いいモノ調査隊
SONYの新型ウォークマン「A30シリーズ」で高音質を体験

mp3音源を“アップサンプリング”で高音質化できるか試してみた

ウォークマン買っちゃいました。何年ぶりだろう。ここ十年以上はiPodしか使ってこなかったのでかなり新鮮に感じます。ではなぜ今になってウォークマンか? はいそうです。今流行のハイレゾを聴いてみたくなったからです。そこで今回は、筆者もちゃんと知らなかった「いったいハイレゾとはなんぞや?」や「ウォークマンでどう音楽が変わるのか?」という疑問の答えはもちろん、さらには手持ちのmp3データをアップサンプリングで高音質化してみよう企画なども詰め込んだページにしてみました。長文となってしまいましたが、Apple派の皆さまもぜひ一度ご覧あれ。

目次
・そもそも音楽再生専用機って必要ある?
・特筆すべきはやはり音! ハイレゾ対応FLACフォーマットに驚く!
・音楽の取り込み方法:「FLAC」形式でCDをインポートする
・これでハイレゾだ! と思いきや…「FLAC」はハイレゾではない?!
・フリーソフトで「mp3」のビットレート、サンプリングレートをアップサンプリングしてみる
・アップサンプリング完了! 聴き比べた結果は…?

SONYより発売の新型ハイレゾ入門機「A30シリーズ」ウォークマンです

SONYより発売の新型ハイレゾ入門機「A30シリーズ」ウォークマンです

本体+ハイレゾ対応のNCヘッドホンがついたモデルを購入しました

本体+ハイレゾ対応のNCヘッドホンがついたモデルを購入しました

そもそも音楽再生専用機って必要ある?

さてまずはウォークマンです。最近は音楽も写真もスマホ1台で済ませる方が多いと思います。しかしあえて音楽再生専用機を購入し、音楽だけを楽しむことにこだわりたいと思う、そんな魅力が詰まったSONYのA30シリーズを購入しました。ハイレゾ音源に対応した入門機という位置づけの商品で、ハイレゾ対応のノイズキャンセリング機能つきのヘッドホンが付属しているモデルです。32GBモデルを購入しましたよ。またmicro SDを使うことで容量を増やせるというのもウォークマンならでは。

そのほかの付属品はUSBケーブルと交換用のイヤーピースなど

そのほかの付属品はUSBケーブルと交換用のイヤーピースなど

本体裏側にはNFCが付いておりBluetooth対応機器に接触するだけで接続可能

本体裏側にはNFCが付いておりBluetooth対応機器に接触するだけで接続可能

大きさは約54.8mm x 約97.3mm x 約10.7mm。重量は約98gです

大きさは約54.8mm x 約97.3mm x 約10.7mm。重量は約98gです

ウォークマンらしいカラフルな色合いの本体はザラっとしたマット感のある質感になっています。3.1型(7.8cm)、WVGA(800x480ドット)のモニターはタッチパネルになっており、発色もきれいです。特筆すべきは本体のサイドにハードウェアボタンがついており、ポケットに入れていても、曲飛ばしやポーズ、音量調整などができます。これかなり便利です。iPodとかだといちいち本体を取り出さないといけなかったですからね。こういった機能を見ると、やはり専用機があってもいいなと思います。

本体サイドのハードウェアボタン。押しやすく使いやすいです

本体サイドのハードウェアボタン。押しやすく使いやすいです

特筆すべきはやはり音! ハイレゾ対応FLACフォーマットに驚く!

そしてやはり注目すべきはハイレゾ音源です。ハイレゾとはCDと比べてより細かくデジタル化し保存されたデジタルデータで、その情報量はCDの約6.5倍! つまり、レコーディングスタジオやコンサートホールで録音されたクオリティーがほぼ忠実に再現されるというわけです。とはいえ、人間の耳、とくに筆者のようにiPodに付属していたヘッドホンだけで満足していた貧乏耳にその違いがわかるの? という疑問がありました。なので購入前に店頭で試聴してみました。何曲かハイレゾ音源のデモが入っていたのですが、『残酷な天使のテーゼ』があったので迷わずセレクト。結果、曲の導入部分ですでにやられました。なんという音の広がり、そして多彩に聴こえる音。今まで聴こえなかった楽器の音やコーラスなどもクリアに聴こえましたよ。そこで即決です。

