アップル製品のユーザーがイヤホン、ヘッドホンの購入を検討するとき、まずチェックしておきたいのが「AirPods(エアポッズ)」シリーズです。同ラインアップにおけるトピックは、2026年9月にインイヤー型の「AirPods 5」が発売されたこと。最も求めやすいエントリーモデルでありながら、標準でアクティブノイズキャンセリング(以下、ANC)機能に対応し、より魅力的な選択肢に仕上がっています。
もっとも、用途によっては、2025年秋に発売された「AirPods Pro(エアポッズプロ) 3」や、2026年4月に発売された「AirPods Max(エアポッズマックス) 2」を選んだほうがよいことも当然あります。
本記事では、これら「AirPods」シリーズのラインアップを改めておさらいしながら、各製品の特徴や、選ぶ際のポイントを確認していきましょう。
なお、記事内の価格は、2026年10月時点におけるApple Store(オンライン)のもので、税込価格になります。
そもそも「AirPods」シリーズのメリットとは何でしょうか。黎明期とは異なり、昨今はサードパーティー製品の完全ワイヤレスイヤホンやヘッドホンもかなり成熟しています。「iPhone」と連携させた際の接続性や、対応機能、使い勝手なども大きく向上しました。
そのような意味で、“「AirPods」シリーズならでは”と言える体験は当初と比べると少なくなってきています。音質やデザインの好みなどを優先する場合、必ずしも「AirPods」シリーズを選ぶ必要はないかもしれません。
しかしながら、アップル製品との相性は純正品である「AirPods」シリーズが抜きんでていることに変わりはありません。たとえば、「iPhone」とのペアリングが容易であったり、モデルによっては「探す」ネットワークでの捜索ができたりと、OSレベルでの機能連携が保証されています。これらは、アップル製品ユーザーにとってのメリットです。また、人によっては、対面する相手が話す外国語をリアルタイムで翻訳できる「ライブ翻訳」が使えることを重視する場合もあるでしょう。
モデルによって違いがあるところですが、着け心地の軽やかさや、ANCの性能、心拍センサーによるワークアウトの測定、ヒアリングの補助機能などもメリットにあげられます。
では、「AirPods」シリーズのラインアップを確認しましょう。2026年10月時点のApple Store(オンライン)では、以下の4モデルが展開されています。
・AirPods 5:2026年9月発売、インイヤー型、H2チップ搭載
・ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5:2026年9月発売、インイヤー型、H2チップ搭載
・AirPods Pro 3:2025年9月発売、カナル型、H2チップ搭載
・AirPods Max 2:2026年4月発売、オーバーイヤーヘッドホン、H2チップ搭載
完全ワイヤレスイヤホンとしては、インイヤー型の軽やかな着け心地が特徴の「AirPods」と、上位モデルに相当するシリコン製のイヤーチップを備えたカナル型の「AirPods Pro」の2シリーズがラインアップされています。
前者は下位版の「AirPods 5」と上位版の「ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5」の2モデルに分かれています。後者は「AirPods Pro 3」の1モデルのみです。
いっぽう、ヘッドホンタイプの製品は、2026年4月に発売された「AirPods Max 2」の1モデルです。チップセットには「H2」を搭載しており、ANC関連やライブ翻訳などの機能は完全ワイヤレスイヤホンと同等です。
以下、それぞれのモデルの特徴をチェックしていきましょう。
「AirPods」シリーズをとにかく安く入手したい場合、シリーズ最安の「AirPods 5」が最有力候補です。2026年9月に発売されたモデルで、価格は23,800円。
シリコン製のイヤーチップを備えていないインイヤータイプの製品で、密閉しない軽やかな着け心地が特徴で、カナル型イヤホンの圧迫感が苦手という人でも、快適に装着できることが多いでしょう。
特に、第5世代にあたる本世代は周囲の環境音を低減するANCを使えるのがポイント。たとえば、水回りの家事をしている際などにも、音声コンテンツが楽しみやすくなっています。軽やかな装着感とANCの恩恵を両立できます。
