「山の芋うなぎになる」ということわざがあります。あるはずのないことが起こる例えとして使われますが、うなぎがすっかり高級食材となってしまったこともあってか、さまざまな食材を使って、いわゆる“うなぎもどき”や“なんちゃってうなぎ”を自作される方もいらっしゃるとか。ということで、今回は「うなぎの蒲焼きにそっくり」と話題の商品をご紹介いたしましょう。
こちらは本物のうな丼です。味も見た目もどれだけこれに近づけるでしょうか
ご紹介するのは、一正蒲鉾株式会社の「うなる美味しさうな次郎 長持ちパック」。魚のすり身を使って、うなぎの蒲焼き風に仕上げた“練り物”です。見た目はもちろんですが、食感もうなぎに近いと大評判。テレビ番組やネットなどあちこちで紹介され、話題になっております。
なお、「うな次郎」には従来品である「うな次郎」と、新製品の「うな次郎 長持ちパック」の2種類があります。「うな次郎 長持ちパック」は文字どおり、従来品よりも賞味期限が長くなっています。さらに、電子レンジ対応容器になっているので、容器のままレンジでチンするだけでいただけます(従来品はそのままレンジでチンできません)。それではさっそくいただいてみましょう♪
パッケージはこんな感じ。この容器のままレンジで温められるのはいいですね
中にはうなぎの蒲焼き風練り物が2枚に専用タレ、山椒が入っております
で、うな丼にしてみました。先ほどの写真と比べても遜色ないレベルかと♪
適度な肉厚があり、これがうなぎのふんわり食感をうまく再現しています
皮の焼き目がまたリアル。こげた香ばしさや独特の弾力もうなぎに近い!
身の部分は箸で簡単に切れるのに、皮の部分は簡単に切れないのもうなぎっぽいポイント!
さて気になるそのお味ですが、うなぎ独特の風味や見た目はとてもうまく再現されております。身のふんわり感と口の中でほぐれる感じは、かまぼこやちくわのような硬さというか固まった感がなく、とても練り物で作ったとは思えません。炭火焼き風の香りが閉じ込められた専用タレとあいまって、かなりハイレベルな仕上がりといえます。
ただし、あくまでも“うなぎもどき”食品。さすがに、うなぎ独特の脂の感じや、皮と身の間にある独特のねっとり感までは作りこめていませんし、食感もうなぎと比べるとパサパサした感じが残ります。でも、うなぎ丼の風味はタレに負うところも大きいので、うなぎ風味丼と思えばおいしくいただけます。また、「うな次郎」1枚で成人男性が1日に必要なビタミンB1の摂取量を摂れるとのこと、健康にもよさそうですぞ。
うな丼や蒲焼きとして「うな次郎」をそのままいただくと、どうしても本物のうなぎと比較してしまいます。甘辛いタレの味は、基本的にはごはんに合うので、巻き寿司やおにぎり、う巻などの具材として使うほうが「うな次郎」の特長を生かせる気がした筆者でした。
ということで、う巻を作ってみました。筆者が作ると何度やっても「うな次郎」が真ん中になりませんが、とりあえずおいしそうでしょ♪ …ねっ!
最後にうなぎについてのうんちくを1つご紹介しましょう。日本人に親しまれているうなぎはニホンウナギという種で、食卓に出回る多くが養殖に頼っています。ニホンウナギの稚魚である天然のシラスウナギ(価格高騰もあって“白いダイヤ”の異名も)を漁獲し養殖しているのですが、近年は不良が続いており、ピーク時には200トン以上あったシラスウナギの漁獲量も、一時期5トン程度にまで下落し、うなぎ価格の高騰を招いたのは皆さんもご存じなのではないでしょうか。近年、漁獲量が十数トン程度にまで盛りかえしたこともあり、かつてほどの高値ではなくなっていますが、回復したというにはまだまだというのが正直なところです。
さらに恐ろしいことに、2014年には世界の科学者らで組織される国際自然保護連合(IUCN)が、「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」とされる「絶滅危惧IB類」にニホンウナギを指定しました。そう、うなぎは絶滅の危険性がある食べ物、いつしか幻の食材になってしまうかもしれませんね。ちなみに、この指定には法的拘束力はありませんが、輸出入が規制される可能性はあり、事実ヨーロッパウナギは2009年に貿易取引が制限されています。
高くても本物のうなぎを食べるか、本物でなくてもうなぎの感じが味わえるものを食べるか、それはあなた次第です!