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6種のボロネーゼを比較。食べてみると味は千差万別だった!

冷凍パスタの3大ブランドを食べ比べ! パスタ専門店主が選ぶNo.1はどれだ!?

冷凍食品市場が拡大する中、安定的な人気を誇るのがパスタ。スーパーなどの売り場を見ると、たくさんの種類が並んでいます。ただ、やみくもに陳列されているわけではありません。実はある程度の方向性をもってカテゴライズされていることをご存じでしょうか?

冷凍パスタは大きく分けると3タイプ。量を重視した「大盛系」、その逆をいく「プレミアム系」、野菜や魚介などを彩りよく盛り込んだ「具が多い系」(この分類や、○○系は筆者の独断によるものです)があります。
そして麺も2タイプ。一般的な「スパゲッティタイプ」と、プレミアム系に多い「平打ち生麺タイプ」に分かれています。前者は乾麺かつ細めなので、一般的には芯のあるツルっとした食感。後者は生で、麺に幅と厚みがあるため、もちっとした食べごたえのある食感になります。

同じ「青の洞窟」のボロネーゼでも、麺のタイプが違う2種類が存在します

同じ「青の洞窟」のボロネーゼでも、麺のタイプが違う2種類が存在します

そしてメーカーに関しても興味深いポイントが! 実は、三国志のような世界観で激しいバトルが繰り広げられています。現在放映中の朝ドラ『まんぷく』でおなじみ、大阪で誕生した「日清食品」。北海道の官営企業がルーツの、現「日本製粉」(ニップン)、そして前身の会社が館林で創業した関東の雄「日清フーズ」(「日清製粉」のグループ企業)です。なお「日清食品」と「日清製粉」には特に関連性はなく、別会社です。

各社さまざまなパスタブランドを展開していますが、やはり気になるのは味の違い。そこで、パスタ専門店のオーナーシェフに食べ比べてもらい、評価してもらうことにしました! その達人は、池尻大橋「パスタ アルバ」の酒井康成店主。

酒井康成さん。祐天寺、渋谷、中目黒などで展開されているパスタメインのイタリアンバル「KURA」で修業後独立。2016年5月3日に「パスタ アルバ」をオープンしました。休みの日は、パスタ以外にラーメンやうどんなども食べ歩いて研究を重ねる求道者です

チェックしたいのは味なので、今回は3タイプのうち「プレミアム系」に焦点を絞りました。ソースも、トマト系、オイル系、クリーム系、和風など多岐にわたるのですが、いわゆる王道のミートソースをチョイス。ただしプレミアム系の場合ミートソースとはいわず、本場にあやかった「ボロネーゼ」(正式名称は「ラグー・アッラ・ボロネーゼ」。ボローニャ風の煮込みという意味)とするのが各社の常套(じょうとう)手段のよう。ということで、ボロネーゼの「スパゲッティタイプ」と「平打ち生麺系」3商品ずつ、計6つのパスタを比較していきます!

■通常のスパゲッティタイプ
日清食品 スパ王プレミアム 牛挽肉のボロネーゼ
日清フーズ 青の洞窟 ボロネーゼ
ニップン オーマイプレミアム 牛挽肉ボロネーゼ

■平打ちで幅広い生麺タイプ
日清食品 もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ
日清フーズ 青の洞窟 生パスタ3種チーズのボロネーゼ
日清フーズ マ・マー 超もち生パスタ デミグラスソース仕立ての濃厚ボロネーゼ

補足として、実は「オーマイ」などを展開する日本製粉には平打ち生麺のボロネーゼがありません。一方、日清フーズには「青の洞窟」と「マ・マー」の2ブランドに平打ち生麺ボロネーゼがあるため、両方を採用しました。

5つの星どりとフリーコメントで評価!

麺の種類が違えば味の感じ方もかなり変わってくるはず。ということで、まずは通常のスパゲッティタイプ3商品を比較しました。評価には星どり項目も用意。肉感、麺のコシ、ソースのコク、一体感、本格度の5つです。


調理法はすべてレンチンで行い、それを酒井さんがお店の皿に盛り付けるという贅沢(ぜいたく)な手法で進行。見た目も一律な状態で食べることで、フラットに評価します。

袋に入れたままレンチンし、皿へ無造作に置くとこのような残念な見た目に。ということで、酒井さんが盛り付けます

盛り付け後!

