まずは簡単な自己紹介から。玉置標本という名前でライターをしています。物心ついた頃から生物を捕まえることが大好きで、ザリガニ、カナヘビ、ウシガエルなど、捕まえられそうなものはなんでもチャレンジしつつ育ちました。そして18歳になると捕まえたものを調理して食べる喜びに目覚め、今も週に一度は何かを捕って食べるという生活をしています。
このあたりの話は『捕まえて、食べる』という私の本に詳しく書かれているので、ぜひご購読いただけるとそれはもう大変うれしいかぎりです。
カニとかタコとかエイとかを捕って食べた話です
ということで、今回はコウタケ(香茸)というキノコを採って食べた話をさせていただきます。
私がキノコ狩りの楽しさを知ったのはここ数年のことで、いまだに正体がわからないキノコだらけ。まだ1人でのキノコ狩りは採るのも食べるのも危ないので、その道に詳しい友人についていって、食べられるキノコをちょっとずつ覚えているという段階である。
そんなビギナーの私が憧れているキノコがコウタケだ。漢字で「香茸」と書くように、独特の強い芳香を放つのが特徴で、地域によってはマツタケよりも珍重されているという話だが(キノコを食べる食文化は地域ごとに特色があるため、その価値が場所によって大きく違う)、まだその実物を手にしたことはない。
昨年、友人の案内でコウタケ狩りにチャレンジしたのだが、残念ながら不作の年だったこともあって空振りに終わっている。そろそろコウタケの季節となり、今年こそは見つけてやるぞ! と盛り上がっていたところに、友人からコウタケ自慢の画像が携帯に送られてきた。ひと足先に様子を見に行ったところ、どうやら今年は当たり年のようだ。
友人のPさんから送られてきたコウタケの画像。その見た目は友人曰く、黒いラフレシア。正直なところ全然おいしそうじゃないのだが、これがうまいらしいのだ
毎年が当たり年の某ワインと違って、キノコの当たり年は本当に貴重。さっそくスケジュールを合わせて、次回のコウタケ探しに同行させていただくことにした。
そして迎えた当日、キノコ狩りの師匠であるMさんとPさんと向かった先は、ポンポコ山(仮名)の山頂付近にある駐車場だ。この場所はコウタケの実績がある場所ではない。なんでも共通の友人であるTさんがキノコ狩りでよく会うおじいさんから、「コウタケを採るならポンポコの駐車場近くがいいぞ」と聞いたという話を又聞きしたのだとか。
生えている木や山の様子を確認しながら、目的地のポンポコ山を目指す
2人がこの前コウタケをモリモリと採った森は、Tさんの案内で訪れた場所。今回はTさんが同行していないので、勝手に行くのはマナー違反。ひと声かければ快諾してくれるとも思うが、それもちょっと申し訳ない。ならば新規開拓に挑戦しようじゃないかというのが今回の流れである。
必ずあるとわかっている場所に行くよりも、未確認の怪しい情報を拠(よ)り所に自力で見つけたほうがおもしろいよねという思いも当然ある。なんだか単なるキノコ狩りというよりも、ちょっとした埋蔵金や沈没船探しみたいなワクワク感が堪らないのだ。とかいって、どっちにしろ私は2人についていくだけなのだが。
右がMさん、左がPさん。生えている木の種類やそのブレンド具合などから、キノコの気配を感じ取るそうだ。アカマツの林にドングリ系の落葉樹が少し混ざるとマツタケの可能性が高いとかね
「この地形でこのタイミング、もう採れたも同然でしょう」、「コウタケのついでにマツタケもいけるんじゃないの?」、なんて威勢のいい話をしていた行きの車中だったが、途中で寄った天然キノコを扱う直売所で意気消沈。地元のキノコが全然並んでいないのである。売店のおばちゃんにちょっと探りをいれたところ、「先週まではたくさんあったけどね〜」ということらしい。
キノコ狩りはタイミングが命なのだが、もしや1週間遅かったかもね。
そもそもの情報元が怪しい場所で、ちょっと外したタイミング。客観的に見れば期待1割、失望9割といったところだが、それでもこの場所だけは今こそが採り時なのかもという根拠のない期待が10割。そんな強い気持ちを持って目的地の駐車場へと到着。
天然のキノコは勝手に生えてくるものだが、どこでも勝手に採っていいというものではない。昆虫採集や山菜採りと同じように、私有地など立ち入ってはいけない場所がダメなのはもちろん、国立・国定公園は採取が禁止されているので、今回探すのもそれを踏まえた問題のない場所。また自分の体力や装備を考慮したうえで、決して無理のない範囲で探すのも大切なポイントだ。
