昨今、ふるさと納税の活用が拡大するなか、ご当地グルメの注目度も年々高まっています。とはいえ、まだあまり知られていないけれど、激ウマな特産品ってたくさんあるんです。そこで今回は、フードアナリストの中山秀明が価格.com内で特集されている「特産品マップ」をチェックして、全国各地の注目食品を5つリストアップしました。
今回購入した5つのご当地グルメ。北は秋田から、南は大分まで、お取り寄せしました
なかには調理が必要な食品もありましたが、基本的には簡単に作れるものばかり。すべて試食して、味をチェックしました。あわせて、「コスパ」「斬新性」「味の珍しさ」「手軽さ」「贈り物にオススメ」の5項目で採点(5点満点)も実施しました。
それでは、地理的に北の地域のグルメから順に紹介していきましょう。
パッケージの右下に、「横手市観光協会推奨商品」と書かれたお墨付き食品。写真右が調理したもの
1品目は、秋田県の「横手ホルモンやきそば」です。これを選んだ理由は、全国的に焼きそば専門店がにわかに盛り上がっているから。そしてホルモンを使った「横手やきそば」は珍しいと思ったからです。ちなみに「横手やきそば」は、富士宮(静岡)、太田(群馬)と並ぶ日本三大焼きそばであり、B-1グランプリで優勝したこともありますが、ホルモンバージョンがあることはあまり知られていません。
パッケージの箱の中には、麺とソースが3袋ずつ、具のホルモンが1パック入っています。横手やきそばのことを深く知ることができる冊子も同梱されていました
そもそも、「横手やきそば」自体をまだ食べたことがないという人もいるでしょう。想像以上に市販の焼きそばとは違うので、ぜひ試していただきたいです! 今回はホルモン入りとなりますが、早速作ってみました。
「横手やきそば」には欠かせない具材たち。本品のレシピには「おすすめの具材」として豚挽き肉とキャベツが書かれていましたが、卵と福神漬けも重要です
ちなみに「横手ホルモンやきそば」は、実は「横手やきそば」を提供している店の多くが取り扱うメニューで、ベースは「横手やきそば」と同じ。具にホルモンが使われている(そのまんまですが……)のが特徴です。
油をひき、挽き肉、キャベツ、ホルモン、麺という順で投入。混ぜてソースをかければ完成です
個人的に「横手やきそば」の最大の特徴だと思うのが、「茹で麺」を使っているところ。あまり知られていないかもしれませんが、一般的な焼きそばは「蒸し麺」を使います。「茹で麺」の特徴は、「蒸し麺」よりもやわらかくもっちりとした食感。茹でられているので伸びやすく、劣化もしやすいのですが、いっぽうでこのもちもち感が独特のおいしさを生み出しているのです。
仕上げに目玉焼きと福神漬けをのせて完成。なくても問題ありませんが、本場の味わいに近づけるには必須です
食べた印象としては、やはりソースやホルモンのおいしさよりは麺のもっちり感が特出している気が。「茹で麺」、最高です!
ホルモンは甘じょっぱい味付け。極めてやわらかく煮込まれています
「焼きそばが好き」「『横手やきそば』のホルモンバージョンを食べたことがない」「『茹で麺』のおいしさをじっくり体験したい」、そんな人にはこの逸品をオススメします。
[5項目採点]
コスパ 4.5
斬新性 4.0
味の珍しさ 4.5
手軽さ 2.0
贈り物にオススメ 3.0
近江とは、現在の滋賀県のこと。そのブランド牛を使った餃子です。パッケージには「牛肉比50%」とあり、原材料を見るとあんには豚肉も使っているようですが、気になるのはその味
牛肉を使った餃子は珍しい! それが「牛とん包」をチョイスした理由です。しかも、「餃子スタジアム人気ランキング1位」「モンドセレクション金賞を受賞した世界初の餃子」などの肩書きも持っており、これは絶対に食べたい!と思ったワケです。
箱を開けると大きめの餃子が6個入っていました。食品自体は冷凍保存で、賞味期限は約半年
長さ14cm弱の「iPhone 8」と並べるとこのようなサイズ感。重さは1個40gと餃子としてはボリューミーです
具材だけではなく皮にも特徴があり、秘伝の豚骨スープと卵黄を練り込んでいるとのこと。生地自体にも味が付いているということでしょうか。気になります!
