食料品価格が上昇し、外食は控えて“おうちご飯”でちょっとした贅沢を楽しもうとする人が増えています。そこで、「週末の朝食をちょっと“特別”に」をテーマに、朝ご飯の満足度を高めてくれること間違いなしの、ちょっと心が弾むキッチン家電を、全3回の連載企画で紹介します。
最終回となる第3弾で注目したのは、至福のコーヒーを目覚めの1杯にしている人のために、大のコーヒー好きである筆者が選んだアイテム、カリタの電動コーヒーミル「ナイスカットG」です。本機は長年、筆者が愛用しているミルでもあり、このミルでお気に入りの豆を挽いて淹れる1杯は、週末の朝食を“特別”なものにしてくれること、間違いありません。
カリタ「ナイスカットG」
まず目を引くのが、クラシカルなデザイン。コーヒー専門店に置かれている業務用モデルを、家庭向けのコンパクトサイズにリデザインしたのが「ナイスカットG」で、どこかレトロで親しみがありながら、それでいて洗練されている、愛着の湧くルックスです。奇をてらわず、機能が素直にデザインに落とし込まれています。
“コーヒー道”の楽しさのひとつとして、使う器具にこだわることもあげられますが、「ナイスカットG」は、そんなコーヒー好きの想いにしっかりと寄り添ってくれる1台に仕上がっています。2017年の発売から長い時間が経った今もなお、電動コーヒーミルの“定番”であり続ける理由は、このような点にあります。
シルバー色の挽き目調整ダイヤルを正面に据え、上部には透明のホッパー、側面には円筒形のモーターを配置しています。金属の質感を生かしたボディやカップも相まって、家庭用でありながら、プロ用の道具を思わせるシックなたたずまいです
本体サイズは、120(幅)×337(高さ)×218(奥行)mm。幅は意外なほどスリムで、キッチンやカウンターにすっきりと設置できます
本体側面にさりげなくあしらわれた、カリタのロゴ。粉受けには、カリタの扇形ドリッパーをモチーフにしたロゴがデザインされていて、所有欲をくすぐります
ホッパーと粉受けの容量は、いずれも50g。サイズをあえて大きくしていないのは、豆をホッパーにストックすると、酸化しやすいからです。必要な分だけ挽いて、挽きたて、淹れたてを楽しんでほしい。そんなカリタの想いが伝わってきます。
粉受けは、上部が広がった形状。挽いた粉が受け止めやすく、周囲へ飛散するのを抑えるよう、工夫されています
コーヒーミルのよし悪しを大きく左右する重要なチェックポイントは、「豆本来のおいしさをいかに損なわずに挽けるのか」ということ。「ナイスカットG」は、単にスピーディーに豆を粉砕するのではなく、あえて粉砕速度を抑えることで、摩擦熱を低減するとともに、粒度の均一性を高めています。
コーヒーミルには、豆の挽き方や刃の形状によって、さまざまなタイプがあります。家庭用の比較的安価なモデルに多いのが、高速回転する刃で豆を砕く「プロペラ式」。構造がシンプルで扱いやすい半面、挽き目の細かい調整が難しく、粒度にばらつきが出やすい傾向があります。
また、2つの刃の間に豆を通し、すりつぶすように挽く「臼式」も広く採用されているタイプです。プロペラ式より粒度が揃えやすく、挽き目も調整しやすいものの、摩擦熱が発生しやすく、味の雑味やえぐみとなってしまう場合もあります。
これらに対し、「ナイスカットG」が採用しているのは、向かい合った円盤状の刃で豆を切り裂くように挽いていく「カット式」。粒度を均一に仕上げやすいうえ、雑味の原因となる微粉が少ないのが特徴です。豆を均一に挽きつつ、ミル刃の回転数を下げて摩擦熱を抑える。おいしいコーヒーを淹れるための基本に忠実な設計こそが、本機が長年支持されている理由のひとつだと言えます。
「ナイスカットG」のミル刃。向かい合った円盤状の刃で豆を細かく切り裂き、均一に挽けるのが特徴です
