知っ得!納得!今旬デジタルキーワード事典
ハイレゾの理屈やメリットを解説

聞きたい! どうすれば聞ける? CD以上の「ハイレゾ」って何?

イヤホンやヘッドホン、オーディオ製品はもちろん、最近ではスマートフォンやテレビまで「ハイレゾ」というキーワードを掲げる製品が増えているが、「ハイレゾ」とは何か? 今回は、初めて聞いた、あるいは、今さら聞けないという初心者。はたまたハイレゾを始めてみたいという入門層、何となく知っているけどもっとよく知りたいと思ってる方の為に、その理屈やメリットを解説していこう。

1. そもそも「ハイレゾ」とは?

ハイレゾとは「ハイ・レゾリューション/High Resolution」の略で、高解像度の意。デジタルは、自然界に存在する連続的な量(アナログ)を細切れ(離散量)にして扱うもので、より細分化するほうが、元のアナログに近づくことができる。私たちが普段聴いている「音」は連続した波形で表すことができ、オーディオの「ハイレゾ」とは、従来のCD(44.1kHz/16bit)を超える分解能を持ち、端的には“CDよりも高密度で音がよい”という理解で問題ない。イメージとしては、デジカメの画素数と画質の関係に近い。カメラの性能が同じなら、30万画素のデジカメよりも1000万画素のデジカメで撮影する方が、データ量は多くなるが細部まで緻密で滑らかな高精細な画像が得られる。考え方はこれと似ているといってよいだろう。CDが登場したのは1980年頃。その後の技術進歩によりオーディオも進化しているというわけだ。

2. デジタルオーディオの基礎知識 

ハイレゾを理解するには、デジタルオーディオの基礎といえる“サンプリング周波数と量子化bit数”についての知識が不可欠なので、解説しておこう。

デジタルオーディオは音の“波形”を細切れにして扱うが、その切り口は“時間”と“音の大きさ”という2つの軸。一定周期で連続して音の大きさを記録して行くと、波の形を再現できる。CDのスペックは、サンプリング周波数が44.1kHzで、量子化数が16bitと規格化されている。これは、音の波形を1秒間に44,100回(44.1kHz)チェックし、その時の音の大きさを、65,536段階(16bit)で示すという意味だ。

このサンプリング周波数と量子化bit数の数が大きくなれば大きくなるほど、より小さく細切れにでき元の波形に近づく。具体的には、ハイレゾの一例である「96kHz/24bit」をCD(44.1kHz/16bit)と比べると、1秒間のサンプリング数は、44,000回から96,000回へと約2倍に、各サンプリング時の音の大きさは65,536段階(16bit)から167,77,216段階(24bit)へと、256倍もきめ細やかになる。イラストはイメージだが、「96kHz/24bit」のほうが、階段が細かく「原音」の滑らかな波形に近い(=高音質)ことをご理解頂けるだろう。

3.「ハイレゾ」の定義

ハイレゾを定義するうえで重要な指標となるのが、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の定義で、「ハイレゾオーディオと呼称する場合、“CDスペックを超えるディジタルオーディオ”であることが望ましい」とし、スペツクとしては「LPCM換算でサンプリング周波数、量子化bit数のいずれかがCDスペックを超えていればハイレゾオーディオとする」と明示している。

<JEITAが示す具体例>
・48kHz/24bit →(CDスペック同等/CDスペック超)→ハイレゾオーディオ
・96kHz/16bit →(CDスペック超/CDスペック同等)→ハイレゾオーィオ
・96kHz/24bit →(CDスペック超/CDスペック超)→ハイレゾオーディオ
・48kHz/16bit →(CDスペック同等/CDスペック同等)→非該当
・96kHz/12bit →(CDスペック超/CDスペック未満)→非該当
・32kHz/24bit →(CDスペック未満/CDスペック超)→非該当

ほか、日本オーディオ協会では、音楽ファイルの録音フォーマットや再生機器に対し、96kHz/24bit以上を「ハイレゾ」と定義している。日本では、ハイレゾ音楽配信で取り扱われるファイルフォーマットの実情を鑑みても、96kHz/24bit以上が「ハイレゾ」、という理解でよいだろう。

なお、デジタルオーディオは幅広く利用されているLPCM(PCM)と、アナログ波形に近い発想のDSD(Direct Stream Digital)という2つの方式があり、DSDは2.8MHz以上がハイレゾと考えられている。

