今やすっかり人気が定着した「油を使わないフライヤー」。フィリップスの「ノンフライヤー」に代表されるバスケット式を初め、食材を撹拌しながら加熱できるものまで登場している。ヘルシーでおいしい揚げ物が簡単にできる便利な製品だが、「1人暮らしや料理の頻度が少ない家庭には必要ない」と思っていないだろうか。
筆者もそう思っていたのだが、フライヤー機能を搭載したオーブントースター「リクック熱風オーブン FVX-M3A」(以下、リクック熱風オーブン)を使用してみたところ、意外にも1人暮らしの食生活にマッチ! そこで今回は、筆者が自宅で使い倒して感じたリクック熱風オーブンの魅力をお伝えしよう。料理好きな方はもちろん、「惣菜は買って済ませることが多い」という“中食派”も要チェックだ。
リクック熱風オーブンは、2種類のヒーターを搭載し、油を使わずに熱風で調理する「フライヤー(リクック)」と、「トースター」「グリル」の機能をあわせ持った調理器具。なかでも特徴的なのは「フライヤー(リクック)」機能だ。ヒーターの熱をファンで高速循環させ、熱風を一般的なコンベクションオーブンと比べて約30倍の速さで食材に当てて表面の水分を飛ばし、表面をカリッと仕上げることができるという。
サイズは341(幅)×348(高さ)×325(奥行)mm。重量は9.8kg
高さはあるものの、幅や奥行きは一般的なオーブントースターと同様のサイズ感だ。消費電力は、「フライヤー(リクック)」:1,350W、「トースター」:1,300W、「上グリル」:800Wとなっている
操作部はイラスト付きのボタンも配置され、操作に迷わない工夫がほどこされている。加熱具合を加減できる「仕上がり調節」ボタン(右上)も搭載
庫内は広く、食パンを4枚同時にトーストしたり、直径25cmのピザを丸ごと焼くことも可能
渦巻きヒーター(シーズヒーター)と石英管ヒーター、2種類のヒーターが搭載されている
「フライヤー(リクック)」で調理する際は、シーズヒーターの熱をファンで循環させ、「トースター」で調理する際は上下の石英管ヒーターが稼動する。「上グリル」で調理する際は、上の石英管ヒーターのみ稼動する
調理時は必ず「焼き網」を設置して使用する。裏面もムラを抑えて焼き上げられるよう、細かいメッシュ状になっている
「フライヤー(リクック)」調理時に使用する「フライ用受け皿」と「フライ用網」
「フライ用受け皿」に「フライ用網」を乗せ......
それを「焼き網」の上にセットして使う
付属品は、40レシピが収録されているレシピブックとオイルスプレー
フライなどの調理の際、オイルスプレーで少量の油を吹きかけることでよりおいしく仕上がる
リクック熱風オーブンには「フライヤー(リクック)」と、「トースター」「グリル」の機能を搭載しているが、筆者がもっとも活用していたのが、「リクック(ノンフライ)」機能。なぜなら、「フライヤー(リクック)」機能には、ボタン1つでメニューに合わせた温めや調理を行う自動メニュー(「リクックメニュー」と「自動調理メニュー」)を搭載しており、これが非常に便利なのだ。温度センサーが食材の量を感知し、量が変わっても調理時間は同じで最適な状態に仕上げてくれるので、1人暮らしでも家族でも便利に使えるだろう。
リクックメニュー
惣菜や作り置きのおかずを最適な加減に温め直す機能。メニューは、「えびてんぷら」「コロッケ・メンチカツ」「魚フライ・エビフライ」「フライドポテト」「からあげ・フライドチキン」「かきあげ」「とんかつ」「揚げパン・カレーパン」の8種類が用意されている。
かきあげ(加熱時間6分半)
まずは、操作方を確認しながら、スーパーの惣菜コーナーで買ったかきあげを温め直してみる。揚げてから半日以上経過し、かりかり感がすっかり損なわれたかきあげだ。