そういったことに気をつけさえすれば、特に特別な道具がなくとも楽しめるのがキノコ狩りのいいところなのだが、食べるためにはそれなりの知識が必要となってくる。そこでキノコ図鑑が必要になるのだが、図鑑によって載っているキノコ写真の色みや成長具合、説明文の内容が違ったりするので、できれば複数冊用意して、さまざまな角度から知識をためこみたいところ。
Mさんに持ってきてもらったキノコ図鑑。写真集として、読み物としてもおもしろい本ばかり
Mさんのオススメはこちら
持ち歩ける図鑑も1冊用意しよう(現在は掲載キノコ数が増えた「ハンディ図鑑」として発売されているようです)
この図鑑での事前勉強はとても重要で、キノコの知識量とキノコ狩りの楽しさは比例する。森で出合ったキノコの名前がわかるという喜びは、街で知っている芸能人にあった感動に似ているのだ。ただ図鑑の内容を全部覚えれば見つけたキノコを100%判別できるかというと、それはまた別のお話。キノコは成長具合や乾燥状態によって姿が全然違うので、持った感触や匂い、あるいは生えている状況といった経験をためていくことが大切となってくる。
その道のプロやマニアでもわからないもの、紛らわしいものがあるのがキノコの世界。天然キノコは迷ったら食べないのが原則。とくに調べもせず、「なんとなくおいしそう」とか、「たぶん食べられそう」という野生の勘的な判断で食べるキノコは、実弾入りのロシアンルーレットだ。
ビギナーなりにそんな話を踏まえたうえで、太陽の向きや生えている樹木や土の状況を確認しつつ、「コウタケだけに乞うご期待!」とか言いながら歩きだした。
普段は山登りを一切しないけれど、そこにキノコという目的さえあれば毎週でも登るという友人
キノコ狩りって何を履いていくべきか毎回迷うのだが、Mさんのお気に入りは「日本野鳥の会」の軽くて動きやすい長靴とのこと。そんなのあるんだ!
私は登山靴で参戦。家にあった適当な服を着てきたら、なんだか信号機みたいな配色になっていた
しばらく歩いていると、このポンポコ山で初めてとなるキノコを苔(こけ)だらけの倒木で発見。頭の中にあるキノコインデックスから検索したところ、食用のヒラタケかムキタケか、あるいは毒キノコのツキヨタケあたりだろうか。
図鑑を手にしっかりと観察してみると、その形状やビロード状のカサから、ムキタケで間違いないことがわかった。キノコ狩りビギナーにとって一番うれしいのは、この名前が判明した瞬間だ。もちろん経験豊富な2人はひと目でこれがムキタケだとわかっている。
倒木にポコポコと生えたムキタケ
こうやって観察するだけでも楽しいのに、食べておいしいなんて最高じゃないですか
傘の裏側も確認すべきポイントだ
ムキタケで間違いないか図鑑で確認。そして触ったり匂いを嗅いだりして体でしっかりと覚える
よく似た毒キノコのツキヨタケではないことを断面からも確認
こういうキノコは手でちぎると壊れてしまうので、収穫の際はナイフなどの刃物を使う。普通のカッターとか十徳ナイフでもかまわないが、マッシュルームナイフと呼ばれる専用の刃物が存在するそうだ。
2本持っているというMさんから借りて使わせてもらったところ、さすがは専用だけあってカマのように丸まった刃がキノコを切るのには絶妙だ。なるほど、これは欲しくなる。野鳥の会の長靴もそうだけど、「別になんでもいいけど、どうせならコレ」という道具に私は弱い。
Mさん所有の折り畳み式マッシュルームナイフ
丸まった専用の刃と、キノコの汚れを落とすブラシがついている。いいなこれ
いしづき部分を残してカット。この段階でゴミや汚れをできるだけとっておくと、帰ってからの処理が楽になる
今のところまだコウタケは未発見だが、とりあえず手ぶらで下山という心配はなくなった。そしてムキタケというキノコの特徴をしっかりと記憶。次は図鑑を見なくてもすぐにわかるはず(とかいう自信過剰が一番危ないんだけどね)。
こうやってキノコ狩りごとに1つずつでもハッキリと名前のわかるキノコが増えていく体験こそ一番の収穫。人の顔と名前を覚えるのは苦手だけど、キノコに関しては積極的に覚えたい派なのである。
これは別の場所でPさんが撮ってきた立ち枯れした木のムキタケ。条件がよければ大量に発生するキノコなのだ
この山ではムキタケのほかにもさまざまなキノコが見つかった。私でも名前のわかるもの、2人に聞いて教わるもの、2人でもちょっと判断できかねるものなどさまざま。
食用となりそうなものもいくつかあったが、まだ小さかったり、逆に育ち過ぎていたりとタイミングが合わないものばかりだったので、残念ながらムキタケ以外の持ち帰りはなし。でも大丈夫、きっとこのあとコウタケをたくさん採るからね!
