2023年6月に、20年ぶりとなる電気圧力鍋「TIGER COOKPOT(タイガー クックポット) COK-A220」を発売したタイガー魔法瓶が、その後継機を発表。前モデルは少人数世帯向けの2Lタイプのみでしたが、新モデルには大容量の4Lタイプもラインアップされました。
容量2.2Lの「COK-B220」(市場想定価格は27,800円前後/税込)と4Lの「COK-B400」(市場想定価格は32,800円前後/税込)を用意。どちらもマットブラックとマットホワイトの2色展開。2024年11月1日発売予定です
なお、2023年に発売した「COK-A220」は、2Lタイプの電気圧力鍋において販売数量1位を獲得(同社調べ、2023年7月〜2024年4月調査において)するほどの人気モデル。評価の高い機能や構造は継承しつつ、「炒め」をはじめとする新しいメニューが追加された新モデルを体験会で見てきました。
最近は高い圧力をかけて調理する電気圧力鍋が増えており、ほとんどが1.6気圧以上、なかには2気圧という製品もあります。高い圧力をかけるほど早く食材をやわらかくできる半面、食材の煮崩れや、食感が損なわれたり、食材の水分が流出してパサついたりするリスクもあるため、「TIGER COOKPOT」は1.15気圧という低圧の「うま圧」調理を採用。食感やジューシーさを損なわない仕上がりを実現したほか、圧力をかけない鍋と比べたときだけでなく、減圧に時間がかかる高圧の電気圧力鍋と比較しても短い時間で調理が完了するのが特徴です。
高圧で調理する電気圧力鍋は、圧力調理の時間は短くても減圧に時間がかかります。いっぽう「TIGER COOKPOT」は低圧なので圧力調理の時間が長めですが、減圧時間が短いため、トータルの調理時間は「TIGER COOKPOT」のほうが短くなることが多いそう
4Lタイプは2Lタイプと比べ、容量が約2倍多いですが、出力を高くすることで調理時間を約1.5倍に抑えたそう。最大消費電力は2Lタイプの「COK-B220」が650W、4Lタイプの「COK-B400」が760W
なお、低圧のため「サンマの骨まで食べられるくらいやわらかく煮込む」といった圧力調理には対応していません。電気圧力鍋のなかには複数の圧力値を使い分けられる製品もありますが、「TIGER COOKPOT」は使いやすさや片付けやすさを重視し、あえて1種類の圧力にしているそうです。
使用後のお手入れは内なべと内ぶた、つゆ受けの3パーツのみで、内なべ以外は食器洗い乾燥機に対応しています。圧力を変更できる可変圧力方式にすると内ぶたの構造が複雑になり、片付け点数が今より増えてしまうそう
ふたを完全に取り外さずに開けられるのも、使い勝手のいい構造。片手でも開けられますし、ふたの置き場にも困りません
「TIGER COOKPOT」には低い圧力で調理する「うま圧」、少量を素早く調理する「高速」、食材の水分で煮込む「無水」、沸騰より低い温度で長時間煮込む「スロー」、低い温度で時間をかけて加熱する「低温」、パンやケーキ、オムレツが焼ける「ベイク」のほか、「発酵」「炊飯」、「温め」、「茹で」といった調理メニューを搭載しています。新モデルは従来のメニューに加え、マニュアルメニューに「炒め」、オートメニューに「白米早炊き」「濃厚焼きいも」が追加されました。
メニューを選ぶだけで最適な圧力や温度、時間で調理できるオートメニューは42種類搭載。新しく追加された3メニューのうち、「白米早炊き」と「濃厚焼きいも」はオートメニューです
「炒め」は時間や火加減を手動で設定するマニュアルメニュー。液晶に表示されているメニューはマニュアルで調理できます
3つの新メニューのなかでも、いちばんの注目は「炒め」でしょう。実は、構造は同じなので前モデルでも性能的には炒め調理できるのですが、ふたを開けた状態で調理できる仕様ではなかったため、一部の機能を変更し、炒めに適した加熱プログラムを追加したそう。
