レビュー

入手困難!? ハイエンド「クルトガ メタル」は“傑作シャーペン”の名にふさわしかった!

今、中高生を中心に、高機能シャープペンシルがすさまじい人気を博しているのをご存じでしょうか。実際、注目の新製品シャープペンシルが発売される日には、中高生が家族を動員して朝から文房具店に並ぶ(大体1人1本の購入制限があるため)のはよく見かける光景ですし、仕入れ数の多い大型店舗だと、混乱を避けるために最初から抽選販売になるケースも増えています。

そんななかでもトップクラスの注目度で、発売前からネットで大きな話題になっていたのが、2024年4月に発売されたばかりの三菱鉛筆「クルトガ メタル」です。高機能シャープペンシルの元祖とも呼ばれる三菱鉛筆「クルトガ」シリーズのハイエンドモデルとして発売されたもので、その握りやすさ、書きやすさはさすがのひと言。今回は「そんな最新の超人気シャープペンシル、どこがどうすごいのか?」といったあたりを中心に紹介しましょう。

大注目!金属軸のクルトガ・ハイエンドモデル

2008年に発売された三菱鉛筆の初代「クルトガ」は、書くたびに芯を少しずつ回転させる独自機構「クルトガエンジン」を搭載。この回転によって芯が偏減りすることを防ぎ、常にピンと尖った芯先でシャープな筆記ができるというものです。

シャープペンシル界隈で今、大注目の「クルトガ メタル」(三菱鉛筆)

シャープペンシル界隈で今、大注目の「クルトガ メタル」(三菱鉛筆)

今回取り上げる「クルトガ メタル」は、その名のとおり「クルトガエンジン」を搭載した金属軸シャープペンシルですが、ただそれだけの高級アイテムということではありません。金属軸としては画期的なほど握りやすいグリップ、見た目の高級感、性能アップした新型「クルトガエンジン」を備え、さらにはこれまでの「クルトガ」の欠点を解消する新型パーツまで搭載した、超欲張り仕様のハイエンドモデルなんです。

ベースとなった「クルトガ KSモデル」(写真上)との比較

ベースとなった「クルトガ KSモデル」(写真上)との比較

全体的な雰囲気は、現行のスタンダードモデル「クルトガ KSモデル」のラインを踏襲していますが、アルマイト着色を施したアルミ軸の全体には微細な切削溝とブラスト加工が施されています。その結果、表面に生まれる独特の鈍いギラッとした反射光が重厚さを演出し、いかにも高級! という見た目を生み出しています。

軸全体には螺旋状の細い切削溝+表面を荒らすブラスト加工が。これが光を乱反射させることで鈍い光沢を生んでいます

軸全体には螺旋状の細い切削溝+表面を荒らすブラスト加工が。これが光を乱反射させることで鈍い光沢を生んでいます

ただし、軸重量自体は17.6gと金属軸としては比較的軽め。握った際にもずっしりした手応えを感じるほどではありません。その代わり、単に段溝が施されているように見えるグリップには軸全体と同じ微細溝がびっしりと刻まれており、力を入れて握ると微細溝が指の指紋に吸い付くような安定感が得られます。軽く触るとサラッとした手触りなのに、力を入れて握るとピタッと吸着して安定する、ちょっと驚くようなグリップです。

微細な溝が指紋に噛み込むような感じで、握った際のグリップ力を高めています。この吸い付く感じはちょっと未体験!

微細な溝が指紋に噛み込むような感じで、握った際のグリップ力を高めています。この吸い付く感じはちょっと未体験!

加えて口金には比重の高い真ちゅうを使うことで「重心バランスもうまく取っているな」という感じ。とはいえ、軸後方に「クルトガエンジン」を搭載しているため、前側だけ偏って重い低重心タイプではありません。「全体的に重すぎず軽すぎず、落ち着いてコントロールできるほどよいシャープだな」という印象でした。

「クルトガ」の問題点「カチャカチャする芯ブレ」を完全解消!?

芯が自動回転して偏減りしない「クルトガ」は、鋭くキリッとした線を引けるのが最大のメリット。ですが、その回転させる機構を動かすことによって、どうしても芯が紙に当たるたびに「カチャ」という細かな上下動(ブレ)が発生してしまいます。これはもう構造的な問題で、どうにも解決できないものと思われてきました。なのに、「クルトガ メタル」の書き味には、そのカチャカチャ感がほとんどありません。体感としては、普通のシャープペンシルとほとんど変わらない書き味と言えます。それでいて「クルトガ」の芯回転機構はきちんと働いているので、筆跡はとてもシャープです。

極限まで抑制された先端ブレは、無理矢理アラ探しをしようとしない限りはまず体感できないレベルでした

極限まで抑制された先端ブレは、無理矢理アラ探しをしようとしない限りはまず体感できないレベルでした

「KSモデル」以降、そして「クルトガ メタル」にも搭載されているこの新型「クルトガエンジン」は、カチャカチャとしたブレを解消するために開発されたもの。実際に初代と「KSモデル」で書き比べると確実にブレが少なくスムーズなんですが、その「KSモデル」と比べてもなお「クルトガ メタル」のほうが圧倒的にブレが少ない!

搭載しているエンジンは「メタル」「KS」とも共通(なんなら入れ替えも可能)なのに、書き味はハッキリと別物

搭載しているエンジンは「メタル」「KS」とも共通(なんなら入れ替えも可能)なのに、書き味はハッキリと別物

その秘密が、口金と芯パイプの間に挟まっている樹脂製の新パーツ「ニブダンパー」です。構造の詳細なところは明らかにされていませんが、この「ニブダンパー」と口金の間には粘性のある流体が組み込まれ、これによって先端が紙に当たる際に出るブレを吸収しているのでは? と考えられています。実際、よくよく集中してペン先を紙に当てると、これまでのカチャカチャとした動きに代わって、わずかに“ぬるっ”とした手応えがあるように感じました。

内部に粘性流体を塗布することで“ぬるっ”としたクッション性を発揮する「ニブダンパー」

内部に粘性流体を塗布することで“ぬるっ”としたクッション性を発揮する「ニブダンパー」

カチャつかずにシャープな線が引けるため、悪筆の民でもそれなりに読みやすい字が書けるかも!?

カチャつかずにシャープな線が引けるため、悪筆の民でもそれなりに読みやすい字が書けるかも!?

この書き味は本当に驚きで、「クルトガ」なのにブレがなく、でも「クルトガ」ならではのシャープな筆跡で書けている。つまり、デメリットを消して、メリットだけが享受できているわけで、これは本当に価値のあることでしょう。さらに質感はいいし、グリップ性能も非常に高いしと、文句の付けどころがほとんど見つからないほど。まだしばらくは入手困難が続くという話もありますが、手に入るようになったらぜひ多くの人に試してみてほしい傑作シャープペンシルだと思います。

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きだてたく
Writer
きだてたく
最新の機能派文房具から雑貨・ファンシー系のオモシロ文房具まで、何でも徹底的に使い込んでレビューする文房具ライター。雑誌・WEBで文房具の最新情報や使いこなし記事を執筆するほか、文房具の楽しさを伝えるトークライブやワークショップなども全国各地で精力的に行う。最近は掃除機業界にも進出中!
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金原望弥(編集部)
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金原望弥(編集部)
大学卒業後、出版社にて月刊誌の編集に従事。その後、カカクコムに入社し、ファッションメディア「TASCLAP」を経て、「価格.comマガジン」へ。腕時計やアウトドアを担当するZ世代エディターです。
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