カワダ「ARマジックガン」。価格は3980円(税別)。パッケージには、本体のほかに、ARポスター(A0サイズ)が折り畳んで同梱されている
みなさんは“AR”という言葉をご存知だろうか。“Augmented Reality”の略で、日本語では拡張現実と呼ばれている。スマートフォンやタブレットなどのカメラを通して見たリアルな映像(現実空間)上に、バーチャルなキャラクターや立体物を表示。あたかもそこに存在(現実世界を拡張)する技術のことだ。
昨今「Pokémon GO(ポケモンGO)」の影響もあって、AR(拡張現実)を使ったスマートフォンアプリが続々と登場してきている。10月に配信されたiPhone/iPad用OS「iOS 11」では、目玉機能のひとつに「ARkit」があり、今後、いろんなシーンでARが活用され、盛り上がりをみせていくだろう。
そんなAR技術を使ったおもしろい製品が、玩具メーカーのカワダより8月に発売された。その名も「ARマジックガン」。スマートフォンと連動してAR空間の敵を撃ち落とすシューティングゲーム専用の銃だ。今回はこちらを紹介していこう。
まずは、ARマジックガンの本体や仕組みについて簡単に説明しておこう。
ARマジックガンは、ハンドガンタイプの本体と、専用アプリをインストールしたスマートフォンと連携させて遊ぶARシューティングゲーム専用銃。ARマジックガンの上部には、スマートフォンが挟めるようになっており、ここにスマートフォンを取り付けて画面を見ながらプレイするというのが基本的な遊び方だ。本体とスマートフォンは、Bluetooth接続で連動する形となっており、銃のトリガーやボタン、フォアエンドを操作することができる。
>ARマジックガンの本体。デザインは、いかにもSF映画に出てきそうな近未来的デザインだ。重さは、別売りの電池を内蔵した状態で約267g。スマートフォンを取り付けるとだいたい400gくらいになる。銃身の側面にはボタンがあり、武器の切り替えやボムの発射などができる。銃身の下部はフォアエンドになっていて、ここを手前に引くことでリロードが可能。もちろん、トリガーを引けば弾を撃てる
本体後部の上部は、スマートフォンを取り付けるホルダーになっている。ホルダーは折りたたんで収納されており、プレイするときはホルダーを起こして、スマートフォンを固定する。スマートフォンは、画面サイズが4〜6インチのものが対応。写真で装着しているのはアップル「iPhone 7 Plus」。もちろん大きい画面サイズの方が見やすく遊びやすい
グリップ部分は電池ボックスになっており、ここに単4電池(別売り)を2本入れて使う。電池ボックスの開閉には、+(プラス)ドライバーが必要となる
同梱のARポスターだが、A0サイズ(841×1,189mm)とかなり大きい。これを壁に貼り付けてゲームをプレイする
ARマジックガン向けに多数のシューティングゲームが配信されているが、なかでも筆者が“これぞ! ARならではのゲーム”と唸らされたのが、「X-GUNHUNTER」だ。ここからは、この「X-GUNHUNTER」についてくわしく紹介していこう。
「X-GUNHUNTER」は、ARポスターを使い、そこから飛びだしてくる敵を撃ち倒していくというシューティングゲームだ。ザコ敵を撃ち落とし、ボスのメカ兵器を倒せばステージクリアとなり次のステージに進める。単純な3Dシューティングゲームのように思えるが、AR技術が使われているので、これまでにない感覚で銃撃戦を楽しめる。
スマートフォンの画面を通して壁に貼ったポスターを見ると、壁の内側に敵の基地(部屋)があり、そこから敵がプレイヤーに向かって飛びだしてきたり、銃で攻撃をしてくる。敵が迫って来る様子は、かなり立体的で、実際に壁から飛びだしているように感じられる。また、壁のARポスターを斜め横から見れば、壁の内側に立体空間があるように映し出されるのもARならでは。本来は壁でしかないのだが、まるで壁の中に部屋があるような錯覚になる。敵の放つ弾は、通常正面にいると当たってしまうが、プレイヤー自身が横に移動すれば避けることが可能だ。
実際に自分が動くことで、壁の内側の見える角度が変わったり、敵の攻撃を避けたりができるので、まるで壁の向こう側にいる敵と銃撃戦をしているような感覚になってゲームを楽しめる。
ARポスター目掛けてARマジックガンをかまえ、スマートフォン画面を見ながら敵を撃ち倒していく
壁際からARポスターを見ると、壁の内側に空間があるかのごとく見える
プレイヤーには体力ゲージがあり、これが0になるとゲームオーバー。敵の攻撃を避けつつ、ゲーム中に現れるアイテムを使って、敵を殲滅させていく
画面右下の弾の残数が0になったらフォアエンドを引いて、リロードする必要がある。ところがプレイに夢中になりすぎて空撃ちすることも……
ステージごとにボスが登場し、このように壁から飛びだして迫ってくることも……。ボスの装備パーツを破壊することも可能で、画面右上の体力メーターを0にすればクリアだ
実際にプレイしているシーンとゲーム画面の動画も用意したので、AR Magic Gunが動いているところを見たい!という方はぜひこちらをご覧頂きたい。
実際にプレイしているところ。端から見ると壁に向かって銃を撃っているだけなのだが、スマートフォンを通して見た画面では、激しい銃撃戦が行われていることがわかる
ゲーム中の画面を録画した動画。プレイヤーには、スマートフォンを通してAR空間が見え、ここに現れる敵を撃ちまくって倒していく。ボスは硬く、何度も撃ち込まないと倒すことができない
ARマジックガンでは、専用アプリから無料配信されている多数のゲームタイトルにアクセスできるようになっており、遊びたいものをダウンロードしてプレイする形となっている。ゲームの種類は豊富で、先ほど紹介した「X-GUNHUNTER」のほかにもたくさん用意されている。銃型のデバイスなので、配信されるゲームタイトルは基本的にシューティングなのだが、同梱のポスターに向かって撃ちまくるものや、プレイヤーの周りのAR空間に登場した敵を撃ち落としていくものなど、そのタイプはさまざま。すでに20種類以上が配信されており、今後も続々と追加が予定されているという。買った後も長期間飽きずに楽しめるのはうれしいポイントだ。
専用アプリ「AR Magic Gun」から対応ゲームアプリのダウンロードページにアクセス可能。すでに20種類以上のARゲームが配信されている
「Fish in the Air」は、プレイヤーの周囲360度に出現する魚たちを倒していくゲーム。魚たちを自身の体を右や左に回転して探し、撃ち落としていく。実際に見えている風景に魚たちの群れが漂うのは、これまでにない感覚だ
ARマジックガンは、実際の銃を握って現実世界に映し出された敵を撃って楽しむため、これまでのテレビゲームのシューティングゲームとは違った感覚で非常に面白い。プレイヤーの向き(見る角度)に連動して画面も変わるので、実際に銃撃戦をしている気分になれるし、まさに体感ゲームをしているような感じだ。また、身近な風景がバトルの場になるのもARならではでおもしろい。
これまでのAR技術を使ったサービスは、画面を通してキャラクターが動く様子や立体物をいろいろな角度から見られるものなど、面白みが少ない印象しかなかったのだが、ARマジックガンは、AR技術×シューティングゲームというこれまでにない新鮮な体験だった。現時点では、AR技術を使ったベストな組み合わせといえそう。今後も、こういったAR技術を活かしたおもしろい体験が増えてくることを期待したいところだ。
新しモノ好きで、元ゲーム雑誌の編集者。玩具の攻略本を出版した経験もアリ。現在は、iPhone関連の情報メディアなどで編集・ライターとして活躍中!