「リクックメニュー」の「かきあげ」ボタンを押し、あとは「スタート」ボタンを押すだけ
加熱時間の設定は不要なため、本当に簡単だ
調理がスタートすると、タイマーに加熱時間(0.5分刻み)が表示される
加熱の強さを調節したい時は、「仕上がり調節」ボタンで設定。「強め」「標準」「弱め」を選ぶことができ、初期設定は「標準」になっている。調理開始後2分以内(ランプ点滅中)であれば、調節し直すことも可能
かきあげの一部が高速の熱風に吹かれてチラチラと揺れているのが確認できる。調理中は庫内灯が点灯するので、中の様子が見やすい。ファンが回転するせいか、動作音は少し気になる
リクック前の、かきあげ1個(約100g)
6分半でリクック完了。端が少し焦げてしまったので、もう少し早く加熱を切り上げてもよかったかもしれないが、かきあげの厚みはキープされている
食べてみると、外はサクサクで中はやわらかく、えびのプリッと感も健在。電子レンジで温めてもこの食感は得られない
使用後の「フライ用受け皿」には、大さじ1杯弱の油が! カロリーに換算すると、約100kcalもカットできたことになる
フライドポテト(加熱時間4分半)
筆者の大好物のフライドポテトも試してみた。テイクアウトしたフライドポテトがシナシナになってしまうのは仕方がないとあきらめていたが、さくさく感を復活させられるなら、こんなにうれしいことはない。
リクック前の、120gのフライドポテト
4分半でリクック完了。表面のキツネ色が濃くなり、見た目にもおいしそうだ。 食べてみると、さくさく部分の歯ごたえがよくなり、中はほくほく! 「揚げたてのおいしさ」まではいかないが、家での温め直しにしては上出来だ
カレーパン(加熱時間5分半)
続いて、揚げたてを買っても家に着く頃にはシナシナになってしまうカレーパンをリクック。
リクック前
リクック後。5分半でリクック完了。見た目の変化はあまりないが、衣がカリカリになって香ばしさがUP。パンはふっくらとして、中のカレーも熱々だった。電子レンジでの温めに比べると時間がかかるが、コロッケやエビフライなどフライ物の温め直しもおいしくできそうだ
自動調理メニュー
火加減を自動調節して最適な状態に焼き上げてくれる「自動調理メニュー」も試してみた。対応メニューは、「からあげ」「エビフライ」「コロッケ」「シャケ」「ハンバーグ」「ステーキ」の6種類だ。
「からあげ」(加熱時間11分)
まずは、ノンオイル調理の定番からあげを作ってみる。操作法は「リクックメニュー」と同じ。
自動調理メニューから「からあげ」を選択してスタートを押す。「リクックメニュー」と同様、必要に応じて仕上がりの調節ができる
鶏もも肉200gに市販のから揚げ粉をまぶして調理
11分ほどで調理が完了した。焦げ目の付き具合がちょうどよく、置き場所による加熱ムラはほとんどない
衣はカリカリで油っぽさがなく軽い仕上がり
それもそのはず、調理後の「フライ用受け皿」には、余分な脂がたっぷりと落ちている。これだけ脂が落ちていても、噛むと肉汁があふれた。高速熱風がすばやく外側を加熱することで、肉汁が閉じ込められているのかもしれない
「シャケ」(加熱時間8分)
続いて、「シャケ」ボタンで魚を焼いてみよう。ちなみに、メニュー名が「シャケ」となっているのは、食卓に上る魚の中でも、とくにポピュラーなものだからだそうで、もちろん鮭以外の魚にも対応する。魚の形状も、尾頭付き、開きでもOKだ。
調理したのが1切れ70gの大きめの切り身だったこともあり、仕上がりを「強め」に設定
8分ほどで裏側まで十分な焼き色が付いている。裏返す必要がないので身も崩れない