4. 「ハイレゾ」化のメリット

「ハイレゾ=高音質」は間違ってはいないが、もう少し深く知るために、ここではそのポイントと理屈を、図解を交えて解説しよう。

・ 超高域音が扱える
音は波形で表せると述べたが、周波数が高い(=波形が密集している)ほど音が高い。CDでは人間が聴き取れるとされる高域音の上限「20kHz」をターゲットととし、サンプリング周波数はその約2倍の44.1kHzに規格化された(ナイキストの定理)。ハイレゾのサンプリング周波数96kHzでは約50kHz、192kHzでは約100kHzもの超高域音が扱える計算だ。20kHz以上の高域音は“聞こえない”とされてきたが、近年の研究では皮膚で感じるとの説もある。

・微小な音の再現性が向上
量子化bit数が大きくなると、音の大きさをより多段階で表すことが可能。16bitに対して24bitは256倍も分解能が高く、言い換えると、256分の1という微小な音の変化も捉えられる。聴感でわかりやすいのは、余韻の消え際。16bitなら音が「有る」か「無い」かの2値しか表現できない領域でも、24bitのハイレゾなら256段階で再現できるので、余韻の消え際まで変化を豊かに表現できる。ホールやスタジオなどの収録空間のようすがよりリアルに感じ取れるようになるというわけだ。

・楽器の音色がリアルに
楽器の音色を波形で見ると、特に打楽器や弦楽器は立ち上がりが鋭く、音色の大部分を司っている。ハイレゾでサンプリング周波数と量子化bit数が大きくなると、立ち上がりをより早く捉え、急峻な変化もより克明に表現することができる。結果、音色をよりリアルに再現。聞き比べる際にはこのあたりを気にしてみるとよいだろう。ハイレゾは再生周波数帯域の広さだけでなく、高解像度化により微少音の再現性、ひいては音色のリアルな表現が可能になっていることをご理解頂けるはずだ。

5. ハイレゾを聴く方法

では実際にハイレゾを聞くにはどうしたらよいのだろうか? ハイレゾを楽しむには、ソフトである「ハイレゾ音源」と、ハードである「ハイレゾ対応機器」の両方が必要になる。ここでは、音源と機器に分わて紹介する。

・音源編
ハイレゾを楽しむ第一歩は、音源の入手から。現在のハイレゾブームは、音楽配信がきっかけ。日本国内では、「e-onkyo music」「mora」「KRIPTON HQM-STORE」「OTOTOY」「VICTOR STUDIO HD-MUSIC」あたりがメジャーサイト。注意したいのは、CDでリリースされている楽曲が全てハイレゾで配信されている訳ではないこと。また、楽曲によっては、1つのサイトでのみしか購入できない場合もあるなど、CDに比べると複雑だ。

ちなみにポップスやロックなら、e-onkyo(画像左)やmora(画像右)が充実している

ちなみにポップスやロックなら、e-onkyo(画像左)やmora(画像右)が充実している

次に考えなくてはならないのは、ファイルのフォーマット。多くの配信サイトでは、非圧縮のWAV(PCM)やDSD、PCMをロスレス圧縮したFLACやALACなどから選択が可能で、さらにPCM系なら96kHz/24bitや192kHz/24bit、DSDなら2.8MHz、5.6MHzなどが選べるようになっている。理屈としてはサンプリングレートが高い方が高音質だが、データ量が大きくなるのでダウンロードにより多くの時間がかかり、ストレージの容量も圧迫してしまうので、自身の再生環境や機器に合わせて選ぶ必要がある。この点も、CDに比べると複雑な点だ。

話は少々難しくなってしまったが、とりあえず最高音質のファイルフォーマットでダウンロードしておき、パソコンでソフトを使って適宜ダウンコンバートするというのも1つの手である。そのほかハイレゾ音源としては、有形ディスクのSACD、DVD Audio、ブルーレイの一部がありハイレゾの元祖と言えるが、ハイレゾ品質で再生するには対応プレーヤーが必要なため、オーディオマニア以外には敷居が高いかもしれない。

・ハード編
<ポータブル>
プレーヤーとして最も手軽なのは、ポータブル機器とヘッドホンの組み合わせ。ハイレゾ音源をハイレゾ品質で再生できるスマートフォンやポータブルプレーヤーが登場している。

