ラスボスか、はたまた真打ち登場か。
2024年1月8日、「日清ドロラ王 ドロ、ニボニボ、濃厚煮干」が発売されました。日清食品のロングセラーブランド「日清ラ王」が、ドロドロとしたテクスチャーにこだわって2022年の春に立ち上げたシリーズ「日清ドロラ王」の第4弾です。
「日清ドロラ王 ドロ、ニボニボ、濃厚煮干」。近所のファミリーマートで税込473円でした
同シリーズの第1弾は、2022年4月発売の「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」で、第2弾は2023年5月発売の「日清ドロラ王 魚粉、ザラザラ、魚介豚骨」。そして、第3弾は同年10月、再び鶏白湯の「日清ドロラ王 ドロ、コッテリ、鶏白湯」という初代のリニューアル版でしたが、ここに来て新味が登場。キーとなるのが「煮干し」です。
ドロドロとしたテクスチャーのラーメンスープには、さまざまなタイプがありますが、大量の煮干しを溶かし込んだスープは灰色になるため、“セメント”と称されることも。まさに「日清ドロラ王」と呼ぶに打ってつけの味であり、現時点で同シリーズの“ラスボス的存在”と言えるでしょう。本稿では、その特徴や味をレポートします。
“ハマると抜け出せない底なしの旨さ”という一文も、ドロドロ感をあおります
まずはスペックからチェック。
1食119g当たり413kcal、炭水化物67.4gと、濃厚な味をうたっていながらも、数値的には極端にヘビーなわけではありません。たとえば、王道の「日清ラ王 背脂醤油」は1食112g当たり412kcal、炭水化物61.4gなので、今回の「日清ドロラ王 ドロ、ニボニボ、濃厚煮干」は、炭水化物がやや高めと言える程度でしょう。
119gのうち麺は70gと、こちらもそこまで多くないです(「日清ラ王 背脂醤油」は75g)
味作りに関しては、麺にチキンエキスを練り込み、濃縮スープにポークエキスや豚脂を用いた動物系白湯と醤油のかえしが骨格。魚介には、煮干しエキスのほか、イワシ、ムロアジ、サバ、ソウダガツオの魚粉でダシの香りを生かしています。
中身の袋は4つ。左から、鶏チャーシュー、魚粉がベースの「ニボ沼の素」、液体スープ、粉末スープです
そして麺は、細めのストレートタイプ。「日清ラ王」ブランドならではの、生麺風食感が楽しめそうなノンフライ麺です。
一般的に、麺は細いほうがスープと絡みます。より多くのスープを持ち上げる、とも言えるでしょう
次は調理へ。時間は熱湯4分で、食べる直前に粉末スープ、液体スープの順に入れて混ぜていく仕様。これは、そのようにしないと粉末がダマになったり、麺がほぐれにくかったりするからです。濃厚系カップ麺をおいしく作るためのコツとも言えるでしょう。
粉末スープを溶かしたあと、液体スープを入れているシーン。この時点では、まだ強烈にドロドロとはしていません
一応、「ニボ沼の素」を入れる前にひと口スープを味わってみました。すると、これでも十分なおいしさではあるものの、ありきたりな印象も。黒い袋には「お召し上がりになる前にお好みで味の変化を調整してください」「煮干しの沼から抜け出せなくなるのでご注意ください」と書いてありますが、そこまで劇的に変わるのでしょうか。
「ニボ沼の素」を一気に投入。さすが、魚粉による和風な香りが漂ってきます
何はともあれ、「日清ドロラ王 ドロ、ニボニボ、濃厚煮干」が完成。
具材が鶏チャーシューと細かいネギのみなので、500円近くするカップ麺としては寂しいルックスです。ただし、こういった濃厚煮干しラーメンは、煮干しを大量に使う分原価がかかるのも事実。同商品でも、原価が価格に反映されているということなのでしょう。では、味は価格に見合った仕上がりなのか、じっくりチェックします。
「日清ラ王」や「日清ドロラ王」の名に恥じない味わいか、いよいよ実食
食べた第一印象は、優等生な煮干しポタージュという感想です。ただ、これは「ニボ沼の素」をすべて混ぜていない状態によるもの。徐々に溶かしていくと、欠けていたピースがハマる感じで、ドロドロ感も風味のリッチさもアップしました。
「ニボ沼の素」は、袋の中身をオールインで混ぜてOKな気がします
とはいえ、個人的に「ニボ沼の素」は全部入れちゃっていいような。好みで調整を推奨するほど、激しい魚介風味ではない気もします。これがあの「中本カップ麺」の激辛オイルであれば要調整ですが、このレベルで「ご注意ください」は、ちょっと大げさかなと思いました。
麺はスープとの相性もよく、「日清ラ王」ブランドらしいおいしさです
麺は加水率が低めで、パツッとした食感。先述したとおり、ドロッとしたスープとしっかり絡んで、満足感の高いすすり心地です。そして、鶏チャーシューは密度がありつつもしっとりした食感で、旨味が凝縮した味わい。鶏なので豚よりジューシー感が控えめで、この点は好みが分かれそうですが、このスープと麺には鶏チャーシューがマッチするという日清食品の判断なのでしょう。
豚のチャーシューよりも、こってり感が抑えられた鶏チャーシュー。凝縮感のある味ですが、比較的にあっさりしており、ハムに近い印象もありました
ちなみに、こうした濃厚系のカップ麺は食べ進めるうちに乳化が進み、よりドロドロになりやすい特徴があります。もし、もっと強烈なテクスチャーを求めたい場合は、完成させてからあえて数分待って食べるといいかもしれません。麺は少々のびてしまいますけどね。
「ニボ沼の素」は濃厚なとろみも左右するはずなので、その点からしても全部入れちゃってOKだと思います
“セメント”と呼ばれる超濃厚煮干しラーメンを提供するお店の中には、煮干し風味が強烈なあまり、その苦みやエグみまで感じるような一杯もあります。これはこれで、煮干し好きにはたまらないおいしさなのですが、「日清ドロラ王 ドロ、ニボニボ、濃厚煮干」はそこまでやりすぎてはいません。もっと万人受けする濃厚煮干しとなっており、多くの人がおいしく感じられるでしょう。
今後、さらなるラスボスな「日清ドロラ王」が出るのでしょうか。第5弾以降も注目です
筆者が優等生的な煮干しポタージュと感じたのも、そういったまとまりのよさにあるのかもしれません。個人的にはもっと煮干しがガツンと効いていたほうが好みですが、500円近い価格にも納得できるキャラの強さはあり。カップ麺で、気軽に個性派煮干しラーメンを食べたい人には、特におすすめです。