熱風に吹かれたら、身の水分が飛んでしまうでは? と心配したが、表面はこんがりしていても、中はパサつくことなくしっとりと仕上がっていた
ボタン1つで手軽に調理できるメニューもいいが、たまにはちょっと凝った料理をしたい時もあるだろう。そんな時は、手動調理で本格的なオーブン料理やスイーツも簡単に作れる。筆者も付属のレシピブックを参考に2品作ってみた。
温度は60〜200℃を10℃間隔、タイマーは10分までは0.5分単位、それ以上は1分単位で、最高30分まで設定可能
白身魚のアクアパッツァは予熱時間を入れても13分で完成
短時間の加熱でも、スープには魚介の旨みがしっかりと出ていた。オーブン料理は簡単で見栄えがするものが多いので、おもてなし料理にも最適だ
豚肉でチーズとシソを巻いたフライ
表ほどではないが、裏面にもしっかり焼き色が付いている
“巻く系”のフライは油で揚げると形が崩れてしまうことが多いが、熱風リクックオーブンなら裏返す必要がないので、手間なくきれいな形で完成
「フライヤー(リクック)」だけでもかなり満足度が高いリクック熱風オーブンだが、「トースター」「グリル」としても使用できる。そちらの機能もチェックしておこう。
トースター
上下4本の石英管ヒーターで加熱する機能。トースター機能でまず気になるのが、食パンをおいしくトーストできるのかということ。使用頻度の高いトーストは、自動メニューとして専用ボタンが用意されている。4枚まで同時に焼けるが、ムラなく焼けるのだろうか。
庫内には、4枚の角型食パンがぴったりおさまる
枚数を設定する必要はなく、「トースト」ボタンを押すだけで、枚数に適した焼き方をしてくれる。こちらも「仕上がり調整ボタン」で焼き加減を調節することができるが、今回は「標準」のままスタート
分ほどで4枚のトーストがこんがり焼きあがった
裏面には表ほど焼き色は付いていないが、4枚の差はほぼない状態に焼きあがっている。外側はかりっとしつつ、中はしっとり感を残した焼き上がりだった
上グリル
上の石英管ヒーターのみで加熱する機能。火の通りやすい食材の調理や、グラタンやスイーツなどの表面に焦げ目を付けたい時などに便利だ。
「トースター」機能で、チーズを乗せた焼きトマトを作ってみた
トマトはいい具合に火が通ったものの、チーズの焼き色が足りない気がしたので、「上グリル」で追加加熱
下のトマトを加熱し過ぎることなく、より食欲をそそる見た目に仕上がった
熱風リクックオーブンは、操作性、料理の仕上がり、手入れのしやすさを総合的に見て、非常に実用度が高い。なんといっても、ノンフライ調理や惣菜の温め直しが、ボタン1つでおいしく仕上がるのがよい。好みによっては仕上がりを調整する必要もあるが、調理中の庫内の様子も見やすく、操作方法が通常のオーブントースターと似ているので、加減は難しくないだろう。バスケット式の「油を使わないフライヤー」などに比べ、調理後の手入れが楽なのも高ポイントだ。
「フライ用受け皿」はフッ素コーティングされていて、油汚れも楽に落ちる
かさばらないので、シンクや食器の水切りカゴを占領してしまうこともない
「油を使わないフライヤー」は料理の頻度が高い家庭でないと活用できないと思われがち。しかし、熱風リクックオーブンは惣菜や作り置きのおかずをおいしく調理することにも特化した製品なので、1人暮らしや、惣菜を買って家で食べる“中食派”こそ、その便利さをより実感できるのではないだろうか。もちろん、本格的なオーブン料理やスイーツなど、腕を振るいたい時にも十分活躍してくれる。コンベクションオーブンにしてはやや高価格だが、「フライヤー」「トースター」「グリル」として使用できるため汎用性が高く、簡単においしく調理ができて後片付けも楽となれば、使用頻度は自然と高くなるはずだ。