レビュー
どれだけ苦いか既存商品と飲み比べ!

鬼滅の苦み? 過去5年で最も苦い新ジャンルビール「冬の鬼ビター」が挑戦的だった

サントリーの新ジャンル(第3のビール)と言えば、「金麦」ブランドが定番ですが、それとは方向性の異なる新しい新ジャンル商品が2020年12月15日に数量限定で発売されました。その名も「冬の鬼ビター」です。

初めて商品名を目にした時、驚きとともにいくつかの疑問がわきました。「ヤッホーブルーイングの『インドの青鬼』も苦さがウリだけど、その競合となる?」、「『冬』ってことは、売れ行き次第で、『春の鬼ビター』や『夏の鬼ビター』も出すつもり?」、「『鬼滅の刃』を意識している……わけないか」、などなど。

いずれにせよ、肝心の味がどうなっているのかを確かめるべく、「金麦」と飲み比べてみました。味わいを中心にレポートしていきます。

写真中央が「冬の鬼ビター」。定番の青い「金麦」(左)と、2020年11月から数量限定発売されている「金麦〈深煎りのコク〉」(右)の3本で比べます

写真中央が「冬の鬼ビター」。定番の青い「金麦」(左)と、2020年11月から数量限定発売されている「金麦〈深煎りのコク〉」(右)の3本で比べます

過去5年のサントリーの新ジャンルの中でいちばん苦い!?

まずは公式情報から紹介。

「冬の鬼ビター」は、「冬にはコクや深みのある味わいを楽しみたい」という声に対し、苦みに着目して応えた商品。クラフトビールの中でも苦みに特徴がある「IPA(インディアペールエール)」の味をイメージして醸造したそうです。

アルコール度数は6%。5%の「金麦」よりはやや高めですが、6%は「金麦〈ゴールド・ラガー〉」と同じ度数となります

アルコール度数は6%。5%の「金麦」よりはやや高めですが、6%は「金麦〈ゴールド・ラガー〉」と同じ度数となります

そのうえで活用したのが、ビターホップ。具体的なホップの品種名は明らかにされていませんが、苦みの豊かなホップの特徴を引き出すことによって、サントリーが過去5年間で発売した新ジャンルの中で、いちばん苦い味を実現したそうです。

エネルギーは、左から各100ml当たり43kcal、52kcal、51kcal。「冬の鬼ビター」が最も高く、飲み応えには期待できそう

エネルギーは、左から各100ml当たり43kcal、52kcal、51kcal。「冬の鬼ビター」が最も高く、飲み応えには期待できそう

次はそれぞれを注いで比較。

液色は、「金麦」がゴールドで「金麦〈深煎りのコク〉」がブラウンだとしたら、その中間といったところ。多くの「IPA」の色とも合致していると思います。

真ん中が「冬の鬼ビター」。泡は、ほどよくシルキーでイイ感じ。さすがは「神泡」のサントリーです

真ん中が「冬の鬼ビター」。泡は、ほどよくシルキーでイイ感じ。さすがは「神泡」のサントリーです

苦みだけじゃなく甘みもあってアロマティック

ということで、いよいよ「冬の鬼ビター」から試飲。

苦さは確かにパワフルで、頭から余韻までしっかりビターテイストです。個性派が多いクラフトビールの「IPA」ほど振り切った苦みは感じませんでしたが、新ジャンルであれば十分な力強さ。

改めてパッケージを見ると、デザインはかなりのトガりっぷり。これはサントリーならではの「やってみなはれ」精神でしょう。思い切りのよさを感じます

改めてパッケージを見ると、デザインはかなりのトガりっぷり。これはサントリーならではの「やってみなはれ」精神でしょう。思い切りのよさを感じます

また「IPA」は、ホップの品種、量、使い方などによって、柑橘やトロピカル、ジューシー、フローラル、グラッシー(草原のような青々しさ)といった風味を表現するビアスタイルですが、「冬の鬼ビター」は、比較的フローラル寄りの華やかさを感じました。果実味あふれるとまではいきませんが、ほどよくフルーティーでアロマティック。この華やかなフレーバーに由来しているからか、想像以上に甘みがあることも意外でした。

結論! 苦いビールに挑戦したい人の入門用に最適

次は、「金麦」と「金麦〈深煎りのコク〉」との比較から、それぞれの特徴をより浮き彫りにしていきます。

「金麦」は何度も飲んでいますが、改めてほかと比べてみると、きわめて好バランスな新ジャンル。飛び抜けた苦みや重厚感がない分、飲み疲れしない設計になっていて、おかわりしたくなる万能なおいしさであることがよくわかります。

今季の「金麦」は、季節に合った味に整えているのが特徴。今は“冬の金麦”が販売されています

今季の「金麦」は、季節に合った味に整えているのが特徴。今は“冬の金麦”が販売されています

ボディはありながら、今回の中ではいちばんシャープで爽やか。どんな食事とも相性はいいでしょう

ボディはありながら、今回の中ではいちばんシャープで爽やか。どんな食事とも相性はいいでしょう

「金麦〈深煎りのコク〉」は、2020年11月24日から限定発売されているエクステンション(既存ブランドからの派生)商品。「冬の鬼ビター」は、「冬にはコクや深みのある味わいを楽しみたい」という声に対して苦みで応えた商品でしたが、こちらはそのニーズに芳醇な香りや深いコクで応えた新ジャンルです。

ウッディーなカラーリングを用いた、温かみのあるデザイン。アルコール度数は6%で、「冬の鬼ビター」と同じです

ウッディーなカラーリングを用いた、温かみのあるデザイン。アルコール度数は6%で、「冬の鬼ビター」と同じです

「金麦〈深煎りのコク〉」を飲んでみると、印象的なのはロースト(焙煎)香によるまったりとした味わい。たまに飲食店などにある、普通のビールと黒ビールのブレンド「ハーフ&ハーフ」に近いと思いましたが、公式情報によると、「『金麦』のこだわり素材である『贅沢麦芽』と、焙煎麦芽を一部使用」とのことで、醸造の時点で「ハーフ&ハーフ」のような組み合わせが行われているようです。

味はコク深く、麦の甘みもあり。タッチはやわらかく、泡は今回の中で最もなめらかな印象でした

味はコク深く、麦の甘みもあり。タッチはやわらかく、泡は今回の中で最もなめらかな印象でした

「金麦」2種を飲んだうえで、改めて「冬の鬼ビター」を飲んでみると、新ジャンルとしては特徴的な苦みの強さを感じました。また冬ということで、どっしりとしたコクや甘みも持たせているのかもしれませんが、これがもし「夏の鬼ビター」になるのであれば、柑橘香や爽快感が強い方向性になるのかなとも思いました。

新ジャンルなので価格もお手頃。苦いビールに挑戦したい人の入門用に最適だと思います

新ジャンルなので価格もお手頃。苦いビールに挑戦したい人の入門用に最適だと思います

まとめ

今回飲み比べた3本の苦みや甘みなどを採点し、味わい全体の指標を作りました。

選ぶ際の参考にするのもよし、実際に飲み比べて自分の採点を比べてみるのもよし。とにかく、大ブームの「鬼滅の刃」とともに、新ジャンルでも「鬼」に注目です。

“鬼が滅するほどの苦み”かどうかは、ぜひ味わってジャッジを!

“鬼が滅するほどの苦み”かどうかは、ぜひ味わってジャッジを!

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とWebメディアを中心に編集と撮影をともなう取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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