公式サイトには「玄米も炊ける」と書いてあるのですが、取扱説明書には玄米が炊けるとはどこにも書いていません。玄米炊飯モードも存在しないので、これは試してみるしかありません。使用したのは、宮城県の特別栽培米「ひとめぼれ」の玄米です。
とりあえず「低糖質炊飯」で、白米と同様の要領で炊いてみます
炊けました。が、このようにポロポロの仕上がり。これはちょっと……
左が通常炊飯器で炊いたごはん、右が低糖質ごはん。糖質カット玄米ごはんは、明らかにふっくら感がありません
糖を含んだ排水は、このように色が付いています
玄米に関しては、一目瞭然の違いがありました。糖質カット玄米ごはんも炊けてはいます。芯が硬いままというわけではなく、一応熱は通っているのですが、おいしくはありません。ただ、この糖質カット玄米ごはんを食べて、筆者は懐かしい感覚に襲われました。そう、昔の玄米はこういうポロポロとして食べにくいものだったな、という感覚。味はいいのですが、食感は玄米モードを搭載した炊飯器で炊いたものとは比較になりません。公式サイトにある「玄米も炊けます」という表示は、「玄米もおいしく炊けます」という意味ではないということでしょうか。
糖質カット炊飯器は、肉、魚、温野菜の蒸し調理に対応しています。糖質カット炊飯器は内釜と外釜に分かれているため、内釜に食材を入れておけば、外釜に入れた水を沸かし、その蒸気によって調理できるというわけです。
蒸し調理水量まで水を入れて、材料を入れた内釜をセットします
用意したのは、豚肩ロースブロックとブロッコリー
蒸し調理も、材料と水を入れた後にそれぞれ対応するボタンを押すだけ。蒸し魚、蒸し肉、温野菜は、それぞれ蒸し時間が約8、20、25分となっています。今回は肉の調理をメインに考えているので、「蒸し肉調理」モードを使用
約22分でできあがり
蒸し料理に関しては、多少脂が落ちるというヘルシーさはあるものの、糖質はカットされません。しっかり蒸された豚肉はおいしかったのですが、同時に入れたブロッコリーは蒸しすぎ状態のやわらかさで食べられたものではありませんでした。温野菜調理は25分設定で、蒸し肉調理の20分よりも短いので、大丈夫かと思ったのですが……。筆者は普段料理をしないためそのあたりの感覚がわからないのですが、1〜2分さっとゆでれば食べられるブロッコリーを20分も蒸してしまえば、ひどい食感になるのは当然なのだそう……。温野菜調理は、芋類など、火を通すのに時間がかかる野菜を蒸かす場合に使用するのがよさそうです。
豚肩ロースブロックは、しっかりと中までしっかり火が通っていておいしかったです
糖質カット炊飯器は、蒸し料理機能を使用して、冷たいごはんを温め直すことができるというので試してみました。内釜に直接ごはんを置くと蒸気でビシャビシャになってしまいそうなので、クッキングシートを敷いて行ったところ、硬い冷や飯がふっくらつやつやに温まりました。
蒸し料理と同様に外釜、内釜をセットし、1合分を温めてみます。あたためる前はしゃもじも入らないくらいカチカチ
「あたため/蒸し料理」ボタンを押す。約8分間蒸すだけなので、やっていることは「蒸し魚調理」と同じです
約10分であたため完了。手軽さでは電子レンジの圧勝ですが、おいしく温めたいという場合は使って損はないと思います。要するに「蒸し器」なので、肉まんやシュウマイなどのあたためにも活用できそうです
糖質カット炊飯器には、「クリーンモード」という内部を清掃する機能が搭載されています。クリーンモードを作動させてみると、「カンカン」という音と、「サー」と水が流れる音がし、排水タンクに水が出て、あっという間に終了。どうやら、水を吸い上げて給水する部分を清掃しているだけのようです。内ぶたや蒸気口ふたなどは外して水洗いができるので、一般的な炊飯器と同じ感覚でお手入れできます。
外釜に表示されている、1番下の蒸し料理水量線まで水を入れて、「クリーンモード」ボタンを押すだけ。あっという間に終わります
内ぶたと蒸気口ふたは取り外し可能
どちらも水洗い可能です
低糖質ごはんに関しては、少しすっきりとした味わいになるものの、十分おいしく炊けました。ゆでこぼした料理のように、雑味が減った感があり、これはこれで大いにアリ。ごはんの糖質カットといえば、「マンナンヒカリ」など、こんにゃく米を1/4ほど混ぜて糖質カットするのが有名ですが、それより米らしいおいしさがある分、まさっていると感じました。
ただし、玄米炊飯に関しては微妙。玄米モードがあるわけでもないので、はじめからおまけ機能と割り切った方がいいでしょう。1合分だけ玄米が残っていたので、本製品で1番長めの炊飯時間(40分)となる「やわらかめ」モードでも再チャレンジしてみましたが、やはりポロポロした仕上がりでおいしくは炊けませんでした。まあ、そうして炊けとも取説には一切書いていないわけですが。
「やわらかめ」モードを使用しても、どうしてもポロポロしてしまう玄米
「蒸し料理」も、蒸し肉は今回たまたま適正グラム数だったようでおいしかったですが、おいしく仕上げるにはそれなりの経験則が必要。しかも、蒸し時間の微調整ができないという致命的な欠点があることは否定できません。なので、余計なことを考えず、純粋に今食べているお米(白米)のおいしさをなるべく残して糖質カットしたい人に向いている製品だと感じました。