なお、2024年9月に発売された前世代モデル「AirPods 4」もANCをサポートしていましたが、下位版はANC非対応、上位版はANC対応という差がありました。いっぽう、「AirPods 5」は下位版もANCに対応しました。
ANCに関連した機能としては、周囲の環境音を聞こえやすくする「外部音取り込みモード」や、ANCと外部音取り込みモードの切り替えを自動で行う「適応型オーディオ」、会話のスタートを検知して聞こえ方を会話用に切り替える「会話感知」なども使えます。
サウンドに関しては、フラットなチューニングが特徴です。シリーズ最安モデルでありながら「空間オーディオ」や「ダイナミックヘッドトラッキング」をサポートしており、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。
イヤホン本体でのコントロールについては、軸の部分をギュッとつまんで操作する感圧センサー式を採用しています。ただし、軸をスワイプしての音量調節には対応していません。防塵性能と耐汗耐水性能はIP57(=多少の粉塵の侵入は動作に影響せず、一時的に水中に沈めても故障しづらい)に準拠しており、ワークアウトでの利用や屋外で急な小雨などに見舞われた場合も安心です。
イヤホン本体の再生時間はANCを有効にした状態で最大4時間、充電ケースを併用すると最大20時間です。また、充電ケースに搭載されたポートはUSB Type-Cです。
「AirPods 5」シリーズには、上位版として「ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5」も用意されています。こちらの価格は、27,800円。大部分の仕様は前述の下位版「AirPods 5」と共通していますが、一部の仕様・機能が強化されているのがポイントです。
たとえば、本体でのコントロール方法に関して、感圧センサーが「軸をスワイプしての音量調節」に対応しています。
また、充電ケースが「探す」機能に対応しており、捜索時には搭載したスピーカーから音を鳴らすことも可能です。うっかり見失った際に場所を特定しやすいことは上位版のメリットと言えるでしょう。
さらに、バッテリー持ちも上位版のほうが長くなっており、ANCを有効にした場合で最大5時間(=下位版より+1時間)、充電ケースを併用して最大22時間(=下位版より+2時間)と差があります。
まとめると、下位版との価格差は4,000円。(1)スワイプ音量調整、(2)「探す」機能、(3)少し長いバッテリー持ち——に4,000円分以上の価値を感じる場合は、「ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5」を選ぶのがおすすめです。
ちなみに、インイヤー型である「AirPods 5」および「ワイヤレス充電ケース付きAirPods 5」のデメリットとして、“イヤーチップの交換ができないこと”は押さえておきましょう。サイズ調整ができないので、平均的なサイズと比べて耳が小さかったり大きかったりする人は、上手くフィットしない可能性もあります。購入前に実店舗で試着をするなどして、装着感を確かめながら検討することをおすすめします。
上位モデルの「AirPods Pro 3」は、シリコン製のイヤーチップを備えたカナル型の完全ワイヤレスイヤホンです。2025年9月に発売されたモデルで、価格は42,800円。本体でのコントロールについては、タッチセンサー式が採用されており、スワイプ操作による音量調整にも対応します。
「AirPods Pro 3」を選ぶメリットとしては、音質や音の定位などが「AirPods 5」シリーズよりも若干すぐれていることがあげられます。
そして比較検討の際には、(1)イヤーチップの調整ができるため耳の形に合わせやすい、(2)イヤーチップで密閉されていてノイズキャンセリングの効果が高い、(3)単体でワークアウトを測定できる——という3点も念頭に入れておきましょう。
まず「AirPods Pro 3」には、シリコン製のイヤーチップが採用されており、耳のサイズに合わせてイヤーチップを交換することで、フィット感を調整できます。同梱されるイヤーチップのサイズが増え、従来のXS/S/M/Lの4サイズに加え、XXSも追加されました。耳珠・耳介の形自体がイヤホン本体の形状にマッチしないケースを除けば、着け心地の柔軟な調整が可能です。
続いて、ノイズキャンセリングに関しては、イヤーチップが耳栓のように物理的に環境音を遮断する「パッシブノイズキャンセリング」と、スピーカーの音波で相殺するANCとの合わせ技になるため、先述の「AirPods 5」シリーズよりも、ノイズを低減する精度が高くなっています。「AirPods Pro 3」のノイズキャンセリング精度は、「AirPods 5」と比べて最大3倍であると謳われています。