・ハイレゾ対応スマートフォンの例

Sony「Xperia X Performance SO-04H」

Sony「Xperia X Performance SO-04H」

・ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの例

SONY「WALKMAN Aシリーズ NW-A25」

SONY「WALKMAN Aシリーズ NW-A25」

また、本体のみではハイレゾ対応していないiPhoneやAndroidスマホも、ハイレゾ対応のDAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプを組み合わせれば、ハイレゾを楽しむことができる。

・DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプの例

OPPO「HA-2」

OPPO「HA-2」

TEAC「HA-P5」

<据置>
家庭で据置を考えた場合、PCを用いる方法とPCを用いない方法に大別できる。前者は、PCにくわしいユーザーが「PCオーディオ」として楽しんで来た歴史がある。後者は、音楽を聞く際にPCの起動を必要とせず、オーディオライクに楽しむことができる。

<PC+USB-DAC>
USB-DACはPCからのオーディオデジタル信号をアナログに変換する機器で、現在は高品質なヘッドホン用アンプを内蔵した製品が多い。そのほか、CDプレーヤーやアンプなどといったオーディオ機器にUSB-DAC機能を内蔵した製品も増えている。

・USB-DAC/ヘッドフォンアンプの製品例

LUXMAN「DA-150」

LUXMAN「DA-150」

・UBS-DAC機能内蔵アンプの製品例

DENON「PMA-50」

DENON「PMA-50」

・ハイレゾ対応シアターバーの製品例

SONY「HT-NT5」

SONY「HT-NT5」

<ネットワークオーディオ>
オーディオ愛好家の定番スタイル。NAS(Network Attached Storage)に蓄積したハイレゾ音源ファイルを、ネットワークに対応したプレーヤーで再生する。ちなみに、ネットワークオーディオ再生機能は、お手軽価格のミニコンポやHDDビデオレコーダー、アンプ類にも一機能として搭載されるケースが増えている。

・ハイレゾネットワークプレーヤーの製品例

DENON「DNP-2500NE」

DENON「DNP-2500NE」

6. ハイレゾファイル再生の注意点

ハイレゾのファイル再生は機器を柔軟に選べて手軽な半面、WAV、PCM、FLAC、DSDといった方式の違いや、96kHz/24bit、DSDの2.8MHzや5.6MHzなどファイルフォーマットが多種多様で、音源ファイルや機器を購入する際は自身の環境と互換性があるかどうかの確認が必要だ。CDでは世界中どんな機器でも再生できていただけに、注意したいポイントである。

7. ハイレゾの今後

スマホと組み合わせるワイヤレスイヤホンやスピーカーがブームだが、その通信に用いられているBluetoothも、ハイレゾに向かっている。ソニーは既にハイレゾ相当の「LDAC」を製品化していて、同規格に対応したプレーヤーやワイヤレスイヤホン、ヘッドホン、ポータブルスピーカーを製品化している。また、高音質コーデックとして知られるaptXも、ハイレゾ相当の「aptX HD」を規格化済みで、2016年末から対応製品が増える見込みだ。

そのほか、聴き放題で人気のサブスクリプションサービスも、海外ではTIDALがハイレゾ相当の音質でサービスを開始。日本では、「プライムシート」がDSD5.6MHzによるライブストリーミングサービスを行っておりオーディオ愛好家の注目を集めている。

8. さいごに

原理上「ハイレゾ=高音質」の図式は疑う余地がないか、ハイレゾはあくまでも器。最終的な音質は、音源の録音状態や制作工程、再生装置で決まる。実際、CDを単にハイレゾスペックにアップサンプリングした「ニセレゾ」(偽物のハイレゾ)問題や、デジタル回路としてハイレゾ音源を再生できても、音質が悪いオーディオ機器は存在する。信頼できるサイトやメーカーを選ぼう。なお、ハイレゾ対応機器の品質の目安として、以下の「Hi-Res Audio」ロゴが指標になる。日本オーディオ協会会員各社が、ガイドラインに基づいて基準を満たす製品に付与するロゴで、機能性や音質の両面で、一定レベルの性能が期待できる。

「Hi-Res Audio」ロゴ

「Hi-Res Audio」ロゴ

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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