日本エー・アイ・シーの「アラジン グラファイトトースター」で焼いたトーストはすごくおいしいと、価格.comでも人気。そんな「アラジン グラファイトトースター」で焼いたトーストと一緒に楽しんでほしいと開発されたコーヒーメーカー「アラジン コーヒーブリュワー ACO-D01A」(以下、「コーヒーブリュワー」)は、どのようなコーヒーを淹れてくれるのか確かめてみました。
「コーヒーブリュワー」は、豆を挽くミル機能を搭載していないドリップ式コーヒーメーカー。ドリッパーにコーヒー粉を入れて抽出します。コーヒーは淹れ立てがいちばんおいしいという考えから1杯ずつ抽出するスタイルを採用しているため、保温機能は搭載していません。
サイズは155(幅)×254(奧行)×414(高さ)mmと比較的コンパクトなので、ちょっとしたスペースがあれば設置できます。消費電力は970W
操作部などがある下にドリッパーを配置。樹脂臭や臭い移りしないようにステンレス製のドリッパーを採用しています。リブが上部まで来ていないので、苦味やコクのあるしっかりとした味わいに抽出されそう
抽出前にコーヒー粉を蒸らす工程のあるコーヒーメーカーは多くありますが、「コーヒーブリュワー」は季節で室温が変わっても安定して抽出できるように、蒸らし前に専用の経路からスチームを放出し、抽出経路とコーヒー粉を温めます。その後、ドリッパーにお湯を注いで60秒間蒸らしてガスを抜き、雑味成分が出にくい温度で抽出。そして、抽出を途中で止め、別の経路(バイパスルート)から直接カップにお湯を注いで仕上げます。
「コーヒーブリュワー」にはドリッパーにお湯を注ぐ「メインルート」と、最後にカップにお湯を入れる「バイパスルート」、そしてこの図には描かれていませんが、最初にコーヒー粉を温めるスチームを出す「スチームルート」という3つの経路があります
ドリッパーを取り外した状態。9つの穴が空いた「バッファー」という黒いパーツからお湯を少しずつ落として抽出します。その下にあるのが、ドリッパーを迂回したバイパスルートのお湯が出る部分
ドリッパーを取り付けた状態。抽出されたコーヒーとバイパスルートを経由したお湯が、それぞれの口から出ます
メーカーによると、コーヒー本来のおいしさは抽出の前半にドリップされ、後半にかけて雑味やえぐみが出てしまうそう。「コーヒーブリュワー」は前半の濃いコーヒーを抽出し、そこに差し湯をする「バイパスドリップ」方式で旨みや香りの高い1杯を淹れます。
4工程で淹れる「バイパスドリップ」方式。各工程の緻密な温度管理もポイントです
抽出も雑味が出ないように徹底しています。コーヒー粉が80度になるように抽出温度を調整し、抽出スピードを最適化。さらに、抽出量に合わせてドリッパーにお湯を滴下する範囲も変えています。
抽出量は「レギュラーカップ(約130mL)」と「マグカップ(約250mL)」の2つを用意
抽出量でコーヒー粉の量が変わるため、同じようにお湯を滴下すると、まんべんなくお湯がかからないほか、お湯の過不足で最適な抽出ができません。そこで、メインルートのお湯をバッファーに溜め、抽出量に合わせて滴下する範囲を調整します
バッファーの内側を見ると、2つの穴の高さが高く設計されています。バッファーには9つの穴がありますが、バッファーに溜めるお湯の量を調整して、お湯が出る穴の数を変更。抽出量が少ないときは7つの穴から滴下、多いときは9つの穴から滴下というように変わります
なお、この抽出方法は、差し湯式コーヒーの老舗「珈琲きゃろっと」と共同開発したもの。国際コーヒー鑑定士の資格を持つコーヒー焙煎士がいる「珈琲きゃろっと」の技術がプログラムされています。
「コーヒーブリュワー」には、軽やかな酸味とスッキリとした味わいの「クリア」、バランスのいい「マイルド」、ほどよい苦味と深みのある「ストロング」、氷や牛乳を入れて味わうのにいい濃さの「デミタス」の4種類のテイストが用意されています。コーヒー粉の種類や量は同じでOK。抽出するコーヒーの量と最後の差し湯の量で淹れ分けます。
「デミタス」は差し湯を使わない淹れ方。コーヒーと差し湯の割合は「クリア」が3.5:6.5、「マイルド」が5:5、「ストロング」が7:3、「デミタス」が10:0です
4つのテイストをすべて試飲し、どのくらい違いがあるのかを確かめてみましょう。コーヒー粉は中細挽きを使用。筆者が普段飲んでいる、酸味、苦味、甘みのバランスがとれたコーヒー豆を挽いたものです。
ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、付属の計量スプーンでコーヒー粉を入れます。ペーパーフィルターは「1×1」や「101」サイズに対応