盛り付け後!

実際、きれいに盛り付けをする、しないとではかなり印象が違いますね。酒井さんいわく、トングを使えば難しくないとのこと。ぜひ、ひと手間かけて盛り付けることをオススメします。ということで、食べ比べスタート!

通常のスパゲッティタイプ3商品を比較

(1)日清食品 スパ王プレミアム 牛挽肉のボロネーゼ

「スパ王」といえば、日清食品のパスタブランドとして有名。カップで味わうパスタなら食べたことがあるという人もいるでしょう。その冷凍の、プレミアムバージョンです。ミンチは牛肉100%。そして揚げナスとパセリ、イタリア産赤ワインなどを使っていることが特徴。「赤ワインは、肉の臭み消しで使っているのでは」と酒井さん。自身もその用途で使うとのこと。

310gで、479kcal

310gで、479kcal


「肉は牛100%なのかもしれませんが、エキスや脂で鶏や豚も使っているようですね。でもそれって、別に悪いことではないんです。使い方次第で、うまみやコクに幅が出ますから。うちのボロネーゼも、隠し味レベルで鶏のレバーを使っていますよ」(酒井さん)



「ボロネーゼは、肉々しさが大事な料理。そこでいうと、もうちょっと粒が大きくて量も多いといいかなーとは思います。その一方でソフリット(玉ネギ、ニンジン、セロリなどの香味野菜をみじん切りにして炒めた野菜)の甘みや素材感が出ていて、あとトッピングのナスがいいですね。揚げることでジューシーになっていますし、味もしみ込んでいます。全体的にトマトの味が強く甘めの味付けで、デミグラスソースのニュアンスも。本格的とは言い切れませんが、日本人やお子さんになじみやすいという点ではこれがいいんだと思います。麺は冷凍ながらもアルデンテの芯を感じますし、やりますね!」(酒井さん)


(2)日清フーズ 青の洞窟 ボロネーゼ

ナポリのカプリ島にある観光名所を冠したネーミングと、鮮やかな青色のパッケージが上品。ボロネーゼは、赤ワインでじっくり煮込んだ挽(ひ)き肉のうまみを生かしつつ、香味野菜とハーブで風味を引き立てた味が特徴です。

290gで、439kcal

290gで、439kcal


「うーん。さらに本場のボロネーゼから離れた印象。これはトマトの酸味が強くて、全体的に味も色も明るくなっているからだと思います。また、残念というか気になったのは水分量が多いこと。悪くいえば水っぽいということですね」(酒井さん)



「水分量が多い関係で、麺もやわらかさを思わせる食感。ソースとの絡みは悪くないのですが、もっとおいしくなれる気がします」(酒井さん)


(3)ニップン オーマイプレミアム 牛挽肉ボロネーゼ

牛挽肉のうまみと赤ワインの風味を効かせ、ゴーダチーズと揚げナスをトッピングしたボロネーゼ。「オーマイプレミアム」は、冷凍パスタのブランド別累計金額でNo.1なのだそう。その実力はいかに。

270gで、433kcal。スパゲッティタイプ3商品の中では最も少量です

270gで、433kcal。スパゲッティタイプ3商品の中では最も少量です

同商品はトレイに入ったままパッケージングされているのも特徴。今回は皿に盛り付け直していますが、より手軽な点も魅力といえるでしょう


「これも野菜の甘みがよく出ている印象。トマトの味も豊かですが酸味はそれほどでもなく、ソースはコクがあって濃厚だと思います。あと、よくいう“マンマの味”的な、どことなく手作り感のニュアンスも。僕はかなり好きです、この感じ! トレイはヤケドしにくいですし、お子さんやお年寄りにやさしくていいと思います」(酒井さん)