ハイレゾ対応ヘッドホンが本体と同じ色で付属。通常のヘッドホンよりもかなり大きいです

ハイレゾ対応ヘッドホンが本体と同じ色で付属。通常のヘッドホンよりもかなり大きいです

タッチパネルでの操作も快適です

タッチパネルでの操作も快適です

音楽の取り込み方法:「FLAC」形式でCDをインポートする

購入してきたウォークマンに音楽を取り込むのですが、対応ソフトは「Media GO」というソフトを使います。PCが必要になりますよ。今までは「iTunes」を使ってきたので、ちょっと勝手が違います。ただ操作方法は総じて同じで、CDをインポートして、ライブラリに取り込み、プレイリストなどを作ってウォークマンに転送するというやり方です。ただ、ファイルのフォーマットなどが「iTunes」とは異なります。

iTunesでインポートできるファイルはこちら。普段はAACで取り込むことが多いですよね

iTunesでインポートできるファイルはこちら。普段はAACで取り込むことが多いですよね

AACファイルなら容量も小さく、iPodなどに転送すれば大量の音楽を保存できます

AACファイルなら容量も小さく、iPodなどに転送すれば大量の音楽を保存できます

今まではCDをインポートしたり楽曲を購入したりするのに「iTunes」を使っており、とくに考えずにAACファイルを選択していました。プロパティを見ると、容量も1曲約9MBで、ビットレート(編集部注:1秒間に送信するデータ量を表す値。音楽ファイルであれば、1秒間で再生するデータ量のことを意味する。ビットレートが高くなれば音質が向上するが、その分ファイルサイズも大きくなる)は256kbps。サンプルレート(編集部注:アナログの音声をデジタルデータにする際、1秒間に何回変換するかを表す値で単位はHz。サンプリングレート、サンプリング周波数とも呼ばれ、数字が大きいほど原音に近い再生音が得られるとされる)は44.100kHzぐらいが標準でした。これなら容量16GBのiPodでも十分な曲数を保存できますし、たとえばスマホで音楽を保存している方もこれくらいのレートで使っていると思われます。今回は「Media Go」を使って、違うフォーマット形式で、より高音質でCDをインポートしていきます。

こちらが「Media GO」の画面。すいません、ちょっと偏ったライブラリになっています

こちらが「Media GO」の画面。すいません、ちょっと偏ったライブラリになっています

「Media GO」は、個人的には「iTunes」よりおおざっぱな印象で、たとえば「曲の再生回数」などの項目などはありませんでした。さてさっそくCDをインポートするのですが、ここでインポートできるファイルに注目。「iTunes」とは異なり、「FLAC」という形式が選択できるようになっています。この「FLAC」こそがハイレゾフォーマットの1つなのです。「mp3」や「AAC」ファイルなどは圧縮されたデータで、元の音源の部分部分をざっくりカットして、コンパクトになっています。ただ再生してもそのカットされた部分は戻りません。対して「FLAC」は可逆圧縮というファイルで、データ化されたときに圧縮された音を再生時には元に戻してくれて、よりオリジナルに近いデータで音楽を楽しむことができるのです。さっそくCDをFLACでインポートしてみました。

FLACファイルです。サンプリングレートは同じですが、ビットレートがAACとはかなり異なります

FLACファイルです。サンプリングレートは同じですが、ビットレートがAACとはかなり異なります

これでハイレゾだ! と思いきや…「FLAC」はハイレゾではない?!

やったー「FLAC」ファイルができましたよ! これでハイレゾだー! と興奮したのもつかの間、なんとこれだけではハイレゾ音源でないことがわかりました。ガーン! というのも、現在定義されているハイレゾ音源は「96kHz/24bit」や「192kHz/24bit」が主流。つまり「44.1kHz / 16bit」のCD音源ではハイレゾ変換は不可能なのです。なので、現在ハイレゾ音源を入手するには、専用のサイトで購入するしかないということなのでした…。もちろん「FLAC」音源でもかなりの高音質! 「AAC」と聴き比べれば、貧乏耳の自分でもハッとするほどクリアな音が聴こえます。これだけでも買ったかいがありました。

フリーソフトで「mp3」のビットレート、サンプリングレートをアップサンプリングしてみる

今までは上の「FLAC」で終了! でしたが、今回はさらに一歩踏み込んでみます。なんとフリーソフトで「mp3」や「wav」データをハイレゾファイルである「DFF」ファイルに変換することができるのです。とはいえ、mp3は「非可逆圧縮」方式でファイルが圧縮されているので、元の音を復元することはできません。今回試してみるのは、あくまでデータを予想して擬似的に音の広がりを作るアップサンプリングという方法です。うまく音が補完されれば、高音質化できちゃうかもしれません。ではやってみましょう。