アラゲキクラゲの幼菌。中華食材のキクラゲって海のクラゲじゃないんですよ
老菌のヌメリスギタケモドキかな。やっぱり先週が採り頃だったか
この黄色いキノコはアイシメジっぽいけど微妙。ハエトリシメジかも? キノコ狩りは正解発表のないクイズだ
自然界では珍しい青い色をした木。Pさんによると、これはキノコの仕業とのこと
裏返してみると、確かに小さなキノコが生えていた
枯れ木を青く染めるロクショウグサレキンというキノコで染色にも使われているそうだ。ロクショウ(緑青)とは銅にできる青緑色のサビのことで、確かにあの色だ
一瞬持ち帰ろうかと迷った鹿の頭骨
ポンポコ山での捜索が不発に終わったので、ここでいったん作戦会議。どうもコウタケの場所としては標高がちょっと高過ぎたようで、2人がTさんと採った山とは生えている木や雰囲気が違うらしいのだ。
さてどうしよう、やっぱりあれはガセ情報だったのか。いやでももう一度よく考えてみよう。「コウタケを採るならポンポコの駐車場近くがいいぞ」という話でポンポコ山にきたのだが、よく考えれば「ポンポコ」は山の名前でもあるが、ふもとの地名でもあるじゃないか。
そういえばここに来る途中の道路脇に、「ポンポコ」と名のつく駐車場があったような。山の感じもよかったし、あのあたりの標高がベストかも。というような2人の熱い推理合戦があり、オリエンテーリング大会でミスったチーム気分で引き返す。
こうしてやってきた第2の場所は、ポンポコ山では見かけなかった松の木も生えていて、かなり理想に近い感じらしい。なるほど、やっぱりこっちが正解だったか。
さっきとは山の雰囲気が違うのがわかるだろうか
本命はもちろんコウタケで、マツタケやマイタケでもOKさ、なんならホンシメジでもいいんだぜとブツブツ言いながら探し回っていると、ドッシリとしたキノコらしいキノコを発見。これは今日一番の大物では。ただ、なんのキノコなのかがわからない。図鑑を見ても正体不明。なんだこれ。
ニョキッと生えていた立派なキノコ
これは食べられるシメジですかねとMさんに確認すると、「はいアウト。これは有名な毒キノコのクサウラベニタケだよ」と笑われた。あれー。
クサウラベニタケの存在は知っているし、これまでに実物を何度も見たことがあったのだけれど、ここまで軸が太くてシメジっぽい形のものは初めてだ。食べられるかもと思ってしまったのは、ほかにめぼしいキノコがなくて、気持ちが焦っていたというのもあるかな。
なにかお土産をと思っているときに紛らわしいキノコを見つけると、たぶん大丈夫だろうと思いたくなる心の弱さを実感。クサウラベニタケの食中毒が後を絶たないというのもうなずける話だ。
軸を持つとスカスカ。そして少し埃(ほこり)っぽい香りがする。毒キノコこそしっかりと覚えなくては
ちなみにこれは昨年見かけたクサウラベニタケ。天然のキノコって個体差がすごいんですよ
「食べられるのはこっちのウラベニホテイシメジだよ。ちょっと苦味があるけどね」とMさんが教えてくれたのは、すぐ近くに生えていたクサウラベニタケとそっくりなキノコだった。
こちらはカサに指紋のような模様があり、それが見分ける大切なポイント。並べてみれば確かに違うキノコだけど、生えている場所も同じだし、そりゃよく知らなかったら間違えるよね。
こちらはウラベニホテイシメジ。写真だとクサウラベニタケとの違いがよくわからないですね
軸がしっかりしていて、カサの裏がウラベニという名のとおりうっすら紅色だ。やっぱり実物を見て触るのって大切