「炒め」メニューは火加減を「強(鍋底の温度約180度前後)」「中(鍋底の温度約170度前後)」「弱(鍋底の温度約160度前後)」の3段階、時間を1〜30分まで1分単位で設定できます
体験会の会場では、青椒肉絲の調理デモンストレーションが行われました。野菜を多く使う炒め物は、火力の弱い家電で調理すると水分が出て「煮物」のようにビシャビシャになりがち。しかし、「TIGER COOKPOT」で作った青椒肉絲は完成間際でも鍋底に水分が溜まらず、十分な火力を実感できました。下の動画は調味料を入れる仕上げ前ですが、鍋底に水分が溜まっていないことが確認できます。
鍋が深いので油ハネしにくいのもいいところ
完成した青椒肉絲。ピーマンなどの野菜はシャキシャキで、お肉はジューシー。中華鍋で作ったかのような完成度の高さでした
ふたを開けた状態での加熱ができるようになったことで、煮物料理もより本格的にできるようになりました。たとえば、肉じゃがやカレーなどは先に内なべでお肉を炒めて旨味を閉じ込めてから「うま圧」で煮込めば、もっとおいしく仕上がります。材料を入れてメニューを選ぶだけで調理できるオートメニューとは異なり、「炒め」メニューで食材を炒めてから、マニュアルモードの「うま圧」で煮込むというように少々手間はかかりますが、味を追求したい人にはうれしい機能でしょう。なお、肉じゃがやカレーのオートメニューは引き続き搭載されているので、手軽に作ることもできます。
肉じゃがを作っている様子。お肉→野菜の順で炒めた後、出汁と調味料を投入します。煮込みで使う鍋で炒めもできてしまうのは洗い物が減るのでありがたい
下準備を終えたら、ふたを閉めて「うま圧」調理を実行。「炒め」メニューで10分加熱しているので、この後の「うま圧」調理はオートメニューの「4(肉じゃが)」ではなく、マニュアルモードで設定しましょう
“やさしい圧力”なので、じゃがいもやニンジンの角がしっかり立っています。それでいて、味はしっかり染み込み、箸で簡単に割れるほどやわらか。事前に炒めたことでお肉の香ばしさが出ておいしい! と出席していた家電ライターたちの評判もかなり高かったです
下準備で食材を炒めるためだけでなく、もちろん、野菜炒めなどを作ることも可能。また、万が一煮物が煮汁でシャバシャバしていても、ふたを開けて「炒め」メニューで加熱すれば、煮込んで水分を飛ばすこともできます。
最後に、オートメニューの「濃厚焼きいも」を紹介しておきましょう。このメニューは、圧力をかけながらじっくり時間をかけて加熱する調理方法。さつまいもはゆっくり加熱すると本来の甘さが引き出されるため、焼きいも専門店で買ったような甘みの強い焼きいもが作れます。
さつまいも400gに対して100ccの水を入れて調理。オートなので手間はかかりませんが、調理時間は約1時間20分と長めです
焼いていないので正確には焼きいもではありませんが、口の中にまとわりつくような、強い甘みとねっとりとした滑らかな食感。個人的には好みです。今回使用したさつまいもの種類は「シルクスイート」
時間がないときに短時間でササッと作れる料理の代表格が炒め物。減圧の時間を減らすために低圧にするなど、「TIGER COOKPOT」は元々「毎日の調理の負担を軽減する」ことをコンセプトに開発された製品でしたが、今回「炒め」メニューが追加されたことでますます日常使いしやすくなったと感じます。
ちなみに、タイガーによると電気圧力鍋は昨年から徐々に「大容量タイプ」のシェアが増えており、今回4Lタイプをラインアップに加えたのもトレンドを受けてのことだそう。大きなサイズの電気調理鍋は大人数世帯に便利なだけではなく、少人数世帯の作り置きにも活躍してくれるでしょう。