つまり、騒音の激しい地下鉄や飛行機内で動画を視聴したり、ポッドキャストを聴いたりする場合には、「AirPods Pro 3」のほうがクリアなサウンドを確保しやすくなります。こうしたシーンで音量を抑えられることは、耳への負担を下げることにもつながります。
「AirPods Pro 3」独自の仕様として、イヤホンであるにもかかわらず心拍センサーを搭載していることも重要です。「Apple Watch」シリーズで行えるようなワークアウトの測定が行えます。防塵性能と耐汗耐水性能はIP57(水深1mで約30分間の水没に耐える性能)に準拠するので、エクササイズ中でも安心して使用可能です。
イヤホン本体のバッテリー持ちは、ANCを有効にした状態で最大8時間。充電ケースを併用した場合で合計最大24時間です。
充電ケースは、Qi規格のワイヤレス充電をサポートしたうえで、「MagSafe」にも対応しているのがポイント。また、「探す」機能のためのスピーカーを備えているうえ、ストラップを装着することもできるので、サードパーティー製の保護ケースなどを併用せずとも、落下や紛失を予防しやすいことも見逃せません。
そのほか、特殊な用途にはなりますが、大きな音を低減するために活用したり、ヒアリングを補助するデバイスとして使えたりするのも「AirPods Pro 3」の特徴です。
オーバーイヤー型ヘッドホン「AirPods Max 2」もあります。ヘッドホンタイプの製品としては、同じくAppleが展開する「Beats」ブランドでは「Beats 360」や「Beats Studio Pro」「Beats Solo 4」などの複数モデルがリリースされていますが、「AirPods」ブランドでは「AirPods Max 2」のみの展開となります。
価格は「AirPods」シリーズの最上位モデルらしく、89,800円とやや高額です。一般的なワイヤレスヘッドホンのなかでも高級機に位置づけられるため、万人向けではなく、あくまでオーバーイヤー型のデザインや装着感にこだわりがある人向けと言えるでしょう。
「AirPods Max 2」は、2026年4月に発売された製品で、搭載するチップセットが前世代モデルの「H1」から「H2」へと進化を遂げています。単にANCに対応するだけでなく、「適応型オーディオ」や「会話感知」「ライブ翻訳」などの機能もサポートし、機能差が解消されています。
音質面では、新しいハイダイナミックレンジアンプを搭載しており、「AirPods Max」ならではのサウンド特性を維持しながら、よりクリアなサウンドを実現。空間オーディオコンテンツの再生においては音の定位が向上し、より自然な再生を可能にしています。このほか、USB Type-Cケーブル接続時は24bit/48kHzのロスレスオーディオに対応するなど、より高音質な音楽体験も可能になりました。
本体でのコントロールは、Digital Crown(デジタルクラウン)やノイズコントロールボタンによる操作になるのがヘッドホンタイプならではのポイント。特にDigital Crownによる細やかな音量調節は、ほかの製品にはない体験です。
また、楽曲再生時のバッテリー持ちは、ANCを有効にした状態で最大20時間。非使用時には、付属する専用キャリングケースに入れておくと、電力消費を抑えるモードに切り替わります。
注意点としては、「AirPods Max 2」は、ほかの「AirPods」シリーズと異なり、防塵性能と耐汗耐水性能を備えていないことを押さえておきましょう。屋外での急な雨などには注意が必要ですし、ワークアウト時の使用には適しません。
ホワイトで統一されている完全ワイヤレスイヤホンと異なり、唯一カラーが選択できることも「AirPods Max 2」ならではの特徴です。具体的には「ミッドナイト」「スターライト」「オレンジ」「パープル」「ブルー」の5色を選べます。ファッションアイテムとしてカラーにこだわりたい人にとっても、有力候補となるでしょう。
以上のように「AirPods」シリーズは、名称こそ似ているものの、選択する製品によって体験が大きく異なってきます。形状がインイヤー型かカナル型か、あるいはヘッドホンタイプ(オーバーイヤー型)か。インイヤー型の軽やかな着け心地か、カナル型による強力なノイズキャンセリングか、あるいはオーバーイヤー型の高音質か。移動や家事、ワークアウトなど日常の利用シーンを想像しながら、自身の生活スタイルにあった1台を見つけてください。