ノンアルコールの機能性ビールテイスト飲料を飲み比べてみました!
2019年10月より消費税率が上がり、日々の買い物のしかたに変化が出ている人も少なくないでしょう。また、お店で販売されている飲食品には、軽減税率が導入されていますが、酒類は「食品」でありながら、その適用外に指定されています。
いっぽうで、酒類に該当しない「ノンアルコールビール」は、税率8%に据え置き。しかも、サントリーは今夏、「からだを想うALL-FREE」を、キリンは今秋に「キリン カラダFREE」を発売するなど、大手メーカーの新商品によって同ジャンルは一層活気づいています。そしてこれら2製品の最大の特徴は「機能性表示食品」であること。健康面に配慮して作られているのです。
ということで今回は、ビールメーカー大手4社のヘルシーなノンアルコールビールを飲み比べ。それぞれの成分や機能を明らかにするとともに、味の違いもレポートしていきます。
そもそも「特定保健用食品(以下、トクホ)」と「機能性表示食品」の違いをご存じでしょうか。どちらもよく耳にするワードで混同しがちですが、法的な位置づけが異なります。
「トクホ」は、ある特定の効能を持っていると表示することを、「消費者庁が許可」した食品のこと。許可を得るには、ヒトでの試験を実施して根拠を示す必要があります。
対して「機能性表示食品」は、効能を「事業者の責任で消費者庁に届け出て表示する(消費者庁の許可を必要としない)」食品のこと。表示するには、ヒトでの試験を実施するほかに、科学的な研究レビューを提出して証明する方法もあります。
いずれにせよ、「トクホ」も「機能性表示食品」も各メーカーの綿密な調査によってその機能が証明されたもので、効果は期待できそうです。
そんな「トクホ」と「機能性表示食品」を、今回は各2製品ずつレポートします。
・キリンビール「キリン カラダFREE」(機能性表示食品)
・サントリー「からだを想うALL-FREE」(機能性表示食品)
・アサヒビール「アサヒ ヘルシースタイル」(トクホ)
・サッポロビール「SAPPORO+(サッポロ プラス)」(トクホ)
大手4社のノンアルビールをそろえました! 「トクホ」にはおなじみの“万歳マーク”が、「機能性表示食品」はパッケージにその機能が大きめに表記されています
2019年秋に新発売された機能性表示食品「キリン カラダFREE」は、史上初となる、お腹まわりの脂肪を減らすノンアルコールのビールテイスト飲料。多くの人が気になる部位“お腹まわり”にフォーカスした1本です。
「お腹まわりの脂肪を減らす」機能表示が目立つ位置に配された缶デザイン。白×スカイブルーのカラーリングは爽やかな印象
ちなみに、「機能性表示食品」も「トクホ」も、健康作りに役立つ「機能性関与成分」が配合されているんですが、「キリン カラダFREE」の場合は、「熟成ホップ由来苦味酸(くみさん)」が、お腹まわりの脂肪を減らしてくれるとされています。キリンビールが10年以上かけて開発した独自素材「熟成ホップエキス」に含まれているんだそうです。
アルコールもさることながら、カロリーや糖質、プリン体もゼロ
「キリン カラダFREE」の味わいは、ノンアルコールビールにありがちな嫌なクセや人工物っぽい感じがなく、すっきりとした爽快さが特徴。
実際に飲んでみると、酸味は強めで、苦味は控えめの印象。そして爽快感が強く、余韻はさっぱりとしており、食事に合う味だと思います。
のどごしがよく、すっきりと飲めます
なおキリンビールからは、脂肪の吸収を抑え、糖の吸収をおだやかにするというダブルの働きを持つ機能性表示食品のノンアルコールビールテイスト飲料「パーフェクトフリー」も販売されています。気になる人はこちらもチェックしてみてください。
続いては、2019年夏にサントリーから発売された機能性表示食品「からだを想うALL-FREE」。その量が健康のひとつのバロメーターでもある「内臓脂肪」を減らす働きを実現しているといいます。
