続いて、レシピ集の中からデザートメニューにもトライ!
長時間煮込むことで陶器の鍋がじっくりと旨みを引き出し、かたい野菜や肉、魚を驚くほどやわらかく仕上げてくれる本製品。だが、スロークッカーの真価を発揮するのは何も煮込みメニューだけではないらしい。茶碗蒸しなどの蒸し料理やケーキなどのデザートメニューも作れるというから、ますますレパートリーが広がりそうだ。続いて、デザートメニュー2品に挑戦してみた。
【バナナチョコレートケーキ】
レシピ集にはデザートメニューが数品掲載されているが、中でも目を引いたのが「バナナチョコレートケーキ」。オーブンがなくても、本製品だけでケーキが焼けるのか……。半信半疑の中、ケーキ作りに挑戦してみることにした。ちなみに、筆者が最後にケーキを焼いたのはいつだったか思い出せないぐらい遠い昔。筆者のように、お菓子作りにまったく興味がなければオーブンなんてなくてもいい。だが、もし本製品でケーキが焼けるのなら、年に一度ぐらいは家族や友人に誕生日ケーキなどを作って驚かせるのもいいかもしれない。
主役はバナナ。そのほか、薄力粉、ベーキングパウダー、ココア、卵、バター、砂糖、バニラエッセンスとクッキングシートを用意
まずは、内鍋にバターを薄く塗る
クッキングシートは、直径16cmの丸型と8×38cmの長方形に切ったものを2種類用意しておく
はじめに、長方形のシートを内鍋に敷く。両端は写真のように鍋から出しておけばよい
その上に丸型のシートを置く
ボウルに薄力粉、ベーキングパウダー、ココア以外の材料を混ぜたものに粗くつぶしたバナナを入れ、水とバニラエッセンスを加えて混ぜる
そこに、ふるいにかけておいた粉を加えて、さっくりと混ぜていく
見るからにチョコレートケーキらしくなった生地を、シートを敷いた鍋に流し入れる
鍋の上にキッチンペーパーを2枚重ね、ふたをして「弱」モードで2〜3時間加熱すればOKだ。ケーキ作りというと、いかにも手間のかかる作業のように思えるが、これならまるでホットケーキでも作るような手軽さだ
スポンジが焼けたら、鍋からはみ出たシートの両端を持ち上げるとうまく取り出せる。長方形のシートはこのためだったのか!
バターを塗っていたため、鍋に生地がくっつくことなくキレイに取り出せた
しばらく置いておき、あら熱がとれて表面が乾いたら底の丸型シートをはがす
今回は飾り付け用に、粉砂糖とイチゴなどを用意。ハート型に切ったクッキングシートを中央に置き、その上から粉砂糖をふりかける
ハート型になったケーキの中央部分やお皿の周りに、イチゴなどを飾りつけて完成! 電気鍋だけで作ったとは思えないほど、見た目も豪華な「バナナチョコレートケーキ」ができ上がった
食してみると、軽いスポンジケーキというよりは、どちらかというとガトーショコラのようなしっとりとした味わい。手作りケーキとして、十分なできばえといえるだろ
【おしるこ】
最後に、あずきを煮て作る「おしるこ」に挑戦。冬だけでなく、通年好んで食べるほど「おしるこ」は大好物だが、自家製「おしるこ」なんて考えたこともない。“豆を煮る”となると、とにかく時間がかかるイメージが拭い切れない。せいぜい買ってきたあずき缶に水を加えて煮つめ、そこに焼いたもちを入れる程度だ。だが、市販の「おしるこ」は甘く仕上げてあるものが多く、中には全部食べきれないものも。そこで、今回は自分好みの甘さに調節した「おしるこ」を作ってみた。
用意するのは、あずきに砂糖、塩、水だけ
まずは、あずきをサッと水洗いしてざるに上げ、内鍋に入れる
あとは砂糖、塩、水を加えて軽く混ぜたら下ごしらえ完了。手早くすれば、5分とかからない
「弱」モードで7〜8時間加熱させるため、煮込んでいる間に1日の用事をすませたり、寝る前に仕込んでおけば翌朝できたての「おしるこ」が味わえる。ガス火でコトコト煮ていては、こうはいかない
7時間後、ふたを開けて確認してみると写真のようにふっくらとした仕上がり具合に思わずニンマリ。今回は甘さ控えめに仕上げたかったので、レシピ集に記載されている砂糖の分量よりもさらに少なめにしてみた。そのため、水加減がやや心配だったが、でき上がりはまったく問題なく、また甘味もバッチリ!
これほど簡単に自家製「おしるこ」ができるのなら、あずきを買いだめしておきたくなる
日本では知名度がまだそれほど高くないスロークッカー。今回実際に使ってみて、なぜ浸透しないのか心底不思議に思ってしまうほど毎日の夕飯作りに大活躍してくれた。普段帰宅時間が遅い筆者は、夕飯の支度に30分以上はかけたくない。とはいえ、できあいの総菜では物足りない。そんな自分の料理の腕を完全無視した欲求を叶えるべく、“時短レシピ”ばかり気にかけていたが、“時間はかかっても手間がかからない”逆転の発想も大いにアリだ。在宅時間が少ない共働き夫婦や、家事全般や子供の世話で一日中忙しい専業主婦など、料理に時間をかけることができない家庭にとって、本製品は間違いなく秘密兵器になり得るだろう。とかく煮込み料理は、ガスコンロを長時間占有してしまいがち。当然、目を離すこともできないので、他の用事に専念できないのももどかしい。だが本製品があれば、材料を入れてタイマーを設定するだけで、あとは家事や仕事、遊びにと時間を有意義に使えるので、これも1つの“時短調理”といえるかもしれない。
唯一気になった点は、調理終了後は自動で保温に切り替わるのだが、保温状態にしたくないという時でもストップボタンを押さない限りは停止できない。また、調理開始時間のタイマー予約も不可なので、帰宅時間にあわせて調理が終了するように設定したくてもできないのが残念。保温機能が独立し、タイマー予約設定が可能になれば、使い勝手も格段に向上しそうだ。
使っていくうちに活用範囲がどんどん広がりそうな本製品、実売価格は7,224円(2012年3月12日現在)からと決して高くないのも大いに魅力。日本でも、近いうちに“一家に一台”となる日がくるのではないだろうか。