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炊飯器の人気製品の顔ぶれが変化。人気の中心は「高級」から「中級」へ

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象印、パナソニックの人気が頭打ち。タイガー、アイリスオーヤマが人気上昇

タイガー「炊きたて JPC-A100」

タイガー「炊きたて JPC-A100」

ここ数年、価格.comの「炊飯器」カテゴリーにおける人気製品の顔ぶれが徐々に変わりつつある。数年前であれば、象印「極め炊き」とパナソニック「おどり炊き」の両シリーズによって、人気ランキングの上位がほとんど占められていたが、最近では、ここにタイガー(魔法瓶)の製品や、アイリスオーヤマなどの新興メーカー製品が加わって、人気製品も混戦模様となっている。

図1:「炊飯器」カテゴリーにおけるアクセス数推移(PCのみ。過去2年間)

図1:「炊飯器」カテゴリーにおけるアクセス数推移(PCのみ。過去2年間)

図2:「炊飯器」カテゴリーにおける閲覧者数推移(PCのみ。過去2年間)

図2:「炊飯器」カテゴリーにおける閲覧者数推移(PCのみ。過去2年間)

図1は、過去2年間における「炊飯器」カテゴリーのアクセス数推移を「価格.comトレンドサーチ」で示したもの。これを見ると、炊飯器カテゴリーの人気は、昨年2016年の秋に一時的に上昇したものの、現在は落ち着きを見せていることがわかる。ただ、全体として見れば、まだ上昇基調が続いており、ユーザーの関心も持続していると見ることができる。

これに対して、図2の閲覧者数推移(PCのみ)では、やや様相が異なる。「閲覧者数」とは、価格.comから各店舗への送客数をベースにした指標で、より実購買に近い数字となるが、こちらでは昨年末から今年にかけての数値がかなり高めに推移している。この2つの数値は、前者が主に話題先行であるのに対し、後者が主に購買先行という違いがあり、これらを総合してまとめると、昨年の秋は新モデルなどの話題が多かったが、実際に売れたのは、むしろその後の昨年末から今年の春にかけてだった、ということになる。いずれにしても、「炊飯器」は、家電製品の中では比較的安定したニーズのある商材と言っていいだろう。

図3:「炊飯器」カテゴリーにおける主要メーカー別・閲覧者数推移(PCのみ。過去2年間)

図3:「炊飯器」カテゴリーにおける主要メーカー別・閲覧者数推移(PCのみ。過去2年間)

ただ、その中身は変化しつつある。図3は、過去2年間における、メーカーごとの閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、価格.com上では以前は、「極め炊き」シリーズを擁する象印と、「おどり炊き」シリーズを擁するパナソニックの人気が高く、やや離れてタイガー、その下に三菱電機というアクセスシェアとなっていた。しかし、この2年間で、象印とパナソニックがややアクセスを落としたのに対して、タイガーがややアクセスを上げた結果、上位3メーカーは現在三つ巴状況にある。また、単独4位だった三菱電機のシェアに、新興メーカーのアイリスオーヤマが追いつき、徐々に存在感を示し始めているのも特徴だ。

このように、今の炊飯器市場は、全体の需要としては微増傾向にあるが、人気メーカーの顔ぶれは若干変わりつつある。特に、これまで高級炊飯器を中心に人気を得てきた象印、パナソニック、三菱電機といったメーカーがやや人気を落としているのに対し、高級炊飯器ではやや出遅れた感のあるタイガーや、低価格製品を中心に市場に参入してきたアイリスオーヤマといったメーカーの存在感が増してきているのが、大きなトレンドと言える。一時ブームになった「高級炊飯器」というジャンルが、やや頭打ちになってきたということかもしれない。

高級炊飯器で培われた技術によって、中級機、低価格機の炊飯レベルが向上

図4:「炊飯器」カテゴリーにおける、人気5製品のアクセス数推移(過去3か月)

図4:「炊飯器」カテゴリーにおける、人気5製品のアクセス数推移(過去3か月)

図5:「炊飯器」カテゴリーにおける、人気5製品の最安価格推移(過去3か月)