機能性関与成分「ティリロサイド」の頭文字「T」をアレンジしたデザインが印象的
「からだを想うALL-FREE」の機能性関与成分は、ローズヒップに含まれるポリフェノールのひとつ「ティロリサイド」。継続的に摂取することで、内臓脂肪を減少させるとされています。BMIが高めの人は注目でしょう。
「キリン カラダFREE」と同じくカロリー、糖質、プリン体もゼロ
「からだを想うALL-FREE」は、麦芽100%仕込みで、アロマホップ100%使用、そしてサントリーでおなじみの天然水100%仕込みで生まれた贅沢な味わいが特徴です。
飲んだ印象は、甘味が控えめで苦味は強め。酸味も豊かで、飲み応えのある味わいです。
ビールと同じ原料を使用した、飲み応えのある味わい
ここからは、「トクホ」飲料をチェックしていきます。
2016年発売の「アサヒ ヘルシースタイル」は、ビールらしさと健康を両立させたノンアルコール飲料です。食後の血中中性脂肪の上昇を、おだやかにする働きがあります。
「トクホ」マークがあしらわれた、プレミアムビールをイメージさせる金色のパッケージ
脂肪の吸収を抑えるとされているのは、「難消化性デキストリン」という成分。「トクホ」飲料では多くの商品に採用されている食物繊維です。血中の中性脂肪が気になる人、脂っこい食事が好きな人によさそうです。
カロリーと糖質がゼロ
味わいは、苦味が控えめないっぽうで、ビールらしさを重視したとあって、麦の甘味がふくよかでコクもしっかりとしています。それでいて、余韻はすっきりしていてキレも秀逸です。
辛口ではなく甘味を感じる方向性ですが、アサヒビールらしいキレはしっかりとしています。コクとのバランスも絶妙!
ラストは、2015年に史上初の「トクホ」のノンアルコール飲料として発売された「SAPPORO+」。さまざまな食事と相性のいい味わいと、糖の吸収をおだやかにする機能をあわせ持った1本です。
緑の「トクホ」マークに、高品質感ただよう白×金色のラベルが目印
機能性関与成分は、先述の「アサヒ ヘルシースタイル」と同じ「難消化性デキストリン」。この製品は、糖の吸収に効果があることを推しており、食後の血糖値が気になる人に向いた1本です。
カロリー、糖質、プリン体がゼロ
今回の商品中では、苦味が最も抑えられている印象で、酸味は強め。全体的にすっきりとしています。すがすがしいライトな飲み口で、爽快感は十分感じられました。
すっきりとした爽快感があって、食事のジャマをしない味わいです
「体脂肪を減らす」「糖の吸収をおだやかにする」など、機能については商品ごとに異なるので、自分の悩みに合わせて商品をセレクトするのがいいでしょう。
いっぽうで味わいに関してまとめてみると、それぞれ以下のような嗜好やシーンに向いていると思いました。
・食事に合わせるなら「キリン カラダFREE」
・苦味を求めるなら「からだを想うALL-FREE」
・麦の甘味を求めるなら「アサヒ ヘルシースタイル」
・軽やかにゴクゴク飲むなら「SAPPORO+」
機能で選ぶか、味で選ぶか・・・・・・。ノンアルコールのビールテイスト飲料は今後さらに盛り上がりそう!
これまでトクホ飲料の市場では、「難消化性デキストリン」がひとつのキーとなっていましたが、2019年に発売されたノンアルコールのビールテイスト飲料は、別の成分を採用した新提案商品で攻めています。
個人的には、キリンビールとサントリーの新商品は、より素材と効能の関係性をロジカルに表していて(キリンビール/熟成ホップ×苦味酸、サントリー/ローズヒップ×ティロリサイド)、説得力を持って訴求しているなと感じました。今後、アサヒビールとサッポロビールも、独自の成分を使ったノンアルコールの機能性飲料をリリースしたら、この市場はもっと盛り上がりそうです。