育児でヘトヘトになってしまい、つい、冷凍食品やお惣菜で夕食を済ませてしまうことが増えているこの頃。健康的な食生活をしなければと思ってはいるものの、なかなか行動できずにいたら、価格.comマガジンの編集者さんにサーモス「シャトルシェフ」をすすめられました。なんでも、“ほったらかし”できちんとした手作り料理が楽しめる有名な調理器具らしいのですが、筆者はその存在を知らず。とりあえず、使ってみることにしました!
シャトルシェフは火にかけた鍋を保温容器に入れ、その余熱で食材に火を通す「保温調理」ができる調理器具。保温容器には保温・保冷にすぐれる魔法びんの真空断熱技術を使用しているので、長時間高温を維持できる点がポイントです。メーカーが行った調査によると、鍋いっぱいにお湯(95℃)を入れフタをした状態で室温20℃の部屋にシャトルシェフを置いておいた場合、6時間後でも湯温は70℃をキープできたとのこと。一般的な鍋では20℃近くまで湯温が下がったそうなので、保温力は圧倒的です。この仕組みを調理に活用したシャトルシェフは、火にかけ続けなくても余熱でじっくり煮込んだ料理を作ることが可能。電気代やガス代が抑えられるのはもちろん、焦げ付きや吹きこぼれの心配もないので、“ほったらかし”にできるのが大きな魅力です。
火にかける調理鍋(左)と、その鍋を火から下ろして入れておく保温容器(右)がセットになっています
魔法瓶と同じように内側と外側の間が真空状態となった真空断熱層を採用した保温容器は、高い保温・保冷機能を装備
食材の入った調理鍋を火にかけて十分熱し、保温容器に収め、保温容器のフタをして「ほったらかし」におくのが保温調理。余熱で食材にじんわりと火が通っていきます
最後にかぶせる保温容器のフタも断熱構造となっています
なお、シャトルシェフには、容量や用途の異なるラインアップが複数用意されています。基本的な構造は同じなのでどれでも保温調理できますが、調理鍋の素材がステンレス製とアルミ製の2種類あるので、選ぶ際には注意しましょう。もともとはステンレス鍋のみでしたが、数年前に、近年のトレンドである内側にフッ素コーティングを施したアルミ鍋が登場しました。アルミ鍋はステンレス鍋よりも薄く、軽いのが特徴。今回は、サーモスのスタッフに「初めて使うならアルミ鍋のほうが使いやすいだろう」と推薦された「KBJ-3000」を使うことにしました。
KBJ-3000は3〜5人用の料理が作れるタイプ。調理鍋の内径は約19.5cmで、容量は2.8L。ガス火とIHのどちらにも対応しています
調理鍋の内側には3層のフッ素コーティングを施し、焦げ付きを低減。底面は熱が伝わりやすいように2.9mmの厚底設計となっています。鍋の重量(フタ含まず)は766gなので、食材を入れてもそれほど持ち運びには苦労しないでしょう
さっそくシャトルシェフで保温調理をしてみましょう。まずは、基本的な使い方を知るために、付属レシピに載っているカレーを作ってみました。
野菜と肉を調理鍋で炒めます。じゃがいも2個、玉ねぎ1個、人参1本、肉200gを入れているのでかなりの量になりました
炒めた具材に水を3カップ入れて中火で5分加熱
5分加熱したら、調理鍋を保温容器にセット。なお、カレールーは保温調理したあとに投入します
保温力を調査するため、コンロから下ろした時の温度をチェック。91.8℃と熱々です
ついでに、5分加熱しただけの食材の火のとおりも確認してみたところ、じゃがいもの場合、串が半分刺さる程度でした
保温調理中は、こんな感じで放置。付属レシピには30分以上置いておくと書いてあったので、40分間保温調理することにしました
保温容器が熱くなっているのか気になったので触ってみましたが、ほんのり温もりを感じる程度。やけどの心配はないようです
待つこと40分。保温容器に入れた調理鍋のフタを開ける時がきました!
フタを開けると、湯気が!
鍋内の温度を測ってみると80.5℃でした。40分経過しても十分な温かさをキープしています
保温調理を終えた調理鍋にカレールーを入れて溶かし、そのまま食べてもいいようなのですが、筆者は熱々にしたかったので調理鍋を取り出しコンロで加熱。80.5℃なので、すぐに熱々になりました
食材を切ったり、炒めたりする時間も含め、コンロの前には10分くらいしか立っていませんでしたが、ちゃんとしたカレーが完成!