シメジという名前がついても食べられないものもあって、これは昨年撮ったカキシメジ。おいしそうな名前と見た目なのに毒キノコというわかりにくさ
これはハナイグチという食用キノコの老菌。虫食いがすごいな
シャカシメジという食用キノコかと一瞬思ったけれど、オオワライタケという毒キノコっぽい。食べると笑いごとじゃないのでパス
サンゴみたいなホウキタケの仲間。この系統はまるっきりわからないので当然パス
そんなこんなで時刻はもう16時。そろそろ日も傾いてきてタイムアップは時間の問題。時間の問題って当たり前ですね、時間の話なんだから。
やっぱりあの話はガセだったのか。あるいは来るタイミングが遅過ぎたのか。私にはまったくわからないのだが、2人の話だとどうも少し前に人が入った形跡があるそうで、コウタケは目立つキノコなので、もし生える場所だったとしても採られた後ではとのこと。
デジカメが斜めなのではなく、地面が斜めなのだ
こりゃ来年の課題に持ち越しかなーと諦めかけたそのとき、今日一番のテンションで叫ぶPさんの声が聞こえてきた。
「あったかもー!」
かも? かもってどういうことだろうと近づくと、そこにはコウタケっぽい小さなキノコが生えていた。似ているといえば似ているし、違うと言われれば違うような気もする。
「コウタケっぽいけど、それによく似たケロウジっていうキノコかも。毒じゃないんだけど、すごい苦いらしいんだよね」とPさん。
コウタケ? ケロウジ? 君の名は?
「コウタケなら醤油(しょうゆ)みたいな匂いがするから、嗅いでみればわかるはず。うん、醤油の香り。カサのイボが雨で流れちゃったコウタケかな。でもケロウジっぽいなー」
ケロウジ、漢字で書くと「毛老人」。うん、食べたくないね。
私も嗅がせてもらったが、なんというか発酵している醤油にべっこう飴(あめ)を混ぜたみたいな強い香りがある
さてどっちだろうねーと2人で悩んでいたら、ちょっと離れた場所にいたMさんから、喜びに満ちたコウタケ発見の声が聞こえてきた。
「よかった、最後の最後にあったよ」とMさん
そこにあったのは、ちょっと収穫のタイミングから遅れてしまった不完全な形のキノコだった。凸凹した鱗片(りんぺん)と深い漏斗状(ろうとじょう)のへこみ、そしてハリネズミのようなチクチクの裏地。すべてがコウタケの特徴と一致する。そして肝心の匂いは、さっきのキノコと同じく醤油の香りがはっきりとする。
お二人が先週採った完璧なコウタケに比べると、なんだか一部だけ発掘された土器のような不完全さではあるが、目的のキノコなのでやっぱりうれしい。収穫が0と1では大違いなのだ。
不完全ながらコウタケっぽい
動物の毛皮みたいな裏側
そしてそのすぐ近くで私も発見。こちらもまた不完全ではあるが、ちょっとは状態がよさそうだ。
模様がよりはっきりしているコウタケを見つけた
本当にうまいのか、このキノコ
醤油の発酵した香りとべっこう飴のような甘い匂いがするんですよ
下山してからすぐに図鑑で照合してみたのだが、やっぱり最初のやつはケロウジで、あとの2つはコウタケのようだ。ちなみに香りはほぼ同じで、鼻だけでは区別がつかなかった。
コウタケの味が楽しみなのはもちろんだが、ケロウジがどれくらい苦いのかというのも気になるので、全部持ち帰らせてもらうことにした。
ということで今回の収穫は少量に終わったが、怪しげな情報を頼りにお宝を探すという達成感がたっぷりと味わえたので大満足。また来年、今度はもうちょっと早いタイミングで来てみたいと思う。
右が最初に採ったキノコ、左が2番目、真ん中が3番目
