どこの家庭にも1つはありそうな「すり鉢」とその相棒である「すりこぎ」。昔から食べ物をすり潰したり、砕いたり、ペースト状にするためのジャパニーズフードプロセッサーとして使われてきました。最近では電動のミルやフードプロセッサーがたくさんありますが、今回は改めて昔ながらの「すり鉢」と「すりこぎ」のよさを見直したいと思います。
筆者は少し大きめのすり鉢と山椒のすりこぎを購入。太めのすりこぎなら同じ手間でも早くすれるので便利です<
「驚き桃の木山椒の木」という驚いた時に使う言葉がありますが、非常に堅く磨耗に強い、胃腸の機能を高めることでも知られる山椒(さんしょう)の木は、古くからすりこぎとして用いられてきました。山椒の木のすりこぎ棒は堅くて香気があり、するたびに木が微量に削られて、山椒の香りが料理を引き立て、解毒作用もあると言われています。天然木の凹凸のおかげで程よい固さでゴツゴツして握りやすいのもポイントです。
電動式では粉々にする機能はあっても、すり潰して粘りを出したり、練ったりする機能はありませんよね。ごまなど油分の多い食材は、すった後に濃厚なコクが出て深い味わいに仕上がるのだそうです。もちろん、手間も労力もかかりますが、この「ごますり」が日常だった時代には、すり鉢を支えるのは子供の役割でした。誰かに手伝ってもらっておしゃべりしながらゴリゴリやるごますり。昔も今も変わらず大切にしたい時間ですね。
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すり鉢は誰かに抑えてもらったほうが安定します |
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最初はすりこぎの底でごまをトントンと叩いて潰し、次に円を描くように潰します |
リズミカルになると心も無心になっていくのが不思議です。
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すり鉢のまま食材とあえてできあがり♪ |
すり鉢でごまをするといい香りがして味わいも格別。いつものおかずが料亭の味になります。昔ながらのスローなフードプロセッサーで素材の味を感じてみてはいかが?
(回遊舎/柏崎招子)