保温調理前は芯があった野菜も、スプーンで簡単に割れちゃうほどやわらか! お肉も硬くなっておらず、弾力もジューシーさも申し分ありません
ほったらかしでここまでおいしく作れれば、まったく文句はありませんが、片付けに手間がかかるようでは考えもの。片付けもラクに行えるのでしょうか。
火に長時間かけていないので調理鍋に焦げ付きはなく、スポンジで軽く洗うだけで汚れがスッと落ちました。これは、ラク!
保温容器のほうは基本的には汚れないので何も手をかけなくてもいいのですが、気になるようなウェットティッシュなどで拭けばOK。ただし、保温容器とそのフタは洗浄禁止となっています
カレーの出来のよさと調理にかかる手間のなさに感動した筆者。料理するのが楽しくなってしまい(といっても、ほったらかしで作れるので台所に立つ時間は短い)、約2か月間、いろいろなメニューを作りまくりました。その中から、便利でおいしいと思ったメニューを紹介します。
下ごしらえがめんどうそうなのに加え、出汁(ダシ)をしっかり染みこませ、かつほどよい食感を残してなすの煮物を作るのは難しそうなので、これまで1度も作ったことのないメニューでしたが、シャトルシェフを使うと加熱は5分のみ。あとは30分ほどほったらかしにしておくだけと超簡単そう! 健康のために野菜を摂りたいので作ってみることにしたのですが、完成した料理への満足度が非常に高い一品でした。
下ごしらえは、調理鍋に水と昆布を入れて15分置いておくのと、なすの皮をピーラーで縞模様に剥き、10分くらい水にさらすという程度で、思っていたよりめんどうじゃない!
調味料を入れた調理鍋になすを並べようとしたら、なすが長すぎて3本しか入らず。1本は半分にカットして入れました
なすが浮かないようにキッチンペーパーをかぶせて加熱。沸騰したら弱火にし、調理鍋にフタをして5分加熱します
5分加熱したなすは、竹串がスッと通るほどやわらか! しかし、出汁は染みておらず、白いままです
この状態で調理鍋を保温容器に入れて30分放置。
30分間保温調理したなすが、こちら! 出汁がしっかりと染み込んで茶色くなっています
煮崩れもしていないので、小料理店の一品のような仕上がり。噛むとジュワーッと出汁が口の中に広がりました
お総菜を買っていた頃と異なり、料理を作り始めるようになると、なるべく健康的なものを食卓に並べたくなってきました。そのひとつが、魚。グリルで焼いて焼き魚にするという手もありますが、ニオイがすごいし、なにより洗うのがめんどうだからやる気が起きません。そこで、ニオイもそれほど出ず、食材をアルミホイルで包むので片付けもラクな「ちゃんちゃん焼き」に挑戦してみることにしました。加熱6分、保温調理10分で完成するので、思いついた時にサッと作れるメニューです。
塩とこしょうを振りかけた鮭の切り身とカットした野菜をアルミホイルで包みます
調理鍋に食材を包んだアルミホイルをセット。食材を多めに入れたので、2人分しか入りませんでした(筆者宅はまだ小さな子どもと旦那だけなので、これで問題なし)。この状態の調理鍋に水を入れ、フタをして加熱。沸騰したら中火にして6分加熱します
あとは、調理鍋を保温容器に入れて10分保温。
保温調理10分後の完成したちゃんちゃん焼き。筆者はこれまでフライパンで作っていましたが、ホイル内の食材が焦げ付いたり、逆に生焼けだったりとよく失敗していたので1回目で成功したことに感動!
余熱で加熱しているため、鮭の身も硬くなっておらず、食感も味わいも完璧。野菜も一緒に摂れ、かつ、加熱や保温時間も短いので、今後もひんぱんに作りたい一品です
大好きなメニューだけれど、もっぱら出来合いのお総菜のお世話になっていた豚の角煮も作ってみました。加熱し過ぎると豚肉が硬くなってしまうので、普通の鍋で作るのは火加減などの調整が難しそうな気がしますが、シャトルシェフを使ったら家族も大満足の仕上がりに。加熱、保温を2回ずつ行わねばならないうえに、保温時間もトータル3時間以上と、手がかかる部分はこれまでのメニューの中でもっとも多いですが、作れた満足度はダントツです!
豚バラかたまり肉の表面に焼き色をつけます。筆者は調理鍋で焼き色を付けましたが、フライパンを使ってもOK
調理鍋に水を入れて加熱(沸騰後、弱火で10分間)したあと、コンロから下ろし、保温容器にセット。保温調理に移る前に、長ねぎやしょうがを入れておきます。そして、保温容器にフタをして1時間放置
これまで作ったメニューなら、ここで完成ですが、豚の角煮は肉をカットして調理鍋に入れ加熱する工程があります。加熱時間は、沸騰させてからフタをして弱火で10分
ここまできたら、ようやく最後の仕上げとなる保温調理。保温容器に調理鍋を入れて、2時間保温します。
2時間保温調理したあとの鍋の中。これで完成かと思いきや、長ねぎとしょうがを取り出した調理鍋をコンロに置き、砂糖とみりんを加えて煮つめるという作業がありました。照りを付けるための工程なので、必須ではないかもしれませんが、仕上がりが変わるのでこのくらいは手作業します!