「麺もアルデンテの感じがあって、かなりおいしい! 1点気になったのは、チーズですね。本来のボロネーゼは、ボローニャがあるエミリア・ロマーニャ州生まれの『パルミジャーノ・レッジャーノ』を使うんですが、あえてゴーダチーズにしているのはとろとろ感を出したかったからだと思うんです。でも、それならちょっと少ないかなーと」(酒井さん)



3品のスパゲッティタイプを試食した酒井さん。ここまでの総評を聞いてみました。

「実は、冷凍パスタは初めて食べました。ボロネーゼって名前ですけど、やっぱり日本のミートソース的な感じでトマトの味や甘みが強めですね。肉の粒はもっと大きく食感を強くしたほうがいいと思いますが、日本で売るならこの味でもいいと思います。あと、ボロネーゼって本当は同じボローニャ生まれの『タリアテッレ』っていう麺で作るものなんですね。その意味では、次の平打ち生パスタは楽しみです」(酒井さん)

そういって、酒井さんが出してくれたのがこの麺。「パスタ アルバ」で使っている生パスタです

そういって、酒井さんが出してくれたのがこの麺。「パスタ アルバ」で使っている生パスタです

「麺は1種類にこだわっているので、平打ちの幅広い生パスタはないんです。ただ、うちのも生麺。また麺肌がザラっとした『ブランズダイス』というタイプなので、どんなソースともよく絡むんです。2.5mmぐらいの太い麺で、もちもちの食感も特徴ですね。もちろん、超オススメです!(笑)」(酒井さん)

では続いて、平打ち生パスタ部門の食べ比べに進みましょう。

平打ちで幅広い生麺タイプ3商品を比較

(4)日清食品 もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ

こちらは冷凍生パスタの売上No.1ブランドとのこと。ボロネーゼは、じっくりと煮込んだ牛肉と、北海道産生クリームで仕上げた濃厚な味、幅広いタリアテッレの麺が特徴。マイタケとパセリがトッピングされています。

295gで、472kcal

295gで、472kcal


「あ、これはすごく好きなタイプ! 生クリームはなくてもいいと思うんですが、味というよりもソースと麺との一体感をよくするために一役買っている気がします。肉はやはり小さく少なめではありますが、マイタケがあるのでアクセントはナイス。あとは風味がイイ! このマイタケと、それ以上にセロリの香味が全体を引き締めている感じです」(酒井さん)



「ボロネーゼのソースには、キノコが合うんですよ。実は、うちのボロネーゼには隠し味にポルチーニ茸を使ってて、このマイタケもよくマッチしています。そして、この麺は本場と同じタリアテッレですね。やっぱりこのような濃厚ソースには、もちもち系の平打ち生麺がよく合います。全体的にもすごくおいしくて、完成度が高い!」(酒井さん)


(5)日清フーズ 青の洞窟 生パスタ3種チーズのボロネーゼ

牛挽肉と香味野菜、マッシュルーム、赤ワイン、さらに複数のスパイスを加えてじっくり煮込んだ贅沢な味わい。そのうえで、マスカルポーネチーズとペコリーノ・ロマーノで仕立てたチーズソースをプラス。麺は、もちっとした弾力と適度な歯切れが特徴のフェットチーネを使っています。

280gで、439kcal

280gで、439kcal


「これは肉感がけっこうあって、おいしいですね。マッシュルームも効いていて、いいアクセントになっていると思います。ただ、チーズは3種入れているわりには主張がおとなしいような。冷凍だからかもしれませんが、チーズらしい香りは弱いですね。コク深く濃厚なので、その効果をチーズが担っているのかもしれません」(酒井さん)



「個人的には、麺はもう少し加水量を増やすなりして、やわらかくしたほうがいいと思います。歯切れはいいんですが、もう少しもちもち感を出したほうがソースとの絡みもいいはずですね。肉感は今回の中で一番だと思うので、麺がよくなればもっとおいしいと思います」(酒井さん)


(6)日清フーズ マ・マー 超もち生パスタ デミグラスソース仕立ての濃厚ボロネーゼ


「マ・マー」といえば、ショートからロングまでさまざまなパスタにくわえ、ソースなど多彩な商品群を誇る国民的ブランド。その中の、冷凍生パスタ部門がこのシリーズ。ボロネーゼはじっくり煮込んだ肉のうまみと、デミグラスソースの豊かな味が特徴。麺はもちもちとした食感の、タリオリーニを使っています。

