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オーブンなのに予熱なし! 噂の「マルチコンベクションオーブン」で作ってみた

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オーブン調理で意外とやっかいなのが「予熱」の存在。予熱が必要な料理は「オーブンの温度設定」をしたあと「オーブン庫内が熱くなるまで10分程度放置」し、そして「食材を入れて調理」と、時間をあけて2回オーブンに向かわないといけない。これは、とくに複数の料理を同時調理している場合に面倒。やはり、理想は「食材を放り込んだら、あとは調理完了まで放置」できるオーブンだ。

筆者と同じ思いの人が多いのか、この度、象印マホービンから予熱不要の「マルチコンベクションオーブン ET-YA30」(以下、ET-YA30)が登場。早速チェックしてみることにした。

オーブンなのに「予熱いらず」の秘密とは

最近よく聞く「コンベクションオーブン」とは、オーブン内に熱風を対流させて加熱するオーブンのこと。オーブントースターのように熱源で直接を加熱せず、食材を熱風で包み込んで加熱する。このため、加熱ムラが少ないのが最大の特徴だ。ただし、熱風が庫内を循環し、庫内温度が安定するまで少々時間がかかるというデメリットもある。

いっぽう、オーブントースターをはじめとする「コンベクション」機能非搭載のオーブンは、ヒーターで直接食材を加熱する。熱源と食材の位置が近いことも多く、予熱なしでもすぐに食材が加熱できるのが利点。ただし、食材をヒーターで直接加熱するため、ヒーター直下が焦げやすいなど加熱ムラがおきやすい。また、高温で加熱するため、食材内部まで、じっくり火を通す調理は苦手とする。

ET-YA30は、この「コンベクション」と「オーブントースター」両方の利点を利用した製品。7本のヒーターを搭載しており、その内5本はオーブントースターのようにむき出しで配置されている。オーブン調理開始時は、庫内上部に2本、庫内下部に3本用意されたむき出しのヒーターで直接食材を加熱。さらに、庫内が設定温度まで温まると、庫内内部に配置された2本のヒーターと、ファンで熱風調理に切り替わる。このため、予熱なしでも「食材のなかまでじっくり火を通す」オーブン調理ができるというわけだ。

本体サイズは、40.5(幅)×41(奥行き)×26.5(高さ)cm。見た目は普通のコンベクションオーブン

本体サイズは、40.5(幅)×41(奥行き)×26.5(高さ)cm。見た目は普通のコンベクションオーブン

庫内上に2本、下に3本の直火ヒーターを搭載。庫内サイズは27(幅)×29.5(奥行き)×8.5(高さ)cm

庫内上に2本、下に3本の直火ヒーターを搭載。庫内サイズは27(幅)×29.5(奥行き)×8.5(高さ)cm

庫内奥にはファンの通風口がある。ファンからは見えない位置にある2本のヒーターで熱した熱風が、ここから送られる

上ダイヤルで「コンベクション」や「トースト」などのモードを選択。中ダイヤルで温度を設定。下ダイヤルで加熱時間を選択する

比較的深さのある天板のほか、天板に乗せる「トレー用焼き網」と庫内の汚れを抑制する「油飛び散り防止カバー」が付属

オーブン料理にグリル調理も可能

ET-YA30は、上記で説明した通り、コンベクションオーブンとトースターのようなグリル機能のどちらにも対応。そのため、予熱なしのコンベクション調理のほか、オーブントースターのように上下の直火ヒーターだけで加熱する「グリル」メニュー、上部ヒーターだけで食材を直接加熱する「上火グリル」メニュー、そして30℃か40℃の温度帯をキープする「パン生地発酵」メニューなども使用できる。ちなみに、オーブン使用時は80℃から250℃までの温度を設定可能だ。

コンベクションオーブン以外にも、直火で焼き色をつけるグリル機能も搭載。グラタン料理も手軽に作ることができる

また、機能選択のほかに、「トースト」や「冷凍トースト」といった食パンメニューや、「グラタン」「ローストビーフ」「ノンフライ唐揚げ」など、料理名から選択できる自動調理メニューも搭載している。

強い火力で、トーストは最大4枚が約5分で焼けて便利(左がトースト前、右がトースト後)。 冷凍パンのトーストメニューもある

我が家でまず最初に調理したのは「ローストビーフ」。ローストビーフは、中心温度が54〜65℃以内になるように温度を調整する必要があり、意外に失敗しやすい料理だ。温度が低ければ中心は生になり、ローストビーフというより「牛肉のタタキ」になってしまう。反対に温度が高すぎると、パサついて固い肉になってしまう。基本的にオーブンでローストビーフを調理する場合は、肉汁が逃げないようにオーブン調理前に肉をフライパンで焼く作業を行う。しかし、ET-YA30付属のレシピでは、塩コショウをした肉を、オーブンに入れ「ローストビーフ」メニューを選択するだけでOK。完成したローストビーフは、中がしっとりとジューシーで、まさにお手本のような出来栄えだった。

塩コショウをした肉を、天板に乗せてカバーをかけて焼くだけ! フライパンで焼き色を付ける必要もなく手軽

塩コショウをした肉を、天板に乗せてカバーをかけて焼くだけ! フライパンで焼き色を付ける必要もなく手軽

外は香ばしく、中は肉汁が閉じ込められたしっとりとしたローストビーフに

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次に、こちらも意外と美味しく仕上げるのが難しいスポンジケーキを焼いてみた。スポンジケーキも難なく成功!