盛り付けた角煮は、とても手がかかったように見える出来映え。たしかに調理時間はトータル3時間40分くらいかかっていますが、筆者が実際に作業したのは40分程度
もちろん、お箸で簡単に割れちゃうほどやわらか。旦那の評判がすごぶるよかったです
シャトルシェフ特有の保温調理のコツをけっこうつかんだので、上で紹介したメインディッシュになりそうなメニュー以外もいろいろ作ってみました。すると、さらに便利であることを実感。そのいくつかをご覧ください!
大人の食事はお総菜など買ってきたもので済ますことも多い筆者ですが、子ども(1歳)の食事は手作りしています。火をとおすのに時間がかかる野菜をすぐ使いたい時に、シャトルシェフは重宝しました。
小さめのじゃがいもを丸ごと茹でる場合、普通の鍋なら20分くらい加熱しなければなりませんが、シャトルシェフは5分ほどの加熱と10分の保温調理でOK
ホクホクのじゃがいもが茹で上がりました
トータルの調理時間は普通の鍋で茹でるのとそれほど変わりませんが、保温調理中は手が空くので、ほかの野菜を切ったり味付けをしたりと別の作業ができるのがありがたい。野菜のミルク煮をスピーディーに作ることができました
保温できるのだから、湯豆腐にも使えるんじゃないかと試してみたところ、大成功。保温容器にセットしたままテーブルに置いていますが、フタをしていないため、熱々はキープできません。ただ、食べ終わるまでに冷えすぎてしまうこともなかったので、筆者的には合格点です。
カセットコンロで温めながら食べる湯豆腐とは異なり、熱々とはいきませんが、煮立てすぎて豆腐にスができたり、硬くならないので大満足。夏場は、特にこのくらいの熱さでちょうどいい感じです。カセットコンロを使わないと片付けもラク!
おかずだけでなく、ケーキやプリンといったデザートも作れるシャトルシェフは、ごはんを炊くこともできます。8分加熱したら、あとは保温容器に移して15分置いておくだけ。加熱前に30分ほど米を水に浸しておかなければなりませんが、粒感がある炊き上がりが気に入ってしまい、炊飯器よりもシャトルシェフでごはんを炊く回数のほうが増えています。なお、玄米も同じ要領で炊飯可能。
浸水から炊き上がりまでは1時間強の時間がかかりますが、夕食の準備と並行して進めれば差ほど手間には感じません。粒立ちもよく、やわらかくなりすぎないので気に入っています。なお、同じ調理鍋でおかずも作っていますが、ごはんにニオイが移ることもありませんでした
シャトルシェフを使い始めた頃は、煮込み料理を中心としたメイン料理で真価を発揮すると思っていたのですが、今回、約2か月使い続けてみたところ、その汎用性の高さに驚きました。慣れてくると、このくらいの時間加熱して、だいたい○分保温しようというようにアレンジもできるようになり、また、アバウトにチャレンジしてみても大失敗して取り返しがつかないほどの事態にはならないのも魅力的なポイント。たとえば、お好み焼きを作った時のこと。サーモスの公式サイトにあるレシピにならって、調理鍋に生地を入れて弱火で約5分加熱し、あとは保温容器に入れて10分保温したにもかかわらず、ちょっと火がとおっていない仕上がりになってしまいました。そこで、焼き色が付いていない面を下にして再加熱でリカバリー。それでも、普段筆者がフライパンで作っているお好み焼きよりも厚みのあるふんわりとしたものが作れたので、けっこう適当にチャレンジしてもなんとかなると感じました。こう感じられると、調理器具として使う頻度は激増。あれほど自炊をやる時間がないと言ってたのに、シャトルシェフがきてからは週に3日はシャトルシェフで調理しています。
リカバリーして作ったお好み焼きですが、びっくりするほどふわふわで、家族に1番評判がよかったです
疲れてあまり料理をしたくない時でも、材料を切って5分ほど加熱するだけで、あとはほったらかしでOK。シンプルでわかりやすいうえにできあがった料理もおいしく、焦げ付きもないので後片付けもラク。多くの人に支持される調理器具である理由を実感できました。というか、シャトルシェフは絶対買おうと思っています。
歴史旅ブログ「カツイエ.com」の運営と、ゆるめの歴史イベント「名古屋歴史ナイト」を主宰するライター。初の子育てに毎日てんてこまい。