ドリッパーを左右に振ってコーヒー粉を平らにならしてから、本体にセット
水タンクにも水を入れました。本体から取り外せるので、蛇口から直接水を入れることも可能
カップをトレイにセット。コーヒーカップやマグカップに淹れるのが普通ですが、今回は、メーカーに借りたコーヒーサーバーを使います
なお、トレイは3段階で高さ調節可能。使用するカップの高さに合わせて調節しましょう
後は、ダイヤルを回して淹れたいテイストを選択
「レギュラーカップ」か「マグカップ」の下にあるスタートボタンを押すと運転が始まります
スチームによる予熱→蒸らし→抽出と進み、コーヒー液が出てきました
その後、差し湯がカップに注がれて完成(「デミタス」では差し湯は出ない)
淹れ立てのコーヒーの温度を計測すると70.7度でした
共同開発の「きゃろっと」が求めたコーヒーの温度は、人間の舌がコーヒーの酸味や甘みを最も感じる72度。「コーヒーブリュワー」で淹れたコーヒーの温度は70.7度だったので、ほぼ理想どおりの温度と言えそう。ちなみに、この温度は、一般的なコーヒーメーカーで淹れたコーヒーよりも低いため、ぬるく感じるかもしれません。そんなときは、事前にカップをお湯で温めておくと、少し高めの温度になるそうです。
同じコーヒー粉と粉量で淹れた4つのテイストのコーヒーを比べてみましょう。
左から右に、差し湯の量が少なくなるにつれてコーヒーの色は濃くなります。「デミタス」の抽出量が少ないのは、差し湯をしないのと抽出量が通常の半分だから
飲んでみると、「クリア」はフルーティな酸味が立った味わい。コーヒーが苦手な人でも飲みやすそう。「マイルド」は「クリア」よりも若干コクが増し、「ストロング」は苦味やコクが増した分、酸味が引っ込んだように感じました。
「デミタス」は、コーヒーと差し湯の割合が5:5の「マイルド」と同じ抽出量のコーヒーに差し湯をしない淹れ方なので、コーヒーが濃く、アイスコーヒーに最適です。もちろん、ほかのテイストと同じように抽出を途中で止めているので、雑味はありません。
ボディの強い味わいですが、スッキリとした後味で飲みやすい!
そこに牛乳を加えてアイスカフェオレにしても、しっかりコーヒーの香りや味がします。コーヒーゼリーにしてもよさそう!
筆者は普段ハンドドリップでコーヒーを淹れており、仕事でしかコーヒーメーカーを使っていないこともあり、差し湯で仕上げる淹れ方のコーヒーメーカーは初めてでした。「コーヒーブリュワー」で淹れたコーヒーはスッキリとした後味で、爽やか。それでいながら、風味や香りが引き出されているので物足りなさは感じませんでした。同じコーヒー粉でテイストを変えることができ、アイスコーヒーも楽しめるので、食べるものやシーン、気分に合わせて気軽に淹れ分けできるのも魅力です。
ただ、正直なところ、雑味やえぐみが少ない理由が、抽出を途中でストップし、差し湯で仕上げるバイパスドリップ方式のおかげなのかは断言できません。そんな疑問をメーカー担当者にぶつけてみたところ、抽出を途中で止めない方法でコーヒーを淹れてくれました。
右がバイパスドリップ方式で淹れたコーヒーで、左が差し湯なしの方法で淹れたコーヒー。どちらも「マイルド」で淹れました。左のほうは差し湯をしていませんが、本来ストップする後半も抽出を続けているので、抽出量はバイパスドリップ方式で淹れたコーヒーと同じです
見た目の違いはほぼありませんが、飲んでみるとその差は歴然。どちらも「コーヒーブリュワー」で淹れているので、差し湯の有無と抽出時間の長さ以外は同じ方法ですが、差し湯がないほうは渋みを感じました。抽出の後半ではコーヒーのおいしい成分はほとんどなく、雑味を含む薄い液体が抽出されるとのことですが、差し湯の有無でコーヒーの色やコーヒーの味わい(雑味や渋み以外)に大きな差はなかったので、抽出を途中で止めて差し湯をしたから薄くなるということはなさそう。
なお、コーヒーは湯温が低いほど酸味が強くなり、湯温が高いと苦味が強くなる傾向にあります。筆者がハンドドリップするときに使用するお湯の温度は約93度で、抽出時のドリッパー内の温度は約85度。「コーヒーブリュワー」はコーヒー粉の温度が80度になるように湯温をコントロールしているため、筆者のハンドドリップに比べるとドリッパー内の温度が5度ほど低くなります。その影響からか、普段飲んでいるコーヒーより「コーヒーブリュワー」で淹れたコーヒーのほうが少し酸味を感じました。もし酸味が気になったら、深煎りのコーヒー粉(豆)を使うといいかもしれません。