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Qualcomm DDFA最新チップ搭載、DENONのヘッドホンアンプ「DA-310USB」

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CSRという英国の半導体メーカーをご存じだろうか。Bluetooth用コーデックで知られるaptXの開発元で、aptXロゴの下にCSRと言う文字が記載されていたのをご記憶の方もあるかもしれない。ここが開発したハイレゾ用フルデジタルアンプが、DDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)だ。

実はこのCSR、2015年夏にスマートフォン用チップセットで知られるQualcommに買収された。したがって今はaptXもDDFAも、Qualcommの技術ということになる。

さてそのDDFAだが、名前の通り出力をフィードバックプロセッサに戻し、アンプ内の信号と出力された信号を比較して誤差を補正することで、高音質な出力を得る技術だ。これまでフルデジタルアンプは、電力効率は高いが、S/N比が上がってこなかった。したがって高音質を出そうとするならば、周辺回路の作り込みなども含め、かなりの高コストを覚悟しなければならなかった。DDFAは、リーズナブルな価格ながら高音質を実現するデジタルアンプ方式として、近年特に注目されている技術である。

すでに昨年、DENONではプリメインアンプ「PMA-50」、ネットワークレシーバー「DRA-100」などのDDFA採用製品を発売し、好評を博している。そして2016年12月から発売されるヘッドホンアンプ/USB-DACの「DA-310USB」は、新世代のDDFAチップを搭載した。チップ自体はすでに高級ネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2500NE」で搭載されていたが、そのヘッドホンアンプ部分を贅沢に単体機能として切り出したのが、DA-310USBというわけである。

2016年12月発売の「DA-310USB」

2016年12月発売の「DA-310USB」

昨今のヘッドホンブームで、高級ヘッドホンを持っている人も多いことだろう。高インピーダンスのヘッドホンの実力をフルに引き出すためには、十分なパワーを持ちつつ、S/Nのいいヘッドホンアンプが必要だ。そういうニーズにはまる製品と言えるだろう。

小型ながら「鳴らしきる」実力

入力はUSB×1、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×1。USB入力ではPCMは384 kHz/32 bitまで、DSDは11.2 MHzまで対応する。いくら384 kHz/32 bitまで対応するとは言っても、そんな音楽ソースがそうそうあるわけではない。ただコンピュータ内でアップサンプリングして出力させることは可能だ。Macではドライバも不要でこの周波数まで対応できる。出力はヘッドホン端子のほか、DACとして使えるようRCAのLRがある。

USBほか、光と同軸のデジタル端子を装備

USBほか、光と同軸のデジタル端子を装備

縦置きできるよう、インシュレータの付け替えができる

縦置きできるよう、インシュレータの付け替えができる

執筆時点ではまだ発売前ではあるが、DA-310USBをお借りして、早速自宅で試聴させていただいている。メインとも言えるヘッドホン出力が、もっとも実力を発揮できる部分だろう。一聴してすぐ気に入ったのが、芯が1本通った低音の表現力だ。

通常のアンプでは、DCオフセットを除去するためにカップリングコンデンサを使用するが、ここで低域特性にまで悪影響が出るケースも多い。いっぽう、DDFAによるフィードバックは、DC成分まで含めることができるため、フィードバックの中でDC成分をキャンセルできる。したがってカップリングコンデンサが不要なのだ。

S/Nの良さは、高域やエコー成分の立体感としてあらわれてくる。ハイレゾ音源には70年代の録音によるリマスタリングものも少なくないが、こうした古いソースでも、実はかなりきちんと録音されており、改めてこのヘッドホンアンプで聞くと、音像の立体感が美しく感じられるのには少なからず驚いた。いやこれは楽しいアンプだ。

RCA出力を真空管アンプにつなぎ、スピーカーでも鳴らしてみた。低域の元気の良さはこちらでも健在で、むしろちょっとオーバーなぐらいだが、小型スピーカーを鳴らすぶんにはちょうどいいだろう。

この場合DA-310USB側のデジタルボリュームはキャンセルされ、スルー出力となる。ちょっと出力が大きすぎるきらいもあるので、こちらもなんらかのアッテネーターが欲しいところだ。ヘッドホンのほうには、デジタルボリュームのほかに3段階のアッテネーターがある。

ただ、実売5万円台でこれだけの実力のヘッドホンアンプ/DACの登場は、なかなかインパクトが大きい。前作のDA-300USBからすでに3年が経過するが、この間の進歩は想像以上に大きかった。

小寺信良

小寺信良

AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。

製品 価格.com最安価格 備考
DA-310USB 49,726 デジタルアンプ「DDFA」を採用。最大11.2MHz/1bit DSD、384kHz/32bit PCMに対応するUSB DAC
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2017.3.26 更新
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