世間で“ハム”といえば、主に豚肉の塊を塩漬けにした加工食品。最近では鶏ハムなんていうのも見かけますが、その素材はお肉と相場が決まっています。そして“生ハム”といったら、塩漬け・乾燥後に加熱をせずに燻製にしたものというのがえみぞうの認識でした。しかし、この常識を覆す「まぐろの生ハム」なるものが世の中に存在すると聞き、いてもたってもいられず、迷わずお取り寄せしてみました。
考えてみれば、魚肉ソーセージがあるように、生ハムと同じ加工を施したお魚の塊があってもそれほど不思議ではありません。さらに思い起こせば、スモークサーモンはポピュラーすぎるほどのお魚の加工食品です。想像するに、鮭のお刺身とスモークサーモンの中間のような感じのまぐろ版ではないかと思うのです。
届いた代物は冷凍状態のまぐろの塊。見た目は想像していたとおり、スモークサーモンとまぐろの中間のような色です。解凍方法は、冷蔵庫で1〜3時間自然解凍するか、流水で約2分間。指で軽く押すと弾力がちょっとあるぐらいの半解凍状態で薄くスライスするのがベストとのこと。
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半解凍状態。赤っぽいスモークサーモンといったところでしょうか |
解凍を待つ間にパッケージをチェック。加工されているのはキハダマグロで、食塩、食用植物油脂などのほかに、香料としてタイムとローレルの2種類のハーブが使用されているようです。
加工会社のホームページを見ると、原料のキハダマグロは天然モノのようです。その中でも小ぶりのものを選んで、1本1本ていねいに骨や皮取りの処理を人の手で行われているとのこと。ちなみに製造元の「石原水産」というのは、静岡県焼津市にあるまぐろとかつおを専門とした水産加工会社。漁獲から製造販売まで一括して行っているそう。えみぞうは元静岡県民なのですが、地元ではちょっと知られた老舗の水産加工会社でしたよ。
うんちくはともかく、半解凍状態になったところを、包丁でカット。まぐろの身の繊維を壊さないように生ハムのように薄くスライスするのは、解凍加減が重要なようで、ちょっと難しかったです。
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解凍加減が難しく、えみぞうの技量と道具(包丁)では薄くスライスするのがちょっと難しかったですが、200gもあるのでたっぷりです! |
実食した感想は、想像したとおり、「まぐろのお刺身」と「スモークしたまぐろ」の中間のような感じの味でした。生臭さはまったくありません。そして食感は生ハムそのもの。あの“半生”のまろやかな舌触りが病みつきになります。風味はほのかな磯の香りと燻製ならではの芳醇な香りがミックスしたようなとてもリッチなオードブルといった感じ。絶妙な塩味で、そのまま何枚でもペロリと食べられてしまって危険です。しかし、解凍後は2日以内が賞味期限なので、約200gをハイペースで贅沢にたっぷり食べる必要があります。
聞くところによると、都内の老舗有名ホテルのレストランでもシェフが愛用しているとか。そのまま食べてももちろんおいしいですが、お刺身のようにカルパッチョやお寿司ネタにしたり、生ハムのようにサラダやサンドイッチに入れたりと、いろんな食べ方でよりおいしくいただけますよ。
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手まり寿司風に盛りつけてみました |
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薄くスライスしてカルパッチョにしても◎ |
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サラダに盛りつけるだけで豪華になります |
冷凍保存の状態であれば、賞味期限は6か月。冷凍庫にストックしておけば、急なお客様の訪問やホームパーティーの際にも、ちょっと気の利いたお料理でおもてなしができるとともに話題性もあり、その場を盛り上げてくれそうな食材ですね。