スポンジケーキはデコレーションするのであまり焼き色は気にならないが、見た目はいい感じに焼けている

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ケーキを切ってみると、中までふっくら!

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ノンフライ調理がスグレモノ

自動調理メニューに揚げ物調理があったので、定番の「ノンフライ唐揚げ」と「ノンフライとんかつ」も調理してみた。最近はノンフライの揚げ物が作れるオーブンも多いが、気になるのは「油とび」。食材から飛びちる油のせいで、オーブン内が汚れることが多いのだ。さらに、ET-YA30のようなヒーターむき出しのオーブンの場合、ヒーターに油が付着して煙が上がり、室内が煙だらけになることもある。その点、ET-YA30は、この油とび問題を解決するため、「油飛び散り防止カバー」が付属。カバーをかけて調理することで庫内の汚れや、煙の発生を抑えてくれるようになっている。

ノンフライ調理など、油などが飛び散りやすいメニューに利用する「油飛び散り防止カバー」

ノンフライ調理など、油などが飛び散りやすいメニューに利用する「油飛び散り防止カバー」

最初にカバーを見たときは「洗いものが増えて面倒だな」と思った筆者だが、実際に調理をしてみるとノンフライ調理時はこのカバーが非常によい仕事をしてくれた。コンベクションの熱風が狭いカバー内でまんべんなく対流するためか、ノンフライ調理をした食材の揚げムラが非常に少ないのだ! 筆者は今までさまざまなノンフライオーブンを使用してきたが、鶏のから揚げがここまで焼きムラなくカリッと揚がるのには驚いた。

唐揚げは、ノンフライ調理したとは思えないほど焼きムラなくカラッと仕上がった。家族にも「ノンフライとは思えない」と好評

油は使っていないのに、焼き上がり後は大量の脂分がトレーに溜まっていた。この分だけカロリーオフできていると思うとうれしい

フライ調理は、最初にパン粉をグリルして軽く焼き色を付ける必要がある。少々面倒なので、我が家では一度に大量に作って冷凍保存

いつもの要領で作った物を並べて焼くだけ。から揚げと比較すると少々焼きムラはあったものの、非常にクリスピーな仕上がり!

ちなみに、左が炒りパン粉、右が普通のパン粉を使用して作ったとんかつ。普通のパン粉でもサクッとした食感でおいしいのだが、焦げ目の香ばしさやクリスピーさが少なく、味は一段落ちる感じ

メンテナンスのしやすさも◎

ところで、今回作った鶏の唐揚げには、ニンニクやショウガなどの匂いの強い食材を入れていたのだが、調理時もあまりニオイがしなかった。じつは、ET-YA30はコンペクション機能使用時に「プラチナ触媒ユニット」で油煙の匂いなどを抑制できているらしいのだ。

また、油飛び散り防止カバーを使用すれば、庫内の汚れも最小限に防ぐことが可能。さらに、筆者が特に気に入ったのは、オーブン前面の扉が外せる点。意外にガラス部分の汚れは目立つものだが、扉を外して水洗いできるので、長期間使用してもキレイなまま使用できる。これらのメンテナンス性の高さもET-YA30の魅力だと思った。

油飛び散り防止カバー使用後の汚れ。カバーの裏に、食材の油が飛び散っているのが見える

油飛び散り防止カバー使用後の汚れ。カバーの裏に、食材の油が飛び散っているのが見える

オーブンの扉と庫内の網は、取り外して丸洗い可能。メンテナンス性のよさも気に入った

オーブンの扉と庫内の網は、取り外して丸洗い可能。メンテナンス性のよさも気に入った

まとめ

つねづね「予熱が面倒」と思っていた。そして、実際に予熱がいらなくなると想像以上に便利。以前は、時間の面でも余熱が面倒だと考えてあまり利用していなかったオーブンだったが、ET-YA30が来てからは気軽に活用するようになった。

ET-YA30は、我が家では朝はトースターとして、夕方は「おかずがもう一品欲しい」といったときに活用している。とくに気に入っているのは、やはりノンフライ調理。本機で作るノンフライの揚げ物は、とにかく美味しい。ノンフライ揚げ物に関心のなかった家族も、ET-YA30のノンフライ調理なら食べたいと絶賛してくれるくらいだ。比較的コンパクトなサイズなのもうれしいところである。

適当な野菜と魚を焼くだけでできる「ホイル焼き」はお気に入りメニュー。短時間でできるし、手軽に野菜がとれて洗いものがほとんどないのも◎。もう一品ほしい時に大活躍

倉本 春
Writer
倉本 春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
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