低コストと言われており、「bycle P3」の場合、ガソリン二輪車よりも走行距離に対するコストが1/10〜1/15で済む(メーカー調べ)。このような点は魅力だが、やはり“バッテリー切れ”が心配で購入に踏み切れないという人もいるだろう。「bycle P3」は最大50km走行できる持続力を備えているうえ、ペダルで走ることができる。ペダル走行は常用するものではないが、いざという時に利用できる安心感は大きい。また、車重が軽いので比較的ラクに押して歩くこともできる。家にあるコンセントで充電できる仕様なども含め、取り回しのしやすさは、まさに“自転車感覚”。なのに、“移動力”は自転車以上! 遠乗りや速さを求めず、街中を“ちょい乗り”したいなら「bycle P3」はうってつけの1台と言えるだろう。

試乗した「ハッピーイエロー」のほか、「ゴールデンオレンジ」「チェリーピンク」「ショコラ」が用意されている

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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