フライパンに油をひいて並べ、180ccと多めに水を投入。このあと、フタをして8分間ほど蒸し焼きにしました
完成! 見た目はジャンボ餃子のようですが、一番の違いは中身のあん。いざ、実食!
あんがぎっしり詰まっているという感じはないものの、肉汁が多くてとてもジューシー。厚めの生地がこの肉汁をしっかり包み込んでいる印象です
牛肉の旨みも十分にあり、サイズも大きいので全体的に高級感があります。あえて言うなら、これの肉まんバージョンがあれば、より肉のおいしさを堪能できるのではないかと。いずれにせよ、松阪や神戸と並び称される日本三大和牛にあげられる(諸説あり)近江牛の味を手軽に楽しめる同食品は、試してみる価値はありますよ!
[5項目採点]
コスパ 4.0
斬新性 4.5
味の珍しさ 4.0
手軽さ 2.5
贈り物にオススメ 3.5
購入したのは、生そばと麺つゆのセット。つゆもそばと同じ製造元です
日本三大焼きそばから「横手やきそば」、日本三大和牛から「近江牛」を紹介してきましたが、では「日本三大そば」ってご存知でしょうか? パッと言われてもなかなか出てきませんよね。ひとつは、そばの名産地・長野県の「戸隠そば」。そしてもうひとつは、エンターテインメント性でも有名な岩手の「わんこそば」。そしてもうひとつが、島根の「出雲そば」です。マイナーな県と思われがちな島根(島根出身の人、すみません!)ですが、「出雲そば」をはじめとしたおいしい郷土料理がたくさんあります。
そば粉も小麦粉も、有機原料を使用。なおそば粉の割合は明記されていませんでした
「出雲そば」の特徴は、そばの風味が強いこと。これはそばの実を甘皮ごと石臼で挽く「全層挽き」に関係しており、麺の色もほかのそばより黒っぽくなります。そして、幅のある平打ち麺であることもポイント。ほかにも、食べ方や調理法として割子そばや釜揚げそばとして食べるという特徴があります。今回はそばの個性をしっかり楽しむために、シンプルにもりそばスタイルで調理しました。
レシピに従って約4分茹で、冷水で締めてザルで切れば完成。麺つゆはそばと同じく有機素材にこだわったタイプで、醤油とダシの旨みが前面に出たキレのある味わいでした
麺は想像以上にがっしりとして食べごたえがあります。まずは何もつけず、そのまま食べてみるとそばの香りがしっかり感じられておいしい!
香りもさることながら、みずみずしい口当たりやツルっとしたのど越しも絶品。これは乾麺ではなく生麺だからこそと言えるでしょう。つゆはさすがに相性がよくなるように作られていて、風味のいいそばとベストマッチ!
麺同士がくっつかないようにするための「打ち粉」にも、そば粉を採用。そのため、ゆで汁をそば湯として楽しめるのも魅力です
由緒正しい「出雲そば」をつゆとのセットで手軽に楽しめる、そんな魅力にあふれた本食品。原料も有機ですし、コスパは抜群だと思います。次回はずいぶんと先ですが、年越しそばにでも試してみてはいかがでしょうか!