図5:「炊飯器」カテゴリーにおける、人気5製品の最安価格推移(過去3か月)

では、実際にどんな製品が今人気になっているのだろうか。図4は、「炊飯器」カテゴリーにおける、売れ筋ランキング・ベスト5製品のアクセス数推移を示したものだが、ここ3か月でもっとも人気があったのは、タイガーの「炊きたて JPC-A100」だった。本製品は、タイガーの「炊きたて」シリーズのラインアップの中ではミドルクラスの圧力IH炊飯ジャーで、ボディのコンパクトさとデザインのよさ、そして価格.comでの実勢価格で3万円台前半で購入できる、ほどよい価格感から人気を呼んでいる(図5参照)。ユーザー満足度も4.66(2017年4月12日時点)と高く、性能と価格のバランスのよさが多くのユーザーに高く評価されている。タイガー製品としては、ベスト5内により安価な「炊きたて JPB-R100」(実勢価格:2万円台前半)もランクインしているが、この2製品がここ半年くらいのタイガーの人気を牽引してきているのは間違いない。なお、この2製品とも、ご飯の炊き上がりとしては、どちらと言えば「もっちりとやわらかく、甘く仕上がる」傾向にあるようだ。

この「炊きたて JPC-A100」の下位に甘んじてしまった感があるのが、パナソニックの高級炊飯器「Wおどり炊き SR-SPX106」(価格.com実勢価格:5万円台後半)と、象印「極め炊き NP-VN10」(価格.com実勢価格:13,000円前後)だ。「Wおどり炊き SR-SPX106」のほうは、4月に入ってから再び人気が上がっているが、「極め炊き NP-VN10」のほうは、すでに2年前の製品ということもあって価格は安いが、そろそろ人気にも陰りが出てきている。むしろ象印「極め炊き」シリーズの主力モデルは、現在売れ筋ランキング6位の「極め炊き NP-YT10」(価格.com実勢価格:3万円台後半)なのだが、同クラスのタイガー「炊きたて JPC-A100」とはかなり差がついてしまっている形だ。

アイリスオーヤマ「銘柄炊き RC-MA30」

アイリスオーヤマ「銘柄炊き RC-MA30」

そして、これらの人気モデルにからんで来ているのが、現在売れ筋ランキングの3位にランクインしている、アイリスオーヤマの「銘柄炊き RC-MA30」だ。本製品は、ここ数年人気の高級炊飯器の流れにはない低価格のマイコン炊飯器で、IHも圧力も使用しない、言わばローテクの製品なのだが、3号炊きという、用途を絞ったゆえのコンパクトさと、価格.comの実勢価格で6,000円台という手ごろさもあり、昨年大ヒットとなった。「価格.comプロダクトアワード 2016」の炊飯器部門でも金賞を受賞したほどの評価の高さも得ている。

しかし、今になってなぜマイコン式の炊飯器がここまで人気になるのだろうか。その答えは、ユーザーレビューをつぶさに読んでみるとわかってくる。2017年4月12日時点でのユーザー満足度は4.25とさほど高くはないが、「炊き上がり」の項目では4.76という高評価を得ており、ユーザーレビューでも「米の銘柄を選択して炊くことができるが、特に指定しなくても非常においしく炊ける」「これまでの炊飯器でよりもおいしく炊き上げられ、また同時に併用している土鍋よりもおいしく炊けているかも?と思える結果です」と、マイコン式ではあっても高級機に迫る炊き上がりと評している人も多い。

こうした評価を見てみると、10年ほど前に起こった「高級炊飯器」ブームによって、炊飯器全体の技術革新がかなり進み、高級機はもちろん、もはや中級モデルや、低価格モデルであっても、それなりにしっかりした炊き上がりが行えるようになっていると言ってよさそうだ。このような技術的な底上げにより、高級炊飯器自体のメリットが徐々に失われつつあり、消費者はコストパフォーマンスのいい中級クラスを中心に製品選びを行うようにシフトしつつある。現在の「炊飯器」カテゴリーのトレンド変化は、そのような状況を如実に物語っていると言えるだろう。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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2017.5.30 更新
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