285gで、401kcal

285gで、401kcal


「同メーカーで本格的なシリーズとしてはさっきの『青の洞窟』があるからだと思うんですが、こっちはお子さん向けですね。商品名にも“デミグラスソース仕立て”って書いてありますし、けっこう甘めです」(酒井さん)



「麺は、平打ち生麺の中では細いタイプのタリオリーニが使われています。ほどよいもちもち感とツルツル感がいいとこどりの麺で、このソースとの相性もいいですね。ただ、いま食べてみて残念な部分が見つかりました……」(酒井さん)


「これ……くっついちゃってます。おそらく、ゆでた後に急速冷凍させると思うんですが、その過程でくっついてしまったのではないかと。こうなってしまうと、パスタとしては致命的なんです。固まった部分ってソースが絡まないですし、食感も歯に残る感じで。今回はたまたまかもしれませんが、ちょっと残念ですね」(酒井さん)


まとめ:通常麺は「オーマイ」、平打ち生麺は「もちっと生パスタ」が好み

全6皿の試食が終了。総評を酒井さんに聞いてみました。

「ダメ出しをしてしまった部分もありましたが、全体的には冷凍食品のレベルの高さに驚きました。お子さんからお年寄りまでが食べることを想定すると、本場に近い味はなかなか受け入れられないとも思いますし。不思議だったのは、チーズやパセリですね。食べる人の手間にはなってしまうのですが、別の袋にして後から振りかける形にするといいと思うんですけどね。チーズやパセリは香りが大切ですから、分けたほうがフレッシュな風味にできるんじゃないかなと」(酒井さん)

「もし家にチーズやパセリがあったら、別途でかけてみてください。すごくおいしくなりますよ!」と酒井さん

「もし家にチーズやパセリがあったら、別途でかけてみてください。すごくおいしくなりますよ!」と酒井さん

各部門のお気に入りも聞いてみました。

「通常麺は『オーマイプレミアム 牛挽肉ボロネーゼ』、平打ち生麺は『日清食品 もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ』が好みでしたね。で、僕はやっぱりボロネーゼだったら平打ち生麺のほうがおいしかったと思います。なので、今回のナンバーワンは『日清 もちっと生パスタ 牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ』。生パスタの『青の洞窟』の肉の感じも好きですけど。でも通常麺なら『スパ王』も捨てがたいですね。日清食品は総じてスキがないというか、さすがグローバルブランドだなーと思いました」(酒井さん)


「今回の食べ比べ、楽しかったです。勉強にもなりました!」(酒井さん)

「今回の食べ比べ、楽しかったです。勉強にもなりました!」(酒井さん)

最後に、酒井さんのお店の紹介も。「パスタ アルバ」は池尻大橋駅から徒歩8分ほど。酒井さんが特にオススメなのは「自家製ベーコンのカルボナーラ」(1000円)と「自家製ベーコンのアマトリチャーナ」(900円)。そう、パスタはもちろん自家製のベーコンも自慢の逸品で、これは調味料に漬け込み、乾燥させた後に燻製(くんせい)して完成する、1週間かけて仕込んだもの。

「自家製ベーコンのカルボナーラ」1000円。もちもち麺に卵黄の効いたクリーミーな濃厚ソース、パワフルなベーコンのうまみと、黒こしょうの香りや辛味がアクセントになって激ウマ!

休みがなく、ランチ後の休憩なしで営業しているのも魅力。おつまみやお酒、スイーツなども充実しているので、ぜひ足を運んでみましょう!

【取材協力店舗】
パスタ アルバ 池尻大橋

https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131705/13195711/
住所:東京都世田谷区池尻3-16-5 truth ikejiri 101
電話番号:03-6805-2723
営業時間:11:30〜22:00(L.O.21:30)
定休日:なし
アクセス:東急田園都市線「池尻大橋駅」西口徒歩8分

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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