[5項目採点]
コスパ 5.0
斬新性 4.0
味の珍しさ 3.5
手軽さ 2.5
贈り物にオススメ 4.0
今回は冷蔵タイプの贈答用を購入。もちろん家庭用もあります
「愛媛の名物は?」と聞くと、真っ先に「みかん」という答えが帰ってきそうですが、同県はそれ以外にもおいしいものの宝庫なんです。そのひとつが「じゃこ天」と呼ばれる、揚げかまぼこ。
「八幡浜じゃこ天」が1種類、「宇和島じゃこ天」が2種類のセット。両者を食べ比べてみました
「じゃこ天」の二大産地と言われているのが、県の南西に位置する八幡浜と宇和島です。今回試したのは両方の「じゃこ天」が食べられるセット。まずは、どちらもそのまま食べてみました。
3品をそれぞれ断面がわかるようにカット。上が「八幡浜じゃこ天」、左が「宇和島上じゃこ天」、右が普通の「宇和島じゃこ天」です
販売先のホームページによると、味の特徴は下記とのこと。
・八幡浜じゃこ天→やわらかくて小骨の感じが少なめ
・宇和島上じゃこ天→厚みがあり、コク深い旨み
・宇和島じゃこ天→コシがあり小骨の感じが多い
いっぽう、筆者の印象は次の通りでした。
・八幡浜じゃこ天
→赤みがかっています。ほんのり甘めで、骨の粒を感じさせるジャリッとした舌触りがあります
・宇和島上じゃこ天
→コクがあり、噛むとジュワッと染み出る旨みがあります。ジャリッと感は控えめ
・宇和島じゃこ天
→素朴でやさしい味。上じゃこ天よりジャリッとした舌触りを感じます。でも大きな差ではありません
両面を焼いてみました。そして、ポン酢やマヨネーズなど、オススメとされる調味料類を付けて食べてみました
「炙るとさらにおいしい」とのことで、焼いてみると確かに納得。香ばしさが加わるうえに、味にも輪郭が出て素材の旨みをより感じられました。「じゃこ天」の総評としては、一般的な揚げかまぼこより弾力が豊かで食べごたえのある印象。個人的には八幡浜じゃこ天を炙り、柚子胡椒を付けて食べるのが一番好みの味わいでした。唐揚げなどの肉料理よりは低カロリーなので、ヘルシーに揚げ物を楽しみたい人やおでんが好きな人は試してみてください。
[5項目採点]
コスパ 3.5
斬新性 4.5
味の珍しさ 4.0
手軽さ 4.5
贈り物にオススメ 5.0
歴史を感じさせる、渋くて上品なパッケージ。中には個包装されたせんべいのようなものが入っています
謎めいたネーミング。そしてパッケージに書かれた「豊後伝説」も気になります。しかも、調べたところ「第25回全国菓子博覧会」で名誉総裁賞に輝いているとか。おいしさもお墨付きということでしょう。早速食べてみました。
「iPhone 8」と並べてみました。サイズはこんな感じです
原材料は、きな粉とゴマをメインに、小麦粉、砂糖、卵、白玉粉、食塩だそう。バリッと食感の、やさしい甘さのお菓子でした
特徴的なのは、その硬さ。パリッというよりは、バリッとした食感で、噛むとサクサクではなくザクザクとした歯ごたえがあります。そのため食べごたえ十分で、さらに焼き菓子らしい香ばしさも豊かな印象。味の濃さは控えめですが、お茶うけとしての存在感は十分といえるでしょう。
生地はそれなりに厚みがあります。繊細で割れやすいという感じはありません
なお、「やせうま」の名称は、その昔に京の八瀬(やせ)という乳母が幼君を連れて豊後の国(現在の大分県)を訪れた際、作ったおやつが由来だそう。小麦粉をこねて茹でた生地にきな粉をまぶして食べさせていたそうですが、幼君が気に入り「八瀬、うま(いものが欲しい)」とせがむようになったことから「やせうま」と呼ばれて広まったとか。
伝説の内容は同梱された紙にも書かれています。九州は熊本の馬が有名ですが、“痩せた馬”とは関係ないみたいです……
「焼やせうま」は、もともとは生菓子である「やせうま」を薄く焼いてせんべいにしたものです。京都の八つ橋と生八つ橋のような関係かもしれませんが、ちょっと珍しくて品のある大分銘菓ということで手土産にも使えそうです。
[5項目採点]
コスパ 3.0
斬新性 5.0
味の珍しさ 4.0
手軽さ 5.0
贈り物にオススメ 4.5
【関連リンク】
価格.com「特産品マップ」