右の本の上の段、そして左の本の右ページがどちらもケロウジなのだが、写真の色みが全然違う。やっぱり図鑑は複数必要だ
持ち帰ったコウタケらしきキノコたちは、よく洗ってからスライスして、塩水に漬けて虫出しをして(天然のキノコは虫がいるものと考えてください)、干物を作る用のネットに入れて乾燥させる。なんでもコウタケは一度乾燥させたほうが香りが強くなるのだとか。
コウタケはアクが強く、触った指が荒れてしまう人もいるので、調理の際は手袋をしたほうが無難。また生食は厳禁。せっかくの食べられるキノコであっても、しっかりと加熱しないと吐き気などの中毒症状が出る場合もある。キノコはトリュフなどのごく一部を除いて、加熱調理が基本だと思ったほうがいいようだ。
ケロウジっぽいのは上段、コウタケっぽいのは中段と分けて干す
この時点でもかなりの匂いだったのだが、すぐに雨が降ってきたので室内干しにしたところ、部屋の中が醤油とべっこう飴の工場かというくらいの香りで満たされた。すごいぞ、コウタケらしきキノコ。
このコウタケであろう干しキノコを牛乳で戻し、クリームソースを作って茹でたパスタにかけていただいてみよう。
バターでタマネギと鶏肉を炒め、そこに水で戻したコウタケだと信じているキノコと牛乳を入れて煮詰める
さっそく出来たてをいただいてみると、ソースに含まれる旨味の強さにびっくりした。なるほど、これは珍重されるはずだ。ほかの食材では味わったことのない深みを感じる。肝心の香りについては、すでに部屋中に充満しているうえ、この香りを嗅ぎ過ぎて鼻がバカになっているためよくわからないが、かなりの芳香なのだと思う。うん、これはコウタケだ。
コウタケ自体の味については、ちょっと収穫時期が遅かったためか、ブリンザクザクといった歯ごたえと、ほんのりとした苦味が感じられるだけで正直微妙。もっと小さく切ってパスタと完全に絡めるべきだったかな。もっと状態がいいコウタケなら、また食感や味も違ってくるのだろう。
見た目がウミウシっぽいけどコウタケです。うまーい
続けてケロウジっぽいなと思いつつ持ち帰ったキノコをまったく同じ調理法で試してみたところ、香りやソースの味はほぼ同じなのだが、キノコ自体がやっぱり猛烈に苦かった。こんなにいい香りなのに正体は正露丸かよっていうくらいの激苦さ。それもしっかりと口に残る苦さだ。
うん、これはケロウジなのだろう。やっぱり怪しいと思ったキノコは食べちゃダメだな。
キノコの部分を食べさえしなければ、香り高いクリームパスタなんだけどね
ムキタケはキノコ汁にして、自分で打った蕎麦(そば)とあわせてみた。圧倒的に襲い掛かってくるキノコの出汁(だし)パワー。これぞ天然キノコっていう強い味と、トゥルーンヌメヌメプルプルクニュンという官能的なぬめりがすばらしい
ウラベニホテイシメジはPさんオススメの酒煮にしてみた。ケロウジとは違う大人の苦さだ
キノコ狩りは滑落の危険や毒キノコの誤食という重大なリスクがダブルであるため、やったほうがいいよと積極的に勧めようとはまったく思わないのだが、やっぱり宝探し的な喜びはほかに得がたいものがある。
もし興味があるよという方は、まずは身近な友人・知人からキノコ狩りを趣味にしている人を探すのが一番の近道。あるいは森林公園や博物館、あるいは日本各地にあるキノコの会が主催する「観察会」に参加するのがオススメ。ネットで「キノコ 観察会 地名」などで検索すると、意外とたくさん出てくる。
ずっと続けたいからこそ安全第一。キノコに関する知識をもっと増やしつつ、今後も自然の恵みと宝探し気分を楽しんでいきたいと思う。