炊き上がったご飯を保存しておくための“おひつ”。なかでも古式ゆかしいスタイルである、ヒノキなどの木でできたおひつは、木そのものがご飯の余分な水分を吸収し、べたつかないふっくらとした状態を長時間キープしてくれて、防腐効果があるとされています。つまり、変色しがちな炊飯器での保温以上に、炊きたてご飯のおいしさを長持ちさせることができるアイテムですが、天然素材のため手入れが難しく、基本は職人の手による伝統工芸でもあるため、お値段も高価なことから、なかなか購入に踏み切れないでいました。
しかし今回、「これはきっと重宝しそう!」と思う商品に出会い、ついに購入。以来、愛用しています。
購入の決め手となったポイントの1つが、こちらの商品は電子レンジに対応していること。以前からおひつが欲しかったものの、木製のものは電子レンジで使用できないものが多く、電子レンジで温められるものはセラミック製というのがほとんどでした。とはいえ、木製のおひつは前述のとおり、ご飯の水分を吸ってくれたり、ほんのり木の香がご飯に移ったり、よりおいしく食べられるのが魅力。おひつのご飯は冷めてもおいしいと言われていますが、時には温かくして食べたくなるかもしれないので、できればその2つの機能を両立できるものだとベストなのに…と思っていたのです。
本製品を電子レンジで使用できる理由は、まげわっぱ(※)のつなぎ目の部分に金属を使用していないため。また、炊き立てご飯を食べて残った分を保存しておきたいというのが主旨のため、2合というミニマムなサイズにも魅かれました。
※まげわっぱとは、スギやヒノキなどの薄板を曲げて作られる円筒形の木製の箱のこと。
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つなぎ目の部分が金属でないため、電子レンジでの使用可。保険のために、やはり電子レンジも使えるほうがありがたい |
さて、実際に使用している感想は、まずは本当にご飯がおいしくなることに感動! 水分調整の効果がもっとも大きいと考えられ、冷めていてもべたついたり、硬くなったりせず、炊き立ての温かいご飯とはまた違ったおいしさが楽しめます。ご飯に木の香りがほのかに移るのも◎。ただし、買ったばかりの新しいうちは臭いが結構強く、あまり長時間入れっぱなしにしておくと香りがきつくなりすぎてしまうので、長くても4〜5時間程度の保存がベスト。
また、心配していたお手入れや耐久性についても問題なさそうです。こちらの商品には外側に耐久性を高める塗装が施してあるので、基本的には水洗いをして熱湯で消毒後、陰干しで乾燥させるだけですが、1か月ほどほぼ毎日使用していても変形や変色、カビが生えるといったことはまだありません。
ご飯を冷めた状態でおいしく保存しておけるので、小さなお子さんが自分でご飯のお替わりをよそうのにも最適。小さなヒノキのしゃもじも付いているので、ひつまぶしや手巻き寿司用の桶の代わりに使っても雰囲気が出て楽しく食事ができますよ。
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ご飯の余分な水分を吸ってくれるので、冷めてもベチャベチャとせず、ふっくらモチモチとした食感と、ほのかにヒノキが香るおいしいご飯に変化 |
密かにずっと憧れていたおひつのある生活。ご飯のおいしさによりこだわりたいだけでなく、職人の手による工芸品を手にするという所有欲までもが満たされるアイテムだと思います。