「その手があったか!」と思うような、ジャンク系のカップ油そばがエースコックからデビューしました。
2024年2月5日、「まぜてザクザク!シン・濃厚アブラソバ」が新発売。味の濃さだけではなく、ザクザクとしたインパクトの強い食感でジャンクさを訴求している点、そして食品市場でにわかなブームとなっているザクザク食感に着目した点に、「その手があったか!」とヒザを打ちました。
エースコック「まぜてザクザク!シン・濃厚アブラソバ」。メーカー希望小売価格は338円(税込)
なお、近年のザクザク系ヒット食品の筆頭と言えば、理研ビタミンの「ふりかけるザクザクわかめ」シリーズです。第1弾の「ふりかけるザクザクわかめ 韓国風ごま油風味」は、2022年9月の発売から2か月で当初の年間販売予定数量を達成し、2023年までにシリーズ累計出荷数が400万袋を突破したとか。今回紹介する「まぜてザクザク!シン・濃厚アブラソバ」も、パッケージの中央に「ザクザク!」を大きな文字で打ち出すほど訴求しています。
コンビニでは税込332円でした。スーパーなどではもっと安く売っているかもしれません
ただ、「映画みたいに何でもかんでも『シン』ってつければいいわけではないでしょ?」という気持ちも。やはり、そこには斬新だと思わせる食感や、トータルでのおいしさを求めたいところ。本稿ではじっくりと味わい、その真価を評価します。
パッケージを開けると、なかなかの簡素ぶりに少々面喰いました。というのも、入っているのは乾麵と調味タレと後入れかやくの3点のみだから。いい意味で潔く、悪い意味でチープ。それでいて価格は300円オーバー。この時点では、やや雲行きが怪しいと言えるでしょう。
乾麺は、乾燥野菜などが同梱されてはおらず、素のまま
また、量が多めなのかと思ってスペックを確認すると、麺は90g。この麺量は「ペヤング ソースやきそば」(コンビニで税込約198円)と同じで、特別にボリュームが多いわけではなさそうです。
そのほか、主なスペックは内容量が117g(麺90g)で521kcal。脂質は22.7g、炭水化物は70.1gでした
そのコスト分は、きっと後入れかやくにかけられているはず。そう思いつつ詳細を確認すると、揚げ玉ネギ、ポテト、揚げニンニク、揚げ玉、ネギがその内訳のようです。はたして、どれだけ斬新な味わいを感じさせてくれるのでしょうか。
頼みの綱は、このトッピング
ということで、さっそく調理開始。
時間は熱湯5分で、フタの上で調味タレを温めて待ち、時間が経ったら湯を捨てて調味タレと混ぜます。そして、仕上げに後入れかやくをふりかけて完成。
調味タレは、植物油脂、豚脂、醤油などが主で、ポークエキス、チキンエキス、カツオ調味料なども隠し味として入っています
後入れかやくは混ぜる前に、開封して中身をチェックしてみました。なるほど、ある種パッケージ写真どおりの内容。香りは揚げニンニクのパンチが効いていますが、どこまでジャンクなハーモニーを奏でるかが気になるところです。
ちなみに、後入れかやくの量は8g
でき上がってから改めてその全体像を見てみると、どうしても迫力が今一歩な点は否めません。ただ、香り自体はおいしそうです。どこか抜けない頼りなさを、味わいが払しょくしてくれるのでしょうか。
調理的に必要な器のサイズなのかもしれませんが、ひと回り小さくしてもいいいような気がします
いざ食べてみると、もっちりもふもふの麺とザクザクかやくのコントラストはなかなかいい感じです。かやく自体の食感も、確かにこれまで出会わなかったようなクリスピーさ。が、しかし……、それ以上の驚きは感じませんでした。これは、麺とタレに関してはオーソドックスで、想像を超えるパンチがなかったからだと思います。
麺は丸く太いもふもふとしたタイプで、タレは味付けもオイリーさも十分。平均点は超えているのですが、期待は超えておらず、どこか惜しい感じがしてしまいます
さらに惜しさの理由は、パッケージと実際の味とのギャップかなと思いました。というのも、黄×黒のビジュアルは「二郎インスパイア系」をイメージさせるジャンクさがありながら、麺とタレはそこまで振り切っていない王道の油そばと言える味。そのため、かやくがザクザク感を演出していながらも、全体的な味のパンチは突き抜けていないと感じてしまったのかと。
かやくで気になったのは1点。揚げ玉ネギは、サラダバーにあるフライドオニオンのように、ゴリッとしたデカめなタイプのほうがいいかもしれません。コスト的に難しいのかもしれませんが……
麺をより太く平たくしたり、タレにニンニクや背油を強く効かせたり。あるいは、かやくの量を増やしてザクザク感をいっそう強調したり。これらは価格との兼ね合いもあって難しい点かもしれませんが、バランスを変えてトガらせれば、もっと記憶に残る味になる気はします。
「まぜてザクザク!シン・濃厚アブラソバ」は、着眼点は「その手があったか!」と思えるナイスアイデアだと思います。ただし完成度は、見事な発想によって煽られた期待値には今一歩到達していない気もしました。
今回は醤油でしたが、味噌や豚骨系の味ならもっと“いい違和感”が出そう。第3弾以降にも注目です
エースコックはこれまで、インパクトのある「EDGE」や「MEGA」といったシリーズを手掛けてきた、冒険心にあふれるメーカー。きっと今後もユニークなカップ麺を投入してくるでしょう。本商品の方向性は素晴らしいので、もしまたザクザク系が発売される際は期待したいです!