「Media Go」ではハイレゾ曲には「HR」というマークが表示されます。本物のハイレゾ曲だと4608kbps/96kHz。bit深度が24bit。容量は55.4MBくらい

実際にこの記事をご覧の皆さまにも一緒に試していただけるようにしてみました。まずは著作権の切れたmp3ファイルをダウンロードしましょう。主にクラシックですが、こちらのページなどから自由にダウンロードできます。ベートーヴェンのピアノソナタ第14番嬰ハ短調『月光』をダウンロードしてみることにしましょう。さらに「Super Audio CD」の記録用ファイル「DFF」に変換するために、こちらの「PCM-DSD_Converter」というフリーソフトをダウンロードします。こちらはWindows専用みたいですね。

ダウンロードしたファイルを「Media Go」にインポート。まだHRマークはでません

ダウンロードしたファイルを「Media Go」にインポート。まだHRマークはでません

ここからダウンロードした『月光』を変換していきます。オリジナルファイルは「mp3」なのですが、まずこちらを「wav」データに変換するところから始めます。これは「iTunes」を使いますよ。まずは『月光』を「iTunes」のライブラリにインポート。そして「ファイル」の「変換」から「wav」データに変換します。変換されたデータは「iTunes」の曲が入っているフォルダ内に生成されているので、そのファイルを今度は「PCM-DSD」ソフトを使って「DFF」ファイルに変換します。そして「DFF」ファイルに変換された『月光』をもう一度「Media Go」のライブラリにインポートしてみます。

「iTunes」を使って、「wav」データに変換します

「iTunes」を使って、「wav」データに変換します

「PCM-DSD」を起動して、『月光』の「wav」データを読み込みます。この設定で変換スタート

「PCM-DSD」を起動して、『月光』の「wav」データを読み込みます。この設定で変換スタート

とても大きなデータになるので時間がかかります。『月光』は約4分かかりました

とても大きなデータになるので時間がかかります。『月光』は約4分かかりました

「Media Go」にインポート。サンプルレートが5.6MHzへ! 曲の左にも「HR」マークがついて、ハイレゾとして認識されました

アップサンプリング完了! 聴き比べた結果は…?

さて変換した『月光』をウォークマンで聴いてみます。はたして「mp3」のときとは異なるのでしょうか? 結果発表! はい、個人的にはかなりクリアに聴こえるようになったと思います。音の感じ方には個人差があるかと思いますが、筆者としては「mp3」のときにくぐもって聴こえていたピアノの低音部分がかなりはっきり、そして繊細に聴こえるようになりましたよ。これはなかなかの収穫。しかしハイレゾとして認識されたとはいえ、オリジナルのハイレゾ曲と聴き比べてみると、筆者の貧乏耳でも違いは歴然。やはり本物にはかないません。あくまでも、既存のmp3ファイルを少しでも高音質化する方法として楽しんでいこうかと思います。「DFF」へ変換する際のレートを少し落とせば、200MBくらいのファイルにもできるので、それでもかなりの高音質になると思います。ハイレゾ楽曲は購入しつつも、手持ちの「mp3」や「AAC」ファイルを変換して楽しんでいきたいと思います。

またウォークマンですが、本体だけでも「mp3」ファイルを「DSEE HX」によるアップスケーリングで高音質化してくれます。ハイレゾに近い音で再生してくれるので、「iTunes」で購入した「AAC」ファイルなどもかなり高音質で楽しめます。さらに、ノイズキャンセリング機能つきのヘッドホンがかなり優秀で、周りの雑音をかなりカットしてくれます。通勤電車の中でも音楽に没頭できるのはいいですよね。最近筆者は深夜にこのウォークマンを聴きながら作業をしているのですが、音楽への没入感がハンパないです。目を閉じて聴いているともうほかに何もなくてもいいや! みたいな感じになりますよ。まーその間、指先はお留守になって原稿が進まないのですが…。

iPodに比べるとお値段は高めですが、ハイレゾ入門機としてはとてもいいウォークマンです。ただヤバイのはこれにハマって、さらなる高額のウォークマンが欲しくなってきてしまうという欲求が…。

オマケに今回使った楽曲を動画形式で聴けるようにしました。それぞれを聴き比べてみてください。元の音質がよくないのでアップサンプリングでも限界がありましたが、違いはわかっていただけるかと思います。
※ハイレゾ音源は専用のプレイヤー+専用のイヤホン、スピーカーでないとその音の広がりを体験できません。

1.通常の音源

2.「WAV」に変換

3.疑似ハイレゾ音源

マッシー

マッシー

「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。

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