では、「ナイスカットG」で実際にコーヒー豆を挽き、コーヒー粉の挽き目をチェックしてみましょう。ハンドドリップで淹れたコーヒーをテイスティングし、その味わいもレポートします。
まずは、ホッパーのフタを開けて豆を投入します
容量50gのホッパーに1人分の約10gを入れると、このくらいの溜まり具合
続いて、粒度の設定。調節ダイヤルは15段階で細かく設定できます。今回は、細挽き(1)、中挽き(4.5)、粗挽き(8)の3パターンで挽いてみます
本体下部の電源スイッチを入れると、豆挽きがスタート
運転音も気になるところ。環境音40.2dBの室内で使用したところ、豆を挽いている最中の測定値は、最大90.8dB。それなりに大きな音がしますが、一般的な電動コーヒーミルと比べて特別大きいわけではありません
左から、細挽き、中挽き、粗挽き。いずれも均一性が高く、挽き目ごとの違いもはっきりと視認できます。「ナイスカットG」ならではの、挽き目の正確性、均一性を実感する瞬間です
今回使用した豆は、カルディの定番商品「マイルドカルディ」。苦みと酸味のバランスがよく、ボディ感もほどよいのが特徴です。中挽きした豆をハンドドリップで淹れ、テイスティングしてみます
さっそく、ひと口。口当たりがまろやかで、苦みの奥にほのかな酸味を感じます。印象的だったのは、雑味が少なく、豆本来の味わいがクリアに感じられたこと。粒度が均一なうえ、微粉も少ないので、元々クセの少ない、「マイルドカルディ」の素直な味わいをしっかりと引き出せていました
コーヒーミルを長く愛用するうえでチェックしておきたいのが、お手入れのしやすさです。ミル本体内部に残った豆の挽きカスはそのまま放置すると、雑味やえぐみの原因となるので、こまめなお手入れが欠かせません。とはいえ、ミルの内部は手が届きにくく、掃除に手間がかかる製品も多いのですが、さて、「ナイスカットG」はどうでしょうか?
「ナイスカットG」は、挽き目調整ダイヤルやミル刃を取り外せる構造になっており、付属のブラシを使って、内部に残った豆のカスをサッと払い落とすことができます。慣れてしまえば、ものの2〜3分でお手入れが完了します。これくらいなら、苦になりません。
筆者が唯一気になっているのは、コーヒー粉の吐出部に静電気が発生し、豆を挽いた後に、コーヒー粉が付着してしまうこと。この付着したコーヒー粉を毎回取り除く必要があります。「何とかならないかな」と思うことがあるのも本音ですが、その欠点を補って余りある、洗練されたデザイン、すぐれた操作性、そして、均一な挽き目を実現しているのが「ナイスカットG」なのです。広い心で、「それもまた個性」と、受け入れることにしています。
ミル刃を取り外すと、それなりの量の豆の挽きカスが残ります。付属のブラシを使えば、サッと払い落とせます
吐出部に付着したコーヒー粉。使用後は毎回布巾で拭き取っています
コーヒーミルの基本のキである、粒度の均一性。どんなに高級な豆を使用しても、挽き目がバラバラの、不均一なコーヒー粉では、淹れたコーヒーにどうしても雑味やえぐみが出てしまいます。
最高においしいコーヒーを、お気に入りの器具を使って淹れたい。そう思うのがコーヒー好きの偽らざる心理です。そんなユーザー心理にどこまでも寄り添ってくれるのが「ナイスカット G」。2017年の発売から約9年が経ち、さまざまな最新電動コーヒーミルが登場するなかにあって、それでも本機が“定番”として支持されているのは、流行に左右されないタイムレスなデザインと、おいしいコーヒーを淹れるためのコーヒーミルの基本をきっちり押さえた作りにあります。
だからこそ、実力派のコーヒーミルを選びたい人にとって、本機は今なお最良の選択肢のひとつと言えるのです。挽きたての心地よい香りに包まれながら、週末の朝をのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか。